愛知県でも現在、話題になっている地方自冶体による瓦礫の受け入れは、下記の文章を読んでいただければわかるように、よく考えてみれば、本質を外した全く枝葉の問題です。放射性物質拡散のリスクを考えるなら、なぜ、国がこんなキャンペーンを繰り広げているのか、理解に苦しむところです。



*取りあえず分かりやすい資料を並べてみました。

まず、問題点を整理している武田邦彦氏のブログから紹介。以下。

1. 瓦礫の量は阪神淡路大震災と大きく違うのか?

阪神淡路大震災の時の瓦礫の量は2000万トン、東日本大震災2300万トン(環境相発表)で、わずかに東日本大震災の方が多いが、地域が広いことを考えるとほぼ同じか、むしろ東日本の方が面積あたりにすると少ない。

2. 瓦礫全体の内、どのぐらいを被災地の外で処理するのか?

瓦礫総量の内、わずか20%の約400トンを東京やその他の地域で処理する。80%が現地処理。

3. 瓦礫の処理が遅れている理由は何か?

「瓦礫の処理が5%しか進んでいない。これは瓦礫の引き受けが進んでいないから」と2月21日に発表した。しかし、もともと被災地外で処理するのはたったの20%だから、被災地外の引き受けが順調で、もし半分が引き受けても10%の処理率になるに過ぎない。

 つまり、環境省はこれまでと同じように瓦礫の処理が遅れている理由を、国民が誤解するように発表し、専門家と言われる人はこの辺の事情を十分に知っているのに言わない。新聞も同じである。

さらにNHKは2月末の放送で「瓦礫を不当投棄するので、瓦礫処理が進まない」という自治体の言い分をそのまま放送した。山のように積んである震災瓦礫の数100分の1しかないのに、それがあたかも瓦礫の処理が遅れている理由にしている。またさらにそれを知っているNHKが自治体の言い分だけを放送するというのだから、国民が税金や受信料を支払っていることを忘れているとしか思えないのは当然だろう。

「がれき処理なぜ進まない お役所仕事が原因?」

東京新聞(3月20日 紙面から)

 

東日本大震災で発生したがれきの処理が遅れている原因は、環境省や県の「お役所仕事」にある可能性が浮上した。焼却炉の新設を求める陸前高田市の申し出を岩手県が“門前払い”にしていたのだ。野田政権は、がれきを全国の自治体で受け入れる「広域処理」に血道を上げているが、被災地での処理体制を見直すのが先決ではないか。(佐藤圭)

陸前高田市長県に提案

専用焼却炉 門前払い

沿岸部の中心市街地が津波で壊滅した陸前高田市。高台に建てられたプレハブの仮市庁舎で戸羽太市長は、国や岩手県の対応に怒りをあらわにした。

市の推計量は県内最大100万トン

「やる気のない人たちだ。とにかく新しいことには挑戦したくない。環境省と県は責任をなすりつけ合っている」

戸羽市長ががれき専用の焼却炉の建設を県に提案したのは震災直後のこと。陸前高田市のがれき推計量は県内最大の100万トン。がれきの撤去、仮置き場での破砕、選別までを氏が担当し、となりの大船渡市にある太平洋セメントでの焼却処分などの事務を県に委託した。

戸羽市長は「太平洋セメントも津波被害で動き出せない状況だった。処理が始まったとしても大船渡分が優先される可能性があった。このままでは大きく後れを取る。自前の焼却施設を造らなければならない。被災地全体のがれきを処理するためにも必要な施設だった」と、強調する。

提案は具体的だった。

建設場所は、被災した県立高田松原野外活動センターの敷地。その背後に仮置き場を設置する。だが、県の担当者の反応は、

「環境アセスメントの手続きなどで、2,3年はかかる」と素っ気なかった。

昨年5月の衆院東日本大震災復興特別委員会で戸羽市長はの窮状を知った遠山清彦議員(公明)が、「被災地の市町村が処理プラントを建てる時、国が支援するべきだ」と訴えた。

当時の松本龍防災担当相も「県や市と相談して取り組んでいきたい」と前向きな姿勢を示した。それでも、案が具体化することはなかった。

環境省と責任なすり合い

戸羽市長は、「何がしかの動きがあると思ったが、県に問い合わせれば『環境省はやる気がない』環境省にきけば、『県から正式な話は来ていない。話があれば当然検討する』という始末だった」とあきれる。

県や国の非協力的な態度は、焼却炉にとどまらなかった。戸羽市長は、米軍から大型破砕機を借り受ける計画を県に持ちかけたが、案の定、「前例がない」と断られた。

「(だから試せよ)という話だ。住民に少しでも動き出したところを見せたいのに、全く理解してもらえなかった」と、戸羽市長。

「国は現実見て手立て講じて」

陸前高田市は今のところ、広域処理は予定しておらず、全て太平洋セメントに依頼することにしている。「他に困っている被災地が沢山ある。広域処理には賛成だが、広域分は宮城県で全体の2割。岩手県で全体の1割。広域処理が進んだからと言って、一気に解決されるという話ではない。国は被災地ぼ現実をしっかり見てあらゆる手立てを講じてほしい。

 

独自処理の仙台先行

「阪神」に学びスピード歴然

神戸市環境保全指導課嘱託職員の笠原敏夫さん(61)は、1995年の阪神淡路大震災の際、がれき処理の最前線に立っていた。

「がれき処理は厚かましくやらないといけない。制度や金は後から付いてくる」と力を込める。震災後の処理率6.7パーセントにとどまる

阪神淡路大震災と比べると、東日本再震災でのもたつきぶりは目を覆うばかりだ。

がれきの発注量は、今回が約2200万トン。(岩手・宮城・福島3県の合計)、

阪神淡路が約2000万トンでそれほど変わらない。ところが、震災後1年経った処理率は、東日本大震災の6.7%に対し、阪神淡路は約50%。今回は被害地域がけた違いに広く、津波や福島原発事故の影響があったとはいえ、その差は歴然としている。

明暗を分けたのは仮説焼却炉だ。

阪神淡路では、神戸市など兵庫県内7市町に24基設置された。最も早いものは、震災後3か月、遅くとも、1年後には稼働し始めた。

笠原さんは、「最初に稼働した炉は、1日当たりの処理能力が40トン程度。大した規模ではなかったが、とにかく住民に処理が進んでいるところを見せる事が一番大事だった」と振り返る。

今回はと言えば、何ともお寒い状況だ。

仙台市を除く被災市町から処理を受託した宮城県は、20機程度の整備を計画しているが、ようやく今月24日、1基目が試運転に入るところだ。岩手県では、宮古市に2基、釜石市に2基整備するが、フル稼働には至っていない。

唯一の例外が、国や県に頼らず独自で対応できた政令市の仙台市。3基の焼却炉のうち、昨年10月に2基、12月に残る1基が稼働。環境省と岩手、宮城両県が処分目標に据える2014年3月末よりも半年以上も早い3年度夏までに終える見通しだ。

笠原さんは、昨年3月下旬の1週間、仙台市に派遣された。

「仙台は阪神淡路大震災の時の神戸と同じか、それ以上のスピードで物事を進めていた。

震災のがれき処理を相当研究していた」と称賛する。

しかし、7月に出向いた岩手県では、様子が違った。国の動きを気にするような姿勢が目に付いたといい、笠原さんはやんわりと苦言を呈する。

「岩手県の職員はがまん強い。国の補助金が付くまで待ち続ける。一般廃棄物の処理は市町村の事務。許認可官庁の県には実力がなかった」

細野豪志環境相は16日の衆院環境委員会で、がれき処理の遅れについて、

「被災地での処理が、仙台市のようなスピードで出来なかった事と、広域処理がなかなか進まなかった事との両面がある」と答弁した。

 

「被災地の対応充実を」

質問した斎藤恭紀議員(きづな)は、宮城2区(仙台市)選出だ。「がれきの処理が遅れている原因が現地処理にあるのは、仮説焼却炉の状況を見ても明らかだ。広域処理に責任を押し付けるのは間違っている。政府は自らの失策を認めるべきだ」と憤り、今後のがれき処理について次のように提案する。

「広域処理に絶対反対ではないが、現地で処理する環境を整えることの方が優先度は高い。仮説焼却炉の増設や、再利用の促進が欠かせない。がれきは財産だ。有効に活用する方法はいくらでもある。被災市町村が主体的に取り組むことのできる仕組みを造り、思い切った政策を打ち出すべきだ」(引用終わり)

*礫受け入れが復興の助けになると思っている間違いを指摘し、瓦礫受け入れを反対する理由を解説しているマンガもあります。

 出所<http://madoka8madoka.seesaa.net/article/263159555.html>

「瓦礫受け入れが復興の助けになると思ってませんか?」







「民主党政権に大疑獄の噂 今、復興利権の奪い合いをする時なのか」

(日刊ゲンダイ2012/3/7)

東日本大震災からもうすぐ1年が経つ。本来ならば、被災3県のあちこちで復興の槌音が響き渡り、ブルドーザーがうなりをあげているところだ。復興需要が経済を押し上げ、被災者にも希望が見えてくる。こうならなければいけないのに、現実はひどいものだ。

ガレキ処理は2月末時点で、岩手県が8%、宮城県が5%。これしか最終処理が済んでいないのだ。1ケタ台とは唖然とするが、それでも2県はガレキをどけただけまだマシだ。放射能汚染にさらされた福島県では35万トンのガレキが手付かずで放置されている。(引用者注:福島県のガレキは広域処理の対象外)どけるにしても行き場がないからだ。中間貯蔵施設もできていない。

今なお、仮設住宅で暮らす人は11万人。アパートや公営住宅などの「みなし仮設」に住む人は15万人。震災で損壊した防潮堤は3県で約190キロに及ぶが、今年度中に復旧工事が始まるのは18キロにとどまる。「なんだこりゃ?」という数字ばかりではないか。

震災から1年も経っているのに、なぜ、こんな惨状が続いているのか。実はカネが全然、回っていないのだ。

民主党政権は4回の補正予算を組んだ。1、2次補正で6.7兆円、3次補正で9兆円。2.5兆円の4次補正にも被災者の二重ローン対策など、復旧復興関連が盛り込まれた。今後も含めると、20兆円以上の金が復興につぎ込まれるのだが、こうした予算があろうことか、てんで執行されていないのである。

◆復興庁のフレコミはすべてが大ウソ

「1、2次補正は去年の7月に成立した。ところが、年末になっても復興のために使われた予算は2.7兆円程度で、40%くらいだった。そのうち道路や公営住宅の建設などのインフラ公共事業には1.4兆円の予算が組まれたが、執行されたのは2100億円だけ。執行率はたった15%です。被災者向けの公営復興住宅やダムの修理などに使われた予算はゼロでした」(関係者)

目をこすりたくなるような現実だが、驚くのは早かった。民主党政権は今年2月、鳴り物入りで復興庁をスタートさせた。復興のための省庁横断組織である。ここが1.9兆円の「復興交付金」を配る。自治体の負担ゼロ、しかも、自治体のやりたい事業に「ワンストップ」でカネをつける。そうやって、地域主体の復興事業をスピーディーに進めていく。そんな触れ込みだったが、大ウソだった。

カネを出し惜しみ、「不要不急の事業は削る」(平野復興相)と圧力をかけて、自治体からの申請を絞らせ、それもエラソーにばっさばっさと切り捨てた。結局、1回目の交付が決まったのは3053億円。ナント全体の6分の1である。これには各自治体の怒ったこと。

陸前高田市の戸羽太市長は「われわれに不要不急の事業などない」とカンカンだったし、宮城県の村井嘉浩知事は「復興庁ではなく査定庁だ。4月から一気に復旧復興に進もうとしているのに、国が後ろから袖を引っ張っている」と切り捨てた。

それなのに、消費税引き上げしか頭にない野田は、「予算の執行が十分進んでいないところもある」と他人事なのである。これじゃあ、被災地は踏んだり蹴ったり。復旧復興は永遠に進まないことになる。

◆中央省庁の官僚は復興予算で焼け太りしている

それにしても、民主党政権のお粗末、能天気はもはや犯罪的ではないか。大新聞は復興が遅れていることについて「自治体の職員不足」とかイロイロ書いているが、全然違うのではないか。

国民だって、被災地のために増税を受け入れたのである。あとは自治体に任せればいい。そんな簡単なことができないのは、そこに怪しげな思惑があるからだろう。何でもかんでも仕切ろうとする中央省庁の官僚たちとその利権。それに連なる政治家たちの思惑。そんなものがチラチラする。被災地を取材しているジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言った。

「放射能の除染が進まない福島では、農民たちが農地に屋根をつけるハウス栽培を思い立ち、隣に加工工場を造る計画を立てて、復興交付金を申請しようとした。ところが、復興交付金がつくのは国交、文科、厚労など5省庁が仕切る40事業と決まっている。加工工場は経産省マターで5省庁に入っていない。『交付金が欲しければ工場のプランを外せと言われた』というのです。こんなバカなことがまかり通っているのですよ。しかも、復興庁がウンといっても、最後は財務省が出てきて査定する。これじゃあ、これまでの予算とどこが違うのか。金額が増えた分、財務省を筆頭に中央省庁の官僚の権限が拡大し、彼らは焼け太りしたことになる。中越地震のときには、国がカネを出して基金を組んだ。使い道は官僚ではなく、民間の有識者が決めた。今度もそうしたプランがあったが財務省が潰した。自分たちの出番がなくなるのは困るからです」

こんな連中が権限をかさに着て、復興を遅らせているのである。その財務省について、ある民主党議員はこんなことを言っていた。

「彼らは巧みだ。知らない間に自分の選挙区に有利な予算をつけて“やっときましたよ”などと言う」

予算をつけてもらった議員は地元で感謝される。選挙ではこういうことが効く。一方で、財務省には頭が上がらなくなってしまう。こんなことが多くの民主党議員の地元で行われている。なにしろ、20兆円の復興予算なのである。

*東京新聞 「こちら特報部」2012年 2月15日より

震災がれき広域処理は問題の山 環境総合研・池田副所長に聞く

 

野田政権が復興庁の発足を機に、宮城、岩手両県で発生した震災がれきの広域処理キャンペーンを一段と強力に推進し始めた。旗振り役の環境省は「がれきは安全」「復興の足かせになっている」と受け入れを迫るが、他に選択肢はないのだろうか。

「広域処理は必要性、妥当性、正当性の観点から問題」と主張する環境専門シンクタンク「環境総合研究所」(東京)の池田こみち副所長に聞いた。

野田佳彦首相は、復興庁がスタートした10日の記者会見で、今後の復旧復興の重要課題として

(1)住宅再建・高台移転

(2)がれきの広域処理

(3)雇用の確保

(4)被災者の孤立防止と心のケア

(5)原発事故避難者の帰還支援-の5項目を挙げた。

がれきについては「安全ながれきを全国で分かち合って処理する広域処理が不可欠だ」と力を込めた。池田氏は真っ先に、政府の言う「復興の足かせ論」に疑問を投げかける。

「被災地に何度も足を運んでいるが『瓦礫があるから復興が進まない』という話は聞かない。被災地では住宅再建や雇用の確保、原発事故の補償を求める声が圧倒的だ。

がれきは津波被害を受けた沿岸部に積まれるケースが多いが、そこに街を再建するかはまだ決まっていない。

高台移転には、沿岸部のがれきは全く障害にならない。がれきが復興の妨げになっているかのような論調は、国民に情緒的な圧力を加えているだけだ

次に広域処理の妥当性だ。

池田氏は環境・安全面と、経済的、社会的な観点からの議論を促す。環境・安全面は住民が最も心配している点だ。

環境省の広域処理ガイドラインでは、被災地からの搬出から受け入れまでに複数回、放射線量を測定することになっているが、いずれもサンプル調査。

その精度については、同省も「サンプルを採取しなかった部分で、放射線量が高いところがないとは言えない」(適正処理・不法投棄対策室)と認めざるを得ない。

「測定を繰り返して安全性を強調しているが、実は非科学的だ。がれきを全部測ることができないのは分かるが、公表されているデータでは、がれきのボリューム、採取方法、なぜサンプルが全体の線量を代表できるかの根拠などが不明だ」

焼却炉の排ガス測定もサンプル調査だ。

「環境省は、4時間程度採取した排ガスを測定する方法を示しているが、サンプル量が少なすぎるのではないか。サンプル量を増やして定量下限値を下げ、実際にどれくらい出ているかを把握しないと、汚染の程度は分からない」

池田氏は、焼却灰の埋め立て処分にも首をかしげる。放射性セシウムが1キロ当たり8000ベクレル以下であれば「管理型最終処分場」に埋め立てる計画だ。

「管理型の浸出水処理施設ではセシウムは除去できない。灰を普通のごみと同じように埋め立てる基準が8000ベクレルでは高すぎる。どうしても埋め立てるのであれば、コンクリート製の仕切りで厳重に管理する『遮断型最終処分場』で保管するしかない」

問題は放射性物質に限らない。池田氏は津波の影響にも警鐘を鳴らす。

「津波によって流されたがれきは、油類や農薬類などの有害物質を吸収している。日本の焼却炉における排ガス規制は、ヨーロッパに比べて非常に甘い。規制されているのは窒素酸化物、ダイオキシン類など5項目にすぎず、重金属などは野放しだ。こうした未規制の物質が拡散する恐れがある」池田氏は「経済的妥当性も検討されていない」とあきれ顔だ。

「放射性レベルが低いというのであれば、がれき処理専用の仮設焼却炉を現地に作って処理するのが最も効率的だ。雇用も生まれる。高い輸送費をかけて西日本まで持って行くのは、ばかげている」

「東京都が既に協力しているが、問題は山積している。都心部で新たに処分場を確保するのは困難。焼却炉の維持管理や更新にもコストがかかる。できるだけ延命されなければならないのに、震災がれきを燃やしたり、埋め立てたりすれば、焼却炉や最終処分場の寿命は確実に縮まる」

妥当性の3点目が社会的側面だ。

広域処理をめぐっては、被災地と被災地以外で“対立構図”ができつつある。

「被災地の人たちは、普段の生活ではがれきのことをあまり気に掛けていなくても、全国で『受け入れる、受け入れない』という騒ぎになれば、反対する住民への不信感が募るだろう。

受け入れを迫られる住民たちも、本当は被災地をサポートしたいのに信頼できる情報もない中で心の余裕を失う。こうした対立構図をつくっているのは国だ」

意思決定、政策立案プロセスの正当性はどうか。

環境省は関係省庁との検討を経て、昨年4月8日には、宮城、岩手、福島の被災3県と沖縄県を除く各都道府県に受け入れの協力を要請している。

同省の有識者会議「災害廃棄物安全評価検討会」は一連の非公開会合で、広域処理の方針にお墨付きを与えてきた。

『広域処理』ありきの進め方だ。環境省は自治体や国民を蚊帳の外に置いたまま、一方的にものごとを決めている。とても正当な手続きとは言えない」

では、どうするか。

首相は、冒頭に紹介した会見の中で「被災地の処理能力には限界がある。岩手県では通常の11年分、宮城県では19年分だ」と述べている。がれきの量は、宮城県が約1569万トン、岩手県が約476万トン。2009年度の年間量で割れば、首相が言う通りの数字になる。

だが、実際に広域処理される量はずっと少ない。現段階で県が把握しているのは、宮城が4年分の約344万トン、岩手が1・2年分の57万トン。

しかも、宮城県の広域処理分には、仙台市は含まれていない。同市が市内3カ所に仮設焼却炉を設置し、4年分の約135万トンを13年夏までに自前で処理するからだ。環境省と岩手、宮城両県が処分目標に据える14年3月末よりも半年以上も早い。

池田氏はこう提言する。

「現地で処理する場合、焼却しない場合などそれぞれの事情に応じて選択できる多様な代替案を早急に検討すべきだ。汚染が少なく分別が徹底されていれば、木材などはチップにして燃料にすることもできる。広域処理する場合でも期間は1年のみとし、輸送距離の短い範囲でしっかりした施設を持つところに限定する。その間にリサイクルを促進したり、専用の仮設焼却炉を増設したりすることが考えられる」

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