今から5年前の2010年8月のお盆前、書店で手にしてほとんど立ち読みしてしまった本がある。広瀬 隆氏の「原子炉時限爆弾~大地震におびえる日本列島~」という本である。熱心な広瀬氏の読者ではなかったが、ロスチャイルド家を分析した「赤い楯」、「億万長者はハリウッドを殺す」等の本はもちろん、読んでいた。彼の提供する視点は、大変興味深いものであった。しかし、所詮、私にとってはあまりにも遠い話にしか感じることができなかったのも事実だ。だから、その時も日本という地震列島に設置された原発は時限爆弾のように危険なものだという、広瀬氏の警告を時代の空気に染まり、弛緩しきった私の脳髄は、真剣に受け止めることができなかった。そして、2011年3月11日、東日本大震災が起こり、広瀬氏が警告した通りに日本の原発が大事故を起こしたのであった。
その意味で、今回、彼が集大成として出版した「東京が壊滅する日~フクシマと日本の運命」という本は真剣に受け止めざるを得ないものだ。2011年以降、数十冊の原発、原子力関係の本を読んだが、政府、東京電力の発表には、あまりにも嘘が多いことは間違いないところだ。おそらく、日本のトップ官僚は、2500年前の論語を読むエリート感覚で「民これに由らしめるべし これ知らしめるべからず。」、と考えているのだろう。
もう一つ、私たちが知ってくべき事は、参考資料を英文で添付しておくが、2011年3月下旬、首相官邸は「首都圏3千万人避難計画」を本気で検討していたという事実である。そして現在もオリンピック騒ぎに隠されているが、フクシマ第一に関して根本的な対策は実際には、何一つされていないことも私たちは決して忘れてはならないだろう。
その意味で一人一人が真摯に受け止めるべき本である。
*ダイヤモンドオンラインよりhttp://diamond.jp/articles/-/76417
タイムリミットは1年しかない!
戦後70年の「不都合な真実」とは?
――広瀬隆×坪井賢一(ダイヤモンド社論説委員)対談
このたび、壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が第4刷となった。一般書店だけでなく、Amazon.co.jpの総合ランキングでも上位にランクインし、全国的に大きな話題となっている。新著で「タイムリミットはあと1年しかない」と、身の毛もよだつ予言をした著者が、原発問題に詳しいダイヤモンド社論説委員の坪井賢一と対談。
戦後70年の終戦記念日に緊急警告する!
広瀬 隆1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。
「戦後70年の不都合な真実」と安倍晋三の系図
広瀬 今日は2015年8月15日ですので、みなさんは「終戦記念日」だとしか思っていませんよね。もしかしたら、「終戦記念日」ということすら忘れている人がいるかもしれません。1945年8月14日――日本がこの日にポツダム宣言の受諾を連合国に伝えて無条件降伏し、8月15日が終戦記念日となりました。でも、これは日本人の記念日です。アメリカ・ヨーロッパの軍需財閥にとって、8月15日は格別深い意味を持つ日ではなかったのです。
坪井 それはどういうことですか。
広瀬 アメリカを中心とする軍需ビジネスは第2次世界大戦によって工場が肥大化した分だけ、戦後もそれを維持しなければならなかったので、一日も休みなく作業を続ける必要がありました。戦前から続いていた「核兵器開発」はここで終わったわけではなく、広島・長崎への原爆投下は、単なるプロローグにすぎなかったのです。歴史を1945年8月15日の終戦で区切ると、われわれが目撃している彼らの事業の正体を見失うことになります。第2次世界大戦後こそが、彼らの稼ぎ時だったのです。このあたりはほとんどの読者の方がご存じないでしょう。ですからあえて今回、具体的な固有名詞や実名企業をあげ、原爆開発から原子力発電へと“華麗な転身”をとげ、放射能の安全論を広めてきたIAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)が戦前から戦後、どういうことをやってきたかを書きました。その本が『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』です。
坪井 オビには「戦後70年の不都合な真実」とありますね。
広瀬 正直個人的にはあまり好きなフレーズではないのですが、事前に原稿を読んでもらった編集者からも「これはまさに不都合な真実ですね」という声があがっていました。確かに、本書の内容は、政治家や役人、実業家にとって「不都合な真実」でしょう。この本を読むと、なぜ安倍晋三が、この2年で1ワットの電力も生んでいない原発をあえて再稼働させるのか。そのカラクリがわかります。ぜひ、本書にある「長州藩の歴代犯罪の系譜」の安倍晋三の系図を見ていただきたいですね。
「トリチウム」はなぜ怖いか
坪井 今日、まずお聞きしたいのは、フクシマ原発から出た放射性物質トリチウム(三重水素)についてです。本連載第4回「フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に!全く報道されない『トリチウム』の危険性」が8月2日(日)だけで45万ページビュー(サイトの閲覧数)を記録したそうです。すごい数字です。
広瀬 読者の感度が相当鋭く、またテレビと新聞がいかに重大なことを伝えていないかということでしょう。トリチウムの問題は、日本のマスメディアでほとんど触れられていない危険性なので書きました。実は、「トリチウム問題」は現在、日本中の原発から使用済み核燃料を集めてきた青森県の六ヶ所村で最大の問題となっています。
六ヶ所再処理工場では、2006~2008年におこなわれた試験的な再処理(アクティブ試験)で、海洋放出廃液のトリチウムの最高濃度が、実に「1億7000万ベクレル/リットル」だったのです。これは、フクシマ原発事故現場のトリチウム放出規制値である「1500ベクレル/リットル以下」の11万倍ですよ。だから下流域の岩手県三陸海岸近くの住民は、「総量規制をしろ。規制できない再処理を断念しろ」と要求しているのです。このトリチウムが、千葉県まで流れてきます。原子力規制委員会委員の田中俊一委員長と田中知(さとる)委員は「トリチウムを海に流してしまえ」という趣旨のことを言っていますが、トンデモナイことです。
坪井 トリチウムは、水素が中性子を捕えて「トリチウム水」として存在するんですよね。崩壊してヘリウムになるときに放射線(ベータ線)を出します。フクシマ原発を起源とするトリチウムはどのくらいの量になるのでしょうか。
広瀬 フクシマ原発から出たトリチウムの放出総量はまったく明らかにされていません。しかし、汚染水タンクに大量に入っているのは確かです。特に深刻なのは、福島第一原発4号機の燃料プールです。東京電力は積極的に情報開示すべきですが、こちらについても、まだまったく分らないことだらけで、東電の発表は信用できません。
「ホールボディーカウンター」ではベータ線は検出できない
坪井 フクシマ原発事故直後に、ダイヤモンドオンラインで関連する記事を十数本書きましたが、2011年6月16日付の記事で、IAEA(国際原子力機関)が2006年に発表したレポートを紹介しました。その中にチェルノブイリ原発事故で放出された核種と放出量のリストが掲載されています。この一覧表を見ても、トリチウムは記されていません。つまりIAEAもノーマークでした。水の状態なのでよくわからなかったのでしょうか。
広瀬 そうでしたか。水として存在するので、実際には化学的に正確な放射能測定は不能です。一般には「トリチウム?初耳だ」という人がほとんどでしょう。トリチウムはヘリウムになるまでに、ベータ線を出します。しかもトリチウム水として、普通の水と同じように体内の細胞や血液に入るので、体内のあらゆる組織にこのベータ線が作用することになります。人体の中に蓄積された放射性物質の量は、現在では「ホールボディーカウンター」と呼ばれる全身測定器で測れます。これは体内の“量の変化”を知るには有効なのですが、セシウム137がバリウム137に安定化するまでに放出する透過性の高いガンマ線しか測定できないので、実量の測定ではありません。ストロンチウム90やトリチウムが出すベータ線はまったく測定できないんです。この点をマスコミはまったく報道していません。
坪井 この本では、健康被害はこれから出てくる、と書いておられますね。
広瀬 「原発事故は収束した、終わった」と思われていますが、トンデモナイ間違いです。原発事故から4年余りが経過した今、東京を含む東日本地域でも、これからガンや心筋梗塞になる人が急増することは間違いありません。過去の史実に照らし合わせると、チェルノブイリ原発事故(1986年)やアメリカのネバダ大気中核実験(1951~57年で計97回)でも、事故後5年から癌・白血病になる人が急増したからです。その意味で、「タイムリミットはあと1年しかない!」のです。大気中の核実験と原発事故は違うと思われがちですが、まったく同じ200種以上の放射性物質が2011年3月から6月にかけて首都圏でも大量に降り積もっています。あの事故のとき、私が観察しても、多くの人はほとんど無防備でした。いまがちょうど病気の潜伏期の最後の段階です。これから大変なことが起こります。
坪井 チェルノブイリ事故のときは、事故発生の翌日、1986年4月27日から軍のヘリコプターでホウ酸40トン、石灰岩800トン、鉛2400トン、ほかに粘土や砂など合計5000トンを原子炉へ投下しました。これは1週間続きます。その結果、10日目に放出量が低下しました。その後、「象の足」と呼ばれる溶岩が固まったような状態になります。フクシマ原発事故では地上と上空から放水しました。フクシマ原発事故でも、チェルノブイリと同じ対応をとるべきだったのではないでしょうか。
広瀬 事故直後、私もとりあえず大至急、放射能放出をおさえるためにセメントなどを投下するべきではないかと、とっさに考えました。しかし今は、メルトダウンした燃料内部からの汚染水の発生を食い止めるべきだと思います。たとえば鉛を使った汚染水漏洩防止の方法について、立命館大学特任教授の山田廣成氏が、このサイトで提唱しています。今でも、試してみるべきでしょう。ただし、チェルノブイリ原発は黒鉛減速・軽水沸騰冷却・チャンネル型で、フクシマと構造が異なるので、何とも言えません。良心的で、しかも化学・物理・原子力・金属・機械の全分野にわたる優秀な頭脳の専門家を全世界から集めて、フクシマ原発事故現場の対処法を考えるほかありません。東京電力や無知な原子力規制委員会に任せて、これを解決することは不可能です。
30km圏内を立入禁止、国際的研究機関の設置を
坪井 その通りですね。「帰宅困難区域」を含め、福島第一原発から30km圏内の土地を国が買い上げて国有地とする、そこに国際的な廃炉研究、核廃棄物処理の国立研究機関や大学院をつくるべきだと思うのです。東北・関東地方の除染後の放射性廃棄物もここに全部集め、処分するとともに研究対象にすべきです。
大規模な公共投資になりますが、研究成果のノウハウは世界中で購入されるはずですから、長期的にはリターンも期待できる。チェルノブイリでは30km圏内が立入禁止で、除染後の放射性廃棄物もここに集めています。廃炉の作業者や研究者には高額の給料を支払い、あらゆる関連分野の専門家と実務家を結集すべきです。脱原発後に原子力研究者を絶やさないためにも必要だと思います。30キロ圏外には、研究機関や大学院向けのサービス産業が集積するはずです。
広瀬 放出された放射能の総量から考えて、フクシマ原発事故の後遺症は1000年続くと言っていいでしょう。もう元には戻れません。それなのに、東京電力の事故対応は素人同然ということばかりやっていて、まったく頼りになりません。私も30年以上、この問題を冷静に見続け、海外の文献も多く見てきましたが、科学的・医学的に致命的な間違いを犯した今回の事故は覆せません。「放射能は絶対外に出さない」ということが、原発を動かす者の守るべき原理──世界的な大原則です。だが、それをすべて崩すことしかやっていない。日本の電力会社には、原発を動かす資格はない。
坪井 福島第一原発3号機ではプルトニウムを混合するMOX燃料を使って運転していました。
広瀬 あそこから出たプルトニウムはロッキー山脈まで達しました。茨城県つくば市の気象庁気象研究所でプルトニウムよりはるかに沸点の高い4877度のテクネチウムが検出されていたので、沸点が3232度のプルトニウムがガス化していたのは間違いないのです。東京都心の大公園でも、沸点3745度のウランが検出されています。
おそるべき「フレコンバッグ」の正体
坪井 『東京が壊滅する日』のオビ裏に、「おそるべきことが音もなく体内で進行している! 次の被害者は、あなただ!」と書かれています。
広瀬 この意味するところは、この本を読んでいただければ、誰でも分りますが、結論を言うと、東京を含む東日本地域住民の中で、これから癌や心筋梗塞などが必ず激増します。いやもう、その段階に入っています。この事実を大声で言うべきか、本当に迷いました。身も蓋もない話だからです。しかし、本連載第6回でも触れましたが、誰も本当のことを言わずに「体内被曝」が進みながら、安倍晋三が原発再稼働へ猛進しているので、これ以上の被害の拡大を防ぐために筆を執りました。各新聞の世論調査でも明らかですが、安倍晋三は再稼働だけなく、安保法案など国民がまったく望んでいないことをゴリ押ししています。
坪井 『東京が壊滅する日』に膨大なフレコンバッグの写真が掲載されています。これは福島県内で積み上げられている放射性廃棄物を詰めた袋の山ですね。
広瀬 私が驚いたのは、2015年4月17日に、福島県富岡町の海岸線にぎっしり並べられたフレコンバッグを外国人がドローンで空撮したネット上の動画でした。
坪井 上空から見ると、海岸線に黒い塊がびっしりですね。
広瀬 深刻なのはこのフレコンバッグの耐用年数がわずか3年なので、すでにあちこちで破れ始めていることです。本の中では福島県の実例を出しましたが、実はそれだけでなく、関東各地でも放射性廃棄物を入れた汚染物の山が積み上げられています。
坪井 放射性廃棄物の管理と処分は、「帰宅困難区域」を「除染特別地域」として国が直轄していますが、環境省が指定した岩手県から関東平野にかけての「汚染状況重点調査地域」(8県101市町村)では、各自治体が除染と処分を担当しています。除染して袋に詰め、どこかに一時保管しているわけですが、中間処分場はどの自治体もまだ決められていません。
広瀬 それは、実際には中間貯蔵ではなく、最終処分場になることが明らかだからです。どこでも拒否するのは当たり前です。福島県内のフレコンバッグが積まれた場所は、福島県内だけで2015年3月までに8万ヵ所を超え、その1ヵ所ずつに何百何千というフレコンバッグが積み上げられています。さらに、削り取った土に入れていた草や木の種が、袋の中で勢いよく芽吹いて、プラスティックの袋を簡単に破って外に顔を出し始めています。それはそれは、身の毛もよだつ光景です。
いま、とれる対策はあるか?
坪井 いま私たちがとれる対応策は何だとお考えでしょうか。
広瀬 それをずっと考えているのですが、きわめて難しい問題です。個人的にはいま、「水が一番怖い」と思っています。福島県の阿武隈山地や群馬県・栃木県に大量に降り積もった放射性物質が、分水嶺を越えて日本海側の多くの河川を通じて流れ出ています。
秋山豊寛さん(宇宙飛行士、元TBS記者・ワシントン支局長、現在京都造形芸術大学芸術学部教授)も福島県で自然農法に従事していましたが、原発事故後は京都に避難して大学で教鞭をとられています。まずは放射能が降り積もったところから逃げるしかないのが現状で、それには国が最大の、全面的な資金援助をするべきです。金が与えられないから、多くの人は逃げられないのです。
坪井 私はこう考えます。少なくとも「汚染状況重点調査地域」(8県101市町村)に指定されている地域に住む私たちもDNAが損傷した確率が上がっているわけですから、ガンなどを早期発見する確率を上げることが対応策だと思います。年に一度の健康診断は必ず受ける、再検査の指示があればさぼらない、心配なら年に2回検査する、という方法で早期発見率を上昇させることです。
日本最大の活断層の上に立つ川内原発再稼働の恐怖
坪井 さて、川内原発が8月11日に再稼働されました。
広瀬 詳しくは本連載第1回、第2回、第5回で書いてきたので、それを見てください。私も再稼働当日、川内原発に乗り込みましたが、それはそれはひどいものでした。1984年7月の稼働以来今年で31年。原子炉の耐用年数はとっくにすぎています。
本連載でも指摘したとおり、原子炉の古さだけでなく、この原発の下には日本を縦断する最大の活断層=中央構造線が走っています。活発な地震と火山噴火期に入った日本列島で再稼働は狂気の沙汰といえます。みなさんよく考えてみてください。この2年間、原発に1ワットも頼らずに、この猛暑を乗り切っています。これだけ危険な地域に耐用年数をすぎた原発があること自体危ないのに、それを再稼働第一号とする安倍晋三の頭の中はどうなっているのでしょうか。
ドブに捨てた5兆円の内訳
坪井 『東京が壊滅する日』のカバー右ソデに、「5兆円をドブに捨ててもなお、いつまで日本人は“モルモット”にされるのか?」とあります。
これはどういう意味ですか。
広瀬 青森県六ケ所村の核燃料サイクル政策に2兆円以上の建設費が投じられ、さらに、まったく使い物にならなかった高速増殖炉もんじゅの開発費にも3兆円近い大金が投じられてきました。しかし、現在まで両方ともまったく稼働できずに、結局5兆円以上をドブに捨てた結果になった。これはおそるべき血税のムダ遣いです。いつまで国民は“モルモット”にされ続けるのか。マスコミがなぜこの問題を真剣に論じないのかまったく理解できません。
坪井 電気料金は、「総括原価方式」といって、コストを積み上げた上に利益を乗せて決められてきましたからね。いくらでもコストをかけられたわけです。
広瀬 それが諸悪の根源なんです。でも、来年2016年4月から実施される電力の完全自由化によって“電力会社が7割の利益を得てきた家庭の消費者”にも選択が可能になります。くわしくは『東京が壊滅する日』に書きました。
坪井 電力小売りの完全自由化によって、七十数年ぶりに電力が真の競争市場で取引されるようになります。
広瀬 そのとおりです。これからの時代、もっともっと競争して、少しでも家計がひっ迫している消費者に安い電気料金を提示すべきなんです。
『東京が壊滅する日』誕生秘話
坪井 今回の本では、原子爆弾(原爆)からクリーンエネルギーとして美化された原子力発電(原発)へと「双子の悪魔」のラインが描かれています。私が20代のころに読んだ広瀬さんの『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』(文春文庫、元本は1982年)では、原爆と原子力発電の関係を初めて教えられました。
広瀬 いままで私の本を読んでくださった方に加え、20代、30代、40代の働きざかりの人たち、とくにいままで私の本を読んだことがない人が読まないと時代が変わらないので、その人たちにどうしても読んでほしいという想いで書きました。原発問題に反対している人でも「ただ反対」と言っているだけでは、状況はまったく変わりません。51の系図・図版と写真のリストを軸とした史実とデータに基づく本書を思考のスタートラインにして、たくさん議論していただきたい。そして、議論に終わらせずに、ぜひ現実を変える行動に出ていただきたい。
坪井 どういうふうに本書をつくっていったのですか。
広瀬 2014年11月末に『文明開化は長崎から(上)(下)』(集英社)という本を書いたのですが、その日本史が面白かったので、何度も読んでから書棚に戻そうとしたときに目に入ったのが、『赤い楯――ロスチャイルドの謎』(集英社、1991年)でした。
私は書いた本は読み返さない習慣だったので、いままでそんなことをしたことがないのですが、そのとき、『赤い楯』の菊判上下巻を一気に読んでみた。そして内容に驚いて、次から次へその他の自著も最後まで読み返してみたのですね。そうしたら、どれも面白かった。同時に「自分自身がすごく大切なことを忘れていた」と思ったのです。著者である私自身がそうなら、反原発運動に関わる人やマスコミの人だけでなく、一般の読者の方々はこういう史実やデータはまったく知らないだろう。それを今回のフクシマ原発事故を縦軸に描くことによって、思考の原点に戻る必要がある、と思って一気に書き下ろしたのが本書なのです。
「史実と科学的データ」こそが未来を教えてくれる
坪井 歴史の記述と分析が重要ですね。
広瀬 よく「核兵器」という言い方をします。でもこれは「攻撃側が使う用語」なのです。被害を受けた側は「核兵器」ではなく「原子爆弾」と呼び、「核兵器禁止運動」と言わずに、「原水爆禁止運動」と言います。「公害」(攻撃者側)と抽象化するのではなく、「水俣病、イタイイタイ病」(被害者側)と言うのと同じです。今回の本は、一面でフクシマ原発事故を扱った本ですが、一面で歴史の本でもあります。史実こそがこれからの未来を予測するうえで有益な示唆をくれると確信しているからです。安倍晋三の目に余る暴走のために、国会議事堂近くに「戦争反対」のシュプレヒコールをあげる大学生や高校生が増えてきました。すばらしいことです。
戦後70年の今こそ、本書にある原爆と原発の「双子の悪魔」の歴史、つまり戦争と原子力の関係を、巨悪の本丸IAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)の正体から、抽象論ではなく、個別具体的な固有名詞と壮大な史実と科学的データで、若い世代に知ってほしいと強く思っています。
坪井 広瀬さんとは1980年代後半からのおつき合いです。当時、「BOX」という月刊誌がダイヤモンド社にありました。編集部でアメリカのオンライン・データベースを導入したのですが、広瀬さんをお誘いしてインターネットがない時代に海外のデータベースを大量に検索し、チェルノブイリ事故の実像に迫ろうとしました。
30年前から広瀬さんの主張は1ミリも変わっていません。
チェルノブイリはあれだけの大事故だったのに、4年後の1990年には「原子力はクリーンエネルギー」と言われるようになりましたよね。
広瀬 フランスの当時の大統領、ミッテランがそういうふうに宣伝したのですね。そもそも原発事故が最初に起きた1979年のスリーマイル島原発事故の前から、原子力発電ビジネスは衰退期に入っていました。原発ルネッサンスは虚言だったのです。
坪井 本書にも、2014年に巨額の欠損を抱えたフランスの国営原子力会社、アレヴァの実質経営破綻の事例が出ていますが、先進国で原発ビジネスが低迷するなか、日本は国内で再稼働に走り、新興国への輸出にのめり込んでいます。細川元首相や小泉元首相だってハタと覚醒したわけでしょう、政府が判断すれば原発はやめられると。原発がゼロになっても誰も困りません。電力も十分にある。研究者の欠乏を避け、研究水準を維持するためには、廃炉と放射性廃棄物処理の研究開発に投資すればいいと思うんですよね。
広瀬 先日、東芝の不正会計問題でウェスティングハウス・エレクトリックの買収が巨大な損失を生み出した問題で、原子力の末期的状況がクローズアップされましたが、三菱重工が「アメリカのサザンカリフォルニアエジソン社のサンオノフレ原子力発電所」に2009~2010年に納入した蒸気発生器が事故を起こし、原子炉2基が廃炉に追い込まれ、9300億円の損害賠償訴訟を起こされました。原発ビジネスに明日はありません。
なぜ、『東京が壊滅する日』を
緊急出版したのか――広瀬隆からのメッセージ
このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。
現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文科省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。
映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。
1951~57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。
核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウムよりはるかに危険度が高い。
3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。
不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。
最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?
同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。
51の【系図・図表と写真のリスト】をはじめとする壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。(引用終わり)
*参考資料
「フクシマ第一原子力発電所不測事態のシナリオ素描」
http://grnba.com/iiyama/i/img/saiakusinario.pdf
Russia Stunned After Japanese Plan To Evacuate 40 Million Revealed
http://www.eutimes.net/2012/04/russia-stunned-after-japanese-plan-to-evacuate-40-million-revealed/
4千万人以上の日本人が放射能の毒性により「極めて危険な」状況下にあり、世界最大の都市東京を含め、東日本の大半の都市から強制的に避難させられる状況に直面している。
中国政府が日本側に提示したとされる、中国国内にある「無人都市(ゴースト・シティーズ)」への数千万人の移住者受け入れの申し出を、日本が「真剣に検討」していることも、ロシア側に通告してきた。
A new report circulating in the Kremlin today prepared by the Foreign Ministry on the planned re-opening of talks with Japan over the disputed Kuril Islands during the next fortnight states that Russian diplomats were “stunned” after being told by their Japanese counterparts that upwards of 40 million of their peoples were in “extreme danger” of life threatening radiation poisoning and could very well likely be faced with forced evacuations away from their countries eastern most located cities… including the world’s largest one, Tokyo.
The Kuril Islands are located in Russia’s Sakhalin Oblast region and stretch approximately 1,300 km (810 miles) northeast from Hokkaidō, Japan, to Kamchatka, Russia, separating the Sea of Okhotsk from the North Pacific Ocean. There are 56 islands and many more minor rocks. It consists of Greater Kuril Ridge and Lesser Kuril Ridge, all of which were captured by Soviet Forces in the closing days of World War II from the Japanese.
The “extreme danger” facing tens of millions of the Japanese peoples is the result of the Fukushima Daiichi Nuclear Disaster that was a series of equipment failures, nuclear meltdowns, and releases of radioactive materials at the Fukushima I Nuclear Power Plant, following the Tōhoku earthquake and tsunami on 11 March 2011.
According to this report, Japanese diplomats have signaled to their Russian counterparts that the returning of the Kuril Islands to Japan is “critical” as they have no other place to resettle so many people that would, in essence, become the largest migration of human beings since the 1930’s when Soviet leader Stalin forced tens of millions to resettle Russia’s far eastern regions.
Important to note, this report continues, are that Japanese diplomats told their Russian counterparts that they were, also, “seriously considering” an offer by China to relocate tens of millions of their citizens to the Chinese mainland to inhabit what are called the “ghost cities,” built for reasons still unknown and described, in part, by London’s Daily Mail News Service in their 18 December 2010 article titled: “The Ghost Towns Of China: Amazing Satellite Images Show Cities Meant To Be Home To Millions Lying Deserted” that says:
“These amazing satellite images show sprawling cities built in remote parts of China that have been left completely abandoned, sometimes years after their construction. Elaborate public buildings and open spaces are completely unused, with the exception of a few government vehicles near communist authority offices. Some estimates put the number of empty homes at as many as 64 million, with up to 20 new cities being built every year in the country’s vast swathes of free land.”
Foreign Ministry experts in this report note that should Japan accept China’s offer, the combined power of these two Asian peoples would make them the largest super-power in human history with an economy larger than that of the United States and European Union combined and able to field a combined military force of over 200 million.
To how dire the situation is in Japan was recently articulated by Japanese diplomat Akio Matsumura who warned that the disaster at the Fukushima nuclear plant may ultimately turn into an event capable of extinguishing all life on Earth.
According to the Prison Planet News Service:
“Matsumura posted [this] startling entry on his blog following a statement made by Japan’s former ambassador to Switzerland, Mitsuhei Murata, on the situation at Fukushima.
Speaking at a public hearing of the Budgetary Committee of the House of Councilors on 22 March 2012, Murata warned that “if the crippled building of reactor unit 4 – with 1,535 fuel rods in the spent fuel pool 100 feet (30 meters) above the ground – collapses, not only will it cause a shutdown of all six reactors but will also affect the common spent fuel pool containing 6,375 fuel rods, located some 50 meters from reactor 4,” writes Matsumura.
In both cases the radioactive rods are not protected by a containment vessel; dangerously, they are open to the air. This would certainly cause a global catastrophe like we have never before experienced. He stressed that the responsibility of Japan to the rest of the world is immeasurable. Such a catastrophe would affect us all for centuries. Ambassador Murata informed us that the total numbers of the spent fuel rods at the Fukushima Daiichi site excluding the rods in the pressure vessel is 11,421.”
Disturbingly, the desperate situation facing Japan is, also, facing the United States as Russian military observers overflying the US this week as part of the Open Skies Treaty are reporting “unprecedented” amounts of radiation in the Western regions of that country, a finding that was further confirmed by scientists with the Woods Hole Oceanographic Institute who have confirmed that a wave of highly radioactive waste is headed directly for the US west coast.
Important to note is that this new wave of Fukushima radiation headed towards the US is in addition to earlier radiation events that American scientists are now blaming for radioactive particles from Japan being detected in California kelp.
Though the news of this ongoing global catastrophe is still being heavily censored in the US, the same cannot be said about Japan, and as recently reported by the leading Japanese newspaper The Mainichi Daily News that reports:
“One of the biggest issues that we face is the possibility that the spent nuclear fuel pool of the No. 4 reactor at the stricken Fukushima No. 1 Nuclear Power Plant will collapse. This is something that experts from both within and outside Japan have pointed out since the massive quake struck. TEPCO, meanwhile, says that the situation is under control. However, not only independent experts, but also sources within the government say that it’s a grave concern.
The storage pool in the No. 4 reactor building has a total of 1,535 fuel rods, or 460 tons of nuclear fuel, in it. The 7-story building itself has suffered great damage, with the storage pool barely intact on the building’s third and fourth floors. The roof has been blown away. If the storage pool breaks and runs dry, the nuclear fuel inside will overheat and explode, causing a massive amount of radioactive substances to spread over a wide area. Both the U.S. Nuclear Regulatory Commission (NRC) and French nuclear energy company Areva have warned about this risk.
A report released in February by the Independent Investigation Commission on the Fukushima Daiichi Nuclear Accident stated that the storage pool of the plant’s No. 4 reactor has clearly been shown to be “the weakest link” in the parallel, chain-reaction crises of the nuclear disaster. The worse-case scenario drawn up by the government includes not only the collapse of the No. 4 reactor pool, but the disintegration of spent fuel rods from all the plant’s other reactors. If this were to happen, residents in the Tokyo metropolitan area would be forced to evacuate.”
Even though this crisis in Japan has been described as “a nuclear war without a war” and the US Military is being reported is now stocking up on massive amounts of anti-radiation pills in preparation for nuclear fallout, there remains no evidence at all the ordinary peoples are being warned about this danger in any way whatsoever.