2008 2/22

*少々、気が早いですが、おそらく、次期大統領になると思われるオバマについて

簡単に、まとめてみました。



「米国の次期大統領になるオバマという男は何を考えているのか?」



“奥の院”によって米国の次期大統領に選ばれたオバマという男は何を考えているのか?

マケインとクリントンは、ワシントンの国際政治の世界での活動歴が長いので、2人の戦略はわかりやすい。

しかしオバマは新人なので、どんな指向の戦略を持った人なのかわかりにくい。イスラエルのマスコミも「オバマは何者なのか?」「イスラエルの味方のふりをした敵ではないか」といぶかる記事を出している。

オバマは昨年夏、他の2人に先駆けて、フォーリンアフェアーズに外交戦略に関する論文を書かされているが「アメリカは世界を主導せねばならない」「テロ戦争のために国際的な同盟関係を強化する」など、覇権回復とテロ戦争立て直しを目指す方向性のことを書いている。クリントンと大きな違いがあるようには感じられない。それにもかかわらず現在、オバマが有力だと言うことは、やはり、サブサプライム問題で大きく傷ついた黒人、エスパニック層の不満を抑えるには=ガス抜きするにはオバマ候補が打って付けということなのだろう。



しかし歴史的に見て、米大統領選挙で意表を突く形で台頭して大統領になる人は、それまでの米政界の流れを大きく変える新戦略を、米中枢の勢力(奥の院)から託されて立候補し、大統領にされるケースも多々ある。

冷戦体制を途中まで壊したニクソンがそうだったし(いったん引退したのに、ロックフェラーから頼まれて返り咲き、中国やソ連との和解を進めた)、冷戦後に米英中心の金融覇権戦略を実行したビル・クリントンも、選挙戦で意表を突く台頭をしたことは記憶に新しい。オバマも、何か新戦略を持たされて出てきた可能性が強い。

オバマがクリントンの対抗馬として出てきたということは、オバマを担ぎ出したのは、おそらく米中枢でテロ戦争に反対の勢力である。ケネディ家がオバマ支持を表明したが、ジョンFケネディと同じ役割がオバマに期待されているのだとしたら、それはテロ戦争を終わらせることであるとも考えられる。

1960年代初頭に大統領だったケネディは、選挙では対ソ連強硬派として当選したが、就任後、キューバ危機後にソ連のフルシチョフと和解した。キューバ危機は、まずアメリカに亡命しているキューバ人を武装させ、最初から失敗するものとしてキューバ侵攻させ(ピッグス湾事件)、キューバ政府に危機感を抱かせてソ連に軍事援助を求めるように誘導し、キューバにソ連のミサイルを配備させて、米国民が身近にソ連の脅威を感じられる状況を実現し、冷戦の恒久化に役立てようとした。これはケネディの立案ではなく、軍産複合体が先代のアイゼンハワー政権時代から進めていたことだった。

ケネディ政権下でこの作戦が実行されると、ケネディは軍産複合体の意に反して、ソ連のフルシチョフと交渉し、アメリカがトルコからミサイルを撤去する代わりに、ソ連はキューバからミサイルを撤去する話をまとめてしまい、冷戦の緊張は緩和されてしまった。

またケネディは、ベトナム戦争の泥沼に入りかけたところで撤退しようとして、おそらく戦争激化を画策していた軍事産業(国防総省)に敵視され、暗殺された。ケネディ暗殺後に副大統領から昇格したジョンソン大統領は、ケネディのベトナム撤退案を即座に破棄し、米政府は戦争激化の方向に再転換している。ケネディは、米英中心主義勢力の一つである米中枢の軍産複合体による冷戦を恒久化する戦略に反対で、禁じ手のはずの「敵との交渉」「途中での撤退」を大胆に進めようとした。

ケネディが、米英中心主義派による冷戦の恒久化戦略を、敵との交渉や途中での撤退によって破綻させようとしたのと同様、オバマは、米英中心派によるテロ戦争(第2冷戦)の恒久化戦略を、敵(イランや北朝鮮など)との交渉よって終わらせようとするかもしれない。オバマは選挙戦中の発言で、あらゆる敵対国の指導者と話し合う準備がある、と述べている。

オバマの外交政策顧問団で最も有名な人は、カーター政権で外交戦略を決めたブレジンスキーであるが、ブレジンスキーは1979年のソ連のアフガニスタン侵攻を誘発し、ソ連をアフガンで10年間の泥沼のゲリラ戦に陥らせ、ソ連崩壊の原因を作った人である。

冷戦の恒久化には、米ソ間の力の均衡が大事だったが、ブレジンスキーはソ連の力をアフガンで浪費させ、ソ連に冷戦を終わらせたいと思わせた点で、共和党レーガン政権以来のネオコンと同類である。ブレジンスキーは「強硬派」と言われるが、イラク戦争だけでなく、テロ戦争にも反対している。



ところで、オバマ大統領になって、対日政策が何か変わるかというと、実は何も変わらないのではないだろうか。

現在のアメリカにとって、アジア政策では最も重要なのは中国で、日本はアメリカには取っては、それこそ「ただの不沈空母」、(都合の良いときに金を調達する「金のなる木」とも考えられている。)中国の台頭を抑えるための防波堤に過ぎないと思われている。

だから、中曽根康弘元首相の「日本は不沈空母だ」という発言は、中曽根がその親分のヘンリー・キッシンジャーからこっそりと教えてもらったフレーズではないかとも勘ぐりたくなるのである。

中・長期的にはアメリカの“奥の院”は中国を分裂させて完全に支配下に置くことを目指しているはずである。そのために法輪功の教祖も自国に亡命させている。

おそらく、その事に成功すれば、彼ら(国際銀行家を中心とする奥の院は)はアメリカという国がどうなろうが、どうでもいいと思っているのではないだろうか。



それでも、初めての黒人大統領を誕生させる必要があるほど、今回のサブサプライム問題は、深刻であり、米国の経済覇権が衰弱していくことの表れであることを日本人はしっかり認識し、世界が多極化していくことに備えていくことが求められていることを忘れてはならない。

大きく世界経済が後退する様相を見せるなか、怪しい経済成長の数字(昨年1012月の実質成長率の速報値)を日本政府は発表している。自衛隊のイージス艦の事故と言い、不毛な石油の暫定税率の論争といい、世界の大きな変化に日本政府が適応できるか心配になるところである。

パーフォーマンスではなく、真のリーダーシップが今こそ、問われていることをこの国の指導者たちが認識すべきである。

また、ほんとうに大変な時代を迎え、国民も見かけ倒しに欺されない鑑識眼を持つことが求められていることを肝に銘じるべきであろう。

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