3月 182008
現在、米国のコントロールされている日本のマスコミだけでなく、世界中のマスコミでチベット暴動(自治要求運動)や毒物混入食品の話題をことさらに取り上げている。不思議なことにそれにシンクロナイズするように、医薬品の毒物混入で医学界も騒然としている。
日本人を洗脳するために放送しているとしか思えないテレビのワイドショーでもこの医薬品の毒物混入を取り上げている。その医薬品は「ヘパリン」という使用頻度の高い血液凝固阻止剤である。
米国でヘパリン製剤は、70年以上前から製造され、いまや月間100万バイアル以上、年間何百万人の患者が恩恵を受ける頻用かつ重要薬剤である。このシェアの半数近くを占めるのは米国バクスター社。
この「ヘパリン問題」の発端は、ミズーリ州の小児科病院で、昨年11月に何件かの激しいヘパリンによるアレルギー反応が出たと今年1月、CDC(疾病予防管理センター、Centers for Disease Control and Prevention)に届け出があったことである。
昨年の12月以降、米国でヘパリン使用後の死亡例を含む重篤なアレルギーの副作用報告は約350件と、それまでとは明らかに有意に急増して、生命にかかわるような重篤なものが発生していることが公表された。
米国バクスター社製のヘパリン製剤に使用されているヘパリン原薬は、中国のChangzhou-SPL社で製造されたものと公表され、ヘパリン製剤を販売している米国バクスター社が今年1月から自主回収する騒ぎに発展している。
これを受けて、厚労省は3月10日、「ヘパリンナトリウム製剤」について、国内3社が計17品目を自主回収すると発表した。これがワイドショーで取り上げられたのである。ヘパリンなしでは手術できない心臓外科医をインタヴューし、毎度ながら感情論に終始した報道を垂れ流していたようである。
ヘパリンの原料はブタの腸から抽出され、中国産が世界中で流通する唯一のものである。つまり、世界中で中国のブタを原料としたヘパリンという医薬品が使用されているということである。
EUでは唯一、ドイツがヘパリンによる副作用を報告しているが、米国のように死亡例が出るような重篤な副作用は報告されていない。同じホワイトである欧米人(遺伝的に近い)で、しかも同じ原料の医薬品を消費しているにも関わらず、米国だけで被害が甚大なのは不思議である。
副作用との因果関係は不明だが、製品の一部からヘパリンに似た異物の混入が確認されたという。現在の時点では、FDA(米国医薬品局)も、何が原因か、どのような汚染物質がどう混入したのか不明としている(http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/heparin/default.htm)。
米国で消費される薬剤の90%近くは外国からの輸入で、その半分以上が中国、インドと言われている。日本の医薬品事情もほぼ同じである。
当初、このヘパリンでも日本と取引のない中国メーカーの原薬が原因とみられたが、その後、米国メーカーの製品でも副作用が確認され、日本の3社が原薬を輸入していることが分かっている。
米国のBSEでの杜撰な食品管理体制を持ち出すまでもなく、FDAの医薬品のトレーサビィリィティは全く当てにならない。おまけに「中国産」と騒いでいたら、米国内の製品でも副作用が出現したというのだから始末におえない。
そこへ、お隣の韓国からも日本のギョーザ事件と同期して以下のニュースが流れてきた。
(引用)
~韓国スナック菓子からネズミの頭?中国の工場で混入か~
【ソウル=平野真一】韓国の食品医薬品安全庁は17日、韓国の食品大手「農心」が製造・販売したスナック菓子からネズミの頭と見られる異物が見つかったと発表した。
同庁は、同社の中国工場で菓子の主原料である生地を製造する過程で混入した可能性が高いと推定し、今月末ごろ、現地調査を行う計画だ。また、韓国の聯合ニュースによれば、同庁は同社に対し、この生地を使って製造したすべての製品を回収、廃棄するよう命じたという。
同社は、中国工場で製造した生地を、釜山工場で乾燥、味付け、包装し、出荷している。異物混入の情報を寄せられた同庁が釜山工場を調査したが、製造には密閉式の設備が使用されていることから、異物混入の可能性はないと判断した。一方、異物自体は保存されていなかったが、同社の分析結果では、約16ミリの大きさで、外側は硬く油が付着しており、毛が焼けたような痕跡があったという(3月18日0時48分配信 読売新聞)。
(引用終わり)
胡 錦濤は、1989年チベットの民族独立運動を鎮圧し、その功績を認められて国家主席まで上り詰めた。チベット暴動騒動が起きた3月7日は、ちょうど胡 錦濤がチベットを制圧してから20年となる記念日である。そして今年8月に中国念願の北京オリンピックが開催される。にわかに騒然となった世界中での中国産の食品・医薬品問題とチベット騒動は決して偶然のものではあり得ない。あくまでも状況証拠でしかないが、これらは日本人が与り知らない、水面下で激しく進行する中国マフィアとモサド・MI6・CIA連合の暗闘の氷山の一角であり、今後も「中国産問題」は世界中で過熱する前触れであろう。また、広東省の鳥インフルエンザ騒ぎも明らかに意図的なものだと考えるべきである。
これらは一般人に対して迫りくる21世紀型恐慌から目をそらさせる格好の材料でもある。大衆はこうしていつも問題の核心に気がつくことなく、身ぐるみ剥がされてしまうのである。
現在、世界で進行していることは、世界一の債務国、米国の債務を一瞬のうちに霧消させてしまうための21世紀型恐慌へのシナリオである。注意深くニュースを見ていれば、悪魔のように頭が動く超エリートの布石がそれぞれの事件として起きているのがわかるはずだ。
<参考資料> *田中 宇のコラムより
▼チベット騒乱と中国のドル離れ
もう一つのドルペッグ大国である中国では、先週からチベットで騒乱(自治要求運動)が起きている。中国は今夏の北京オリンピックを成功させ、欧米中心の国際社会の中で大国として認めてもらおうとする戦略をとっているが、チベット人は北京五輪の5カ月前という今のタイミングで騒乱を起こし、欧米日にもともと多かった反中国的な世論を喚起して、欧米を五輪ボイコットまで引っ張っていこうとしている。
チベット人による独立・自治拡大要求の運動は、中国共産党が政権を取った直後の1950年代から、冷戦の一環として米英の諜報機関が亡命チベット人を支援して持続させている、米英の諜報作戦でもある。その歴史から考えて、今回の騒乱も、北京五輪を成功させて大国になっていこうとする中国政府の戦略を壊そうとする、米英諜報機関の支援・扇動を受けて行われている可能性が大きい。
(アメリカでは「多極主義者」と「米英中心主義者」が暗闘しているという私独自の図式から見ると、五輪の選定会で北京を勝たせたのは多極主義者であり、五輪を潰すために「これが最後のチャンスだ」と言ってチベット人の運動を扇動したのは米英中心主義者である)
チベットの騒乱が今後どこまで拡大するかわからないが、もし国際的な五輪ボイコットに発展した場合、中国は面子を激しく潰され、絶望する。すでに中国のテレビでは、チベット族の暴徒が、ラサの漢民族の商店を破壊する映像が繰り返し放映され「勤勉な漢民族をねたむ一部のチベット族が暴動を起こしている」という図式が、中国人の大半を占める漢民族の頭の中にインプットされている。騒乱での死者の多くも、チベット族に殺された漢族であるとされている。
やがて中国の世論は「米英がチベット族を扇動して暴動を起こし、北京五輪を潰そうとしている」という見方になる。最終的に五輪がボイコットされた場合、中国の世論は反欧米の方に傾き、ロシアと似た反米ナショナリズムが席巻する。
従来の中国は、親欧米を保ち、欧米に認められて大国になろうとしてきた。プーチンのロシアは、中露の安保組織である「上海協力機構」などを通じて、中国をロシアと結託した反欧米の方向に持っていこうとしてきたが、中国はロシアの画策には乗りたがらなかった。しかし、チベットの騒乱が五輪失敗につながり、中国政府が親欧米を保った大国化の戦略に見切りをつけたら、その後の中国はロシアと結束し、反欧米の色彩を強めるだろう。
以前なら、中国とロシアが組んでも大した影響はなかったが、今は違う。中国・ロシア・中東産油国が、世界の富のかなりの部分を握るようになり、しかもアメリカはドル崩壊と金融危機で急速に経済力を減退させている中で、中露が結束し、そこにGCCとイラン、ベネズエラなどの産油国が加勢したら、欧米中心の世界は終わり、覇権は非米諸国の間で多極化する事態になる。
日本人の多くは中国が嫌いなので、チベット騒乱で北京五輪が失敗したら「ざまあみろ」と思うだろう。しかし、実はそれは自滅的な間違いである。北京五輪の失敗は、中国をドルから自立させて、ドルの崩壊、ひいてはアメリカの覇権崩壊を早めることにつながる。中東大戦争が起きた場合のGCCの反応と同じで、中国に関しても、米中政治対立が通貨のドル離れを引き起こす。ドル崩壊でアメリカは弱体化してアジアから撤退し、日本は唯一絶対の後ろ盾を失い、中国に頭を下げて友好国にしてもらうか、自閉的に衰弱をしのびつつ鎖国するしかなくなる。
▼通貨の多極化
チベット騒乱が早期に下火になり、五輪開催に影響が出ない場合、中国は親欧米を維持し、米国債を売ってドル下落に拍車をかけるようなことはしないだろう。中東が大戦争にならない場合も、GCCはドルペッグを維持しようとするだろう。しかしこれらの場合でも、ドル下落とインフレ悪化はひどくなるばかりなので、早晩、いずれ中国やGCCはドルを見限り、自国の資産を背景に、通貨に自前の価値を持たせていくだろう。
今後のアメリカは、一時的には破綻した状況になるだろうが、もともと国土の大きな潜在力のある国なので、何年かすると立ち直り、近隣のカナダやメキシコとの連携を重視した地域覇権型の国に生まれ変わっていくだろう。イギリスの黒幕的覇権から脱出する「第2の独立」である。
ドルは破綻するので廃止し、代わりに北米共通通貨「アメロ」に切り替える構想がある、という指摘もある。ドルが破綻する前に、米国債が債務不履行(紙くずに近いもの)になるかもしれない。世界の通貨体制は、ドルの一極体制から、ドル(アメロ)、ユーロ、GCC共通通貨、人民元(もしくは日中基軸のアジア共通通貨)などの多極体制になる。基軸通貨が多いと、投機的為替取引が絶えないので、国際協約をして、新たな国際基軸通貨が作られるかもしれないが、今はまだその辺の予測はつかない。
この時期になっても、日本が「どうしても」というなら、太平洋をまたいでアメリカの属国であり続けることはできるかもしれない。だが、そのころの日本は、除夜の鐘が鳴って昨年を忘れるように、1945年8月15日に軍国主義をきれいさっぱり忘れたように、対米従属の「戦後」を忘れ、気分を一新して「アジア重視」になっているのではないか。そのころには、アメリカよりアジアの方が儲かる地域になっているだろうからである。
ドル崩壊後、世界の通貨は金本位制に戻るべきだと言う人もいるが、それはたぶん不可能だ。金本位制は、金の世界的な保有総量の増加率(金の採掘量)を越えて世界が経済成長することを難しくする。第二次大戦後、世界の通貨体制は、表向きはドルと金を結びつけた金本位制(ブレトンウッズ体制)だったが、実際には米当局は金とドルの結びつきを無視してドルを大増刷し、成長する世界経済に資金を供給し続けた。その結果、1971年の金本位制破綻(ニクソンショック)に至ったが、アメリカの金融界の急拡大は金本位制の破綻後に起きている。
私は以前から通貨の多極化を予測してきたが、その根底には、米ブッシュ政権はどう見てもアメリカの覇権を自滅させる動きをしており、この動きはニクソンやレーガンといった過去の政権の動きを踏襲しているので、米中枢では世界の覇権体制を多極化する戦略が以前から進行しているようだ、という分析がある。金融危機に対し、連銀が見当違いな対策をやってドルを自滅させているのも、多極化戦略の一環と考えられる。
実際にドルの崩壊が近いと感じられる今、今後の世界の通貨体制を予測すると、米中枢の戦略が成功してドルの覇権は失墜し、世界の覇権は多極化し、覇権の経済的な具現化である基軸通貨も多極化するだろう、というのが私の読みである。以前の記事に書いたように、覇権の多極化は、経済成長する地域を増やすことであり、長期的に世界経済の成長持続につながる。多極主義者の元締めは大資本家であろう。
「アメリカの投資銀行が潰れているのに、それがアメリカの資本家の望みだというのか」と思う人が多いだろう。しかし私が思うに、世界が多極化するか、もしくは途上国の成長を抑制する傾向が強まる過去100年の米英中心主義が維持されるか、どちらが良いかという場合、話は、数10年とか100年の単位である。アメリカの金融機関がいくつか潰れ、世界が何年か不況になっても、その間に世界の経済システムが変質し、その後の数10年や100年間の世界経済の成長が可能なら、そちらの方が良いということになる。
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