「小沢騒動の裏を読む」
*原田武夫のレポートより
小沢一郎民主党代表の「辞任表明」と「前言撤回」―――オザワが恐れたのは何者か?
~米国による日本メディア監視システムの実態~
小沢一郎民主党代表の「辞任表明」と「前言撤回」
11月4日午後4時30分過ぎ。東京・永田町にある民主党本部で、小沢一郎代表が「辞任表明」をした。いつものように「仏頂面」の小沢代表。そしてまた、いつもように書かれたテキストをまずは読みあげる。まずは、「辞任」に至った経緯を説明。
すると次に、不思議なことがそこで起こった。小沢一郎氏が、それまでとは打って変わって語気を強め、「メディア批判」を展開し始めたのだ。その様子は、その後、大手メディアの報道においてすっかりかき消されてしまっているが、リアルタイムでこの記者会見をご覧になられていた方にとっては、非常に印象深かったのではなかろうか。
「ありもしないことをメディアは連日報道している」
「そこで流されている内容の出所は政府与党。その垂れ流しに終始するメディアは猛省すべき」
「メディアがこの体たらくでは、日本の民主主義が危ない」
そんな痛烈な批判を繰り返し、記者団をにらみつける小沢一郎氏。続く質疑応答では、いつものスタイルながら記者たちの質問をさらりと受け流し、「はい、どうも」と席を立った。
そしてその三日後の11月7日午後。
小沢一郎代表は、党役員たちからの慰留を受け入れ、「続投」を正式表明した。
「三日天下」ならぬ、「三日辞任」。
何とも不可思議な展開となった。
小沢一郎によるメディア批判を探るためのカギとは?
今回の顛末については、すでに多くの諸氏が「百家争鳴」のような説明を展開している。「オザワは所詮、壊し屋。権力の旨味に最も早くたどりつく道を、なりふり構わず選んだのだろう」「結局、福田の方が一枚上手だった。今回の顛末で、先の参院選挙でせっかく勝ち得た国民の信頼を民主党は自ら地に落とした。ここで解散・総選挙をしかければ、自民党にも十分勝ち目はある」
例によって、「マルドメ(=まるでドメスティック)」な政治評論に終始するコメンテーターたち。―――彼らは「問題の本質」を見誤っていないだろうか?
確かに、福田も小沢も、事の真相を公にしようとはしていない。だが、そもそも今のような展開になった「事の発端」を思い返せば、この二人の主役が、結局のところ、誰を脅え、何を恐れていたのかが分かるはずなのだ。
こう考える時、「事の発端」として思い起こさなければならないのは、次の2つなのである。
◎参院選挙で民主党が大勝し、それにもかかわらず続投を表明した安倍晋三前総理が固執したのが「インド洋での海上自衛隊による給油活動の継続」、すなわちテロ特措法の延長だった。この法律は、とどのつまり、米国が2001年より始めた「対テロ戦争」への日本の協力のためにつくられたものである。
◎日本の総理大臣にとって、政権維持のための試金石となってきたのが、初めての訪米の時に米国からどのように処遇されるかである。米国の顔色が良ければ、小泉純一郎元総理のように「長期政権」となり、その機嫌が悪ければ、安倍晋三前総理のように「短命政権」に終わる。そして来る11月16日、福田康夫総理にとって初めての訪米、そして「日米首脳会談」という試練が訪れる。福田総理にとって、今や、居ても立っても「米国、米国、米国!」であるはずだ。
端的に言おう。―――今の永田町を流れる不可思議な濁流の水源地は、「米国」なのだ。大手メディアは、それを一切、真正面から語ろうとはしない。しかし、誰が何と言おうと、事実関係を並べていった先にあるのは「米国」であり、またその流れの大本にあったのもまた「米国」なのである。
小沢一郎氏の「辞任表明」におけるメディア批判、さらには「前言撤回」に向けた動きを読み解くカギも、ここ、すなわち「対米関係」に求められなければならないはずだ。
つまり、こういうことだ。
◎戦後日本の対米関係を取り仕切ってきた「大物」がいたとする。その人物(複数)たちが、かなり強いメッセージで「連立政権」の樹立を米側から「命令」されたと仮定する。
◎当然、これら対米関係のフィクサーたちは直ちに集結、米国から言われたラインで作戦行動に移り始める。具体的には、時の政権担当者と、それを阻む最大野党の指導者に対し、「連立政権」樹立に向けた働きかけを行うのだ。
◎こうした働きかけを受けた両者にとって、これはある意味、「寝耳の水」であるのかもしれない。しかし、戦後の日本政治を左右してきたのは、米国である。時に情報工作機関による「非公然活動」という形で、米国は自己に都合の良い政治展開を日本で実現してきたのだ(この点については、米国国務省が公文書の形で証明している。)もはや逆らう余地は無い。
◎そこで、シナリオとしては突然の「党首会談」ということになる。迎え入れる最大野党の指導者の側は、当然、米国からの直接・間接の指示にしたがってこれを受け入れたのだから、メディアを含め、万事滞りなく行くものと想定している。
◎ところが、ここで何かが狂い始める。―――同じく米国からの「シナリオ」を知っているはずの、最大野党の幹部たちがどういうわけか言うことを聞かない。これをゴリ押しすると、せっかくこれまで苦労して手に入れてきた「最大野党の指導者」の地位が危うくなるので、まずは最小限のダメージ・コントロールをはかろうとする。そうこうする間に、メディアが一斉に時の政権担当者ではなく、彼こそが、こうした「謀略」の兆本人であると言い出す始末。「全てシナリオはセットされていたのではなかったのか」そう思う暇もなく、さらなるダメージ・コントロールを余儀なくされていく。「そんなバカな」と思われるかもしれない。
しかし、仮にメディアが一斉に「連立政権、バンザイ!」を叫び、小沢一郎氏を「国難を救う、勇気ある大同団結の呼びかけ人」と礼賛していたとしたら、事態はどうなったのか?
小沢一郎氏が、唯唯諾諾とこの「シナリオ」に乗った背景には、米国からの強い働きかけ(非公然活動による「工作」)がある以上、メディアも必ず自らの英雄扱いしてくれると考えた方が、すんなりと理解できるのではなかろうか。
したがって、焦点は次のポイントに絞られてくる。
「米国は、はたして日本のメディアを監視し、コントロールするためのシステムを持っているのか?」
米軍は座間キャンプで一体何をしているのか?
私の答えは「YES」だ。その証拠がある。
情報工作機関という業界における「常識」の一つに、インテリジェンス・サイクルという概念がある。情報工作機関が活動を展開する際に見られる一連の流れを、ひとつのサイクルとして考えるということだ。
◎まずは、ターゲットについて徹底的に情報収集する。
◎次に、収集した情報を緻密に分析する。
◎さらにこの分析に基づき、「作戦計画」を立案する。
◎現地では、上記の「作戦計画」に基づき、ターゲット(人物、組織)に対する工作活動を展開する。
◎その結果、どういった効果が生じたのか、再び徹底的に情報収集する。
一般に、ここでいう工作活動は「非公然活動」と呼ばれる。その名のとおり、情報工作機関に活動を展開させる国の本国であっても、その存在すら明らかにされないものだ。したがって、実際に仕掛けられているターゲットであっても、「仕掛けられている」と気付かないことが多い。
だが、そのことはイコール、インテリジェンス・サイクルが私たちの身の回りで展開していないということを意味しない。このサイクルの一部であれ、明らかな部分があるとするならば、要するにターゲットは存在し、「非公然活動」も行われていると考えるべきなのだ。
それでは、日本のメディアについてはどうか?
日本のメディアは、大まかにいって、次のようなシステムで、米国による厳密な監視の下に置かれている(注:ただし以下は監視システムのすべてではない):
【印刷メディア・インターネットメディア】
◎アジア研究分遣隊(Asian Studies Detachment、ASD)
1947年創設。神奈川県・座間キャンプに駐屯している米陸軍第500軍事情報旅団に属する部隊。ここでは日本国内外から収集する400以上の定期刊行物など、印刷メディアとインターネットメディアを分析している。
米陸軍の文官12名のほかに、日本のいわゆる「思いやり予算(host nation support)」によって雇われている日本人従業員(翻訳・分析家)たちが77名も勤務している。
米軍においては「公開情報分析(OSINT)といえば、ASD」と言われるほど、定評がある機関。
◎第434諜報分遣隊(The 434th Intelligence Detachment)
1949年創設。米陸軍に所属し、コネチカット州ニューヘブンに駐屯している。名門大学であるイェール大学と創設当初より提携関係にあり、初期より「極東地域情勢分析」に重点を置いている。
現在では、米陸軍の戦略情報研究所など、さまざまな米国政府機関への情報分析提供を行っている。ちなみに所属する部隊員たちは、ボストン大学、ハーバード大学など一流大学を卒業した俊英たちである。
【放送メディア】
◎外国放送情報サービス(Foreign Broadcast Information Service(FBIS))
1941年創設、1947年に中央情報局(CIA)に統合される。英国放送協会(BBC)のワールド・モニタリング・サーヴィスと提携関係にあり、両者で世界中の放送メディアを24時間ウォッチしている。
日本のみならず、世界中のメディアからこれらの機関が集められた情報は一体どうなるのか?
私の手元に今、「Open Source Intelligence」という米国陸軍省が作成したテキストがある(FMI 2-22.9 December 2006. Expires December 2008)。「For Official Use Only」、すなわち公用と書かれており、いわば部外者は見てはならないとされているテキストである。その中にたとえば、次のような記述がある。
In February of 1941, the US Government took the first step in creating an open source mission-specific organization by creating the Foreign Broadcast Monitoring Service, dedicated to “recording, translating, transcribing, and analyzing certain radio broadcast programs” from foreign transmitters, primarily Germany and Japan. Eventually residing in the CIA, that organization, which came be known as the Foreign Broadcast Information Service, developed into a service of common concern that for almost 65 years provided products derived from foreign open sources to consumers across the US military and Government. …. In response to language in the Intelligence Reform and Prevention of Terrorism Act of 2004 and recommendations in the Silberman-Robb Commission calling for more effective use of open sources to support intelligence, the newly established DNI created the DNI OSC at CIA on 1 November 2005.
要するに国家情報長官(DNI)の下に、公開情報センター(OSC)が置かれるようになったということなのだが、そのOSCが米国のインテリジェンス・コミュニティーに対して提供している「成果物」として次のようなものがあると、このテキストは説明している。
Media Aids-Commentator Profile. Commentator profiles provide detailed information on one or more media personalities in a particular country, outlining their influence, background, views, and biases on key topics. The focus is on personalities who speak or write about issues of importance to the United States or who have influence with their government, businesses, or large segments of the general population.
何と、世界の国々の放送メディアに登場する司会者・コメンテーターたちについて事細かにファイリングしているというのだ。とりわけ、その影響度や、対米姿勢は徹底してチェックされていることがここからもお分かりいただけるのではないだろうか? ここに、もはや20年近くもテレビ・メディアを牛耳っている御仁たちが、視聴者の飽きはそっちのけで、画面の向こう側に居座っている本当の理由がある。
まとめていえば、日本のメディアは米国によって徹底して監視されているのである。
かつて、作家・江藤淳は第2次世界大戦における敗戦後、占領統治を行ったGHQの下で、約8000人近くもの英語の話せる日本人が雇用され、彼らを使った日本のメディアに対する徹底した「検閲」が行われていた歴史的事実を検証した。しかし、その成果を示した著作「閉ざされた言語空間」(文春文庫)においては、この8000人近くの行方はもはや知れないという形で閉じられている。あたかも、米国による日本メディアに対する監視とコントロールが1952(昭和27)年のGHQによる占領統治の「終焉」とともに終わったかのような印象すら受ける。
しかし、現実は全く違う。「彼ら」は引き続き、日本メディアを監視し続けているのである。しかも、その主たる部隊の一つは神奈川県・座間市にあり、そこで現実に77名もの「日本人」が米国のインテリジェンス・コミュニティーのために働き続けているのである。そして驚くべきことに、彼らの給料を「在日米軍に対する思いやり予算」という形で支払っているのは、私たち日本人なのだ。
「監視」しているということは、同時にインテリジェンス・サイクルの出口、すなわち「非公然活動」も展開されていることを意味する。
米国から体制転換のためのシナリオを吹き込まれた小沢一郎氏が、思いのほか、バッシングを続ける日本の大手メディアに面喰い、怒り、やがて罵倒したとしても無理はなかろう。何せ、「シナリオの番狂わせ」に他ならないのであるから。
だが、問題はなぜこうした「番狂わせ」が起きたのかにある。
米国が仕掛ける「世代交代」を注視せよ
「番狂わせ」の犯人は誰か?―――そう考えた時、論理的必然として最後に思いあたらざるを得ないことがある。それは、以上で何の留保もなく述べてきた「米国」が、実はそれ自身、今や一枚岩ではないのではないかということである。
「シナリオ」を描いたのが一つの勢力。
そして、本来であればその実現にあたって決定的な役割を果たすべき機関が、もう一つ別の勢力によって乗っ取られ、逆噴射した。
当然、旧勢力の側は巻き戻しのために必死となる。そのため、それまで表に出さなかった駒まで使い始める。
こう考える中、今朝(7日朝)のテレビ朝日「スーパーモーニング」を見ていたら、普段はめったにテレビ画面には出てこない東京大学教授・御厨貴氏が映っていた。何やらしたり顔で、「連立政権構想」の出自について語る御厨氏。その内容よりも、ここのところ全く映像メディアには出ずに、もっぱら活字メディアやそれに付随する各種の「賞」の選考委員として、その筋では「権勢の人」であった御厨教授がテレビに顔を出したという事実そのものに驚いた。
また、思い起こせば週末、デイヴィッド・ロックフェラー氏も来日していたこののであった。表向きは著書「ロックフェラー回顧録」(新潮社)の日本語版刊行記念。だが、御年92歳の御仁である。
「なぜ今?」
「どうして日本?」
という疑問なくしては考えることができない。
そんな折、思い出したことがあった。
「米国の『奥の院』は世代交代のための準備を着々と進めている。金融資本主義自体が大規模なシステム転換をこの秋から遂げていく中、2012年までかけて、ゆっくりと日本、そして世界は人も、社会も大きく変えられていく。」
そんなメッセージを暗に顔に示しながら、明日の「システム」を担うべき中堅の日本人たちは、実は今、明日の「米国」を担う閥族集団に次々とリクルートされ、修養を積んでいる。彼らは基本的に日本では全く表に出ない存在だ。だが、着実に「奥の院」たちの持つパワーを受け継ぎ、次の「システム」を担うべく徹底した教育を受け始めているのである。
もはや、問題はブラウン管の中にあるのではない。
ましてや、何も知らずに右往左往する永田町に「日本の未来」があるわけでは全く無い。
「シナリオ」を信じ込み、狼狽することで、晩節を汚した政治家・小沢一郎氏と、それに与したオールド・タイプの日本人たちが仕切る日本は、今年末から「大崩壊」する。
その先にあるのは、いったいどんな「日本」なのか?
キーワードは・・・「世代交代」だ。
*副島隆彦のブログより
副島隆彦です。現在、11月8日(木)の午前6時です。
私は、昨日7日の4時ごろの、小沢一郎民主党代表の、代表への復帰の記者会見をテレビで見て、そのときは、まだ、よく分からなかった。その夜の、NHKの報道だけを 見たのだから、いつものとおりの、「腐れ、売国マスゴミ」報道で、「アメリカの圧力で、小沢代表は、いったん辞任をしたのだ」の一行のコトバがなかった。どうせ、他もテレビ、新聞も同様だろう。
今の私には、何の情報も入らない。みな、ピタッと口を閉じて、何も言ってこない。私、副島隆彦に何かが伝わると、即座にネットに書かれてしまうから、という、感じだ。実際にその通りである。 私がひとつでも、新たな事実を 知ったら、ただでは済まさないのだ。
私が、気になったのは、「民主党は、よく粘る政党になりましたね」という伊吹文明自民党幹事長(旧中曽根派なのに、中曽根とはもう直接の親分・子分関係を持たないようだ。かえって、小沢一郎と気持ちが通じている平沼赳夫に近いのではないか) が、ぶらさがり(まわりの新聞、テレビ記者たち)に対して 発したコトバだ。
それと、森善朗が、どこかの料亭から、「アイムソーリー、アイムソーリー」と、例のへらへらしたデブのいじめっ子の感じで出てきて、軽薄そうに、周囲をさえぎって、車に乗り込んでいった様子だ。
どうやら、日本の大親分衆が、よってたかって、アメリカの差し金で、小沢を潰そうとした策動は、一旦は、阻止されたようである。 ただし、これで小沢一郎の、政治生命が守られたのか、どうかは、まだ分からない。アメリカの日本管理者たちの判断がどうなっているのか、だ。
(8月8日の会談を、小沢一郎に、45分間も、部屋の前で待たされて、日本のテレビ局にずっと写されて、怒り狂っているであろう、トム・シーファー大使が、CIAを使って、小沢を葬り去る、という決断が、まだ有効なのかどうか、だ。前任者の、
ハワード・ベイカーも、相当に陰湿な政治人間のようだから、油断は出来ない。
日本管理の、現地派遣の最高司令官は、ジェラルド・カーティスだから、彼の判断が重要だ。
そのほかには、米民主党の大物の、モンデール元駐日大使(副大統領経験者)が、小沢の肩をもって、ちゃんと仲介してくれているか、である。その上にいる、ジェイ・ロックフェラーが、小沢一郎を守る、と決断したかどうか、である。
私は、一晩たって、以上のような判断に達した。このあと、何か起こるかまだ分からない。民主党党首(代表)に復帰した、小沢一郎の身が、このままただで済むとは思わない。それでも、どうやら、民主党は、団結することで、ひとまず、勝った! ようなのだ。
すごい国民政治ドラマが進行したと言うことだろう。ただし、またしても、「アメリカの 圧力で、日本の政治指導者が、国民政治から排除されそうになった」の一行が、メディアの表面には、一切出ないままだ。メディアが、アメリカの買弁(ばいべん)であり、アメリカの軍産複合体(ミリタリー・インダストリー・コンプレックス)の下僕と成り果てていることが、はっきりした。
ピンと来た、勘の鋭い国民には、それなりのことは、分かったのだ。
民主党内が、あれほどに結束した事は、稀有の時代だと言うべきだろう。みんなで、団結して、小沢一郎を守る、という気迫と決意があふれていた。と同時に、あの両院議員集会の民主党の政治家たちの全員までもが、やや青ざめていたように見えた。
ゴロツキ自民党の親分集に、加担した、仙石由人(せんごくよしと、旧徳島県社会党委員長、弁護しあがり)が、あともうひとりいたが、 最後に立ち上がって、「熱意と、国民の認識は食い違っている」 という、発言をしていた。 誰もお前の言葉なんか聞いていないよ、という感じだった。
仙石が、民主党内に送り込まれた、ゴロツキ親分衆の手先であったことを、さらけ出した形だ。 仙石は、私、副島隆彦の言論のことをよく知っていてて、私のことを、蛇蝎ごとく罵っていた。民主党内の、アメリカの手先の別働隊だから、いい塩梅で、こいつが、焙り出されて良かった。
前原誠司のことで驚いた。何と、6日の、八重洲富士屋ホテルに小沢が昼間の休息(心臓のペースメーカーの調整の為に、昼は2時間は休まないといけない)の時に、 鳩山由紀夫と菅直人と興石(おきいし、民主党参議院会長)と、それから、石井一(いしいはじめ、神戸の怖い、しかし、おもしろいジジイ政治家)の4人だったか、が、最後の説得に行って、それで、小沢の復帰が決まった。
石井一は、「小沢は元気だったよ。国の将来のことを話していたよ」と素っ気無く語っているから、小沢一郎本人は、いたって、気丈で、いつも堂々としていたようだ。たとえ、政治生命を狙われている最中であっても、小沢は、周囲への態度では動じない。
「あたい(私)が、体は、おまんさあら(お前たち)にお預けしもんで。 (我が一身は、貴公ら同志にお預け申し候)」と言い放って、絶望的な、反政府決起に立った時(西南の役、1877年=明治10年 の半年間)の西郷隆盛(さいごうたかもり) とそっくりだ。
そのあと、午後6時ごろ、このホテルを出る前に、なんと、ここで、小沢は、前原誠司ただひとりを呼び出して、二人で話している。 前原でさえ、酷薄な世界政治の重たさを 小沢から、こんこんと教えられて、そして、小沢に忠誠を誓っているのだ。小沢が、さすがに日本国王である、ゆえんである。
だから、伊吹文明が、「敵(国内政治の競争相手)ながら、あっぱれ」と言ったはずだ。
福田康夫首相も、町村信孝官房長官も、そのほかも、誠実な自民党の幹部たちは、小沢一郎に、深い敬意を表している。 だから、日本国民は、一致団結しているのだ。谷垣貞一(たにがきさだかず)も、古賀誠たちと同様に、宏池会の伝統で、ソフト派の姿勢をとって、即座に、「大連立反対」と言ったらしい。
中曽根康弘と、ナベツネ と 森善朗 が、これで、困ったことになった。私が見た、テレビでのナベツネの姿は、エレベーターの前で、「お前たちに何も話す事は ない」と声を荒げている姿だった。「新聞記者というのは、そういうものじゃないんだ(取材源は、秘匿するのがあたりまえなんだ)」と、意味不明なことを言っていた。「自分は、一介の新聞記者であって、政治に対する見識をもって望んでいるのだ」と、威張りたいのだが、何を言っているか、自分でももう分からない、という感じだった。
ナベツネは、中曽根と、日本国のフィクサーとなって(その気取り)、ゴロツキ親分衆を糾合して、「アメリカ(チェーニー副大統領、トム・シーファー大使)の意向もあるので、石油給油法を通させるために、小沢に、どうしても『大連立』をやってもらおう。どうしても、だめなら、小沢を、CIAからの検察への資料で、逮捕させる」というシナリオで動いた。
そして、この共同謀議(コンスピラシー)が、ものの見事に壊れたらしいのだ。
小沢たちは一旦は、こうして勝った。国民の前で、国民に向かって、一生懸命に話したからだ。みなが、小沢を団結して、守った、らしい。ようだ、としか、今の8日の朝の時点では、副島隆彦は言えない。
4日の夕刻に私が書いたとおり、「小沢は、一騎となって、野山を駆けて逃げ延びる」という ことにはならなくて、まわりの忠臣たちが、命がけで、小沢を守りとおす、という行動に 出た。それは、すばらしいことなのだ。
アメリカ帝国が、崩れつつある。策動(世界管理の政策の実行)が各国で、うまくいかなかくなりつつある。その東アジアでの、兆候が今度の「小沢辞任騒動、大連立の謀略」で、明らかになった。
パキスタンのムシャラフ大統領が、戒厳令を敷いたが、それでも、もうパキスタン国民は、 黙っていない、という感じになってきた。ムシャラフは、アメリカの傀儡(かいらい、操られ人形)だったが、微かには、愛国者であった。彼のグジャグジャにゆがんだ、今にも泣きそうな表情を見ていると、そして、サウジアラビアのアブドッラー国王 King Abdullah の、不愉快そうな表情を見ていると、本当に、小沢一郎の、苦渋をかみ締める時の表情とそっくりだ。
上からの大きな圧力を感じて、それに必死で抵抗する、と国家指導者と言うのはああいう顔つきになるものなのだ、と、よく分かる。まるで「帝国ー属国の興亡史」の 歴史物語のようだ。
「週間新潮」が、今日(8日、木曜日)、出るが、この事件の記事を特集していて、中刷りの一行目は、「第二の角栄か! 永田町を「アメリカのやらせ」が走る」というような、見出しになっているらしい。
*ベンジャミンフルフォードのブログより
小沢一郎はCIAの下手な裏工作に負けるな!
複数の民主党議員からの情報によると、福田総理が民主党の小沢代表との会談の際にCIAの1991年の湾岸戦争の際の資料を見せた。それはその時に小沢氏が戦争費用絡みの裏金をもらった証拠資料だった。
しかし小沢氏は田中角栄と同じ作戦に負けるべきじゃない。まず自分から開き直って、その大昔の時代に(殆どの自民党の議員と同様に)軍事利権の裏金をもらったと認めるべき。その上で「しかし日本のそういう金銭政治が嫌になったので今の民主党と組んでいる」と返し、逆に「何で一国の総理大臣がCIAの脅し工作に協力をしているか」と聞くべきだ。
CIAの下手な裏工作で日本の政治が踊らされる時代はもう終わりだろう。
*池田信夫氏のブログより
「偉大なる三流紙」読売新聞
2007-11-08
きのうの記者会見で、小沢一郎氏は大連立について「2ヶ月前に、ある人から呼び出された」「半月前に首相の代理である人が来た」と経緯を明らかにした。このどちらかが中曽根氏あるいは渡辺恒雄氏だといわれ、中曽根氏はインタビューに答えて「主筆は政治に手を突っ込んでもいいんだ」と事実上、渡辺氏の関与を認めている。
しかし渡辺氏が話をもちかけたとすれば、読売の「小沢氏は真実を語れ」という記事は何なのか。現場が経緯を知らなかったとしても、主筆がそれを放置して、記者会見で読売の記者が「当社の報道を誹謗したのは許せない」などと質問するのは、小沢氏が怒るのも当たり前だ。今回の渡辺氏の行動は、取材者として一線を超えている。しかも、それを自社の記者にも隠しているとしたら、ジャーナリストとしての立場より自民党のエージェントとしての立場を優先したことになる。
有馬哲夫『日本テレビとCIA』によれば、CIAのエージェント(暗号名PODAM)だった正力松太郎以来、読売グループは政権と癒着して、親米・反共の世論操作の一翼を担ってきた。「正力構想」として知られる全国マイクロ回線網は、米軍の通信網を日本テレビが構築し、他の放送局や電電公社に貸し出す(したがって日本の通信はすべて米軍に傍受される)という、とんでもない計画だった。この計画は、結果的には吉田茂につぶされ、電電公社は独自にマイクロ回線網をつくったが、正力構想のなごりは「日本テレビ放送網」という社名に残っている。
テレビについては、正力がGHQの圧力を背景にして電波監理委員会に6メガ方式(NTSC)を採用させ、NHKなどの進めていた国産の7メガ方式をつぶした。テレビの方式をアメリカと同じにすることは、GHQにとって重要な意味があった。日本を「反共の防波堤」にするためには、アメリカのテレビ番組を輸出することによって日本をアメリカの文化的植民地にする必要があったからだ。
これは大きな効果を発揮した。戦後の貧しい日本で放送された「アイラブルーシー」や「ヒッチコック劇場」などの番組は、洗練された演出と、そこに映し出された豊かな消費生活の映像によって、アメリカの大衆文化を日本に浸透させた。それは同じくCIAのエージェントだった岸信介が日本をアメリカの政治的植民地にしたのと同じぐらい大きな影響を戦後の歴史に与え、その呪縛はいまだに残っている。
私はいつも朝日新聞の悪口を言っているが、いまだに朝日を取っている。それはナベツネがいるかぎり、読売の報道は信用できないからだ。読売が「世界一の部数」を誇っても三流紙とみられるのも、こうした自民党との癒着体質をいつまでも残しているからだ。特に今回の小沢騒動では、社説で大連立を提唱する一方、小沢氏をその「首謀者」と断じるなど、自民党のプロパガンダを連日、流し続けた。渡辺氏こそ、今回の騒動の責任をとって引退すべきだ。
(*)けさの朝日新聞によると、「ある人」がナベツネで「首相の代理」は森喜朗氏のようだ。しかし中曽根氏の口ぶりからすると、彼がナベツネを使って仕掛けたのではないか。
(私のコメント)
日本の戦後政治(太平洋戦争後の)を考える場合、 もっとも日本の政治に影響を与えているのが米国の意向である。副島隆彦氏がその属国論で説き明かした戦後の日米関係の図式が現在でも日本の政治を考える場合、もっとも役に立つことは間違いない。
それにしても今回の小沢騒動は不思議な展開を見せた。
2年前の郵政解散選挙のような徹底したプロパガンダ(一説には5000億円を使ったという)がマスコミを通じてされていたわけでもない状況下のなか、読売新聞という特殊なメディアが突出した動きをして今回の党首会談を実現させた。それにもかかわらず、大連立を歓迎する空気が全くつくられていないという不思議な展開であった。
おそらく、この流れを読んでいくと米国の旧タカ派と強い繋がりのある中曽根康弘氏、渡邊恒雄氏をネオコン派の筆頭であるデヴィッド・ロックフェラーの腹心であるチェイニィ副大統領の勢力が動かして今回の大連立の話を持ちかけさせたというのが妥当な処ではないかと思われる。渋る小沢氏を党首会談に引きずり出すために彼が政治生命を失い兼ねないような脅しがあったとしても全く不思議ではないだろう。
ところが、この会談は結局失敗に終わっている。
原田武夫氏が指摘するように米国のイスタブリシュメントの日本の政治に対する考えが一枚岩でないことからこのような動きになったとも考えられる。氏が指摘するように今回の防衛疑惑(GE疑惑)はおそらく、アメリカが仕掛けてきたものであり、どう考えてもこの事が与党:自民党を利するとは考えられない。(日本の一部週刊誌は全く逆のことを報道しているが、)やはり、来年の大統領選挙に向けて米国内の政治権力に変質が起きていると考えるべきであろう。どうせ、来年はヒラリーかオバマかわからないが民主党の大統領になることは間違いないのだから。そうすると、米国の民主党は日本の政権が一回は民主党政権になってもかまわないと思っていると考えてもいいのかもしれない。
もう一つ世代交代という指摘も当たっているのかもしれない。今更、ナベツネ、中曽根でもないだろう。そう言えば、デヴィッド・ロックフェラーが不思議なことにこの時期に来日して、自ら回想録のアピールをしていたが、ロックフェラー家にしてもジョイ・ロックフェラーに当主の交代が行われている最中であり、身内同士の中で複雑な思惑が交差しているはずである。民主党の小沢氏はジョイ・ ロックフェラーに近いと言われているがそのあたりも副島氏が指摘するように気になるところである。
もう一つは、アメリカの覇権、パックスアメリカーナが終焉に向かっているために今回のような事態を招いたと考えることもできるかもしれない。
近世の歴史を紐解いていくと「アフガニスタン」というキーワードに行き着く。アフガニスタンに侵攻した国はイギリスにしろ、ソビエトにしろ、その覇権を失ってきた歴史がある。アメリカだけが例外になれるのであろうか。
もし、アメリカの覇権が衰退していくのだとしたら、日本はそのための準備、布石を着々と打っていかなければならないはずだ。しかしながら、現在の日本の政界を眺めてみると二世三世、議員、小泉チルドレンという訳のわからない人たちの顔ばかり先に浮かんでくる。もっと優秀な人に政界に入ってもらう仕組みをこれからの政局混乱の中で作っていくことが緊急の課題だと思われる。
現実的には、与党:自民党は少しでも有利に総選挙を展開するために、民主党が混乱している内に、世論がこの騒動に困惑している内に解散・総選挙に打ってでることになるのではないかと思われる。しかし、衆議院で過半数を確保したところで、参議院のねじれが解消するわけではない。衆議院の勝利によって有利な合従連衡を仕掛けていくことになるのだろう。まだ、まだ、政界の混乱は続く。
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