いよいよ21世紀の大変な10年間が始まる。この2010年からの10年間でほとんどの常識、パラダイムが大きく変わっていくことになると思われる。そのために我々はこれから臥薪嘗胆の時を過ごさなければならないだろう。

ところで、鳩山由紀夫首相が書店に小生の尊敬する松岡正剛氏を伴って本を買い求めに行ったそうである。 松岡氏のような人にアドバイスを受けて本を買うことができるとは、何とも贅沢なことである。

やはり、松岡氏が鳩山氏に薦めた本の中で注目すべきはジャック・アタリの「21世紀の歴史」であろう。

この本の中でジャック・アタリ氏は「果たして日本は生き残れるのか」という日本語版序文を寄せている。そして、日本が20世紀後半に世界の中心勢力になる可能性があったにもかかわらず、そうならなかった理由として次の三つを上げている。



一つは既存の産業・不動産から生じる超過利得、そして官僚周辺の利益を過剰に保護してきたこと、そのために将来性のある産業・企業の収益・利益・機動力・イノベーション、人間工学に関する産業を犠牲にしてきた。特に情報工学の分野ではアメリカのシリコンバレーにリーダーシップの座を日米構造協議等によって譲ってしまったこと。

二つ目に海運業や海上軍事力などの海上での類まれな能力を有しながら、日本は海上を掌握することができなかった=米国依存・米国支配から抜け出せなかったこと。また、日本はアジアにおいて平和的で信頼感にあふれた一体間のある友好地域を作り出すことができなかった=戦後を終わらせることができていないこと。さらに日本は港湾や金融市場の整備・開発を怠ってきた=国際基準の港や空港を作ってこなかったこと。 もし、日本に発展した港湾や金融市場が存在していれば、アジアと太平洋地域の中継点として日本は世界の「中心都市」になることができただろう。(もちろん、今もその可能性は残っているが、)

三番目として、日本はこれまでに十分な<クリエーター>階級(創造者階級=経営者、文化人、行政マン、ソフト開発者等の才気溢れる人々)を育成してこなかった。また、彼らを外国から迎え入れることもしなかった。アイデア、投資、外国からの人材を幅広く受け入れることなくして、世界の「中心都市」になることはできないとアタリは指摘している。

であるならば、日本がそのような道を歩めなかった大きな理由は何処にあるのだろうか。

奇跡と言われた戦後日本の経済復興は冷戦というきわめて特殊な環境下で、米国が日本の経済復興を演出する必要があったことでもたらされた。もちろん、山本七平氏が指摘するように日本人にそれだけの高い素養があったから可能になったことは言うまでもない。しかし、冷戦終了後、経済大国としての果実は、プラザ合意以降、育ての親は自分だと言うことで巧みに米国に収奪されることとなった。そのために世界一の債権大国の国民はその実感をほとんど味わうこともなかったのである。それ以外にも、キャッチアップには有効に機能した官僚をシンクタンクとする政治経済システム=戦後、自民党によって作られた政治システムは、その後(1980年半ば以降)は当然のごとく、全く有効に機能しなくなり、排他的な官僚の特権階級制度のみが修復され続けることになってしまったのである。その意味で、昨年(2009年)の総選挙で自民党が惨敗したのは、現在の民主党が未成熟・混成政党とは言え、時代の必然だったのである。

その意味で、小沢一郎氏が清廉潔白な政治家だとは思わないが、この1月から起きた特捜部とマスコミが一体となった予算審議を放棄した小沢追放運動は、あまりにも不毛であった。(おそらく、これについては、後で詳述するが、日本を自立させたくない米国の策謀であろう。)本年の秋には商業不動産に端を発する米国の第二次金融危機も考えられる中、本当にこの予算編成でいいのか、なぜ44兆円の国際発行枠に拘るのか。日本の国会やマスコミで本質的な議論がされないのはあまりにも情けないと言えよう。ほとんど経済成長が考えられない、計算できない2010年の予算案だということを報道しているマスコミ人は本当に理解しているのだろうか。自民党の麻生政権が昨年、編成した予算規模はその後の補正と合計すれば、100兆円を超えていたのではないか。また、普天間基地の問題も米軍の総合戦略がどうなっているか、なぜ、マスコミは報道しないのだろうか。もちろん、日本人が、戦後60年以上にわたって外国軍が駐留している異常さにこれほど鈍感になっていることの責任の一端は米国にコントロールされたマスコミにあることは言うまでもない。現在、米軍がイラクやアフガニスタンに軍隊を展開できているのは日本に基地があるからに他ならない。しっかりした兵站機能、ハイテク兵器まで修理し得る高度な科学技術力、優秀な労働力、豊富な資金を提供する日本の基地があって初めて可能になることなのである。 ちなみに第一次湾岸戦争の時に日本から10万㌧以上の物資が輸送されたということである。なぜ、こういったことをマスコミは、国民に知らせようとしないのだろうか。米軍の対外戦略において一番の貢献をしている国は、ダントツに日本である。(「安保ただ乗り論」など言っている評論家は馬鹿か、米国からお金を貰っている売国奴であることをそろそろ国民も認識すべきであろう)もっともこれは、歴史を考えてみれば、当たり前の話なのである。アメリカはそのために日露戦争後にワープランオレンンジWar Plan Orangeを作成し、日本を占領したのだから。このことですら、現在の日本人はほとんど知らないのではないか。マスコミの意図的な怠慢である。

著名な評論家、江藤 淳氏が戦後指摘したように我々日本人は日本のマスコミ作り出す「閉ざされた言語空間」の中にいまだに閉じ込まれているのである。

ところで、「21世紀の歴史」という本について一言解説しておこう。

この本でアタリが予想しているのは、下記の表に書かれているようなことである。米国の一極支配構造が終焉し、世界が多極化するなかで、国家の枠が緩くなり、地球規模の企業が、彼は世界規模の保険会社といっているのだが、そう言った企業が人々を監視する体制=世界システムができるのではないかと予想している。彼はその状態を「超帝国」の時代と呼んでいる。そしてその時代は、超紛争の時代でもあるとも彼は考えているのである。「ノマド」とは定住民の反対の遊牧民のことである。超ノマドとは、エリートビジネスマン、学者、芸術家、スポーツマン等の国境を越える活動をする人々のことを言っている。半世紀後、調和重視の共生に基づいた超民主主義の時代が訪れることをアタリは想像する。市場は片隅に追いやられ、利己主義から愛他主義の時代へとパラダイムシフトすると彼は予想するのである。




興味深いのは、多くの世界の知識人と同様に米国の衰退を予想し、多極化の中で、紛争が多発し、国家の枠が緩くなると予想しているところであろう。小生は、彼が予想するよりもっと早く現在の世界システムは変貌すると考えている。なぜなら、時代の変化には不思議な加速力が作用しているように思われるからだ。その激変の時代の幕開けが2010年なのである。

本年起きる可能性があること=予想されることを列記してみよう。

・今秋以降、商業不動産危機に端を発する第二次金融危機が米国で起こる

・オバマ政権の基盤が弱くなり、米国は、戦争ビジネスの拡大を模索することになる

・上海万博終了後、胡錦濤一派と江沢民一派の権力闘争が激化し、中国の政治状況が 緊迫し、権力闘争が表面化する

・イランとイスラエル・米軍の間で軍事衝突が起きる。もしくは、なぜか、イランで 大地震が発生し、現政権が交代せざる得なくなる。

・上記の金融危機により経済政策失敗の世論が形成され、オバマ辞任の流れが米国政 治のなかにできてくる。 ヒラリー・クリントンの存在感が今までにまして大きなものになる

・参議院選挙で自民党が敗北し、残念ながら、自民党は解党過程に入り、政界再編の 始まりを告げる

・日本国内においてもいままでは表に出なかった新事実が明るみに出てくるようにな る、昨年から動きのある沖縄返還にまつわる密約や、戦後政治の隠蔽してきた事実、 例えば、自民党がCIAから政治資金の提供受けていたというようなこと

文字通り激動の一年になるのではないかと思われる。

それでは、上記に述べた小沢氏不起訴の真相を考えてみよう。小沢不起訴検討の段階で手打ちが行われたポイントとなったのが、おそらく、事前に行われた小沢とキャンベル米国務次官補、ルース駐日大使との会談であっただろう。

そのキャンベル氏が真相の一部を明かしている。

民主党訪米団の派遣要請=小沢氏に米国務次官補

キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は4日、民主党の小沢一郎幹事長と2日に会談した際、同党で大規模な訪米団を編成し、5月の大型連休中にワシントンを訪れるよう要請したと明らかにした。キャンベル氏は小沢氏の回答については言及を避けたが、「小沢氏の都合もつけば、彼や他の党幹部を大いに歓迎したい」と述べ、小沢氏の訪米に期待を表明した。

日韓両国訪問から帰国後、ワシントン郊外のダレス空港で記者団に語った。

キャンベル氏によると、会談で同氏は「政府関係者だけでなく、より多くの与党議員と強固な関係を築きたい」と述べ、訪米団の規模はできるだけ大きくするよう要望。訪米が実現すれば、オバマ政権の対日政策などについて説明し、理解を求めたいとの意向を伝えた。

小沢氏をめぐっては、昨年12月に民主党議員約140人を率いて訪中したことが、米側の警戒感を招いた経緯がある。一方、キャンベル氏によれば、小沢氏は会談で米軍普天間飛行場移設問題に関し、「政策決定には関与していない」として、政府間協議を見守る考えを表明。また、日米関係は「日本外交の中心」との認識も示したという。【時事通信】

お分かりだろう。

米国にとって政権のキャスティングボードを握る小沢に訪米させることで日本政府をコントロールするパイプを太くしたかったわけである。もちろん、苫米地英人氏が指摘するように借金大国アメリカの国債を郵便資金で買わせる思惑もあったに違いない。

そのために小沢氏を追いつめ、妥協させるために東京地検を使い、圧力をかけたのである。そして、記事からも明らかなように昨年12月の小沢率いる訪中団がことさら米国の肝を冷やしたことが伺え、米国の真の狙いは対中政策であることがわかる。

中国寄りの民主政権を米国側に引っ張り戻そうとする、いわば”綱引き”が行われているということだ。最近の米国の対中政策が強硬路線になってきたのは、危機感の裏返しであり、今後も米国は日本に対し脅しと透かし、妥協を迫る外交戦術を採ってくると考えられるが、米中間の狭間で、日本は双方からの利益を引き出せる立場にあるとも言えよう。バッシングにひるむことなく、むしろ仕掛けていくぐらいの狡猾さをもって立ち回っていくことが、今後、国際政治上で日本が生き延びていく一つの手法でもあるだろう。そんな離れ業ができる政治家が日本に存在しているのかどうかは疑問ではあるが。

<参考資料>

苫米地英人氏のブログより

2010年02月04日

ゆうちょ銀の預金、米国債購入へ、

~時限爆弾に火がついた。ゆうちょ銀の資金、米国債で運用も 亀井大臣が見解~

今日のトップニュースはもちろん、小沢幹事長不起訴のニュースだが、合わせてまるで取引するかのように流れた「ゆうちょ銀行の180兆円の資金運用を米国債でする」という亀井静香金融・郵政改革相の発言は、要ウォッチ対象だ。『洗脳支配』でも書いたが、ゆうちょ銀行の預金資金で米国債を買うというのは、小泉政権時代に行われた郵政民営化の最大の目的であったが、これが実現するとなると、郵政民営化関連法案をどう見直そうと、小泉・ブッシュ時代の郵政民営化に仕掛けられた時限爆弾「郵貯預金の米国行き」が確定することになる。

田中角栄時代から米国中枢部に目をつけられていた小沢幹事長の不起訴が、検察があれだけ動きながらも唐突に確定したことと、同時に郵貯資金の米国行きが決まったことは、関係ないと思えと言われても難しい。というより、元々どう考えても立件不能な案件で小沢幹事長と民主党を、大手メディアを総動員して追い詰めてきたこと自体が、これを狙っていたとしか私には見えない。亀井大臣にしても本心で言いたくて言っていることではないだろう。

ゆうちょ銀の資金が米国債で運営されるということは、郵便貯金することが、米国政府に税金を払っていると同等なことであることは、丁度二年前の2月に書いた「洗脳支配で解説している」。というか、私の二年前の予想通りになった。時限爆弾の導火線に火がついた。

森永卓郎氏のブログより

2010年度予算策定で、「米国が圧力を掛けた」と思われる「これだけの理由」

経済アナリスト 森永卓郎

2010年 1月19日

1月18日、いよいよ通常国会が召集された。民主党の小沢一郎幹事長の元秘書である石川知裕・衆議院議員ら3人が逮捕されたことで、メディアは小沢報道一色となり、国会の論戦も当分は「政治とカネ」に終始することだろう。

だが、その間にも国民はデフレ不況に苦しみ、景気は二番底に向かう恐れが十分にある。景気対策を怠っているとしか思えない2010年度予算について、民主党政権の閣僚からその本音を聞きたかったのだが、どうもそれは後回しになりそうである。

前回書いたように、補正を含めた2009年度予算の規模が102兆円であったのに対して、2010度予算の政府原案は92兆円になった。そのために、民主党のマニフェストの重要事項であるガソリン等の暫定税率廃止、高速道路の無料化も大幅に後退したのである。私は、なぜ縮小予算になり、なぜマニフェストの重要項目を放棄しなければならなかったのか、その説明をぜひとも鳩山総理にしてほしかった。

というのも、考えれば考えるほど、その理由が分からないからだ。

もしかすると、2010年度予算の策定に当たっては、背後に大きな力が働いていたのではないか。私はそう思うようになったのである。

「国債発行額44兆円」の縛りでマニフェストの実現が困難に

前回の内容と重複するが、2010年度予算案と民主党マニフェストの関係を説明しておこう。暫定税率廃止、高速道路無料化を原案通りに実現するには、予算をあと25000億円上積みするだけでよかった。少ない金額ではないが、埋蔵金を活用したり、国債を増発したりすれば十分まかなえたのである。それをしなかった原因はただ一つ。国債の発行額に44兆円という上限を定めたからだ。税収はすぐに増やすわけにはいかないので、国債発行額の上限が決まったことで、自動的に歳出の上限は決まってしまった。

44兆円という金額は、民主党の議員によれば「国債市場が吸収し得るギリギリの線」というのが表向きの理由だが、政権発足直後の民主党にそうした具体的な線が引けるはずがない。

知恵を出したのは、間違いなく財務官僚だ。

事業仕分けにおいても、脱官僚のために民主党が財務省の力を借りた、という見方がもっぱらだった。確かにそうした面は否めない。民主党が財務省に借りをつくったために、2010年度予算策定に当たっては、財政健全化を目指す財務省の言いなりになった、というストーリーには説得力がある。

民主党は「脱官僚依存」のために「財務省依存」を選んだ

毎日新聞では、2010年の元日に「ガバナンス・国を動かす」という大特集を組んだ。その後も連載が続けられているが、元日に掲載された「第1部・政と官 消えた急進改革人事」と題した記事に、興味深い内容が書かれていた。それによると、民主党政権成立直後、仙石由人・行政刷新担当大臣らが中心となって、経済産業省から政府の国家公務員制度改革推進本部に出向していた古賀茂明氏を「霞が関つぶし」の中心人物に充てようとしていたという。

ところが、そのアイデア自体がつぶされてしまった。民主党ブレーンとされる人物は、次のように語っている。

「政権を取ったらすぐに予算編成に取り組まなければならないから、鳩山首相の側近、平野博文官房長官や松井孝治副長官らが『いきなり全面戦争はきつい』と判断したと思う。農林水産省や国土交通省、厚生労働省といった事業官庁に切り込むためにも、財務省とその他を分けて分割統治をしたんです」

つまり、民主党は「脱官僚依存」を進めるために、「財務省依存」を選んだというのが毎日新聞の結論であった。実は、私がシンクタンクに在籍していた時に、この松井氏も古賀氏もお客さんとしてよく見知っている。お二人とも、いかにもこの記事の通りの人物なのである。その人物像を踏まえたうえで、この毎日新聞の記事は恐らく正しいと思う。

問題は、財務省依存が正しいのかどうかであるが、私はいいとは思わない。ただ、財務省に依存して脱官僚を進めた借りがあるから、財務省の言いなりに44兆円の枠がはめられたというだけでは、やや理由が弱い。果たして、それだけで民主党が金科玉条としていたマニフェストの看板を下ろすだろうか。

私は、財務省以外にも民主党に圧力をかけた勢力があるのではないかと見ている。

徐々に発言が米国寄りになってきた鳩山総理

では、2010度予算策定に当たって、民主党に圧力をかけたのは誰か。それは米国政府ではないか。確たる証拠はもちろんないのだが、さまざまな状況証拠から見て、米国が何らかの圧力をかけたと考えると、うまく説明がつくのだ。

その第一のヒントは、2010年度予算の防衛費の伸びである。公共事業費が前年度比18%も削られるという緊縮予算の中で、防衛費は0.3%増えている。

また、普天間基地の問題に対する鳩山総理の発言も、微妙に変化をしているのが目を引く。もともと「常駐なき日米同盟」を主張していた鳩山総理は、選挙前から「沖縄県民への配慮」を前面に打ち出していた。それが、1月4日の年頭会見になると、「沖縄県民の気持ちと日米同盟双方への配慮」という言葉で、米国に譲歩する姿勢を明確にした。果たして、米国政府から直接の圧力があったかどうかは分かりようがないが、対米配慮を明らかにしたことは間違いない。もちろん、これだけなら単なる想像の域を出ないが、もっと確度の高い状況証拠がある。

日本の大規模な財政出動でドル暴落のリスクが増す

米国政府の立場から考えてみよう。

米国から見て、日本にどういう予算を組まれたら困るだろうか。米国にとって最も避けてほしいのは、日本が大規模な財政出動に踏み切ることだ。なぜなら、米国はリーマンショック以降、資金供給量を2.3倍にまで増やしているからである。ドル紙幣を刷りに刷って、市場をジャブジャブにしているから、現在のドルは非常に不安定な状況になっている。しかも、米国はゼロ金利政策をとっているから、資金がいつ米国から逃げ出しても不思議ではない。もし、ここで日本が大規模な財政出動のために国債をどんどん増発していったらどうなるか。国債価格が下落して金利が上昇する恐れがある。私はそうは思わないが、民主党が「参考にした」という市場関係者は「44兆円を超えると、その可能性が高くなる」と述べたそうだ。

果たして44兆円がデッドラインかどうかは別として、国債の発行額が増えれば、その分だけリスクが増大することは確かである。

では、国債価格が大幅に下落して金利が上がるとどうなるか。

米国はゼロ金利であるから日米の金利の差は開いていく。一方、リーマンショック以降の通貨供給量は、米国が2.3倍増であるのに対して、日本は6%しか増えていない。となると、結果は明らかだ。米国から日本に資金が移動してしまい、金融危機を克服できない米国のドルが暴落してしまうのだ。

だが、米国にとってドル暴落というシナリオだけは避けたい。だから、日本には大規模な財政出動をしてもらっては困る、というのが米国の立場なのだ。

民主党の政策は小泉内閣時代と似てきた

一方、2009年12月には、日本銀行がささやかながらも金融緩和に踏み切った。政府のデフレ宣言を受けて、重い腰を上げて10兆円分の資金供給を決断している。日銀が資金供給を増やす金融緩和は、少なくとも当面は、日本の金利を下げる効果を持つから、米ドル暴落につながる可能性が低い。同じ不況対策でも、これなら米国政府も安心である。日本の不況は深刻であるから、財政政策か金融政策をとらなくてはならないが、そのどちらがいいかと米国に尋ねれば、「金融政策にしろ」と言うはずである。少なくとも、私が米国の立場ならば、そう答えるに決まっている。

このようにして見ていくと、2009年末からこれまでの民主党政権の政策は、米国にとって好ましいほうへ好ましいほうへと流れていることが分かる。果たして有形の圧力があったのか、あるいはそれとない無形の圧力があったのかは知るすべがないものの、2010年度予算にも米国の影がちらついてならないのである。

そして、よくよく考えてみると、金融緩和、財政引き締め、防衛費拡大・聖域化というのは、小泉内閣の初期にとられた政策と全く同じではないか。

仮に景気が拡大に向かっても、財政引き締めを続ける限り、「格差拡大」と評された小泉内閣時代と経済情勢も似てくるのではないだろうか。

原田武夫氏のブログより

ハイチ巨大地震の犯人は地震兵器?

~不思議に“圧殺”される「地震兵器」論~

「正しいことははっきりと“正しい”と言い、間違っていることも同じくはっきりと“間違っている”と言う」をモットーに何者も恐れずに展開してきた我が言論活動だが、その間、気付いたことが一つある。それは、どうやら特定のテーマについて「それを言っては困る」という勢力が現実におり、発言をする私に対してあれやこれやと押さえ込みにかかるということだ。

そうした「特定のテーマ」の一つとしてここで取り上げたいのが“地震”である。より具体的に言うと次のような「事実」だ。――「地震は自然現象によるものだけではない。むしろ、第二次世界大戦後により一般的になったのは地震兵器によるものである。これはそれ以外の気象兵器とも並ぶものであり、あたかも自然現象を装いながら敵国に壊滅的なダメージを与えることを目的としたものだ。現在は米国勢がこれを世界各地で依然として行使している」。

以前、こうした議論を展開したところ、怖いくらいに数多くの“反応”があったことを今でもよく覚えている。「空想科学小説と事実を混同するな」といった声の数々が不思議と、とりわけインターネット経由で聞こえてくる。

私はインテリジェンス機関のルートでしか流布されない非公開情報をベースに議論をしていたのだが、あたかも「単なる思い込み」で喧伝しているものと勘違いされた向きが多かったようだ。しかしいずれにせよ言えることは、実に多くの日本人たちが「地震=自然現象に限る」と狂信的なまでに思い込まされているということなのであった。さもなければあの激烈なネット経由での“反論”はあり得ない。

ハイチ巨大地震は地震兵器によるものなのか?この様な視点からマーケットとそれを取り巻く国内外情勢を東京・国立市にある我が研究所でウォッチしていると、一つの気になる情報が飛び込んできた。去る1月上旬にハイチで発生した巨大地震につき、フランス勢が突如として「これは米国勢が“地震兵器”を用いて発生したものだ」と叫び始めたのである(1月26日付フランス・ヴォルテールネット参照)。しかも、フランスのテレビ局(チャンネル5)が2005年に放映した「証拠映像」まで掲載している周到さなので驚いた。http://www.voltairenet.org/article163729.html

実は「ハイチ巨大地震は米国勢の地震兵器によるものだ」と叫び始めたのは、何もフランス勢だけではない。うるさ型の反米主義者で知られるチャヴェス・ヴェネズエラ大統領もその一人であり、「この地震はテストに過ぎない。米国勢が本当に狙っているのはイランにおける大地震だ」とまで詳細に予測しているのである(1月21日付米国フォックス・ニュース参照)。日本の大手メディアはこうした議論の渦を一切キャリーしてはいない。例によって例の如くといった感じが拭えないわけであるが、 今後の展開いかでは米国勢が国際社会に対してその真偽について立証せざるを得ない状況に追い込まれる可能性すらあるだろう。米国勢は今、対イラン制裁を強化し始めている。「言うことを聞かない」と米国勢が叫ぶ中、チャヴェス大統領の“予測”どおり、イランで大地震が発生するならば、米国勢は真っ先に容疑者として追及されることは間違いないからである。

ちなみに「地震兵器」は「気象兵器」と同じく、国際法上でその使用が禁止されている。「環境操作技術の軍事およびいかなる敵対的使用の禁止に関する条約」が1976年に結ばれているからだ。米国勢は、当時のソ連勢と並んでこれに批准している。

したがって、仮にこれを米国勢が破って使用していたということになると、国際社会では大スキャンダルになる。そうであればなおのこと、これを“隠したがる”のは当然だろう。「地震兵器」の存在を漂わせただけで、様々な角度から激した“反論”がどういうわけか聞こえてくるのは、米国勢による圧倒的な対日世論操作の下に依然として置かれている日本であれば、当たり前のことなのかもしれない。だが米国勢はこれから来る11月に連邦議会中間選挙を控えている。いわば「何でもアリ」の情勢となってくる内政状況の中で、これまでフタをしていたさまざまな“不都合な真実”が明るみに出る可能性は十二分にある。

それにしても、である。「そう、私たちには出来る(Yes, we can!)」と絶叫して最高権力の座に就いたオバマ大統領は、一体何事について“出来た”というのであろうか。金融メルトダウンの中、これに対処すべく需要を喚起するため、尊い人命を落とさせる手段を容赦なく行使する米国勢。彼らに未来などあるはずもない…そのまま変わらない(no change)のであれば。

*森永卓郎プロフィール

東京大学経済学部経済学科卒業['80]

日本専売公社入社 管理調整本部主計課配属['80]

日本経済研究センター(出向) 予測研究員['82~'83]

日本専売公社渋谷営業所['83~'84]

経済企画庁総合計画局(出向)['84~'86]

労働力及び人的能力担当計画官付委嘱調査員

日本たばこ産業(株)製造本部製造企画課['86]

三井情報開発株式会社総合研究所(出向)研究員['86~'88]

三井情報開発株式会社総合研究所入社 副主任研究員['88]

(株)三和総合研究所入社

研究開発部副主任研究員['91~'92]

研究開発部主任研究員['92~'93]

研究開発第3部(経済・産業・社会政策)主任研究員['93~]

経済・社会政策室 室長兼主任研究員['97~]

経済・社会政策室 室長兼主席研究員['98~]

経済・社会政策部 部長兼主席研究員['00~]

(株)UFJ総合研究所

経済・社会政策部 部長兼主席研究員['02~]

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究員['05年4月~'07年3月]

獨協大学 経済学部教授['06年4月~現職]

*苫米地英人プロフィール

脳機能学者・計算言語学者・計算機科学者・離散数理学者・認知心理学者・分析哲学者

ドクター苫米地ワークス代表、コグニティブリサーチラボCEO、角川春樹事務所顧問

南開大学(中国)客座教授、カーネギーメロン大学コンサルタント・CyLab兼任フェロー

学位:カーネギーメロン大学博士(Ph.D.)

*原田武夫プロフィール

1971年生まれ。1993年東京大学法学部を中退し、外務省入省。

経済局国際機関第2課、ドイツでの在外研修、在ドイツ日本国大使館、大臣官房総務課などを経て、 アジア大洋州局北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を務める。

2005年3月末をもって自主退職。

現在、原田武夫国際戦略情報研究所代表。

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