「2008秋の豊橋市市長選を考える」(1)

今秋の豊橋市長選のテーマは、自治体格差が拡がり、地方自治体まで、勝ち組、負け組に色分けされる格差時代を迎え、東三河の中核都市である豊橋市のきっちりした21世紀まちづくりビジョンを候補者が有権者に提示することだと思われます。

おそらく、気のきいた数人で今までの資料分析(財務・基本計画等の)をしっかりすれば、具体的な総合的なビジョンの骨格を提示することは十分可能だと思います。

市の“事なかれ主義”の見通し、安全運転路線を上回るビジョンづくりは比較的楽にできるのではないでしょうか。

「21世紀まちづくりビジョン」を実行した場合の【港湾改訂、国土法の線引き、企業誘致の可能性、広域医療を視野に入れた市民病院のあり方、固定費の削減(具体的にどのようにすすめるのか)、企業誘致,etc等による財政力アップそれにともなう財政力指数(現在、豊橋市の財政力指数は現在1.0、手を拱いていたら、大変なことになることも予想できます)】予想できる変化を10年のスパーンで、導きだせば、自ずと答えは出てくるのではないでしょうか。

そのシュミレーションによって豊橋市の福祉、医療、教育サービスの最大限の可能性も見えてくると思われます。

そのようなビジョンづくりをすれば、国政に地方自治体として、どのような要望をしていくかも、また、国の地方行政に対する問題点もはっきり、豊橋市民の目に見えるものになることが期待できます。

細かい、創意工夫で市政の空気を変えることができる面も多々あると思います。

それは各候補者の人柄を有権者に知らしめる上で有効だとは思いますが、選挙戦術の範疇に入るかも知れません。



<拡がる自治体格差>

現在、1800あまりある市町村の格差が大きく広がっている。ちょっと前まで約3300あった市町村も、平成の大合併で半数に減っている。2005年の国勢調査では、一番人口が多かったのが横浜市の358万人、一番少なかったのが東京都青ヶ島村の214人。また、日本の人口は減る一方だが、日本で暮らす外国人の人口は年々増加してついに200万人を突破した。豊橋市においても約1万人(外国人登録者の数)、隣の浜松市では約3万人の外国人が外国人が暮らしている。また、高齢化の進行もまちまちである。すでに65歳以上の高齢者の割合が50%を超えた市町村が群馬県南牧村をはじめとして6つもあれば、東京近郊で発展著しい浦安市では10%を切っている。

市町村の面積にも格差がある。合併によって新しく生まれた高山市の面積は2178㎡で東京都の面積とほぼ同じである。地理的条件もさまざまだ。山林を除いた可住地面積がわずか2.1%しかない奈良県野迫川村のような自治体もあれば、東京都や大阪市のようにすべてのエリアが可住地という地域もある。人の暮らしぶりもさまざまである。富山県小矢部市のように住宅の平均面積が210㎡という広い家が建ち並ぶ市もあれば、東京都豊島区のように小矢部市の四分の一、52㎡の狭い家が建て込んでいる市もある。2005年のデーターでは東京都御蔵島村のように完全失業率0という村もあれば、大阪市西成区のように完全失業率22%という地域もある。さらに重要な財政力においては大きなばらつきがある。指標が1以上だと地方交付税が交付されない財政力指数を見ると関西国際空港を沖合に持ち、毎年莫大な固定資産税が入ってくる大阪府田尻町は2.85と全国一だ。それに対して鹿児島県沖合に浮かぶ島からなる三島村の指数は0.05にすぎない。

このように日本の各自治体間で二極分化がすすんでいることが明らかになっている。

問題は

(1)人口増加自治体と減少自治体

(2)豊かな自治体と貧しい自治体

地域が元気でこその日本:それが原点:そのようなビジョンづくりをすることが市長選に出馬する候補者の使命ではないか。

*参考資料 日経NEEDSより

2006年度自治体決算を分析」

<広がる地域間格差の背景を探る>

地方自治体への寄付金を税優遇する「ふるさと納税」や地方法人二税(事業税・住民税)の配分見直しへの議論が活発化するなど、税収の地域間格差を是正すべきとの声が高まっています。2006年度決算(速報)を収録した「都市財政比較07年版」などを使い、地域間格差の背景を探りました。

<明暗分かれる中核市>

格差は大都市と小規模な地方自治体との間にだけ起きている現象ではありません。政令指定都市に準ずる権限を持った人口30万人以上の市である中核市同士を比べても格差は目立っています。

06年度末の段階で中核市に指定されていた市は全国に37市あります。これらの市について財政基盤の強さを示す「単年度財政力指数(=基準財政収入額/基準財政需要額)」を比較したところ、最上位の豊田市(愛知県)と最下位の函館市(北海道)の間には大きな差が生じ、しかも06年度にはその差が前年度よりも広がっていることがわかりました。上位および下位5市の自治体をそれぞれグループ化し、主要な財政指標のグループ間の差が05年度と比べてどのように変化したかを見てみます。

05年度の格差の状態を1にした場合、06年度の1年間に単年度財政力指数のほかにも経常収支比率、実質公債費比率などで格差が6-10%程度拡大したことがわかります。では両グループの明暗を分けたものは何だったのでしょうか。

""
<製造業が呼び込むプラスの連鎖>

財政力指数と相関の高い「二次産業従事者の割合」および「若年人口比率」のデータについて、平均値からの乖離幅で散布図を描きました。

""
これによると、財政力指数の上位グループは、製造業に代表される二次産業に従事する人口比率と若年の人口比率がともに高い領域(右上)に、一方、下位グループは二次産業比率も若年人口比率も低い領域(左下)に多く存在しています。下位グループの地域は、総じて三次産業比率と高齢人口比率が高い傾向にあります。

さらに00年と05年のデータを比較したところ、上位グループの方が二次産業従事者の増加率は高く、若年人口の減少率は低くなっていました。好調な基幹産業(二次産業)のある都市では若者の定着度合いが高く、結果的に財政力の格差拡大につながったとの見方ができそうです。

<財政構造にも違い>

けん引役となる二次産業の有無は、財政構造の違いにも表れています。歳入全体に占める地方税の割合は、財政力指数が上位のグループと下位のグループで2倍強も違っています。法人市民税の割合では、その差は3倍以上です。製造業が集中し企業活動が活発な地域には人も集まり、法人市民税やその他の地方税収で財政に余裕が生まれやすくなるわけです。

気になるのは歳出面の性格の違いです。社会保障など扶助費が歳出全体に占める割合は、財政力指数が下位のグループで突出して高くなっています。一方、インフラの整備など投資的経費(普通建設事業費)が歳出全体に占める割合は、財政力指数が上位のグループで一段と高くなっています。

税収確保・格差是正のために強い製造業の誘致が有効なことは明らかです。ところがこの構図は、財政力のある地域は投資余力でより一層の財政力・経済力を身につける一方、財政力の弱い地域はそのくびきからますます脱しづらくなることを示しています。

税収の地域間格差を是正するため、政策的に税源の配分を見直す機運が高まっていますが、重要なのは、それら政策の手当てが最終的な果実に結びつくかどうかです。自治体自身の日ごろからの取り組みも重要です。例えば、企業誘致のチャンスが訪れたときに好機を逸さないよう、能動的かつ積極的に政策を遂行(Plan-Do-See)できる体質を作っておくことや、企業のニーズにあったインフラの整備などの積み重ねが、格差是正策によって「地域の活力」を本当に取り戻せるかどうかのカギになりそうです。

""
(日本経済新聞デジタルメディアNEEDSカンパニー 堀口亜希子)

Sorry, the comment form is closed at this time.

© 2011 山本正樹 オフィシャルブログ Suffusion theme by Sayontan Sinha