m.yamamoto

今、地方議会は機能しているのか

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10月 112016

総務省の発表によれば、日本の人口は昨年101日時点で約12710万人と、5年前と比べ約947000人、率にして0.7%減ったことが分かりました。人口減少による地方の衰退に対応するため、国は2014年には地方経済の再活性化を目指して、「地方創生法」を成立させています。また、予想される人口減に対する施策としてすすめられた平成の大合併も国の大きな支出を得て進められたにもかかわらず、日本創成会議の予想では、消滅可能性自冶体のなかに合併した自冶体が多く含まれているなど、厳しい現実に直面しています。ちなみに日本創成会議が作成した消滅可能性都市一覧のなかに東三河では、新城市(56.5%)、設楽町(76.5%)、東栄町(74.8%)豊根村(60.6%)<*%は、20102040年の若年女性減少率)が含まれています。

今では、議会改革の流れと平成大合併の時代を経て地方議員の数も大幅に減り、随分スリムになりましたが、地方議会が地域の活性化に対して十分にその機能を果たしていないのではないかという見方も、年々大きなものになってきています。本年も複数の辞職者を出した富山市議会のスキャンダルが全国紙でも大きく報道されましたが、その根底には、地方議会が本来の役割を果たしていないのではないか、という大きな不信感があります。いわゆる政務調査費というものは議員の自由研究費ですが、本来は、議会で上程される予算案をはじめとする議案をチェックするため、地域の政策立案のために使われるのが趣旨のはずですが、果たしてすべての経費がそのように使われているでしょうか。

 ところで、昨年行われた「言論NPO」が全国の有識者約6000人を対象にした調査では、「現在の地方議会が地方政治の中で十分な役割を果たしているか」の質問に約6割の58.6%が役割を果たしていないと回答しています。また、「地方議会の果たす役割として重要なことは何か」と、いう質問に対しては、「国会の立法機能に準じる形で地域の課題について条例制定などの政策機能を果たすこと」が、従来から期待されている「予算案や条例案の審議を通じ、首長の提案など自冶体行政を監視すること」の30.3%を大きく上回り、38.2%と最多の回答となっています。地方議会に対する期待の大きさを物語る数字です。しかしながら現実は、東三河の地方議会でも行政側が提出した原案をそのまま通しているのが、ほとんどであり、事実上、議会が持つ予算決定権等を首長に禅譲している状態になっています。ここ数年で、定数削減、本会議のケーブルテレビ中継、委員会質疑の一問一答方式等、表面的な改革は進んできましたが、人口減少のなか、地方の衰退が言われる現在、自冶体が住民の声を反映させる施策を考えていくプロセスを地方議会は、本気で実現し、議会の存在価値を示すことが求められています。

*東愛知新聞に投稿したものです。

地方の時代が実現した時、はじめて戦後は終わる

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9月 222016

「地方の時代」が叫ばれるようになった1970年代に、グローバリズムに突き動かされる現在の日本では、考えられない今日の課題解決に通じる画期的な構想が1978年の大平正芳内閣の時に打ち出されています。「モノより心を大切にすべきではないか、成長率より成長の質が大切ではないか。」と、いう理念の「田園都市国家構想」です。1945年以降、日本の与党がアメリカの影響を受けない独自の構想を掲げた時でした。もし、この構想が実施されていたなら、戦後を終わらせる大きなエポックメイキングになっていたことでしょう。

現実にはそれから、約40年の歳月を経て、日本社会はどのように変質したでしょうか。平成バブルの崩壊による米国主導による構造改革路線によって、「失われた二十年」がもたらされ、「限界集落、シャッター通り」と、いう言葉に象徴されるように地方は疲弊、その結果、格差が広がり、現在、一部では教育の崩壊まで言われ始めています。今、アベノミクスによって、確かに株価は上がり、2020年の東京オリンピック誘致で、東京は建設ラッシュに沸いています。しかし、地方は豊かになったでしょうか。私たちの住む東三河も昨秋の国勢調査によれば、愛知県全体では、1.0%人口が増えているにもかかわらず、大きく人口を減らしています。中核市:豊橋市でも0.5%人口減という厳しい状況にあります。

 上記の「田園都市国家構想」とは、「都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力を」というスローガンに集約されるものです。日本の江戸時代の基礎行政単位であった藩の数に匹敵する全国に点在する2~300の「田園都市圏」が経済的、文化的に相互に連携し合い、日本という国を構成し、現代に合った良き共同体の再構築を目指そうと、いうものでした。この構想は、民間の学者を中心に策定された既存の政策過程を突破する画期的なものでしたが、大平正芳首相の急死もあり、また、80年代に登場した新自由主義政策によるグローバリズムの進展により、実際の政策としては、実行されることはありませんでした。

 この春、グローバリズムが「1%の人々」の資本や資産がどこへでも自由に移動できるようにしているだけで、グローバルな脱税の横行と雇用の海外流出をもたらしていることを人々に暴露した「パナマ文書」が公開され、大きな話題になりました。現在、グローバル化が急速に進んだ結果、すでに、世界にフロンティアはなくなってきています。私たちは今こそ、自身の足元を見つめるべき時を迎えています。「本当の豊かさ」を私たちの郷土のなかに再創造していく発想の転換によって、地方の時代を実現できた時にはじめて、日本の長い戦後が終わることになります。なぜなら、その時には、根本的な施策体系の変更が完成していることになるからです。

 来月は豊橋市市長選です。いよいよ、この地域の在り方を考える時がきます。

*東愛知新聞に投稿したものです。

5月 292016

今まで何度かレポートでも言及させていただいたが、2020年東京オリンピック開催は大きなリスクを抱えている。このことを淡々と経営者、投資家は、腹におさめて動くべき状況に現実にはなっている。ご記憶の方もあると思うが、2011年のフクシマ原発事故以後、続いている放射能汚染の実態についても何回かに分けてお伝えした。今一度、日本のマスメディアが報道できない日本の厳しい現実をしっかり確認しておくべきだろう。多くの人がこれから、体調不良の大幅な増加という状況におかれて、放射能汚染の現実を知る日が、刻一刻と近づいているのである。これが、東京オリンピック開催の大きなリスクの一つである。以下。それでは以前のレポートの抜粋。


現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍を超えている。

201136月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文科省20111125日公表値)という驚くべき数値になっている。世界経済、日本経済を回すために騒がないだけで、東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻状況になっている。195157年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出している。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離である。

核実験と原発事故は違うのではと思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質である。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これらはセシウムよりはるかに危険度が高い。3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」以上も多い。

また、日本の原発からできるプルトニウムで欧米の核兵器がつくられ、彼らの核武装体系が維持されている敗戦国の不合理な現実をもっと多くの日本人は知るべきだろう。

 

ところで、国際的な原子力専門メディア、「Nuclear Engineering Internationalが、昨年1126日日付けで3号機から蒸気が噴出しているのを作業員が目撃しているとの報道している。以下。

More problems for Fukushima

 

Tokyo Electric Power Co (Tepco) has admitted that radioactive ground water from the Fukushima Daiichi nuclear power plant has probably been leaking into the Pacific Ocean. It is the first time Tepco has officially acknowledged that contaminated water from the plant may have reached the sea, despite several studies and findings from the Nuclear Regulation Authority (NRA) which confirmed leakages. 

Now we believe that contaminated water has flown out to the sea,” Masayuki Ono, Tepco’s general manager, told a news conference in comments broadcast on Japan’s public NHK television. “We would like to offer our deep apology for causing grave worries for many people, especially for people in Fukushima.”Tepco’s admission has underlined concerns raised by NRA, which earlier in November said its experts had found high levels of caesium in samples taken from coastal seawater and the pit water near the facility. NRA had ordered Tepco to investigate the possibility of a leak, but Tepco said there was insufficient evidence to link the high levels of caesium to a leakage from the plant.

*NRA: Nuclear Regulation Authority

While Tepco acknowledged that contaminated water from the reactors is seeping through ground water channels before flowing into the sea, it said water sample tests showed that the impact of the leakage appeared to be controlled by silt fences built around the reactors, as there was no significant rise in the levels of radioactivity in the sea water. 

However, Tepco admitted in April, that around 120t of radioactive water may have leaked into the surrounding ground from a storage tank, and earlier this month, tests on ground water samples showed that levels of caesium-134 had increased more than 110 times in a few days. To prevent further seepage of ground water to the ocean, Tepco is injecting chemical sodium silicate into part of the seawall separating the sea and nuclear plant, which will solidify a larger part of the seawall with the chemical, Reuters reported. 

Tepco is also struggling to contain radioactivity at the plant. Workers on 24November reported steam from inside the unit 3 reactor building for the second time in a week. Tepco is investigating the cause after initially suggesting rainwater could have been the source. 

We think it’s possible that rain made its way through the reactor building and, having fallen on the primary containment vessel, which is hot, evaporated [and created] steam,” Tepco spokeswoman Mami Yoshida said, according to Reuters. 

The steam rising from unit 3 was noticed by repair crew who were removing contaminated debris from the facility. “All work to remove debris in and around unit 3 was stopped,” a spokesperson for Tepco told The Daily Telegraph. “We have confirmed that radiation levels around the pressure chamber have not changed, and we were able to confirm that the reactor has not reached criticality.” 

The incident underscores the concerns and challenges involved in decommissioning the Fukushima plant, including how to dispose of the water used to cool its melting reactors. Tepco has poured thousands of gallons of water over the reactors since the 2011 incident, and disposing of the water with radioactive content is a major problem.

(終わり)

 以下の映像を見ていただければ、核燃料のメルト・スルーによって人類史上未曽有の事態を引き起こしてしまっている福島第一原子力発電所の現在の状況を垣間見ることができる。是非、見ていただきたい。

フクシマ第一動画

https://www.youtube.com/watch?v=-f10qxt0C8I

臨界を想像させるような異様な光とトリチウム水蒸気が出ているのが確認できるはずである。

 以前のレポートでも紹介したが、昨秋、福島県宅地建物取引業協会が東京電力を訪れ、約25億円の損害補償を申し入れている。来年以降、不動産への原発被害がいよいよ顕在化し、今後は周辺地域、都市圏への波及が警戒される事態となっている。このことを以下の数字がよく物語っている:東京23区の賃貸マンション空室率の上昇が止まらない。既に千代田区36%、中央区28%、目黒区27%となっている。ずっと、レポートで指摘しているが、日本政府が放射能汚染を頑なに隠蔽する一番大きな理由は、首都圏の不動産価格を下げたくないからである。都市圏の地価は10%の毀損で100兆円近い評価損失となる。これだけで信用創造機能は不全に陥ってしまう。農林水産業や事業損失に加え不動産の賠償が加わるとなれば、脆弱な日本政府の財政など一瞬で破綻することは明らかだ。そのために官民上げて情報統制に狂奔し、被害実態を隠蔽し、富裕層が資産処分の時間を稼ぎ、クライシスを先送りしているのである。 

また、下記の避難基準を見ていただきたい。以前のレポートでも指摘したが、民主党の菅直人政権時代、福島県という地方自冶体を残すために採用されたのが下記の基準である。

チェルノブイリより4倍も高いフクシマの避難基準

この背景は船橋洋一氏の「カウントダウン・メルトダウン」に詳細に描かれている。

もう一つの要因は、その失敗が多くの人に明らかになりつつあるアベノミクスの行き詰まりにより日本経済に将来起こる災厄、すなわち国家財政の危機である。ご存じのように、現在日本の株価は、日銀、年金資金等の公的資金で必死に買い支えているが、一万六千円前後に低迷している。すでに高値を付け終わったと見るべきであろう。最近の報道によれば、日経平均採用銘柄の90%で日銀が大株主になるという異常事態になっている。以下。

日銀総資産と日経平均1999~2016

「ETF爆買いの果て、日銀が日経平均企業9割で実質大株主-試算」

*ブルーバーグより

2016425

 

足かけ5年以上に及ぶ指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れで、日本銀行は主要上場企業の株式に対する影響力を強めている。特に、異次元金融緩和以降の「爆買い」で累計保有額は推定8兆円を超え、日経平均株価を構成する9割の企業で実質的な大株主になった。4月会合で購入枠の増額が予想される中、官製相場による将来的な副作用を懸念する声も上がる。

日銀によるETFの推定保有額からブルームバーグが試算(21日現在)したところ、指数採用225銘柄のうち約200社で日銀が保有率上位10位内に入る実質大株主となっている。これは、米国の大手資産運用会社のブラックロック、バンガード・グループよりも多い。ETFの買い入れが現在のペースで続いた場合、17年末には京セラや日清製粉グループ本社で事実上の筆頭株主になる見込みだ。

日経平均225社の9割で実質敵に上位10位

リーマン・ショックの後遺症が残る1010月、1ドル=80円台へ円高が進む中で景気刺激、金融市場の安定化を図ろうと日銀はETFの買い入れを決めた。当初4500億円の年間購入枠は、黒田東彦総裁による13年4月の異次元緩和で1兆円に増額、翌年10月の追加緩和で3兆円まで膨らんだ。加えて、昨年12月には設備・人材投資に積極的な企業で構成するETFを年間3000億円購入する考えも示し、今月4日から新枠を使い1日12億円の買い入れを連日行っている。

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、「日銀は安定株主で、業績が悪そうだからすぐに売るというものではない。また、株価が下がるときに買うため、企業を甘やかしていることになる」と指摘。資産買い入れ対象として国債はいずれ償還で自然消滅するが、「ETFは売るというボタンを押さなければならない。買えば市場全体の株価は上がるが、出口はどうするのかという話だ」と、相場が内包するゆがみに懸念を示した。

 

ETF保有額は8.6兆円、ミツミ電やテルモで「大株主化」

 

日銀と投資信託協会の公開情報を基にしたブルームバーグの試算では、日銀が10年以降、ことし3月までに買い入れたETFの累計額は時価ベースで8.6兆円。国内に上場する日本株ETF全体の55%に当たる。日経平均各銘柄のETFの保有割合から実質的な日銀の比率を算出、他の大株主と比較した結果、テルモやヤマハ、大和ハウス工業、住友不動産、三菱マテリアル、ミツミ電機では日銀が上位3位内に入った。中でも、ミツミの実質保有比率は約11%に達している。日経平均の構成ウエートトップのファーストリテイリングの場合は約9%だ。 

豪AMPキャピタル・インベスターズで資産配分責任者を務めるネーダー・ナエイミ氏は、「数を見れば、かなり多くを保有していると分かる。日銀は大きなヘッジファンドになりつつあり、ヘリコプターマネーとそれほど変わらない」とみている。

日銀のETF買い入れの推移

ご存じのように第二次安倍内閣で始まった異次元の金融緩和によって日銀は日本国債の最大の所有者となっている。このことは何を意味しているのか。日銀は、いつでも日本国債の暴落、日本株価の暴落を引き起こすことができるということを意味している。

次に世界情勢に独自の視点を持つ元外交官 原田武夫氏の英文ブログを読んでいただきたい。彼は、近代オリンピックを創設したヨーロッパの王族、貴族たちがそのシステムをやめるつもりだ、とまで明言している。以下。

 

Summer Olympic Games in Tokio? Never Ever.

 

There is one thing I can’t understand yet: Due to ongoing dramatic change of solar activities, everything on the globe is being now forced to change itself. Nevertheless, it seems to me that the majority of Japanese public opinion doesn’t understand this simple fact. Well, please watch out “EVERYTHING” is being changed. There’s no exception for that.

This is also the case for Olympic games as one part of the modern world system. What we’ve called “Olympic games” or “Olympiad” will abruptly come to an end and a new system in terms of global competition of sports will get started. Again, from now on, you’d better get rid of “wishful thinking” also in this regard, and keep eyes on the reality.

As usual, the Japanese are too naïve to find out the right way to right things in this context: Instead of adapting themselves to the upcoming new world order, they simply believe the Summer Olympic Games will be held in 2020 in Tokio. From the very beginning of the story, I’ve been pointing out it won’t take place this time in Tokio. Even publicly, I’ve been repeating such an assessment for the Japanese future. While high ranking business leaders in the KANSAI region tend to agree with me based on some local esteemed prophets’ advices, almost nobody living in other regions such as Tokio area goes along with me. As I said beforehand, they just stick to “wishful thinking” by saying that the forthcoming Summer Olympic Games would Japanese national wealth, which won’t be unfortunately be the case.

This week, the sea change suddenly emerged: One after another, western and Japanese mass media sensationally reported suspicion of bribery connected to the SummerOlympiadinTokio.https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympic-games-2020-ioc-international-olympic-committee-corruption-bid-scandal

 Those who were members of the Japanese inviting committee allegedly gave a huge amount of money to some juries who were responsible for final decision. If the suspicion will be proven, we Japanese will have to take in to account the worst scenario: Japan will be deprived of her entitlement to hold the game in 2020, because it was given to her illegally. If so, the Olympiad won’t come to Tokio, and now, you may see what will happen to massive infrastructure and real property investment which are being done at this juncture. An economic disaster ahead. That’s it.

To understand the reason why, you have to get back to the origin of modern Olympic games. It’s not ordinary folks but born royal families and aristocracy that matter. Whenever the latter doesn’t want to have the game, it doesn’t take place, although “democracy” loves to have it. At the last stage, the latter’s will is always prioritized. Because the fundamental world order rules so.

To sum up, let me remind you of the following: Tokio won’t be allowed to hold the Summer Olympic Games in 2020. Throw away trivial illusion which was fabricated by ugly politicians and big corporates. A new world order is emerging. Just watch out.

東京オリンピック誘致 猪瀬知事

(*もう、すでにこの写真の真ん中に写っている人物は退場した、そして後継知事も政治資金疑惑で退場を迫られている状況である。)

<英訳>

私がまだ理解することができない一つのことがあります:太陽活動において、劇的な変化が進行しているさなかにあって、地球上のありとあらゆるものが、それ自身、変化することを迫られているということです。にもかかわらず、日本の世論の大多数が、このいたって単純な事実を理解しようとしていないように見えます。すべてが変化していることをどうか、よく見つめる必要があります。そうです!すべてです。一つとして例外はありません。

これは、最新の世界システムの一部分としてのオリンピック大会を擁護したくなる論拠でもあります。私たちが「オリンピック・ゲーム」、あるいは「オリンピック」と呼んでいたものは、不意に、突然終わりを告げることになるでしょう。そして、スポーツの国際競技に関する新しい仕組みが始まります。(オリンピックは続くに違いないという思い込み)このことに関して、希望的観測をやめた方がいいでしょう。そして、常に現実を直視する視線をしっかり持ちづけることです。

今回もいつもの例に漏れず、日本人は国際政治の文脈において、妥当で正しい道筋を発見することについては、あまりにもナイーブで騙されやすいのです。

今後の新世界秩序(NWO)に自分自身を適応させる代わりに、日本の人々は、単純に夏のオリンピックが東京で2020年に開催されると信じ込んでいます。このストリーのまさに最初から、私は、東京でオリンピックは、開催されないだろうと指摘してきました。

日本の将来のために、公的な場でさえ、繰り返し、言ってきました。

関西地区の上位にランキングされている経済界のリーダーたちは、地元の尊敬を集めている「何人かの未来予測に長けた人々」のアドバイスに基づいて、私と考えを同じくする傾向があるのですが、反面、東京のような他の地域に住んでいる人々の誰一人として私と同じ見方を取っていません。

私が以前もって言ったように、次のオリンピックが日本の国富増進にかなうかのように言うことによって、そうした人たちは楽観論に縛り付けられているのです。しかし、残念ながら、そうはなりません。

今週、著しい変化が突然出てきました:

西側と日本の大手メディアは、次々に夏の東京オリンピックにつながる贈収賄の疑惑を書きたてています。報道されるところでは、日本の五輪招致委員会のメンバーであった者たちは、オリンピックの最終候補地の決定に責任を持っていた審査員に巨額のお金(賄賂)を渡していたということです。

言われているような疑惑が証明されれば、私たち日本人は、最悪の事態を考えなければならなくなります。不法にオリンピック開催地が東京に決定されたことによって、日本は2020年の東京オリンピックを開催するための資格をはく奪されることになるでしょう。もしそうなれば、当然、オリンピックは東京へはやって来ません。

その時、東京でのオリンピック開催を当て込んで行われてきた巨額なインフラ投資や不動産投資に、いったい何が起こるのでしょうか。日本は、経済的大参事へ突進しようとしています。それで、終わりです。

その理由を理解するためには、現代オリンピックの起源に戻らなければなりません。

その起源は、私たちのような市井の人々でなく、生まれながらの王族と上流階級にあります。彼らがゲームをしたくないときはいつでも、「民主主義」に反しようとも、彼らの一存でそれは行われなくなるものなのです。

最後の局面においては、後者の意思が常に優先されるのです。本来的な世界秩序は、そうして支配構造になっているのです。

つまり、最初に申し上げたように、「東京は、2020年に夏季オリンピックを開催することはできない」ということです。醜い政治家や大企業によって創り出された些細な錯覚や幻想を捨ててください。これから新しい世界秩序が浮かび上がってきています。まさに「要注意」です。(終わり)

 

東京オリンピック誘致金銭疑惑の簡単な経緯>

現在、「国際陸連」のドーピング問題を調査している「世界反ドーピング機関(WADA)」の第三者委員会が公表した報告書で、東京が勝った20年夏季オリンピック招致に絡んで日本側が国際陸連に協賛金を支払ったと指摘されている。

支払いは「国際陸連」主催の競技大会「ダイヤモンドリーグ」の協賛金として400万ドル(約47200万円)から500万ドル(約59000万円)が、2回に分けて支払われたのではないかとしている。当時、「国際陸連」の会長であったディアク氏は、「IOC(国際オリンピック委員会)」の委員を務めていて、開催地決定の投票権があった。英大手紙の「ガーディアン」などによると、オリンピック招致のライバルだったイスタンブールは協賛金を支払わず、当時のディアク国際陸連会長の支持を失い、東京が開催権を獲得したとしている。

現在「IOC」は、「WADA」の第三者機関に対して資料の提出を求め、フランス検察庁がこの問題の具体的な調査に入っている。512日、イギリスの大衆紙「デイリー・メール」は、「日本の秘密支払いが証明されれば、ロンドンが2020年オリンピック開催へ」という題名の記事を掲載し、「東京オリンピック招致委員会」の銀行口座の存在が確認されたことを明らかにした。

同記事によるとフランス検察庁は、「東京オリンピック招致委員会」の銀行口座から、ディアク前会長の息子が所有するシンガポールの「Black Tidings社」への2回の支払いの調査を開始したことを明らかにした。少なくとも22000万円の支払いが行われた可能性が高いとしている。「Black Tidings社」は、「国際陸連」のドーピング疑惑で発生した資金のマネー・ロンダリングでフランス検察庁は捜査を行っていた。

記事によると、もし「東京オリンピック招致委員会」が「国際陸連」のドーピングスキャンダルの中心になっている会社に不法な支払いを行なったと結論した場合、「IOC」は2020年の東京開催の決定を白紙に戻し、ロンドンに開催地を変更する可能性があると報じた。ロンドンは2012年の開催地であり、当時の施設がそのまま使える状態にある。

 

今回は、東京オリンピック開催のネックとなる三つの要因を紹介したが、このほかに太陽活動の変動によって活動期に入った環太平洋火山帯にある日本列島のことも考慮すれば、地震等の大きな災害も大変心配されるところである。 

要するにオリンピックのお祭り騒ぎをする前に日本にはすべきことが山積しているということである。雑音に惑わされず、今ははしっかり、足元を見つめるべき時である。

<パナマ文書>が告げる新自由主義の終焉

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4月 122016

日本ではおざなりの報道しかされない「パナマ文書」だが、世界は今、大きく震撼し始めている。すでにアイスランドのグンロイグソン首相は、公的資金を注入した銀行株をタックスヘイブンに隠していた道義的責任を追及され、辞任に追い込まれ、英国のキャメロン首相も亡父の資産をタックスヘイブンに隠していた道義的責任を追及され、釈明に追われている。展開によっては辞任もあり得るだろう。恐らく、今回の「パナマ文書」は、アメリカの情報機関が関与した選択的漏洩だとも考えられるが、もし、そうだとすれば、そのターゲットは中国、ロシア、英国、ドイツ、イスラエルであろう。この文書が世間に出てきた経緯を説明している報道を読むと、ブレトンウッズ体制が完全に崩壊し、中国の人民元がSDRの対象通貨になることが決定した昨年10月に、タックスヘイブン情報が世界中に拡散されたようである。

もちろん、偶然ではないはずだ。華僑との取り引きで、中国の人民元が国際通貨になるように強力な後押しをしたのは、ご存じのように英国である。

 しかしながら、このような情報戦にアメリカの情報機関が関与したとすれば、これから飛んでもない暴露合戦が展開される危険性も秘めているのではないか。ロシアも英国もイスラエルも一流の情報機関を持っている国である。ある意味そこまで、覇権国米国は追い詰められているということなのかもしれない。ところで、日本人も400人以上の名前が挙がっているということである。これからどんな吃驚する情報がでてくるのか、戦々恐々としている日本人もかなりいるということである。

 

考えてみれば、一部の超大金持ちや大企業だけが租税回避地に資産を移動させて税負担を逃れている行為は、公的財政の赤字が拡大している原因の一つである。

タックスヘイブン 図式

ところで、このような風潮を世界に広める思想的基盤をつくった男は、ミルトン・フリードマンというユダヤ人経済学者である。彼が、民営化と規制緩和と小さな政府、市場原理主義とマネタリズムで構築された<新自由主義思想という妖怪>を世に送り出したのである。そこから、タックスヘイブンという国民国家を内部崩壊させるシステムが合法化されたのであった。1964年、フリードマンが「資本主義と自由」という著書を発表したのだが、当時の日本の経済学者の多くは、奇矯な論理を弄ぶ経済学者もいるものだ、ぐらいの認識しかなかったようである。しかしながら、英国のサーチャー、米国のレーガンによって採用された新自由主義は、その後、世界を席巻していくことになる。

おそらく、現在の世界経済の状況を見て、一番皮肉なのは、「小さな政府」を標榜する新自由主義の政策を推し進めた結果、世界中の政府は、その財政赤字を巨大化し、その中央銀行は、その財政赤字を支えるために巨額の資産を抱え込むことになったことである。「小さな政府というスローガン」は、とんでもない借金をかかえる巨大な政府を作りだしたのである。

結局、現実に起きたのは、民営化という名目の国有財産の横領であり、金融の自由化という美名のもとで大企業の税金逃れが合法化され、国民国家は慢性的税収不足に悩む事態に陥ったのであった。

消費税は廃止できる?

<日銀のデータを見ると、初めてケイマン諸島が登場するのが2001年で、その額が上のグラフにあるように、186411億円。直近データが2013年で、609280億円で、この12年で422869億円増、3.2倍も増えている。このケイマン諸島で税金逃れした609280億円に、現時点の法人税率23.9%を課すとすると、145617億円の税収が生まれることになる(※実際にはケイマン諸島の大企業の資産には証券等もあるのでそう単純に計算できるものではないが、)増税前の消費税率5%のときは、消費税の税収は10兆円程度。消費税率8%になって直近の2016年度予算で消費税の税収は171850億円。これに対して、大企業のケイマン諸島のみで145617億円の税収が生まれる。これに加えて、ケイマン諸島での富裕層の税逃れと、ケイマン諸島以外での大企業と富裕層のタックスヘイブンでの税逃れ(朝日の報道にあるようにパナマでも日本の400の人・企業が活用している)を加えれば、現在の消費税率8%の税収をも上回ると考えられる。>

これから「パナマ文書」や類似する文書が暴露されることによって、現在の世界の本当の経済構造を否応なく多くの一般大衆が知ることになっていく。その先に待っているものは、大衆の怒りである。その意味で、これから大きく時代を動かす「真の政治の季節」が始まろうとしていると言えるだろう。 

以下は、参考資料 

Trendswatcherより

http://www.trendswatcher.net/03-2016/geoplitics/パナマ文章-の流出に米国の情報戦の疑い/

 

「パナマ文書」流出に米国の情報戦の疑い   20160408

パナマ文書 法律事務所

「パナマ文書」にアメリカ国籍の個人や法人が含まれていないことを、米国マスメディアが騒ぎ出したのは公表から2日後のことである。さまざまな推測のなか、「パナマ文書」の流出は米政府関与により、意図的に公表されたとの疑惑が強まっている。 

米国籍の個人と法人は含まれているのか 

米大手新聞社のマクラッチーによると、データベースには少なくとも200人の米国籍のパスポートがあり、米国に住所を持つオフショア会社の株主は3,500人とされている。政治家はいなく、脱税回避の目的でオフショア法人を設立した個人が多いとされている。特定された数人の個人名は公表されたが、正確な人数や法人名は特定できていない。また情報が今後公表されるかは未定である。 

公表に当たっての4つの視点 

エリスト・ヴァリファ

ドイツのジャーナリストで金融専門家のエリスト・ヴァリファ氏は、「パナマ文書」の流出は米情報機関による特別作戦であると述べている。スキャンダルは米国企業には影響がなく、「パナマ文書」の公表により、個人資産家や法人は今後『パナマから、課税から完全に免除されているタックスヘイブンである、米国のネヴァダ州、サウスダコタ州、ワイオミング州、デラウェア州などに資金を移すことになる。パナマにあるとされる約30~40兆ドルの資金を米国に流入させるのが目的で、このような文章流出事件が行われた』と述べている。 

ウィキリークス

ウィキリークス(WikiLeaks)は、特定ではなく、同形式の完全な情報公開を求めている。この要望に対して、調査ジャーナリストの国際コンソーシアム(ICIJ)は、完全な情報公開はしないとしている。しかし、問題はICIJが公表する情報の選別基準にある。公開されている情報は主に、欧米が批判的である、反欧米勢力のロシア、中国、イラン、イラク、エジプト、シリア、ブラジルなどである。ウィキリークスは、ICIJがフォード、ロックフェラーやソロスから資金提供を受けており、プーチ大統領への攻撃は、USAIDとソロスが資金支援している、ロシアを標的とする、組織犯罪汚職摘発報告会(Organized Crime and Corruption Reporting Project: OCCRP)の攻撃作戦であると指摘している。資金はアメリカ合衆国国際開発庁(USAID)とジョージ・ソロスが提供している。USAIDは、経済支援活動と題してCIAは諜報活動を行っていることはよく知られている。ロシアのプーチン政権の政治不安を引き起こすのが目的とされる。 

ガブリエル・ズックスマン

21世紀の資本」のトマ・ピケティとの共同研究でも知られている、「失われた国家の富:タックスヘイブンの経済学」の著者で、カリフォルニア大学バークレーのガブリエル・ズックスマン氏は、アメリカ国籍の個人や法人が少ないのは、パナマでのオフショア法人の必要性はなく、米国の有数のタックヘイブンを利用していると指摘している。実に米国は近年、「新しいスイス」とも呼ばれるほど、タックヘイブンとして有名になっている。パナマが安全でなくなると、米国のタックスヘイブンに資金を移動する個人や法人もでてくる可能性はあるとしている。 

ラモーン・フォンセカ

モサック・フォンセカ法律事務所の創業者の1人である、ラモーン・フォンセカ氏は6日に、社内調査の結果、「パナマ文書」は内部リークではなく、外部によるハッキングによる情報流出であることを訴え、司法長官にしかるべき調査と対応を依頼したことを明らかにした。外部ハッキングであれば、ますます米国関与の疑いが強まる可能性が高い。(引用終わり)

*『高野孟のTHE JOURNAL』より抜粋

 

「パナマ文書」で噴き出したグローバル資本主義の死臭

 

パナマの法律事務所──と言えば聞こえがいいが、実質はタックスヘイブンを利用した「資金洗浄マネー・ロンダリング)」幇助専門のコンサルタント会社──「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な内部文書の衝撃が広がっている。米誌「タイム」の4月4日付電子版は、これが「資本主義の大危機に繋がるかもしれない」という見出しの論説を掲げたが、それを大げさすぎると笑うことは出来ない。

もちろん、世界中の大富豪や大企業・大銀行だけでなく麻薬密輸団やテロリストなどの国際犯罪組織などまでがタックスヘイブンを使って資金を洗浄して脱税したり秘密送金したりして来たのは、今に始まったことではなく、いわゆる「地下経済」の問題の一部としてさんざんに議論されてきた。しかし、今回の一件が特別に深刻なのは……。 

2.6テラバイトの膨大な文書 

第1に、漏出した資料の膨大さである。匿名の告発者から南ドイツ新聞に届けられた文書は、全部で1,150万件、電子データにして2.6テラバイトにのぼる。1977年から2015年末までの40年近くにわたり、モサックの本社及び全世界に35以上もある事務所と20万人/社に及ぶ顧客との間で交わされた480万通の電子メール、100件の画像、210件のPDF文書が含まれていた。2010年にスノーデンが米外交文書などを持ち出してウィキリークスで暴露した時に世界はその膨大さに驚いたのだったが、その量は1.7ギガバイトで、今回の文書はその1,500倍ほどもある。

とても1社では手に負えないと判断した南ドイツ新聞はこれを、ワシントンに本拠を置く「国際調査報道ジャーナリスト連合ICIJ)」に持ち込み、そのコーディネートによって約80カ国の100以上のメディア(日本では朝日新聞と共同通信)から約400人の記者が出て、1年間かけて解析し取材した。ということは、これまでに報じられているのはまだ概略程度にすぎず、今後恐らく1年間かそれ以上にわたってさらなる新事実やディテール他の国際的腐敗事件との関連(例えばスイスと米国の検察当局が捜査中のFIFAの底なし汚職事件でもモサックを通じての資金操作疑惑が浮上して、すでにウルグアイ出身の幹部が辞任した!)などが次から次へと暴かれていくことになろう。 

第2に、モサックの顧客たちの顔ぶれの豪華さ、とりわけ各国の大統領首相閣僚政府高官など政治指導者とその家族・親戚仲間たちの多彩さである。ICIJのウェブサイトではその主だったところを「パワー・プレイヤーズ」というタイトルで似顔絵入りで一覧に供していて「汚職と脱税のための世界首脳サミット」でも開けそうな雰囲気である。……と思っていたら、9日付朝日川柳に一句あり、「サミットはバージン諸島でどうでしょう」と。

パナマ文書 登場人物

似顔絵をクリックすると、それぞれの説明が出て来るので、詳しくは直接参照して頂きたいが、名前と肩書きだけ列挙すると(左上から)

マクリ=アルゼンチン大統領、イヴァニシヴィリ=元ジョージア首相、グンロイグソン=アイスランド首相(すでに辞任)、アラウィ=元イラク副大統領、アリ・アブ・アル・ラゲブ=ヨルダン元首相、ハマド・ビン・ジャーシム・ビン・ジャブル・アル・サーニー=元カタール首相、ハマド・ビン・ハリーファ・アル・サーニー=元カタール首長、サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ=サウジアラビア国王、アフマド・アル・ミルガニ=元スーダン大統領、ハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン=アラブ首長国連邦大統領、ラザレンコ=元ウクライナ首相(米国で服役後、財産差し押さえ)、ポロシェンコ=ウクライナ大統領。

アリエフ=アゼルバイジャン大統領の妻・子・妹、習近平=中国国家主席の義兄、李鵬=元中国首相の娘、プーチン=露大統領の仲間、アサド=シリア大統領のいとこ、キャメロン=英首相の亡父、ムバラク=元エジプト大統領の子、モハメッド4世=元モロッコ国王の秘書、シャリフ=パキスタン首相の子たち、クフオル=元ガーナ大統領の長男、ラザク=マレーシア首相の子、キルヒナー=元アルゼンチン大統領の秘書、ニエト=元メキシコ大統領のお仲間ビジネスマン、カルロス1世=元スペイン国王の姉、バグボ=元コートジボアール大統領のお仲間の銀行家、ズマ=南アフリカ大統領の甥、コンテ=元ギニア共和国大統領の未亡人……。

https://panamapapers.icij.org/

こうやって書き写しているだけで気分が悪くなってくるようなリストである。

この似顔絵リストには出てこないが、英紙ガーディアンの報道によると、北朝鮮の大同信用銀行DCB)」もモサックの顧客で、06年にバージン諸島にフロント企業「DCBファイナンス」を設立し、同国の軍需企業のための資金調達など秘密の金融工作に当たっていた。DCB13年以降、米国の制裁対象に指定されている。

ICIJによると、文書に出て来る政治家や政府高官は140人に上る。幸いと言うべきか、これまでのところ日本の政治家の名は出て来ていないが、経済界では、セコムの創業者の飯田亮と故戸田寿一=両最高顧問が大量の自社株をバージン諸島に移して管理する仕組みを作って、個人の持ち株を小さく見せかける操作を行っていた。他に福岡県のトレーダーや兵庫県の男性など400人ほどの名もあるらしい。 

「1%ワールド」への反感 

この一件が尋常なことでは済まないだろうと思わせる第3の要因は、米大統領選でのトランプ&サンダース現象をはじめ世界中で新しい格差と貧困への怒りが広がっている中で勃発したというタイミングの悪さである

上掲「タイム」誌論説の著者ラナ・フォルーハーは、この問題が米大統領選の焦点と直結していると感じている。

有権者は感覚レベルで、グローバル資本主義のシステムは「99%の人々」ではなく主に「1%の人々」の役に立っていただけだと分かっている。それがサンダーズとトランプが健闘を続けてきた大きな理由で、なぜなら彼ら2人は、別々の方法ではあるけれども、その真相をさらけ出しているからである。

パナマ文書は、グローバル化が「1%の人々」(それが個人であれ企業であれ)の資本や資産がどこへでも自由に移動出来るようにしているだけで、「99%の人々」はそんなことは出来ない。その結末は、グローバルな脱税の横行と雇用の海外流出であり、エリートは国民国家とそこで暮らす納税者が抱える様々な問題を3万5,000フィートの上空から見下しながら空を飛ぶ。

どうすればいいのだろうか。私が思うに、市場システムがいかに役に立つのか立たないのかを再評価するという根本まで立ち返らざるを得ない。自由貿易についての議論、脱税に対するグローバルなキャンペーン、金融資本の自由な移動に対する厳しい監視、等々。

行動経済学者のピ-ター・アトウォーターは言う。「金融・企業・政治のエリートの刹那性に有権者はますます怒っている。1%の人々はどこへでも移動することが出来て、その移動から大きな利益が生まれる。しかし99%の人々にそれは出来ない。もっと悪いことに、99%の人々はさびれたデトロイトの空きビルや、ウェスト・ヴァージニアの化学プラントの有毒廃棄物や、プエルトリコの到底持続不能な税負担義務といった廃墟の中に取り残されているのだ」と。 

こうしたことを解決するには「成長」とは何かを問わなければならないが、それは米国はじめ豊かな国々にとってのみの問題なのではない。最近の研究では、モサックのような金融操作によって途上国経済は0413年に7兆8,000億ドルもの損失を被っている。さらに、不法な金融取引は年率6.5%、世界GDPの2倍の勢いで伸びている……。 

世界資本主義は行き詰まった 

トランプ&サンダーズ現象が笑えないのはまさにここである。水野和夫が言うように、資本主義は(少なくとも原理的には)終わった(『資本主義の終焉と歴史の危機』、集英社新書、14年刊)。資本主義の根本原理は利潤率の増大であり、その資本主義が地球上のありとあらゆる辺境を食い尽くして、なお引き続き利潤率を確保しなければならなくなった時に何をしたかと言えば、自国の中間層の食いつぶしである。

辺境があった時代には、そこから得た利潤の一部を国内に環流させて自国の労働者を「中間層」として育て、そこそこ経済的にいい思いをさせながら政治的にも懐柔することが出来た。ところが資本はその本性として凶暴で、外がダメなら内を平気で食い尽くす。それが、米欧日の先進国で共通して「豊かさ」の中の格差と貧困が広がっている根本原因である。

ところがその時に、1%の人々は、自国の中間層以下の99%の人々の苦しみなど歯牙にもかけず、3万5,000フィートの上空をプライベート機かファースト・クラスの座席で高級ワインなど舐めながら、地上の貧民どもをあざ笑っているわけである。

注目すべきことに、ほとんどの場合、これらの政治家や独裁者や大富豪たちは、自分でモサックに電話をかけてトンネル会社の設立を依頼しているわけではない。彼らが隠し財産を預けている巨大銀行や運用を委ねているコンサルティング会社が「顧客サービス」の一環としてモサックを紹介し、脱税や資金洗浄を指南しているのである。パナマ文書には欧州系を中心に500もの金融機関がモサックを通じて1万5,600社のトンネル会社の設立に寄与している様が描かれている。そのうち最も上位の10行とそれが設立を手伝ったトンネル会社の数は次の通りである(ICIJ資料)。

エクスペルタ・コーポレート&トラスト(ルクセンブルク) 1,659
J
・サフラ・サラシン(ルクセンブルク) 963
クレディ・スイス系(英領チャネル諸島) 918
HSBC
系(モナコ) 778
HSBC
系(スイス) 733
UBS
(スイス) 579
クーツ系 (英領チャネル諸島) 487
ソシエテ・ジェネラル系(ルクセンブルク) 465
ランズバンキ(ルクセンブルク) 404
ロスチャイルド系(英領チャネル諸島) 378 

もちろん、タックスヘイヴンを利用すること自体は「今のところ違法ではないし、そこに移される資金のすべてが犯罪がらみという訳でもない。しかし、タックスヘイヴンとは「租税回避地」のことであり、それを利用する全ての人が他人に知られたくない財産を持っていて、自国で税金を払いたくないと思っている「非愛国者」であることは間違いない。各国の最高指導者が率先して脱税もしくは避税したがって、妻や子や親戚や秘書やお仲間を使ってあの手この手でモサックに頼るという餓鬼道地獄に墜ちていく。その手引きをしているのが国際的に名の知れた巨大銀行であり、その意味でグローバル資本主義はすでにその中枢部から腐り始めているのである。

ちなみに、モサックが顧客の依頼に応じて設立したトンネル会社をどこに置いたかを見ると(INSIDER No.832「パナマ文書」のきらびやかな政治家リスト)http://bmimg.nicovideo.jp/image/ch711/372355/4d6b5a36ad85fb2b6d0044d6709ff808a67f7199.jpg

、香港が2,212社で最多で、以下、英国、スイス、米国、パナマ、グアテマラ、ルクセンブルク、ブラジル、エクアドル、ウルグアイがトップ10である。資本主義はブラック・ホールだらけである。 

一服の解毒剤としてのムヒカ 

この資本主義が放つ腐臭で卒倒しないようにするには、解毒剤が必要だろう。この騒動の最中に、たまたま来日したのが「世界で最も貧しい大統領と言われたホセ・ヒムカ=前ウルグアイ大統領で、彼は2012年にブラジルで開催された「国連持続可能な開発会議」で人類がグローバル資本主義を超えて生きるべき道を説いて有名になった。その演説は日本でも書籍や絵本として出版され、とくに絵本は16万部も売れるロングセラーとなった。その絵本の出版社の招きで初来日したもので、各地で講演したりインタビューを受けたりした後、広島を訪れる予定である。

その有名な演説を今更紹介するのも気が引けるが、要旨はこうだ(英語版からの本誌抄訳)。 

質問をさせてください。ドイツ人が1世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てば、この惑星はどうなるのでしょうか。息をするための酸素がどれくらい残るのでしょうか。別の言い方をすると、西洋の豊かな社会と同じ傲慢な消費を世界の70億~80億人の人ができるほどの資源がこの地球にあるのでしょうか。 


市場経済の子供、資本主義の子供である私たちが、この無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです。私たちがグローバリゼーションをコントロールしているでしょうか。それともグローバリゼーションが私たちをコントロールしているのでしょうか。このような残酷な競争で成り立つ消費社会で「みんなの世界を良くしていこう」というような共存共栄のための議論はできるのでしょうか。我々の前に立つ巨大な危機の原因は環境危機ではありません、政治的な危機の問題なのです。

私たちは発展するために生まれてきたわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。にもかかわらず多くの人々が高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しています。消費が社会を駆動する世界では、私たちは消費をひたすら早く多くしなくてはなりません。消費が止まれば経済が麻痺し、経済が麻痺すれば不況のお化けが現れるのです。

このハイパー消費を続けるには商品の寿命を縮め、できるだけ多く売らなければなりません。10万時間保つ電球を作れるのに、1,000時間しか保たない電球しか売ってはいけない社会にいるのです。人々がもっと働いて、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです。悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか。これはまぎれもなく政治の問題であり、私たち首脳は別の解決の道に世界を導かなければなりません。

昔の賢者たちは言っています。「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」と。これがこの議論の文化的なキーポイントです。根本的な問題は私たち作り出した社会モデルであり生活スタイルなのです。

私の国には300万人ほどの国民しかいません。しかし、世界でもっとも美味しい1,300万頭の牛がいて、羊も1,000万頭ほどいます。私の国は食べ物の輸出国です。私の同志である労働者たちは、8時間労働を獲得するために戦い、そして今では6時間労働を獲得した人もいます。しかしその人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。なぜかと言えば、バイクや車などのローンの支払いに追われているからです。毎月、2倍も働いてローンを払っているうちに、いつしか私のような老人になっている。幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎていくの
です。

これが人類の運命なのでしょうか。私の言っていることはとても単純で、発展は幸福を阻害するものであってはならず、人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達に恵まれること、そして必要最低限のものを持つこと。こうしたものをもたらすような発展でなければなりません。幸福が私たちのもっとも大切なものだからです……。 


パナマ文書に名指された首脳たちは、それこそバージン諸島に集まってヒムカの本の読書会でも開いたらどうか。チューターは、そう、バーニー・サンダースでしょう。(引用終わり) 


高野孟(ジャーナリスト)
早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。『インサイダー』編集長。2002年より早稲田大学客員教授。サイバー大学客員教授。東アジア共同体研究所理事。千葉県鴨川市在住。


311から5年、今、日本で何が起きているのか

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3月 152016

マスコミが意図的に無視しているので、もう忘れている方も多いと思うので、改めて、東日本大震災の地震がかなり不思議な地震であったことを指摘しておきたい。

おそらく、真相は長い歴史の中でいずれ明らかになっていくのだろうが、ネットも見てもわかるように大きな嘘が秘められていることを多くの人が何となく感じ取っているようである。当時、行われた計画停電が暗い世相を演出していたが、本当に必要だったのかどうか、甚だ疑問のところである。その後、数年にわたって全原発が止まっていたにも関わらず電気不足は生じなかったのだから、停電させたのは、<原発がなければこうなるんだ>と、いう原子力村の脅しだったと判断すべきであろう。その後、行われた放射能汚染除染には大変な費用がかかったが、これらが大きな利権になっていったことも忘れてはならない。いろいろ勉強してみると、すでに放射能を著しく下げる技術は色々なものが存在し、何も除染というあまりにお金と時間がかかる原始的な方法に固執する必要もないようである。

また、あの地震自体も本当に不思議な地震であった。まず、震度9ということに途中で過大、訂正されたのだが、本当に震度9もあったのか、疑問だと多くの人が指摘している。理由は、当時の生き残られた方が多くの動画を残していて、その動画のどれを見ても、数千年に一度の地震には見えない点にある。たしかに被害は甚大だったが、それは津波の被害であって、地震の揺れそのものではない。どの動画に映っている光景を見ても、建物の被害が本当に少ない。ほとんど破壊されていない町に津波が襲ったように見える。さらに地震学者が声をそろえて言った大変珍しい3連発、もしくは5連発の震源、その後、こうした内容がマスコミ記事から見事に消されているのもあまりに不可思議である。以前レポートでも指摘したが、アメリカのやらせが、ロシアのプーチン大統領によって明らかになりつつある2001年の911事件に似た雰囲気があることも私たちは頭の片隅入れておくべきなのかもしれない。

東日本大地震 五連発


<京都大学の川辺秀憲先生の分析>

川辺氏によれば、この震源域にてM7およびM8クラスの地震が5回連続して起きた、しかも1回目から2回目の間隔が35秒、その後、3回目、4回目、5回目と震源が20秒おきに南方に移動している


「連続して3回の巨大地震だった。極めて稀。少なくとも初めて。気象庁は13日午後に記者会見を開き、11日午後2時46分に発生した三陸沖を震源とする東日本巨大地震の規模を示すマグニチュード(M)を8.8 から9.0に再修正したと発表した。「震源域で地盤の巨大な破壊が3つ連続して発生しており、3つを合わせて規模を再計算した」という。日本の観測史上最大規模。巨大地震の規模マグニチュードを8.8から9.0に再修正したと発表する気象庁の担当者。 同庁は地震の波形を詳細に解析。その結果、最初の巨大な破壊の後に、第2、第3の巨大­な破壊が連続して起こり、特殊な地震波になっていた。こうした複雑な破壊は「極めてまれ」としている。」(下記の気象庁の会見内容)


以下で当時の気象庁の記者会見を見ることができる。

https://www.youtube.com/watch?v=r8j1QGs_2X0東日本大震災 気象庁発表

それでは、海外メディアが311から五年経過したフクシマ原発の事故をどう、報道しているかを紹介したい。

その前に日本のマスコミはほとんど報道しないが、日本は現在も「原子力緊急事態宣言発令中」であり、フクシマ第一の原子炉は炉心溶融、メルトアウトしていて現在も放射性物質を大気に放出している厳然たる事実を頭にいれておいていただきたい。福島県のホームページにもはっきりと1号機・2号機・3号機「炉心溶融」と書いてある。以下。https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16025c/genan10.html

フクシマ原発現状

それではまず、ロイターの記事から

<福島原発の「グラウンド・ゼロ」、廃炉への長い道> 20160311

 

福島第1原発の原子炉で、溶融した高放射能核燃料を発見するべく送り込まれたロボットは「息絶えて」しまった。地下水の汚染防止をめざして、破壊された原発の周囲を囲む地下の「凍土壁」はいまだ完成していない。

そして、原発の敷地の周囲に増え続ける一方のタンクに貯蔵された高濃度汚染水をどう処理すればいいのか、関係当局は依然として途方に暮れている。

5年前、史上最大級の地震による10メートルの津波が福島第1原子力発電所を襲い、複数の原子炉が炉心溶融(メルトダウン)を起こした。東日本大震災による死者・行方不明者は約1万8500人、関連死を含めると犠牲者は2万1000人を超える。16万人が住居と生計の手段を失った。

現在も福島第1原発の放射線は依然として非常に強く、炉内に人間が入って、非常に危険性の高い溶融した燃料棒の塊を発見・除去することは不可能な状態だ。

福島原発を運営する東京電力(9501.T)は、損傷した建屋から数百本の使用済み核燃料を撤去するなど、ある程度の前進を見せている。だが、同発電所内の他の3基の原子炉で溶融した燃料棒の場所を確定するために必要な技術はまだ開発されていない。原発の内部にアクセスすることは非常に難しいと、東電で廃炉事業を指揮する増田尚宏氏は、ロイターとのインタビューで語った。最大の障害は放射線だという。

A Tokyo Electric Power Co. employee measures radiation level of 213 microsievert per hour in front of the No. 2 and No. 3 reactor buildings at TEPCO's tsunami-crippled Fukushima Daiichi nuclear power plant in Okuma town

溶融した燃料棒は原子炉内の格納容器を突き抜け、現在の正確な場所は誰にも分からない。原子炉のこの部分は人間にとって非常に危険である。そこで東電では、溶融した燃料棒を探すために、水中での移動が可能で、損傷したダクトや配管のなかで障害物を乗り越えることのできるロボットの開発に取り組んできた。 

だが、ロボットが原子炉に近づくやいなや放射線によって回路が破壊されて役立たずになってしまい、進捗が大幅に遅れていると増田氏は述べている。

ロボットは各々の建屋に合わせてカスタマイズしなければならない。単機能のロボットを開発するだけでも2年はかかると同氏は語る。 

<増え続ける汚染水> 

事故対応を厳しく批判された東電は、30年前のチェルノブイリ原発(ウクライナ)以来最悪な原発災害現場となった福島第1原発の状況は劇的に改善されていると指摘。敷地内の多くの場所の放射線レベルは、現在では東京都内と変わらないという。

最近の視察に参加した政府当局者によれば、福島第1原発では現在、8000名以上の作業員が働いている。瓦礫の撤去、貯蔵タンクの建設、配管の設置、発電所の部分的撤去の準備など、各所に別れて作業しているため、敷地内では作業員が頻繁に行き交っている。

作業の多くは、損傷し、高レベルの放射線に汚染された原子炉を冷却するための注水に関連している。その後、放射性物質を含む水は原子炉から汲み出され、敷地周辺で増殖しつつあるタンクに貯蔵される。

福島第1原発の小野明所長によれば、100万トン近い汚染水をどう処理するかが、最大の課題の1つだという。

小野所長は、貯蔵タンクから海洋への汚染水漏れに、深い懸念を抱いているという。汚染水の漏えいはこれまでにも数回発生し、政府に対する強い批判を引き起こしている。「ある意味、前回と同じような津波が来るとか、竜巻が起こるとかいうことよりも、確率的には(汚染水漏れは)非常に起こりうること」と小野所長は警戒する。 

東電はこれまでのところ、処理済み汚染水の海洋放出について地元漁業関係者の同意を得られずにいる。小野所長は、東電による事故処理作業は約10%完了したと推定している。廃炉プロセスには30─40年かかる可能性がある。だが専門家によれば、東電が燃料の位置を特定できないあいだは、進捗状況や最終的な廃炉費用を評価することはできないという。

廃炉事業を指揮する増田氏は、少量の放射性物質が海洋に到達した可能性を否定しないものの、原子炉近くの海岸側に海底よりも低い深度に至る遮水壁を築いた後は、汚染水の漏えいは止まっていると話す。 

「絶対にゼロだと言うつもりはないが、この遮水壁によって、漏えいする汚染水の量は劇的に低下した」と彼は言う。Aaron Sheldrick記者、舩越みなみ記者)(翻訳:エァクレーレン)(引用終わり)

要するに廃炉の見通しすら立っていないのである。

次は「ロシアの国営広報スプトーニク」から、以下。

<福島のドキュメンタリー映画監督、「福島の死亡者の数には言葉を失う」>

東日本大震災 津波

http://jp.sputniknews.com/japan/20160311/1762818.html#ixzz42mbpSSef

20160311

5年前の今日、3月11日、日本で過去20年で、最大の原子力災害が起きた。これにより避難を余儀なくされた人の数は16万人を超える。福島原発事故後の状況を撮影したドキュメンタリー映画監督のジェフリー・ジョナサン氏は

RTテレビからの取材に答えた中で、日本政府は地元の女性たちに対し、「何も起こらなかった」と信じ込ませようとしていると語っている。

津波震災者 追悼式典

(日本、地震・津波被災者の追悼式典)

ジェフリー・ジョナサン氏は1990年から日本在住。ドキュメンタリー映画監督で主な作品には「福島の女たち」がある。

ジョナサン氏は「福島の悲劇で亡くなった人の数には言葉を失う。それに福島の状況も未だに危機的で市民は自宅に戻ることもできず、農民は作業を続けることができない。なぜなら誰も福島の生産物を買おうとしないからだ」と語る。

放射能による犠牲者の数は依然として確定されておらず、福島周辺の住民の10%が未だに仮設住宅暮らしを迫られている。

「今、市民はだんだんと元の暮らしを離れ始め、地元共同体もだんだんと縮小しつつある。福島周辺では場所によっては全く人気がなく、生産も学校も全く機能していない。」

(終わり)

短い作品なので、フクシマの女性の悲痛な叫びを是非、聞いていただきたい。

「フクシマの女たち」Paul Johannessen

フクシマの女たち

https://vimeo.com/52808567

次に元スイス大使村田光平氏がスペインの代表的な日刊紙エルムンドの記事をブログに載せているので紹介する。以下。

Las secuelas de Fukushima, cinco años después de la catástrofe07/03/2016

(仮訳)

「フクシマの傷跡、あの災厄から5年」

 

瀬川牧子 郡山(日本)  2016年3月7日 

「あの災害が起こったとき、私はこの町を捨てることができませんでした。いま私は娘の鼻血を心配しています。咽頭にできたのう胞の一種だと診断されています。泣くときに呼吸がうまくできないほど痛がるのです」。マキコは6歳の娘を持つ母親で、福島原発から50キロメートル北にある郡山市に住むが、娘を苦しめ続ける健康上の問題を語るときには絶望的になるのだ。

マキコの証言は、郡山であの核の災厄の後遺症に苦しむ子供を持つ母親たちへの経済的・精神的な援助を行うNGOを立ち上げた日本キリスト教協議会の牧師カワカミ・ナオヤが毎日のように聞いている、多くの証言の一つにすぎない。福島原子力発電所を襲った津波から5年経ち、カワカミは、甲状腺癌、鼻血、頭痛、腫れ物、眼球陥没、血便など、放射能の恐ろしい影響を被り苦しみ続けているおよそ600人の子供たちについてのレポートを公表した。 

去る2月のある朝、記者はカワカミとともに、福島の母親たちと呼ばれるグループの集まりに参加した。10畳敷きほどの小さな部屋は、木のおもちゃにあふれ小さなピアノが置かれてあり、そこにこの40を過ぎたばかりの牧師の柔和な落ち着いた声が響いた。彼の前には、30過ぎや40台やより年上の5、6人の女性たちが座っていたが、カワカミの語る話を聞きながらその表情を緩めていった。彼女たちはみな、5年間の困窮と苦痛の当然の結果として、硬直し緊張しているように見えていたのだ。 

「あの事故が起こったとき、私の息子は放課後のブラスバンドのクラブ活動に参加していました。彼は激しい鼻血に苦しんで、ティッシュペーパーの一箱を使いきるほどでした。いまは学校に歩いていくときに鼻血を出します。その鼻血があまりにひどいので、私はブラスバンド部の退部を願い出ました。」と、郡山で13歳の息子を持つ母親のマキコは嘆く。また一方で、6歳の娘を持つ母親のユキエは「2012年以来、私の娘は奇妙な皮膚の病気に悩み始めました。皮膚が赤くそして黒く変わっていきます。同時にひりひりと痛むのです。それが現われたり消えたりします。」と語る。 

これらの女性たちは子供たちのことを説明するたびに涙がほおを伝う。長い間ずっと我慢したまり続けてきた涙が、この牧師の前に座ることで与えられた安心感のおかげで、静かに、音も無く流れ落ちる。「あの災害の間、夫は私が娘と一緒にこの街から逃げることを許してくれませんでした。いま、娘にはのう胞ができ、私にはのう胞と甲状腺癌を持っています」。8歳の娘を持つ母親のユウコはこのように語る。 

子供の癌の急増

2014年と15年に実施された甲状腺機能に関する第1回と第2回の公式追跡調査の結果によれば、福島県内のすべての都市の中で郡山は、甲状腺癌を持つ、あるいはその疑いのある子どもの人口が最も多い所である。福島県立医科大学は年ごとにそれぞれの地域で甲状腺癌の発生を研究しており、先の12月末に郡山で新たに16件の発生を確認し、それによって癌を患う子供の数が115人にまで増えた。これらの患者たちは、あの災厄が発生したときに6歳から18歳の間の年齢だったのだ。

大学と福島県庁は2月15日に「県民健康調査」検討委員会が最新の分析結果を発表する目的で開催したある会議で、そのように公表した。にもかかわらず、当局者たちは原発事故と癌発生との関係性を否定するのだ。実際に、検討委員会の座長である星北斗は、その情報のデータを示した後で、「今の段階では、放射能と甲状腺癌罹患との間に関係性は認められない」と断言したのである。 

2月15日の会議には約60家族の被災者も出席していたが、しかしここでもまた、当局者たちによって全く無視されたように感じた。「会議の間、福島の母親たちは、ただの1回たりとも医者たちに質問することを許されなかったのです。ただ政府寄りの主要な日本の報道メディアにだけ、その権利が与えられました。日本の政府とメディアは私達を無視し私達を侮辱するのです!」福島に住む5人の子供の母親である64歳のサトウ・サチコは、会議の後で激しい怒りをぶちまけた。

原発事故の後、サチコは25歳の長男を除く子供たちを、福島から160キロメートル離れた山形県に避難させようと決意した。3月11日まで彼女は川俣町で自給自足の自然農園で生活していた。40キロメートル離れた山間地である。しかし、放射能への恐怖のためにその地を捨てて、同じ町の精神障害を持つ人たちのためのNGOを運営している。 

母親たちの孤立無援 

「福島の母親たち」の孤立無援さはすべての面にわたる。権威者たちが彼女らの声を聞いたことはなく、公的にはそれは存在しない、あるいはとるに足らないものと見なされている。「その状況は極端なまでに耐えがたいものです。誰一人助ける者はいないと感じてしまいます。」このように、カワカミ牧師は嘆く。彼はあの災厄の後6か月たってからこれらの女性たちへの援助を始めた。2011年の9月である。 

「私は、県庁のある責任者がこれらの女性の一人に対して激怒し、次のように非難するのを聞いたことがあります。『母親であるお前が放射能をあんまり怖がっているから、お前の息子が放射能に負けたんだ!』と。」 

郡山市はこの地域の重要な商業の中心地であり、現在34万人の人口を持つ。この5年間に化学工業の分野で成長を遂げており、政府が後押しする「福島再建キャンペーン」の公式な呼びかけは、2015年の2月から、約6600人の住民を市に呼びもどすとしている。同時にまた、そこは企業によって東京から派遣される社員を非常に多く抱える都市でもある。そこに日本の代表的な企業の工場と支社が数多くあるからだ。東京の中心にある駅から新幹線でわずか1時間で到着できる。一見したところ、近代的なビル、先進的な商店、大きな街路と、首都圏の地域にある他の都市と異なるところは何もない。市の外見を前にすると、誰でも放射能のことなど忘れてしまう。実際のところは、ここは日本で最も甲状腺癌が多く発生している都市なのだ。 

我々が郡山を訪れた日、地元紙である福島民報の金曜日トップの見出しは次であった。「福島の繁栄に微笑み」。2ページにわたる記事は、何よりもまず、県にある全ての都市の食品とグルメの世界に関連するあらゆるタイプの活動が載せられていた。郡山については「郡山市の美味に満ちた華やかな祭り」と書かれていた。

「この記事は許すことができない!堪忍できません!」ノグチ・トキコは怒りの告発をする。彼女は51歳の母親だが、その長男は現在11歳であり、あの核災害の直後に全ての髪の毛が抜け落ちてしまった。しかし実際のところは、日本の大部分の報道メディアは政府の公式な見解を擁護しているのだ。それによれば、癌の発生の増加とあの核の災厄との間に何の関係も認められない、というのである。  

あるジャーナリストの不可解な自殺 

福島での災害で被害を受ける子供たちについて本気で真実を調査しようと試みた数少ない日本のジャーナリストに、朝日テレビ放送局の岩路真樹がいた。しかしながら彼の仕事は断ち切られてしまった。自宅での練炭の排気の吸引による自殺とされる、彼自身の死によってである。真樹は、甲状腺癌を患う子供たちの母親へのインタビュー・ビデオの放映を決行した日本で初めてのTVジャーナリストだったのだ。トキコのような郡山市の母親たちは、温かく真摯な性格の真樹に対する熱い思いを込めて振り返る。「彼はすばらしい温厚で正直なジャーナリスト、心を開いてくれる人でした。当時6歳だった甲状腺癌を患う男の子の所在を突きとめようとしていたのです。その小学校の管理職と話をつけてその学校を訪問しようとしていました。でも彼は私に、その学校の管理職たちが『生徒の誰一人として扁桃腺の手術すら受けたことなどない』と言い逃れしてその生徒の存在を否定した、と言いました。」 

カワカミ牧師のNGOに集まる母親のほとんどは臨時雇いの仕事をしているか家庭の主婦である。毎日、放射能を恐れて福島県産以外の野菜と水と米を買っており、そして、近所の人々や自分自身の親族からの彼女たちに対して投げかけられる非難に立ち向かうのに、多くのエネルギーを費やしている。福島の学校が「地元の食品を食べよう」というスローガンのもとに地域の野菜や米を給食で使い始めたことに注意を向けなければならない。

しかし、母親たちが自分の子供たちを守るためにどれほど一生懸命になろうとも、巨大な圧力と反発に耐え忍ばねばならない。とりわけ最も身近にいる夫や両親たちからのものだ。実際にこれらの女性たちの大多数は、夫との夫婦関係が悪化したと告白する。その恐れと心配を話せば話すほど、配偶者との摩擦はどんどん激しくなるのだ。 

夫婦間の軋轢 

「夫は全く私を助けてくれません。日本の政府やマスコミが言うことを盲目的に信じて実行するタイプの男なんです。他人が事実を示してどれほど説得に努めても、全く目もくれません。自分自身が目で見て五感で分かったことですら信用しようとしないのです。ものすごく石頭でものすごく頑固です。ご主人と一緒にここを離れることのできた友人がうらやましいです。そのご主人は自分の妻の心配を理解して移住を受け入れました。この市で新しいマンションを買ったばかりだったのですが。」41歳のムロイ・ユウコはこのようにこぼす。

ユウコばかりではなく、他の母親たちのほぼ全員もまた牧師に、夫たちとの関係の悪化を涙ながらに説明する。その原因は、放射能の影響を受ける郡山のような地域でどのように子供たちを育てるのかについての食い違いなのだ。 

「あの災害以来、大変な量の夫婦間の問題を抱えたご夫婦のことを、ものすごい数で耳にしてきました。妻と夫の間に大きな考え方の違いがあるように思います。その中の何組かはついに離婚しました。」こう語るカワカミは悲しみの表情を浮かべた。 

「その最近の例ですが」と牧師は述べる。「ちょっと前にその女性たちの一人が私に言いました。『牧師さん。私、とうとう離婚を決意しました。夫の一言が原因です。』彼女が言うには、その夫は、息子が自分の目の前でひどい鼻血のために気を失って床に倒れたのを見て、こう言ったのです。『何でもない、何でもない。放射能が原因じゃないんだ』と。」 

しかし母親たちの多くは、子供たちの健康を案じながらも、離婚にまで思いきることができないため夫と共に過ごすことを選択している。ユウコには発達障害を抱える8歳の娘がいるが、福島原発の爆発の後で夫に他の町に行って生きたいという希望を語ったときに、夫が彼女に言った言葉を決して忘れないだろう。「行きたいなら行ってしまえ。お前一人で出て行け。娘はここに残る」。目に涙を浮かべながらユウコは、5年経ったいま、住む町を変えるという考えを棄てたことを認めて次のように述べた。「もし離婚することができたのならそうしたでしょう。でも、それはできません。もし私が、小さい体の娘と一緒に私だけで見知らぬ場所に引っ越しするなら、生きていけるとは思えません。」

政府も、福島原発に責任を負う東京電力も、この地域を出ていきたいと望むこれらの女性たちに対して、何一つ補償を与えようとはしない。事故を起こした発電所から半径20キロメートル以内に位置する集落にあるような、放射能による明らかで目に見える被害が無いからなのだ。カワカミのようなボランティアグループが提供するわずかな援助を除いて、「福島の母親たち」は助けになるものを何も持っていない。「いまとなっては」と牧師は嘆く。「これらの哀れな女性たちがどれほど大声を出しても無駄なのです。『私の息子の鼻血が』といくら叫んでも、人々は無視して言うのです。『それがどうした?』と。」 

<編集後記>

私の住むスペインも恐ろしい国なのだが、その凶悪さとデタラメさがあからさまになる。マスコミはそれを書きたて、人々はてんでに公然と大声を上げる。怒りや願望が爆発して、何十万、百万を超えるデモ隊で街があふれる。もちろんこの国にも、311マドリッド列車爆破事件の原因のような、タブーはある。しかし多くの場合、国家を動かす者たちの愚かさや凶暴さや誤魔化しがむき出しにされ、民衆のむき出しの怒りがそれに向けられる。日本のような「みんなの絆」で周囲から包み込まれるような閉塞感は無い。

訳文中に、目の前で起こる明白な事実を見てすら、国や学者たちの言うことを盲目的に信じ込み、その事実と放射能との関係に対する疑いを持とうとしない夫たちの姿が描かれている。かつてドイツの悪党ヒトラーは、その著作「わが闘争」で次のようなことを述べたそうだ。『…素朴なために、人々は、小さな嘘よりも、デマ宣伝の犠牲になりやすいのだ。彼等自身些細なことで、小さな嘘をつくことは多いが、大規模な嘘をつくのは気が引けるのだ。彼等は壮大な嘘をでっちあげることなど決して思いもよらず、他の人々がそれほど厚かましいとは信じられないのだ。たとえそうであることを証明する事実が、自分にとって明らかになっても、彼等は依然、疑い、何か他の説明があるだろうと考え続けるのだ。』

確かに、世界中のどこでも、人々は素朴であるがゆえに愚かで盲目的なのだろう。しかし、この福島、そして日本の場合にはそこにもう一つの要素があるように思えてくる。その夫たちも、心の奥底のどこかに「これは放射能の影響ではないのか」という疑念を持っているのではないか。しかし、それを口や態度に表わすことによって、仕事を失い社会的立場を失い、場合によっては(あのTVリポーターのように)命を失うかもしれない恐怖感がそれを包み込み覆い隠している、というような…。 

そしてその疑念を強める事実を目の前にするとき、一方の恐怖感もますます膨らみ、より強くその疑いを否定する。ビンの中身が溢れそうになればより強く巨大な蓋で抑えつけなければならない。こうして、その否定の態度はますますかたくなになっていく。いま、福島と日本を覆っているウルトラ楽観的な外見は、そのような膨れ上がる恐怖感の、単純な裏返しなのかもしれない。 

こういったタブーと恐怖による心理的な拘束は、昔から日本の全体主義の特徴になっているのだろう。この国では、全体主義は単に上から押し付けられるものではなく、同時に下から、民衆の心の内から現われてくる。自分を規制する精神の乏しいラテンの国に住みなれると、そのような、自分が去った国と国民の特性が改めて感じられてくる。この記事を掲載したエルムンド紙の編集者は、いったいどんな思いでこの国を眺めているのだろうか。 

いま欧州のマスコミでは、政府に批判的なジャーナリズムを弾圧するトルコに対してのキャンペーンが開始されつつある。テロ支援と石油の略奪を続けながら「難民問題」を利用して欧州を脅迫し巻き上げようとするトルコ政府に、ちょっとでも対抗したいと思っているのだろう。日本では、トルコに対してはどうか知らないが、シリアやイランやロシアでのジャーナリズム抑圧に抗議する人々や集団があるようだ。しかしその前に、自分の国のジャーナリズムの実態に対して声を上げることはないのだろうか。

しかし、結局はその人たちも、この訳文の中に登場する夫たちと一緒なのかもしれない。カナリアは死んで、そして人々は何事も無かったかのようににこやかな外見で坑道に降りていく。しかし、その足下にいる妻子たちの苦痛と嘆きを照らす光はあまりに乏しい。内からでは難しいのなら、外からでも良い。もっと光を当ててほしい。その意味で、わずかな分量かもしれないが、このエル・ムンド紙に載せられた記事が、いずれ大きな光源になっていくことを願わざるを得ない。(引用終わり)

311から五年、日本人、一人一人が現実を直視する勇気を持つことを求められている。

*参考資料

地上波のテレビで深夜とは言え、初めて放送された専門医師の「これは静かなる殺人ですよ」の発言の放映。<放射能_科学は放射線の影響にどこまで迫れるのか?>(20160314)しかも放送局はあの原発の父、正力松太郎がつくった日本テレビ、福井地裁の高浜原発再稼働差し止め 仮処分の決定を見てもわかるように確実に少しずつだが、世の中は変わり始めている。 

*お時間のある方は、以下で視聴可能。

http://www.dailymotion.com/video/x3xkpox


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