3月 132014
~プーチンのロシアが一時的な覇権国になる可能性が出てきているのかもしれない~
今回のソチオリンピック終了後の非常に早いロシアのウクライナに対する動きを見ていると、周到に準備されていた軍事作戦であることがよくわかる。「ロシア軍艦がキューバに、入港の事実伏せる異例の事態」という報道(CNN)もあった。用意周到である。おそらく、オリンピック開催中に秘かに作戦が進行していたのだろう。下記の元外交官原田武夫氏の指摘を読んでいただけば、わかるように、もともと今回のウクライナ政変を仕掛けたのは、欧米(4年前に計画されていた)だが、先刻そのことを承知していたプーチンが逆襲に出たというのが現状だろう。
ただ、あまりにもプーチンのロシアの対応が迅速だったことに西側諸国は、吃驚しているのかもしれない。
ところで、現在、ロシアは世界一の石油・天然ガスの産出国となったようである。また、プーチンの情報能力の高さにも国際的に定評がある。米国のNSA(国家安全保障局)のスノーデンを手中に収め、情報戦は万全であろう。ロシアの軍事力は、米国についで現在、世界2位である。「財政の崖」にあるアメリカが現実には、大規模に軍隊を動かせない状況を考えると、現在、プーチンが圧倒的優位に立っていると考えても間違いではないだろう。豊富な天然資源を背景に、世界戦略を進めるロシアを止めるためには、経済力の源である天然資源の価格を暴落させることぐらいしか、現時点では、欧米のエリートには対抗手段がないと思われる。
そう言った意味では、今年に入って、商品市況は順調に推移しているが、これから、中国絡みで商品市況の暴落、急落がより大きなものになるように仕掛けられる可能性もあるので、細心の注意が必要だろう。また、ウクライナの政情不安は、ウクライナに融資しているヨーロッパの金融機関の不安定要因なので、ユーロの暴落場面も見られるかもしれない。どちらにしろ、注視が必要である。
ところで、例によって日本のマスコミは報道しないが、昨年、あの米国覇権を強力に推し進めてきたブレンジスキー氏がホプキンス大学の講演で「アメリカはかつての影響力の大部分を失っており、アメリカ政府が少なくとも、今この演説を聴いている人々が生きている間に、世界の覇権大国として、権力を取り戻すことがないだろう」と、語っていることも忘れてはならないだろう。
そう言った意味では、日本という国が、対米自立を求められる時代に入ったことだけは、間違いないが、現在の日本の政治・経済を見ていると、従米路線の利権を手放したくない官僚と大企業、戦後半世紀以上にわたって支配された恨みを感情的に晴らそうとするような、子供じみたタカ派的な言動を、巧みに米国ネオコン派に誘導されている姿しか見ることができないような状況である。どうも、この国は、まだ、独立自尊には、ほど遠いようである。世界最大の債権国であり、莫大な簿外資産があるとも言われている国が目を覚まして、世界レベルのインテリジェンス能力を持てば、別に軍事力なんてそれほど持たなくても、圧倒的優位に立てる時代を迎えているのに、あまりに残念なことである。
整理すると、これから注意すべき点は、2点である。中国バブルの崩壊がより一層、はっきりしたものになるに従い、商品市況が急落、暴落する危険がかなり高まる。ロシアの経済力を削ぐためにも故意にその落ち込みを欧米のグローバルエリートが大きなものにする可能性がある。
もう一点は、危うい均衡にあるユーロが暴落し、崩壊の危機が再び訪れる可能性が極めて高いということだ。為替投機、ヨーロッパ向け輸出の株式に投資している方は注意が必要だということである。
米国のコントロール下にある日本のマスコミは、ほとんど事実をおそらく、報道しないと思われるので、今回の騒動を簡単にまとめておけば、こうなる。
米国とドイツとイギリスが、ロシアの覇権拡大を阻止するために引き起こした今回の政権転覆は、ウクライナを国家分裂の危機に陥れた。クーデターによって樹立された親米の新政権は、極右ネオナチが治安維持や軍事を握っており、彼らはロシア系国民を排除してウクライナ人だけの国にする民族浄化を目標に、政権樹立直後にロシア語を公用語から外した。ロシア系住民が、極右の政権奪取を見て、ロシアに助けを求めたのは当然の成行だということである。ところで、ウクライナという国の人口構成は、ロシア系が6割、イスラム系が3割、ウクライナ系が1割である。この国の人種構成を見ても暴動によって成立した政権が民主主義的な手続きでは、絶対に誕生しないことは、一目瞭然である。だから、プーチン氏は、この3月4日の記者会見でも、現在のクーデター政権は、選挙をした正統性のある政権ではないと強調していたのである。
ある意味、欧米の暴挙をプーチン氏が、見事な軍略で情勢逆転したということである。
その結果は、言うまでもなく、プーチンのロシアの覇権拡大に繋がることになる。
気をつけなければならないことは、米国のネオコン派がウクライナと同様の心理戦を日本国民に対しても仕掛けていることである。現在の一見威勢のいい右翼的言辞も仕掛けられたものであることを見抜く眼力を現在の日本人は、求められていると言えよう。
それでは、参考資料として、まず、ブレンジスキー氏の講演のニュースから紹介する。以下。
*イランラジオニュースより
ブレジンスキー氏、「アメリカの世界覇権の時代は終った」
アメリカのカーター政権時代に国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたブレジンスキー氏が、「アメリカが世界を支配する時代は終わった」と語りました。ファールス通信が伝えたところによりますと、ブレジンスキー氏は、世界覇権という概念は色あせていると強調し、「覇権は、もはや手に入れることができないものだ」と述べました。
ジョンズ・ホプキンス大学で演説を行ったブレジンスキー氏は、「冷戦終了後の13年にわたるアメリカの世界覇権は終結した」としました。
また、「アメリカはかつての影響力の大部分を失っており、アメリカ政府が少なくとも、今この演説を聴いている人々が生きている間に、世界の覇権大国として、権力を取り戻すことがないだろう」としました。
さらに、「アメリカは、いつにもまして、複雑化している現代世界に歩み寄り、アメリカが例外的な存在であるという考え方を改める必要がある」と強調しました。
(引用終わり)
ロシアが世界の石油、天然ガス生産のトップに立ったようである。以下。*ロシアの声より
2014年 2月23日
「新記録を打ち立てるロシア産石油とガス」
先週は、ロシアの石油セクターに関するニュースが豊富だった。ロシアは石油の埋蔵量で世界一になる可能性があるほか、ロシアのエネルギー大手ガスプロムは、欧州向けのガス輸出量で新記録を打ちたて、石油パイプライン会社トランスネフチには、2020年までに2兆ルーブル(約50億7000万円)の開発資金が拠出されるという。
ロシアは世界一の石油産油国だが、さらに石油の埋蔵量でも世界一になる可能性がある。ロシアは現在、石油の埋蔵量で世界の上位3カ国に入っている。ロシアでは来年にも、非在来型資源の埋蔵量に関する調査が始まる。そのために予算から毎年数十億ルーブルが割り当てられ、来年は150億ルーブル(約40億3000万円)が拠出される見込み。
埋蔵地の調査は主に、東シベリアおよび西シベリアのすでに開発されている産地の近くで実施される。中心となるのは、バジェノフ層と呼ばれるシェール層の開発だ。これは西シベリアの深さ2キロ以上の地点で発見された貯留層。バジェノフ層シェールオイルの埋蔵量は、ロシアの現埋蔵量の約半分に相当する300億トンから400億トンとみられている。エネルギー・ファイナンス研究所のアレクセイ・グロモフ氏は、次のようにコメントしている。
「すでに開発されている産地に新たな採鉱層がある。それは、深い地層から石油を採取するための商業的に実現可能な技術がなかったため、確認埋蔵量には含まれていなかったバジェノフ層だ。だがロシアには今、バジェノフ層と呼ばれる採取が難しい産地を開発し、石油の生産を高め、資源基盤を強化するための可能性がある。」
ロシアは、石油の埋蔵量で世界1位になる可能性があるが、ガスの輸出量ではすでに世界一だ。ガスプロムは、新たな記録を打ち立てた。ガスプロムのトルコを含む欧州向けの輸出量が、1615億立方メートルとなったのだ。これは同市場のおよそ3分の一にあたる。2011年、同市場でガスプロムが占める割合は27パーセントだった。そして、2012年には輸出量が減少した。だが昨年半ば、当時欧州の主要なガス輸出国だったカタールの液化燃料がほぼ全て日本へ「流れた」。これにより、ガスプロムの状況は有利な方向へ変わった。
また先週伝えられたところによると、ガスプロムは、アフリカの有望な鉱区の探査および開発のための国際入札に参加する。これにより、欧州向けのガス輸出量が増加する可能性もある。入札には、欧州や米国の大手石油・ガス会社も多数参加するが、一連のアナリストたちは、権益を取得する可能性が最も高いのはガスプロムだとの見方を示している。
ロシアは西側だけでなく、アジアへの石油およびガスの輸出量も増加する意向だ。東シベリア・太平洋石油パイプラインの輸送能力は、2020年までに年間8000万トンになる計画。これはトランスネフチの投資プログラムに含まれている。このプログラムを実現するため、予算からトランスネフチに2兆ルーブル(約5兆7000億円)が拠出される予定。
(引用終わり)
次に紹介するのは、元外交官原田武夫氏の興味深い分析だ。彼は、ここで、今回のウクライナ政変は4年前に計画されていたものだと明言している。少々長いがいい分析なので我慢して読んでいただきたい。以下。「ウクライナ危機の真相「核利権」の闇とユーロ暴落というシナリオ」
原田武夫
再び激化し始めたウクライナ情勢を読み解く「3つの本当のカギ」
今、ウクライナ情勢が再び急激に悪化している。23日(キエフ時間)、ウクライナの国会である「最高会議」はヤヌコヴィッチ大統領の罷免を決議した。同大統領はロシアへと出国しようとしたが、当局によって阻まれたという情報もある。
そもそもウクライナではここに来て反体制デモに対し、治安当局が発砲し、事実上の「内戦」が勃発。既に60名以上の死者が発生している。いわゆる「途上国」において政変が発生し、「内戦」になるというのであればまだしも、ウクライナは旧ソ連の構成国であり、かつ欧州にも隣接した大国である。それが「内戦」「体制崩壊」にまで陥ってしまったというのであるから尋常ではないのだ。
もっとも我が国に暮らす私たちにとって、「ウクライナ」がやや遠い存在であることも率直に言うと事実である。隣国であるロシアならまだしも、「ウクライナ」と聞くと首都キエフの名前や名物の「キエフ・カツ」を思い起こすのがせいぜいという方も多いのではないのだろうか。そのため、一体なぜ今、よりによって「ウクライナ」で”激しい内戦”なのか、全くもって理解出来ないと感じている方も大勢いるのではないかと思う。
混迷を続けるウクライナ情勢。その真相を知るカギは全部で3つある。
ウクライナが核利権の本拠地であったということ」「耐えざる軍需の創出が米欧における至上命題であること」そして「ウクライナにおける”発火”が欧州においてユーロ危機を招くこと」の3つだ。
「ウクライナ核利権」という巨大な闇
旧ソ連時代、ウクライナは核開発の本拠地であった。その中心となっていたのが現在
も存続している「キエフ原子力研究所(KievInstituteforNuclearResearch)」だ。http://www.kinr.kiev.ua/index_en.html
ウクライナと原子力・核というと、一般に「旧ソ連時代に核兵器を大量に配備された国の一つ」ということばかりが語られることが多い。(参考資料:「ウクライナの核廃絶」
http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/68/68-1.pdf)1991年12月1日に「独立宣言」を行ったウクライナはその後、1994年1月14日に米ロの両大国と共に「三カ国宣言」を発表し、核兵器の廃棄を行っていく意向を明らかにした。米国からは資金援助すら行われて進められたこうした「核廃棄」により、ウクライナの核問題はあたかも終わってしまったかのように考えられがちである。
だが、これは大きな誤りなのである。米欧のインテリジェンス機関における「常識」
をまとめて書くならばこうなる:
●「ウクライナの核問題」における本当の焦点は廃絶されている「核兵器」そのものではなく、旧ソ連時代から延々と続けけられてきたその研究を担う研究者たちという”人財”の存在である。これを米ロで奪い合っているというのが隠された実態なのである
●外側から見るとそうした実態が見えないのは、ウクライナには2つのグループから成るいわゆる「マフィア」が存在しており、このマフィア同士の抗争と米ロ間の「核研究人財の奪い合い」が連動しているからである
●更に事態を不透明にしているのは、この地域において米国のインテリジェンス機関 の委託を受けて動いているのがドイツの「CIA」に相当する「連邦諜報庁(BND)」であるという事実である。秘密の作戦行動である非公然活動(covert action)を行っているのは基本的にドイツなのであって、米国そのものではないことに留意する必要がある
確かに表向きは「ロシアのプーチン政権から支持され、強権政治を続けるヤヌコヴィッチ政権」と「これに対して市民の自由を掲げ、抵抗するウクライナ国民たち」という構図がマスメディアによって描かれてはいる。だが、真相は「核利権の奪い合い」なのであって、これが決着しない限り、ウクライナは今後とも繰り返し「内戦」に陥る構造を抱え続けるというわけなのだ。
実は2010年に「ウクライナ内戦」で合意していた米英独
ウクライナ情勢の緊迫が続く中、俄かに注目を集め始めた米国の研究機関の手によるシナリオがある。2010年にニューヨーク大学グローバル・アフェアーズ・センターが行った「2020年のウクライナ(Ukraine2020)」
https://www.scps.nyu.edu/export/sites/scps/pdf/global-affairs/ukraine-2020-scenarios.pdffである。なぜこのシナリオが注目されているのかというと、今回の「内戦」が始まる4年前に執筆されたものでありながら、そこには概要次のような三つの展開可能性がウクライナについて書いてあったからだ:
《シナリオ1》
●ヤヌコヴィッチ政権は権威主義的な統治を試みるがこれに失敗。経済立て直しを求める反体制派による動きが強まる中、ついに同政権は崩壊し、地方の政治リーダーたちもヤヌコヴィッチ大統領から距離を置く
《シナリオ2》
●経済危機の中、ヤヌコヴィッチ政権に対する反体制派が糾合し、これに大企業家たちが加わることで、改革志向の新しい政権が樹立されるに至る
《シナリオ3》
●ヤヌコヴィッチ大統領は反体制派が未だ弱体であることを理由に戦略的な権威主義体制の構築に成功。エリートたちの指示を得る中、10年近くにわたって政権を維持することに成功する
そしてこの「未来のウクライナに関するシナリオ作成プロジェクト」には、中心となったニューヨーク大学、すなわち「米国」のみならず、英国の王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)や、ドイツの政権与党であるキリスト教民主党(CDU)の政治財団である「コンラート・アデナウアー研究所」が、ウクライナ人研究者と並んで出席していたのである。つまり米国だけではなく、英国、そしてドイツは実に4年前の段階で「ウクライナのヤヌコヴィッチ政権を崩壊させるというシナリオ」について合意していたというわけなのだ。
「そこまで言うのは大袈裟なのではないか。単にウクライナ研究者たちが寄り集い、”あり得べき可能性”を議論し、ペーパーにまとめたに過ぎないはずだ」
もし仮にそう思われたとすれば、「米欧のインテリジェンス機関における常識」を学び直した方が良い。なぜならばこれらシンクタンクはいずれも各国の政府、さらにはその諜報機関(インテリジェンス機関)と連動した動きをしているのであって、正にここで「米英独合意」が実質的に持たれた上でその後、一連のストーリーが実行に移されたと見るべきだからだ。
一方、このシナリオ作成プロジェクトにロシアは参画していない。だがこのシナリオが公表された段階でロシア側も米英独のそうした”意向”を感じ取っていたことは間違いない。そのため、現在進行形である「ウクライナ内戦」については自らに対する米英独からの密やかな圧力であることを前提に、ロシア側も防戦に入ると共に、それ以外の局面で反撃に出ていると見るべきなのである。
2008年夏のロシア・グルジア戦争における「ユーロ暴落」を思い起こす
もっとも、「ウクライナ崩壊シナリオ」の実現は単に米欧とロシアとのパワー・バランスの再調整のためであると考えてしまうのは早計だ。なぜならば「内戦」の長期化とヤヌコヴィッチ政権の崩壊は、他ならぬ米欧、特に欧州各国にとっては経済的に大打撃となる危険性を孕んでいるからである。
2008年秋に発生したリーマン・ショックにより大いに動揺したのが中東欧に位置するエマージング・マーケット各国であった。これに対処するため、欧州各国の銀行は欧州復興開発銀行(EBRD)や国際通貨基金(IMF)と共に「ウィーン・イニシアティヴ」http://vienna-initiative.com/と呼ばれる支援プログラムを開始。その後、明らかに足りなかった第一弾を補うものとして第二弾が開始され、これに2012年7月9日からウクライナもあらためて参加する旨、その中央銀行が発表した経緯http://www.bank.gov.ua/control/en/publish/article?art_id=117542があるのである。
(円ユーロ・レートの推移(過去10年間))
確かに目先では米欧にとって第1のターゲットであるロシアの通貨「ルーブル」の対ユーロ・レートが今回のウクライナ危機を踏まえて崩落し始めており、http://www.telegraph.co.uk/finance/financialcrisis/10652767/Financial-crisis-threatens-Russia-as-Ukraine-spins-out-of-control.html「対ロシア作戦」という色彩が強い感は否めない。だが、仮にウィーン・イニシアティヴによって大量の資金供与をとりわけ欧州側から行われたウクライナがその返済もままならないという状況になるのだとすれば、その影響はウィーン・イニシアティヴに参加するそれ以外の中東欧各国にも及び、「経済不安をバックにした体制変動の危険性」が叫ばれる中、ただでさえ信用不安への警告が出されたばかりのその情勢が一気に悪化する危険性があるのだ。
その結果、ユーロの為替レートは「ウクライナ内戦の激化」を直接的な理由として大暴落に陥ることになる。2008年秋に発生したリーマン・ショックの直前に開戦となったロシア・グルジア戦争の際、戦闘行為に直接は巻き込まれなかった欧州の共通通貨「ユーロ」がなぜか大暴落したことを考えれば、これから起き得ることは自ずから、明らかであるというべきなのだ。
いよいよ行き詰まる金融資本主義と米欧ロの真意
もっともこの様に劇的な展開を見せる中、ロシアが「防戦」一方であると考えるべきではない。確かに表向きは上述のとおり、そうした装いが続くはずだが、米欧のみならず、ロシアにとっても「ウクライナ内戦の激化」は軍需を高め、軍事関連産業を潤わせることは間違いないのである。つまり、金融メルトダウンがいよいよ究極の段階を迎えつつある中、”餌食”にされたウクライナを尻目に米欧、そしてそれと密やかに連携しているロシアはシリアに続き、この「内戦」を用いた景気復興策を何とか行おうと躍起になっているというべきなのである。
「異次元緩和」を柱とするアベノミクスによって強烈なインフレ誘導を行うわが国とは異なり、日に日に「デフレ縮小化」へと進む中、何とかそこから脱却しようともがき始めた米欧、そしてロシア。その「最後のあがき」が果たしていかなる影響を私たち日本人に及ぼすことになるのかを、引き続き注目していく必要がある。
(引用終わり)
オリンピックが終わった直後のプーチンも動きは迅速だった。以下。NHK 3月3日 23時44分
「ロシア軍 クリミア半島を事実上掌握」
ウクライナ情勢を巡って、南部のクリミア半島を現地に駐留するロシア軍がロシア寄りの地元政府と共に事実上、掌握する事態となり、欧米側はロシアに対する非難を強め、ロシアとの対立が深まっています。ウクライナ情勢を巡って、ロシア系住民が多い南部のクリミア自治共和国ではロシア軍の部隊が駐留地の外での活動を活発化させ、ウクライナ軍の施設を包囲しているほか、ロシア寄りの地元政府と共に行政府や空港などの主要施設を管理下に置き、現地を事実上、掌握する事態となっています。
2日にはウクライナ海軍の司令官がロシア海軍の黒海艦隊が基地を置く、セバストポリでロシア側につくと発表したほか、ロシア寄りの地元政府はロシア側に忠誠を誓ったウクライナ軍の軍人が5000人に達したとして、ウクライナ軍に離反の動きが相次いでいるとしています。
また、暫定政権の警備当局者は3日、クリミア半島東部のケルチ海峡を挟んだロシア側で、ロシア軍の装甲車がフェリー港の近くに集まっていることを明らかにし、情勢はさらに緊迫しています。
こうしたなか、欧米や日本などG7=先進7か国の首脳らは2日声明を発表し、「ロシアはウクライナの主権や領土の保全を明確に侵害している」と非難し、ロシアのソチで予定されているG8サミットの準備会合への参加を中止すると発表しました。
一方、プーチン大統領は2日、ドイツのメルケル首相との電話会談で「ロシアがとっている対応はまったく適切なものだ」と述べて正当性を主張し、欧米側とロシアの対立が深まっています。
(引用終わり)
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