先日、お送りしました緊急レポート:中川昭一元財務大臣の変死について、月刊テーミス11月号に前回のレポートを補強する記事が掲載されました。

これだけのメディアにこうした記事が掲載されたことの意味も本当は考える必要があるわけですが、(その件はまた、後日レポートで分析しますので、)取りあえず、現在の日本の政治状況を考える上でも、極めて重要な内容だと思いますので、是非、ご一読下さい。

たとえば、日本の財政赤字を日本の財務省、マスコミはここ数年来、騒いでいますが、米国はこの記事に書かれているように、裏では日本に平気で100兆円の米国債購入を求めてきているわけです。要するに米国政府は、日本のことを「金のなる木」=金持ちだと認識しているわけです。しかるに日本人全体の生活実感は、おそらくこの数年來、全くよくなっていないと思われます。日本という国は、国民の生活を犠牲にしても米国を助けないと生きていけないとほとんどの日本のエリートは信じこんでいるのです。

その結果、現在、補正予算を3兆円削ったとか、もっと削れるとかいう日本国内向けの馬鹿な報道が一般大衆向けにされているわけです。しかしながら、そろそろその裏でこんなことが行われていることをもっと多くの日本人は知るべき時代がきたと思われます。                                 

(以下引用)

2009年テーミス11月号より

CIA関与の噂が、中川昭一元財務金融相「変死」にちらつく米国の影

~G20でブッシュに恥をかかせ、米国債の購入要請を値切り、

日本核武装にも言及したが、~

兄貴分の亀井大臣も号泣

「日本が危ないから」この言葉を残して「隠れ反米派」の保守政治家、中川昭一氏は死出の旅に出た。しかし、その死には不審な点が余りに多い。日本の警察の鑑識でも死因は特定できなかった。酒に酔い抗鬱剤を飲んだという傍証があるだけで、真因は誰も明らかにできていない。ある公安関係者は、世界の公安の常識をこう語る。「重要人物の死亡について警察当局による死因不特定という発表があれば、それは暗殺の可能性をほのめかしたとみなされる」どこの国でも警察権力で遺体解剖すれば何らかの「死因発表」は朝飯前でできる。だが、警察が敢えて「不明」として発表することに、重大な意味が含まれるのだという。実際、通信社の報道によると、中川氏を見かけた近所の住人は、直前まで元気だったと語っている。最後のブログには。「日本を守り、真の意味で国民を守れるかを真摯に議論してほしい。心ある国民はそれを是非応援してほしい」と呼び掛けていた。「真の意味で」日本を守ることの難しさを切々と訴えていたが、中川氏は一体、誰から日本国民を守ろうとしたのか。

北朝鮮や軍事大国化する中国を批判した中川氏の言動は知られているが、実はその華々しい大臣としての活動の中で、決定的な点で米国と対立した政治家であったことは、意外と知られていない。氏の兄貴分であった国民新党の亀井静香金融・郵政改革担当相は、最近、テレビで「亀井静香がCIAに暗殺されない限り、新政権が米国に従属することはない」と暗殺の可能性を予告して見せた。視聴者の中にはCIAの暗殺予告を冗談とみたかもしれないが、身辺に危険を感じた72歳の亀井氏が、事前にCIAの暗殺を予告することで、CIAの魔手を牽制したとの指摘もある。

中川氏は自民党旧亀井グループに属していた時期もあり、亀井氏は中川氏にとって兄貴分の役割を果たした盟友であった。亀井氏は弔問に訪れ、柩に納まった顔を見て号泣した。米国と対峙する政治家の1人中川氏に、「変死」という不幸が訪れたのだ。中川氏が米国と正面衝突したのは、米国がメンツをかけて開いた世界初の金融サミットだ。08年9月のリーマンショックによる世界的な金融危機、この危機を乗り越えるため当時のブッシュ大統領は11月、歴史上、初めてのG20をワシントンで開催した。米ウオール街発の金融危機、ドル暴落危機を、新興国までに手を広げて乗り切るというのがブッシュ政権の目論見であった。

内々に米国債購入の打診が、、、

このとき、 ブッシュの面前で米国批判を展開、堂々と苦言を呈したのは、中川氏であった。「米国はしっかりしてもらわねば困る!世界に放漫財政を垂れ流すだけでは立ち行かなくなる」公式会見の場で受けた忠実な同盟国による堂々とした批判にブッシュの口元は大きく歪んだという。

世界中から対米批判が巻き起こる中、ブッシュ肝煎りの世界初の金融サミットという大舞台で、各国リーダーから米国大統領が批判の血祭りにあげられるのは、米国が最も避けたいシナリオであった。確かに招かれた世界のリーダーは、米国に来る前は自国で次々に米国批判をぶち上げていた。しかし、サルコジ仏大統領もメドベージェフ露大統領も、G20では「ドル防衛」の掛け声に唱和し、協調を訴え、米国の機嫌取りに終始した。主要国と米国の対立を想定した世界のマスコミは、肩透かしを食らった格好になった。日本の元財務官はこの顛末を中川氏から聞き、膝を叩いて喜んだ。「ブッシュに直接言ったのか。よく言った!」

だが、このG20は中川氏に致命傷を与えてしまった。

「日本、IMFに10兆円を拠出・世界貢献に」新聞の各紙朝刊に華々しい見出し踊った。G20に乗り込む日本の国際貢献策である。資金が枯渇するIMFに日本政府が新たに10兆円もの大金を献上するという貢献策で「中川構想」と呼ばれ、マスコミにもてはやされた。すでにIMFは途上国の緊急融資で融資するキャッシュが不足し、日本政府の5億ドルの緊急融資で初めて融資可能となり、当時のIMF理事会は日本政府の緊急融資決定の報がもたらされると拍手が起きた。その意味でこの貢献策は米国に大きく評価されてよかった。

しかし、米メディアの反応はなぜか冷淡だった。実はG20会議の開催前に米国は当座の金融危機を乗り切るために、内々に日本側に大規模な米国債の購入を打診したというのだ。その額は80兆円とも100兆円ともいわれる。米国経済の命運は毎週発行する巨額の米国債の入札の成否にかかっている。世界金融危機に沈む米国は日本にSOSを発し助けを求めてきた。

「中川は大丈夫か」と心配の声

中川氏は盟友の亀井氏と同じく、日本の歴代自民党政権が無制限に唯々諾々として米国債を購入する姿に危惧を抱いていた。氏は財務省で腹心と言われる玉木林太郎国際局長に相談したという。そこで代案として打ち出したのが。「IMFへの緊急10兆円融資」だった。世間で喧伝された「中川構想」も、米国当局から見れば米国の100兆円国債購入の要求は、中川氏によって10兆円に「値切り倒された」形になったのだ。歴代の自民党政権で米国の国債購入要求を十分の一にまで「値切り倒した」財務相はいなかった。小泉政権まで順調だった米国の対日工作は、一敗地にまみれた。

国内で中川氏の快挙をほめそやす声が上がる一方、事情を知る自民党の財務省経験者から「中川は大丈夫か」と心配する声も出るほどだった。

さらに、財務省関係者によると、驚くべき措置を中川氏は指示した。それは日米同盟の琴線にふれる内容だった。10兆円の資金を新たに米国債の購入ではなく、外貨準備の活用、すでに購入した米国債の売却で充当するように指示したという。日本政府が購入した米国債はどこにあるのか。日本政府は明確に回答していないが、日本の金庫にはないとの指摘が多い。多くは米国の財務省の金庫に眠ると言われており、日本政府の米国債購入の証書を米政府に発行してもらうだけで、実際の米国債は日本の封印付きで米国にあるというわけだ。つまり、中川氏は米国に眠る古い米国債の売却を命じることで、米国の資金拠出要求に答えた。米国に生きたドルのキャッシュは振り込まれないどころか、日本政府からの借用書を自分で処理しろと命じられたようなものである。

当時の麻生首相も財政負担の懸念を示す民主党の追求に「外貨準備を使うのだから」と胸を張って答えている。国益重視の保守主義者、中川氏の真骨頂が発揮されたのだ。致命傷というのはここだ。「触れてはいけない封印措置だったのです」とある財務官僚は指摘する。購入した米財務省証券の現物が日本にないことを明らかにすること、さらに日本が購入した米国債を大量に売却するということ、この二つの「禁じ手」に中川氏が手を出したことが米国の怒りを買った、という。

当時、中川氏はロバート・ゼーリング世界銀行総裁に何度も会談を求められ、交渉を繰り返していた。今は亡き中川氏に真相を聞くことはできないが、日本の資金貢献を求めるぎりぎりの交渉が行われたことは想像に難くない。

米大統領も驚愕した核武装論

危機の米国を助けず、裏切った中川昭一。

米国が国益を進める中で、一度は衝突しなければならない政治家として、氏は深く刻まれたのか。さらに米国の世界支配の道具である核武装問題でも、逆鱗に触れた。

「原爆投下は米国の犯罪です」当時(06年)、自民党の政調会長であった中川氏は長崎で講演し、過激な対米批判を繰り返した。「原爆投下を決断した米国の判断は許すことができない。これはまさしく犯罪なのです。」当時は小泉政権で防衛相を務めた現役閣僚の久間章生氏まで講演で長崎の原爆投下について「あのような状況では仕方ない」と発言。ネオコン率いる米国に阿諛追従を述べる始末だった。まして、被爆地・長崎は久間防衛相の選挙区である。選挙区の有権者の心情より米国への追従を優先させた現役の防衛相に比べ、中川氏の対米批判は際立っていた。

中川氏は専門である日本の核武装論議にまで踏み込み、日本核武装という米中両国が最も恐れるシナリオに触れことについてもいささかのためらいもなかった。民放のテレビ番組(06年)で「北朝鮮の核兵器実験の動向を受けて、非核三原則の約束を見直すべきか議論を尽くすべきだ」と語り、日本に核武装という選択肢があることを公言したのである。これには米国大統領も驚愕したとの指摘もある。

中川氏の父の一郎氏は旧ソ連との漁業交渉を主導した北海道出身の政治家であり、旧ソ連との関係が深い政治家としてマークされていた。一部では旧ソ連の情報機関KGBのエージェントだったという指摘する声まで出る始末であり、その自殺劇の真相はいまだに謎に包まれている。そうした父の一件もあって、「戦争犯罪」で米国を糾弾する、親米派にみられた中川氏の面従腹背ぶりは、米国の情報機関にとって「要警戒」人物のトップリストに加わっていたとみられても不思議ではない。

中川氏は保守連立を目論んだ

世界金融サミットで中川氏に煮え湯を飲まされた米当局にとって、溜飲を下げる機会は早々と訪れた。今年2月、ローマで開かれたG7財務省会議である。資金協力で再び、ロバート・ゼーリック世界銀行総裁と激しい議論を繰り広げた中川氏を待っていたのが、世界に放映された自身の泥酔会見だった。中川氏のワインを注いだとも言われる財務官僚は薄笑いを浮かべ、そばに座るだけで、中川氏の政治家としての生命を絶ったのである。泥酔会見に不審な点が多いのはこれまでの報道の通りだが、中川氏が、ワインを口にした際に、睡眠薬をもられたとの指摘も多い。さらにこの事件には、邦人2人がイタリアから米国債13兆円を持ち出そうとして逮捕されたという奇怪なニュースのおまけまでついた。問題の米国債13兆円とは、ニュージーランドのGDPに匹敵する巨額な数字である。

なぜ、邦人がそれだけ巨額の米国債を所持していたのか(後に米国債は偽物と報道された)なぜ、サミットが開かれているイタリアから持ち出そうとしたのか。

本物の米国債であればこれだけの米国債を動かせるのは、日本以外には米国、中国しかない。日本政府が極秘に米国債の売却を進めたとの憶測も流れたが、真相はいまだに藪の中である。

実は「日本が危ないから」との言葉を残して変死した中川氏は、自民党の殻を飛び出して保守勢力の大連立を目論んでいたという証言がある。

反米や非米勢力の大連立、その中には政界の兄貴分であった亀井金融相との連立も射程に入っており、行く末には同じ自民党の仲間、150人の国会議員を抱える民主党の小沢グループとの連携も視野に入る。

民主党の小沢一郎氏は米国が最も警戒する政治家だ。「在日米軍は海兵隊以外いらない」と発言し、米国の世界軍事戦略の根幹である在日米軍を「不要」と言って米国軍事関係者の度肝を抜いた。この小沢氏と中川氏の連携が生まれれば、日本に強力な反米政権が誕生する可能性がある。民主党左派の抽象的な反米発言に比べ、小沢氏や中川氏の保守政治家の反米政策は、政策の実効性を見極めた対応だけに、一度実施されれば、米国を震撼させるだけのインパクトがある。鳩山由紀夫民主党政権と自民党の保守主義者の連立政権。保守反米主義者と左翼反米主義者の結託、これこそ米国にとって悪夢である。日本が、米国の世界戦略の根幹であるドル支配に対抗し、核支配に牙をむくアジアの大国として再登場する可能性があるからだ。

「今や中国より日本が危険だ」これが米国のアジア専門家で密かに議論されているテーマだ。

米国にたてついた中川氏。その存在は国内で見ると落選した政治家という落魄感でみられたかもしれないが、外から見ると違う。対米関係で隙間風の出始めた鳩山政権の誕生によって、中川氏の重みはぐっと増していた。野に下った自民党の保守勢力を中川氏が糾合し、亀井氏を連合すれば米国にとって厄介な政権になるのは火を見るより明らかだ。

泥酔を座視した官僚栄転の裏

「自然死」「事故死」「自殺」

CIAが画策する暗殺のベストパターンは、この三種類という。

その意味で中川氏の酒癖の悪さは周知の事実であり、氏の弱点が露呈していたことは確かだ。

中川氏死去のニュースで日本の関係者が悲嘆に暮れている10月上旬、ワシントンのIMFから財務省に吉報がもたらされた。篠原尚之財務官がIMFナンバー2のポストに、日本の財務官僚が世界の金融機関のリーダーとして迎えられたというわけだ。

しかし、この篠原氏は中川財務相時代に玉木国際局長(当時)とともに、ローマのG7財務相会議に同行し、泥酔会見を座視していた人物である。泥酔会見を阻止できなかった2人の財務官僚には、いまだに責任論がくすぶっている。その不満をよそに、ワシントンから抜擢人事の吉報が発令されたのだ。中川氏の麻布高校同級生だった玉木国際局長は、篠原氏の後任の財務官に出世するというおまけまでついた。何があったのか。

実は中川氏が仕掛けたIMFへの10兆円出資の外貨準備による運用は、米国の怒りを買ったため、実際の契約は、日本政府がIMFに対して日本の円を現金で融資するという方法にいつの間にかこっそり切り替えられていたのだ。麻生首相も中川氏も「日本政府は新たな負担なしにIMFに協力できる」と胸を張った方式は、日本政府が現ナマの巨額の円を融資するという米国が歓迎する方法に変貌していたのである。そしてこのお膳立てをIMFとともに粛々として進めたのが、財務官を中心とした財務省の少数の官僚だったといわれる。

「米国式の徹底した論功行賞です。米国の意向に逆らった中川氏には悲惨な運命が、大臣とは別に米国の意向を忠実に実行した官僚には栄転の道が開けたのです」と米国のストラテジストは指摘する。

地下に眠る愛国政治家、中川氏は どう思っているのだろうか。

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