m.yamamoto

今、本当は何が起きているのかを考える

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3月 212015

・アベノミクスによって、株価はある程度円ベースで上がったが、それによって一般の日本人が大きな利益を得ているとは全く感じられず、むしろ社会階層の二極化が露骨になり始めている。

日銀のマネーばらまき

生活保護受給者数

・今回の中東歴訪という安倍首相による「イスラム国」挑発行動によって、残念ながら、私たち日本人全員が世界中どこにいっても「イスラム・テロ」の標的になることが確定されてしまった。

 

・マスコミに対する「言論統制」が厳しくなっている。インターネット上を越えてマスメディアで語っている評論家等は、<政府に指示されたある一つのコード>に従って発言をして糊口をしのいでいる。

 

・総理大臣自身は、世界中を<何物かの指示?>によって飛び回っているが、そのことによって国際政治経済の大きな流れの中で我が国が主導権をとるに至ったのかというと全くそうではなく、完全に受け身であり、米国ネオコン派の完全なコントロール下に入っている。

ネオコン指図の図

・決定的なのが「普通の国・美しい国」にすると言いながら、我が国を根底から変える(本当の付加価値創出である)本質的なイノベーションは一切顧慮されず、米国では飽和状態になっているカジノによる経済活性化を言い出していることである。意識している、いないは別として「金融バブル」を起こすことだけに専心している状況である。

 

・2013年から始まった「アベノミクス」は、ロシアや中国が米国債を売却しているので、それを補完するためのもの政策。その結果、株価は上がったが、円の購買力は、大幅に落ちている。(80万円出せば買えたものを120万円で買うのは、誰が考えても得策ではない。)また、美辞麗句に飾られているTPPは、「日本から米国への国富の移転のための仕組み作りでしかない。また、多国籍化した日本の大企業がアジア市場で金儲けをするためでもある。

 

・これから地球には、「太陽活動の大きな変化」によって、大規模な気候変動がもたらされる。その結果、マクロな視点で見れば、<世界経済は、デフレ縮小化>していく。1800年~2000年の世界経済の爆発的な経済成長が終焉する時代に入りつつある。

デフレに向かう世界

・長期的なデフレ縮小化の中で、「エネルギー革命」が水面下で進行している。その結果、長期的な視点で見れば、エネルギーコストが信じられない程、安価になる時代が来ようとしている。

 

・日本人として一番悲しむべきは、フクシマ原発事故による放射線による人体への影響が首都圏を中心に誰の目にも明らかになる時が迫りつつあることである。政府が真実を隠している状況下では「自己防衛」が求められる。

フランス 福島原発事故 風刺画

<フランス連続テロ事件で襲撃された「風刺紙シャルリエブド」318日発売の最新号に東京電力福島第1原発事故を揶揄する風刺画を掲載>

・落ち込む世界経済を活性化するために「戦争経済」に持ち込もうとするネオコン派の動きが活発である。現在の「イスラム国」騒ぎ、ウクライナ情勢の緊迫化は、その現れである。日本の安倍政権は、米国ネオコン派と共に戦争経済に突き進むしか、日本の生きる道はないと盲信している。 

 

*今起きていることは、いまだに、あの「1945815日」という敗戦の日から米国によって、日本に課せられた枠組みを前提にしている。そして、その対立軸の中で、議論が展開されているが、本当に大事な真実はそこにはない。一般人の目には触れないところで、その枠組み事態を変えてしまう動きが起きはじめているとも言われている。 

 

*一番のポイントは、真実に近づけば近づくほど、創られている「常識」からかけ離れていくことになることを覚悟する必要があることだ。多くの人が「常識」そのものが創られていることを知らず、それを尺度にするように馴致(じゅんち)されているので、真実を知る者は少数派になるように運命づけられているからだ。しかし、平常時には巧みに隠されていた真実を垣間見る機会が、マスメディアが言論統制されているにもかかわらず、増えたということは、大きな時代の変化を予兆させるものである。そうは言っても、少数派であることに耐えられない人には、真実を知ることはできないということだ。

先進国中央銀行の国債購入量

原油在庫

悪化が続く米国経済

コントロールできなくなりつつある国債市場

日本国債は、日銀の購入によって金利は安定するだろうと思われていたが、最近、入札の度に10年債の金利が上昇している。日銀の購入額以上に売却する機関投資家や金融機関が存在するのが、次第に明らかになっている。日本の財政は、低い国債金利によって何とか回っているが、金利が上昇すれば、財政危機に見舞われる可能性が非常に高い。国債市場は、既に日銀がコントロール出来る状況ではなくなっており、日本の国家財政は、アベノミクス論者が唱える楽観論とは真逆の危機的な状況となっている。

・上海をアジアの金融拠点にするとロンドンシティが2008年の時点で計画していたことが動き始めている。

 

<中国主導のアジアインフラ投資銀行に加盟希望国が続出=英国が表明、韓国・豪・独・伊・仏・加も追随か―迫られる日本の判断>(レコードチャイナ)314() 

中国主導で今年末にスタートするアジアインフラ投資銀行(AIIB)に英国が参加することになった。主要7カ国(G7)で参加するのは初めて。これにより国際金融機関として信認が高まることになる。この結果、発行債券などの格付けが上がり、低金利での資金調達が可能となる。イタリアはじめとする他の欧州諸国やカナダやオーストラリア、韓国なども追随する可能性がある。

 

経済成長が著しいアジアでは、成長を支えるために、毎年少なくとも7500億ドル(約95兆円)に上るインフラ投資が必要とされている。このニーズを狙って、中国が「新興国による新興国のための国際投資機関」を標榜して主導したのがAIIBだ。上海に本部を置き資本金は1000億ドル(約12兆円)。出資比率はGDP(国内総生産)に基づいて決まるため、参加国中最大の経済大国、中国が半分以上の出資比率を確保、大きな発言権を握ることになる。総裁に中国の金立群・AIIB設立準備委員長が就任する見通しだ。

 

この投資銀行には、東南アジア10カ国、インドをはじめ27カ国の参加が既に決まっており、英国で28カ国目。先進国ではニュージーランドが参加。南シナ海で中国と対立するフィリピン、ベトナムも加わっている。アジア専門家によると、深刻な投資資金不足にあえぐアジア諸国にとって、立ち遅れたインフラ整備を支援するという、中国の提案を拒否する理由は見当たらないという。先進国のインフラ開発会社や商社などは「参加しないと21世紀の有望市場・アジアの事業などで不利になるのでは」と懸念しているという。

 

AIIBと役割が似た国際機関としては、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)がある。それぞれ米国と日本の発言力が強く、歴代総裁ポストは世銀が米国人、ADBは日本人が就任する。中国をはじめとする新興国が発言権の増大(出資分担金増)を求めるIMF改革は米議会が承認せず実現していない。現状に不満を抱くブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)は147月、「BRICS開発銀行」の設立でも合意に至った。AIIBBRICS開銀に加えて、習近平国家主席は1411月、400億ドル(約48000億円)を拠出して、シルクロード沿いの各国のインフラ整備などを支援する基金創設を表明した。

 

◆中国の世界戦略に組み込まれる?

一方、中国はAIIBへの参加を日本、米国にも要請。「日本はアジアの重要な国である日本もアジアの発展に向けてAIIBで重要な役割を担ってほしい」と伝えてきたという。

日米両国はAIIBが既存のアジア開発銀行(ADB)と業務が重複し、組織運営も不透明だと指摘して慎重な姿勢を示してきた。AIIBは中国の巨額資金が拠りどころ。中国の国益を優先する「世界戦略の先兵となるのでは」との懸念は拭えない。AIIBは理事会を常設せず、総裁以下の事務方に大きな権限を与える方向で、総裁の権限が大きく、チェックが効きにくい。

 

しかし、英国に続いてドイツ、イタリア、フランスなどの欧州諸国やカナダ、オーストラリア、韓国なども追随する可能性がある。米国も参加国増加は止められないと見AIIBを容認する姿勢に転じている。シーツ財務次官は、「国際通貨基金(IMF既存の国際金融機関を補完し、(1)透明性とガバナンス重視、(2)借金国の返済能力への配慮、(3)環境重視、(4)高水準の調達基準―などを順守すれば歓迎する用意がある」と表明している。カート・トン米首席国務次官補代理(経済担当)も2月、開発銀行研究所(東京・霞が関)で講演し、「米国はAIIB設立に反対していない。中国が責任あるステークホルダーとなり、国際社会にさらに多くの公共財を提供することを望む」と踏み込んだ。

 

世界一の成長センターであるアジアのインフラ整備を商機とみてAIIBに関心を示す国が続出しているという。「AIIB構想が具体化するにつれ、新たな対応を迫られているのは日米の側」(日本の有力大教授)との指摘もある。中国主導の構想にあえて関与し、「内側から日本の立場を反映すべきだ」との意見もあり、日本は難しい選択を迫られそうだ。(八牧浩行)

 

 

語りたくないフクシマの恐るべき現実

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3月 112015



昔、読んだラ・ロシュフーコーの箴言集に「太陽と死は直視できない。」というのがあった。どうも人間というものは、本当に根源的なものを見ようとしない習性を持つものらしい。もちろん、原子力は<ミニ太陽>と言ってもいいものだし、そこから出てくる人工放射線は、人間に大きな影響を与え、その量によって速さに違いがあるが、確実に死をもたらす(スローデス)ものである。私たちはそのことから目をそらしたいし、為政者たちもあまりに不都合な真実はパニックになるから、大衆には知ってほしくないという内部事情がある。

 

<ところで、原子炉の100トン近い核燃料が圧力容器から格納容器の外にメルトアウトした後はどうなるのだろうか。>

 

メルトアウトした核燃料は、地圧によって団子状になって、メルトクラッシングという小爆発を繰り返し、そのたびに猛烈な蒸気を地上に噴き上げる。この「間欠蒸気温泉」みたいな蒸気の噴出の様子は、フクシマライブカメラで何回も放映されているので、見ている方も多いはずだ。今までに大変重要な事実が明らかにされている。2011716日の常陽新聞によると、「つくば市の気象庁気象研究所が、モリブデンとテクネチウムを大気中で検出した」ということである。これは、モリブデンとテクネチウムが、東電福島から170kmも離れた筑波まで飛んできたということを意味している。

フクシマ トリチウウム水蒸気

https://www.youtube.com/watch?v=LmPXnKWuphg

モリブデンとテクネチウムという核種が、東京電力の福島第一原発から筑波まで飛んできたという事実には大きな意味がある。モリブデンの融点は2623℃で、沸点は4639℃。テクネチウムの融点は2157℃で、沸点は4265℃。両核種とも、融点、沸点が非常に高い。沸点とは沸騰点のことで、原子炉内の温度が5000℃!近くになって、テクネチウムやモリブデンが液体化して、さらに沸騰して蒸気になったことを意味しているからだ。

つまり、気体になったから、風に乗って、筑波まで飛んでいったと言うわけである。ちなみに、プルトニウムの融点は640℃、沸点は3228℃。プルトニウムも、当然、気化して気体になっている。そうして偏西風に乗ってアメリカ大陸まで飛んでいったのである。

これは、原子炉からメルトアウトした核燃料が大変な高温になったことを示している。太陽の表面温度は6000℃だから何基かの原子炉の地下部分が「ミニ太陽」ようになっているということだ。そのため、テクネチウムが融けて、沸騰して、気化して、気体になって筑波はおろか、アメリカまで飛んでいったのである。

 

<どうして太陽のような超高温の状態になったのか?>

 

原子炉からメルトアウト(脱落)した核燃料が丸い塊、団子になったからだ。そうして「自発核分裂」が起こった。この反応が連続的に発生し超高温になったわけである。今後、100数十トン(合計400トン~500トン)ものデブリ(溶けた核燃料)が、岩盤をくり貫き始め、団子状になって圧縮凝塊したときに何が起きるかである。大爆発(核爆発)が起きないことを祈るばかりである。

 

 先日(平成27319日のニュースによると福島第一の1号機の原子炉内が空であることが、確認されたようである。

 

<炉内燃料、ほぼ全量溶融 福島第1原発1号機 調査で初の確認>(北海道新聞)

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/science/science/1-0113551.html

 東京電力は19日、宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線から生じる「ミュー粒子」を利用して福島第1原発1号機を調査した結果、原子炉内の核燃料がほとんど溶け落ちていることを確認したと発表した。燃料溶融を調査により確認したのは初めて。

 東電は1号機について、事故時のデータ解析などから、ほとんどの燃料が溶融して格納容器に落下したとみており、今回の調査結果はこれを裏付ける内容。

 東電は、廃炉工程で最難関となる溶けた燃料(デブリ)の取り出しに向け、具体的な取り出し手法の検討に活用する。(引用終わり)

bedrock

おそらく、福島第一の1号機~4号機すべてがメルトダウン→メルトスルー→メルトアウトしているのだろう。驚くべき事実があまりにも淡々と報道されていることに驚愕せざるを得ない。「日本のすべての原子力発電所が、格納容器が壊れるような重大事故は、絶対に起こらない」という大前提で建設されていることをマスコミ人は、忘却のかなたに押しやってしまったとでも言うのだろうか。また、デブリ(溶けた核燃料)を本当に取り出せると思っているのだろうか。あまりに大衆を愚弄する言動が平然と報道されている日本という国は、現在、脳死状態に陥っているとしか思えない。おそらく、今の日本政府、東電は、心秘かに元寇の時のように神風が吹くのを待っているのでないか。

 いずれにしろ、地方統一選挙のために公的資金を前倒しして演出された株高が一段落したときに何が起こるか、細心の注意が必要だろう。

 

 *フクシマの現状を知るための適確な記事をそれでは、紹介させていただく。

 

「我々が福島の最悪を恐れるべき50の理由」     ハーヴィ・ワッサーマン    201422

 

福島の行方不明の溶けた炉心と放射性を帯びた噴出物は秘密裏に悪化し続けている。日本の厳しい独裁的検閲は、まんまと福島を世間の目から隠し続けることを狙った世界的大手マスコミによる報道管制と対になっている。だからといって、実際の放射能を、我々の生態系や、我々の市場…あるいは我々の体の外においたままにしておけるわけではない。

究極的な影響についての推測は全く無害から極めて終末論的なものに到るまで様々だ。

だが基本的な現実は単純だ。この70年間、政府の核爆弾工場と民営原子炉は監視されない莫大な量の放射能を生物圏に放出してきたのである。

人と生態系の健康に対するこうした放出の影響がわかっていないのは、そもそも原子力産業が、それを研究することを断固として拒否している為でもある。

実際、公式推定では、核実験商業原子炉による被害の証明を示す責任は、加害者ではなく、常に被害者におかれている。しかも、どのような場合でも、原発業界は事実上、常に損害を受けずに済んでいる。

このまずいことは見ずにおく、被害は賠償しないという考え方は、広島の原爆投下にさかのぼり、福島や、…読者がこの記事のお読みになっている間にも起こるかもしれない、来るべき大災害にも及ぶ。一体なぜ、この伝来の放射能遺産が、我々が、海に対して、地球に対して、アメリカ経済に対して…我々自身に対して、最悪に備えることを要求しているのかという50の前置き的理由は下記の通りだ。

 

1.広島と長崎で(1945)、アメリカ軍は、そこでのいかなる放射性降下物の存在も、あるいはそれが何らかの被害を与えうることも、当初は否定していた。意味あるデータが存在しないにもかかわらず、犠牲者達(アメリカ人戦争捕虜の集団を含め)や支持者達は、公式に信用をおとされ、軽蔑された。

 

2.同様に、ノーベル賞受賞者のリーナス・ポーリングとアンドレイ・サハロフが大気中核実験による、世界中の膨大な死亡者数について正しくも警告した際、彼等は公式に軽蔑され、はねつけられた彼等が世論という裁判所で勝利するまで。

 

3.核実験の間と後(1946-63)、南太平洋やアメリカ西部の風下の住民達は、何千人ものアメリカ人“被爆兵士”と同様、彼等が受けた放射線に誘発される健康問題は想像上のものだと言われた彼等には全く反論の余地がないことが確認されるまで。

 

4.イギリス人のアリス・スチュワート博士が(1956) 妊婦に対するごくわずかなX線線量でさえ、小児白血病の率を倍増させうることを証明した際、彼女は30年間、潤沢な資金を得た原子力とマスコミ既成権力による嫌がらせで攻撃され続けた。

 

5.しかし、スチュワート博士の所見は悲劇的なほど正確であると判明し、放射能に“安全線量”はなく妊婦は、X線検査を受けたり、同様な被曝を受けたりしてはならないという保健物理学の合意を確定するのに役立った。

 

6. 400基以上の商業原子炉が、その潜在的な健康と環境に対する影響を測定する意味あるデータ無しに、我々の生態圏に投入されているが、いかなる体系的な世界的データー・ベースも、設立も維持もされていない。

 

7.商業原子炉用の“許容線量”標準は、広島から5年後に始まった不完全な原爆研究から生み出されたものであり、福島や他の原発では、業界の金を節約すべく、常に一層手ぬるいものにされてきた。

 

8.原子爆弾/原子炉放射性降下物は、体内に入って長期的被害を及ぼすα線とβ線放射体を生み出すが、原子力産業の支持者達は、それを、さほど致命的でない外部γ線/X線線量、飛行機での旅行や、デンバーでの生活等と、不当に同一視することが多い。

 

9.長期的な排出評価の蓄積を拒否することで、業界はスリーマイル・アイランド (スリーマイル・アイランド)、チェルノブイリ、福島等々の健康に対する影響を、組織的に隠蔽し、業界が自動的に“疑問視されたもの”と見なす個別の独自研究に、被害者達が頼ることを強いている。

 

10.業界が何十年も容赦なく否定してきたにもかかわらず、時計盤数字のラジウム塗布、原爆製造、ウラン採鉱/精錬/濃縮、廃棄物管理や、他の放射能にまつわる作業において、非常に多くの健康被害を受けてきた。

 

11.アルバート・アインシュタインと共に働いていたアーネスト・スターングラス博士が、原子炉放出物が人々に害を与えていると警告すると、不思議なことに、彼の何千部もの低レベル放射能に関する論文(1971)が主要倉庫から消えた。

 

12.原子力委員会(AEC)の最高医務責任者、ジョン・ゴフマン博士は、原子炉の線量レベルを、90パーセント低下すべきだと強く主張して、AECから追放され、公的に攻撃された。産業の創設者という立場にもかかわらず。

13.マンハッタン・プロジェクトのメンバーで、LDLコレステロールの先駆的研究の貢献者である医師のゴフマンは、後に原子炉産業を“周到に準備された大量殺りく”の担い手と呼んだ

 

14.スリーマイル・アイランド(1979)では、排気筒モニタや他の監視装置が故障し、どれだけの放射能が放出されたのか、どこへ行ったのか、あるいは、誰に、どのように影響を与えているのかを知るのが不可能になっている。

 

15.だが約2,400人のスリーマイル・アイランド風下被害者と家族は、放射能がどれだけだったのか、あるいは放射能がどこに行ったのかを言うことができなかったにもかかわらず、彼等に損傷を与えるのに“十分な放射能”は放出されていないと述べた連邦裁判所判事によって、集団訴訟陪審裁判を拒否された。

 

16.スリーマイル・アイランド・メルトダウンの際、業界の広告は、そのような線量が、不本意に放射線を浴びた母親に生まれた子供の白血病の率を倍増させうるという事実を無視して、放射性降下物を、風下にいた全員に対する一回の胸部X線と同一視していた。

 

17.スリーマイル・アイランド風下での広範な死亡と損傷は、何百もの事例報告と共に、スティーブン・ウイング博士、ジェーン・リーと、メリー・オズボーン、修道女のロザリー・バーテル、スターングラス博士、ジェイ・グールド、ジョー・マンガーノ他によって確認されている。

 

18.スリーマイル・アイランド風下の農場や野生動物への放射能被害は、バルチモア・ニューズ、アメリカ農務省、ペンシルバニア農業省によって確認されている。

 

19.スリーマイル・アイランドの所有者は、少なくともダウン症を持って生まれた子供がいる一件を含む、被害を受けた家族の箝口令と引き換えに、損害賠償として、こっそりと少なくとも1500万ドル支払った。

 

20.チェルノブイリの爆発は、膨大な放出物が、何百キロも離れたスウェーデンの原子炉上まで到来して初めて、世間一般に知れ渡った。つまり、スリーマイル・アイランドや福島と同様、一体どれだけ放出されたのか、あるいは一体どこに行ったのかは誰も正確には知らない。

 

21.福島で継続している放射性降下物は、既に、スリーマイル・アイランドからのものを遥かに上回るチェルノブイリからのものを、遥かに上回っている。

 

22.チェルノブイリの爆発(1986)から間もなく、ゴフマン博士は、その放射性降下物で、世界中で少なくとも400,000人が亡くなるだろうと予想した。

 

23. 2005年に、5,000以上の研究をまとめあげた三人のロシア人科学者は、チェルノブイリ事故は、世界中で既に約100万人を死亡させたと結論づけた。

 

24.様々な政府、科学、人道団体によって確認された通り、ウクライナとベラルーシの風下で生まれた子供達は、いまだに突然変異や病気の膨大な被害をこうむっている。

 

25.故意に低く見積もった主要なチェルノブイリによる推定死亡者数は、世界保健機関(WHO)からのものであり、数値は、原子力産業を推進する為に作られた国際連合の組織である国際原子力機関に監督されている。

 

26.十億ドルもつぎ込まれたにもかかわらず、28年たっても原子炉業界は未だに、爆発したチェルノブイリ4号炉に対する最終的な石棺の設置に成功していない。

 

27.福島の1-4炉が爆発した際、オバマ大統領は、我々全員に、どちらの主張にも証拠皆無にかかわらず、放射性降下物はアメリカに来ないし、誰も傷つけないと言った。

 

28.オバマ大統領がそうして以来、アメリカは、福島の放射性降下物を監視する統合システムも、その健康に対する影響を追跡する疫学的データー・ベースも設置していないが、太平洋の海産物内の放射線レベル検査は中止した。

 

29.福島の風下と、北米の子供達の甲状腺異常に関する初期の報告は、それが一体どれほどか知らないが“十分な放射”は放出されていないと語る原子力産業支持者連中によって再び否定された。

 

30.福島に接近した米空母ロナルド・レーガン艦上にいた海軍軍人が報告した健康に対する衝撃的な影響は、放射線量は、それが一体何だったのか全くわからないまま、害を生じるには少なすぎると、業界と海軍により否定された。現在、裁判中。

 

31.福島のメルトダウン時に、沖で吹雪の中にいた海軍軍人達は、熱い雲がレーガン艦上を通りすぎ、スリーマイル・アイランド風下の死の灰による被爆者や、原爆を広島に投下した空軍兵が語っているものに良く似た“金属的な味”がしたと報告している。

32.レーガン艦上の海軍軍人は、被害を生じるのに十分な福島の放射能に被曝していないと否定されているが、余りに放射能が高すぎるということで空母入港は拒否された(現在サンディエゴのドックに入っている)

 

33.レーガン艦上の海軍軍人は、海軍を訴えるのは禁じられたが、全ての責任を拒否して、スリーマイル・アイランド、核爆弾工場、ウラン鉱山等の所有者達に加わった東京電力に対し、集団訴訟を起こした。

 

34.福島でのオペレーション・トモダチ除染作戦でアメリカ軍が“学んだ教訓”報告は、“一般住民に不安を抱かせずに、航空機と要員の除染を行なうことが、新たな課題となった”と書いている

 

35.報告は‘許可’の為の“本当の除染作業標準が設定されておらず”その為“軍関係者や地元住民への放射能汚染拡散の可能性”の危険を冒しているとして、除染を疑問視している。

36. にもかかわらず、除染の際“放射性粒子を除去する上で、粘着テープと赤ちゃん用おしり拭きの利用は効果的だった”と報告している。

 

37.東京電力は組織犯罪とぐるになって、危険な現場作業の為に、貧窮化したホームレスや高齢者を採用して、自身の除染活動を行っているが、彼らの作業品質や、彼等の被曝状況は今や国家秘密になっている。

 

38.このようなデータが国家秘密とされる前に行われた公式推計によると、福島では毎日少なくとも300トン以上の放射能を帯びた水が海に注がれ続けている。

 

39.知りうる限りの福島外部に流れ出る放射能の量と組成も今や国家秘密であり、独自の測定や、大衆の憶測は、禁固10年以下の刑を課される可能性がある。

 

40.同様に、カリフォルニア大学(バークレー校) 核工学のエリック・ノーマン教授によると、“アメリカには、大気、食べ物や水の放射能の体系的な検査はない”。

 

41.大気や水に放出される多くの放射性同位元素は濃縮する傾向があり、福島の放射能の極めて有害な塊は、拡散する前に、今後何世紀にもわたって、海全体に移動する。例え拡散したとしても、無害にはなっていない可能性がある。

 

42.益々汚染されつつある生物圏の中で、既存の毒素との相互作用が、あらゆる生物に対する損傷を幾何学級数的に促進する可能性が高い相乗効果を生みだす為、放射能の本当の世界に対する影響は一層測定が困難になっている。

 

43.ヒトデ、イワシ、鮭、アシカ、シャチや他の海の生き物に起きている惨状として報じられているものは、存在しておらず、設置されようともしていない過去の実験に関する信頼に足るデーター・ベースや観測無しに、必ずしも断定的に否定することはできない。

 

44.X線の“わずかな”線量が人間の胚細胞を傷つけるという事実が、致死的な放射性同位元素の生物圏へのいかなる不自然な導入も、どれほど“拡散したとて”現在我々には分からない形で、入り組んだ地球生態に影響を与えうることを警告している。

 

45.既に福島から広がりつつあるわずかな線量が、既に海にある他の汚染物質によって強化された致死的な影響力で、イワシから、ヒトデやアシカに到る生物の極めて小さい卵に、徐々に影響を与える。

 

46. 原子炉放射性降下物からの無数の同位元素が、様々な生態学的環境の中で、今後何世紀にもわたって、全く異なる生物学的影響を与えるだろうから、バナナや他の自然源との線量比較は、ばかげたており、誤解を招く恐れがある。

 

47.黙示録さながらのものであれ、あるいは他のものであれ、人間や生態系に対する全体的影響に対する現在の否認は、福島が現在、生物圏に放出している放射性同位元素の極めて長い半減期の説明責任を、長期間、負うことなどできない。

48.福島の影響が何世紀も広がる中、どのような証拠が現れようと、原子力産業は決して、いかなる被害を起こしていることも認めず、決してその被害に対する弁償を支払わされることはないことだけは確実だ。

 

49.原子力海軍の父ハイマン・リッコーヴァーは、地球の必須な外皮内の放射線レベルを上げるのは、ある種の自殺だと警告し、できることなら自分が開発を支援した全ての原子炉を沈めたいと述べた。

 

50.原子力の利用を振り返ると“私には人類は自ら破滅しようとしているように思え、この恐ろしい力を我々が制御し、廃絶しようとすることが重要だと1982年に彼は語っていた。”

  

秘密と欺瞞という鉄のカーテンの背後で福島が悪化する中、それが一体、我々やこの地球に何をしているのかを、我々は是非とも知る必要がある。

真実は、業界の嘘と、「具体的な黙示録状態」に対して高まりつつある恐怖のどこか中間にあると、つい言いたくなる。

実際は、答えはその先にある。

我々にとって害がないという、この70年間の欺瞞、否認、悪から目をそらすことや、意味ある科学的研究の不足を特徴とする、原子力関連大企業による口先だけの保証は、最新の原子炉災害で、ばかばかしさへと色あせてしまった。

福島は毎日、膨大な法外な量の致死的な放射能を、我々の脆弱な生態圏に注ぎ込んでおり、これから何十年間もそうし続けるだろう。

5基の発電用原子炉が地球上で爆発したが、他に400基以上もあり、依然稼働中だ。

我々を最も脅かしているのは、不可避な次の大災害だ…そして更にその次の…そしてまた更に次の…否認と、大企業特権による保護によって、前もって覆われた原発は、究極的な世界的テロのエンジンだ。

 

*ハーヴィ・ワッサーマンは、www.nukefree.orgを編集しており、サイトには、日本の国家秘密法廃止と、世界的な福島接収を呼びかける請願のリンクがある。また、彼はSOLARTOPIA! Our Green-Powered Earthの著者である。

元素の融点および沸点

自己防衛の時代

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2月 232015


普段は本名を出していないブログ、ホームページの記事は原則として紹介しないのだが、今回は興味深い内容なので紹介させていただく。また、光文社の女性誌にも、真摯な記事が掲載されていたので、合わせて紹介させていただく。

Wantonのブログよりhttp://ameblo.jp/64152966/entry-11990043328.html

 

<福島米の6割が県外流通。人口あたりの流通量、1位東京、2位兵庫、3位沖縄、4位新潟、5位和歌山>

naverまとめ~より

http://matome.naver.jp/odai/2141666673861766901

福島県産米の6割が県外で販売されています

米の販売グラフ

県外販売先を県別に見て行きます

人口100万人あたりの福島米流通量

福島米に出会う確率の高い順と言えるでしょうか。
(福島県除く)

米 人口100万に当たりの流通量

順位 都道府県 人口100万人あたりの流通量 [t]

1 東京 4030
2
 兵庫 2735
3
 沖縄 2493
4
 新潟 1371
5
 和歌山 1291
6
 宮城 790
7
 栃木 450
8
 大阪 372
9
 愛知 369
10
 山形 328
11
 埼玉 313
12
 静岡 274
13
 山梨 169
14
 福岡 123
15
 福井 116
16
 神奈川 105
17
 三重 87
18
 北海道 78
19
 京都 73
20
 茨城 35
21
 長崎 26
22
 群馬 21
23
 徳島 18
24
 千葉 10
25
 山口 0.7
26
 広島 0.4
以下、流通無し(福島県除く)

2位は兵庫。さすが、岩手産を8割混ぜといて「神戸育ち」という銘柄で売るJAがいるだけのことはある。

http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/517.html

兵庫県、米卸最大手の神明ホールディングの本拠地

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%98%8E%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

 

なんで米処の新潟に福島産の米が流通してるの??

pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attac

米穀の生産と流通に関する資料(平成263月)

福島県農林水産部農産物流通課

東京、兵庫、沖縄、大阪で沖縄は3番目

福島県産米の販売地域

人口あたりに換算しなければ、1位東京、2位兵庫、3位沖縄、4位大阪、5位愛知 となります。

 

福島の2012年産米販売先主食用うるち米

東京53593トン、兵庫15201トン、沖縄3528トン、大阪3293トン、愛知2744トン加工用うるち米 新潟6124トン加工用うるち米は、味噌、せんべい用でしょうか。

何度も聞く。この検査は気休めか?誰への気休め?

セシウムだけを計測して、それも数秒の検査で何がわかる?

計測された結果はほとんどが13ベクレル。ふざけてないか?

(new-fukushima.jp/archives/28302 ) pic.twitter.com/mQMv7dFitG

福島県平成26年度産米 初の詳細検査実施。

セシウム含有量は1kg当たり61ベクレルで市場に出荷(FGWfinancegreenwatch.org/jp/?p=48880

福島県の給食で、子供たちが食べているなど恐ろしいpic.twitter.com/71iW54TnaD

乳児用は50ベクレル。乳児用不適の表示はあったのだろうか

スクリーニンングレベルの違い

日本農産情報 週間コメの売れ筋ランキング

http://www.japan-rice.com/nousan/index.htm

福島米、よく売れていますね 

兵庫県立こども病院の【急性白血病】治療数が・・・

http://matome.naver.jp/odai/2141662335598117101

兵庫県立こども病院と、静岡県立こども病院の【急性白血病】治療数が・・・のまとめ

白血病発生ランキング

ここまで組織的に放射能汚染米を国民に食べさせる理由は、福島の農家に補償するお金を払いたくない事もあるとは思いますが、それを中心になってやっているのは官僚組織であることは間違いありません。しかし、それだけでは無いと私は考えています。

人体実験されているのではないでしょうか。 

その理由は、以下の記事から読み取れます。

広島・長崎~福島へと続く壮絶なる生体実験の継承⇒『ふくしま国際医療科学センター』

http://ameblo.jp/64152966/entry-11868757195.html

急性白血病治療数ランキングですが、岡山には、福島や関東・東北からの移住者が一番多く、その次が、大阪、広島と続きます。大阪⇒第2位、岡山⇒第3位、問題の兵庫は、第9位。(”子供専用”病院であることに注意を要します。)栃木⇒第4位

こうして見ると、そのかなりの部分は被爆関連ではないかといった疑念が湧いて来ます。これでは、福島だけの甲状腺異常やガン、白血病の統計では全く不十分であることが理解出来ると思います。

これは、恐ろしい事実です。(終わり)

 

*愛知県東三河有数の米屋さんの話です。以下。 


「このデータは24年産となっていますが福島米の流通は今も変わってないです。基本的には外食産業用にほとんど消費されています。今年は特に西日本の米の品質が悪く福島は出来が良かったので現時点で完売に近いと聞いています。価格も特に安いわけではありません。福島米の放射能汚染状況の情報は最近では米業界からは消えましたね。全量測定していますが測定しているから安心と言うイメージだけで大きく汚染された米は出てこないでしょうが、少量汚染は当然出回っているでしょうね。」 


要するに外食を控えるのが賢明だということでしょう。(特に子供たちは)兎に角、これが日本という国の厳しい現実。自己防衛するしかありません。

次に「女性自身」という雑誌に掲載された記事を紹介します。この雑誌はイスラム国事件でも<後藤さん妻、総選挙12日前に外務省から口止め工作を受けていた-イスラム国事件>という気合いの入った記事を掲載していました。正直、吃驚しました。以下。

 

「放射能は心配ないと専門家が爆弾発言連発!東電支援の福島”洗脳シンポジウム”ルポ」(2015220日)

放射能シンポジウム

『放射能が怖くてきのこを食べないのは健康リスクにつながります』

「汚染きのこを食べるより車の運転のほうが危険」という専門家。耳を疑う言葉が飛び交う会が福島であった。放射能の危険を除去するのもそこそこに安全性を住民に訴える。国や東電は、安心できる生活を取り戻したい福島の人々の気持ちをどこまで踏みにじるのか。

「がんよりも心配なのは、骨。骨を強くする三大要因は、食べ物・運動・日光です。放射線を避けようとすると、これら3つをすべて避けることになります。すると死亡率は1.8倍に。放射線を避けるより、高いリスクを呼び込んでしまうんです」(福島県相馬市の相馬中央病院・越智小枝氏)

「福島の我々には、放射性物質の摂取制限なんてものは取り下げて、好きなものを食べさせて」(放射能健康相談員・半谷輝己氏)

 こんな冗談みたいな発言が「専門家」たちから飛び出し、しまいには参加者からも、「いろんな添加物のほうが危ない。これくらいはたいしたことない」という声が上がる始末。

こんな驚愕のシンポジウムが2月3日、福島県伊達市の山奥で開かれた。記者は地元の母親から、「トンデモないシンポジウムがあるんですよ」と聞き、取材したのだが、内容は予想を超えるものだった。

 雪がちらつく午後7時過ぎ。取材班の車は、凍結した山道を急いでいた。市街地から約20分。ぼんやりとした薄明かりの中に、木造校舎が浮かび上がる。ここが会場の、廃校を再利用した「りょうぜん里山がっこう」だ。
ミシミシときしむ廊下を通って教室に入ると、地元の人と思しき年配の男性を中心に30人くらいが集まっていた。
 教室の前には、このために来日したというポーランド国立原子研究センターの物理学者・ドブジンスキ氏と同時通訳者が並んで座っている。小さなシンポジウムに、いくらお金をかけているのか。

 今回は「出荷制限値100Bqkgは厳守しつつ地元民の目安としての摂取制限値の検討へ(大人1、000Bqkg、子供100Bqkg)」がテーマだ。
なんだかわかりづらいが、事前にシンポジウムのホームページを見ると、「放射能汚染された食品を食べても大丈夫だ」とアピールしたいのだろうと察しがついた。

“地域メディエーター”を名乗る前出の半谷輝己氏が、会の冒頭に趣旨を説明する。
「食品の出荷制限の影響で、本来食べられるはずだった山のきのこや、川魚、イノシシなどが食べられない状態が続いています。お年寄りの中には、『息子夫婦から、そんなもの食べるなと言われるから、気兼ねして食べられない』とか、『死んでもいいから食べたい』という意見が私に届いています。食文化を守る意味でも、出荷制限値は厳守しつつ、これだったら地元の人は食べていいですよ、という摂取制限の目安を設けたらどうかということを、みなさんで話し合っていただきたい」

 福島第一原子力発電所の事故後、政府は一般食品中に含まれる放射性物質の規制値を1kgあたり100Bqまでと定め、それを超えるものについては出荷制限をかけている。加えて、野生のイノシシやきのこなど、極端に規制値を上回る食品が検出された地域には、自分でとって食べることも控えるようにと県知事あてに、摂取制限の通達も出している。

 ところがこの会では、高濃度汚染食品でも、地元の人間なら食べていいことにしたいよう。「山や川の幸を食べたい」という地元民の気持ちをくんでいるように見えるが、リスクを福島県民に押しつけているだけではないか。

 その後、次々と「専門家」が登場。いかに汚染食品が「安全」かを訴えはじめた。
「1kgあたり2、400Bqのイノハナ(山のきのこ)が10g入ったご飯を1合食べた場合、損失余命は7秒。一方で、自動車を10㎞運転する場合に、事故死する確率から計算した損失余命は21秒。イノハナご飯を食べるより、自動車を運転するほうが3倍程度リスクが高いんです。こういう事実を考えることが、合理的な行動に結びつきます」

こう述べたのは、ビデオ出演した福井県立大学経済学部教授の岡敏弘氏。
“損失余命”とは聞き慣れない言葉だが、人間の寿命が特定のリスクに遭遇することで、短くなる平均寿命のことだ。
ちなみに、野生きのこの摂取制限が出ている南相馬市の測定結果を見ると、原町区で採れたイノハナから1万4、140Bqkgという超高濃度の放射性セシウムが検出されている(平成26年9月時点)。
「“損失余命”が理解できたという方は青、わからないという方は赤を上げて!」
半谷氏が参加者に問いかける。参加者には事前に赤と青のカードが配られており、そのつど、カードを上げさせて理解度を測るようだ。
参加者は、ほとんどの方が戸惑いながらも青のカード(理解できた)を上げた。

 さらに、冒頭で登場した越智小枝氏が「放射能が怖くてきのこや山菜を食べなくなったという方がおられますが、野菜やきのこを食べない、これらは全部健康リスクにつながります」と、たたみかける。
放射能安全派の弁はさらに続く。同じくビデオ出演の東京慈恵会医科大学教授で小児科医である浦島充佳氏は、「チェルノブイリ原発事故によって増えたのは子供の甲状腺がん。しかも、亡くなった方はほとんどいません。白血病は増えませんでした」と、キッパリ。さらに、「食品に含まれている放射性セシウムが、子供のがんを引き起こすかというと、それはどうかと思う」とセシウムのリスクを否定。

「大人なら1、000Bqkg、子供でも100Bqkgくらいなら与えても大丈夫。食べたいものも食べられずストレスを抱えているほうが、子供たちの情緒的な発達に影響します。家族で同じものを食べて、夕食には笑いが起こるような時間を過ごしてほしい」笑みを浮かべながらこう語ったのだ。そこまでして、汚染されたきのこやイノシシを子供に食べさせたいのか。正直、背筋がゾッとした。

 浦島氏の「大人1、000Bqkg」とは、食品の国際規格をつくるコーデックスという国際政府間組織が設けた基準を参考にしたもの。子供はその10分の1ならいいだろうというのが浦島氏の持論だ。しかし、原発事故で健康被害が増えたベラルーシなどは、乳幼児向けの食品規制値を37Bqkgに設定している。

記者は後日、3万人のがん患者を治療してきた北海道がんセンター名誉院長・西尾正道氏に意見を聞いた。 

「まきストーブに外側からあたるのが外部被ばくだとすると、燃える“まき”を小さくして口から飲み込んだ状態が内部被ばく。炭が体内にとどまると、周りの組織がベータ線(セシウムなど)で集中的に被ばくし、がん細胞に変わる可能性がある。口から放射性物質を取り込むのは、それくらいリスクが高いので取り込まないほうがいいんです」

さらに、チェルノブイリなどの医療現場を何度も視察している、さがみ生協病院内科部長で島根大学臨床教授の牛山元美医師にも聞いた。

「チェルノブイリ原発事故の後、ウクライナでは統計的有意に小児白血病が増えました。ベラルーシの医師は、『放射性ヨウ素がほぼ消えた時期に生まれ育っている世代にも甲状腺がんが事故前より多く出ている』と話しています。つまり、半減期が放射線ヨウ素より長い放射線セシウムが原因の可能性もあります。因果関係が明確に解明されていなくても、地域の汚染状態と病気の増加は関係しており、現地の医師は、被ばくの影響だと主張していました。臨床医なら、こうした声に耳を傾け、子供の健康リスクを減らす努力をすべきでは」と、浦島氏らを批判した。

 食べる楽しみや、郷土の食文化を失ってしまった地元民の悲しみや憤りは察してあまりある。しかし、その気持ちにつけこんで、わざわざ海外から学者を呼んできてまで、子供に汚染食品を食べるように仕向ける意図は何なのか。

食べて心配な人は、自分で被ばく量を測ればいい

放射能シンポジウム 今日決まったこと

(「大人1,000Bq/kg、子供100Bq/kg」どころか、いつのまにか「摂取制限の取り下げ」提案に) 

後日、半谷氏に、シンポジウムの真意を問うたが、「地域のお年寄りからの要望が強かったから」との回答を繰り返すばかりだった。
福島の母親たちは、こうした動きをどう見ているのか。

「イノハナご飯を食べたら7秒寿命が縮まる? 問題のすり替えをしてごまかさないで! 人間の体は機械じゃないんです。どう寿命が縮まって、どう死に至るんですか。いったい人の命をなんだと思っているんでしょうか」(伊達市在住・岡崎瑛子さん・仮名)

「栄養が偏らないように必死に産地を選び、調理法まで工夫している親の苦労がわかりますか? こんなシンポジウムにお金を使うなら、子供に健康被害がでないように対策を立てろと思います」(いわき市在住・遠藤千香さん・仮名)

「きのこや山菜を食べないのは健康リスクにつながる」と、話していた越智氏にも、母親のコメントを伝え、「それでも子供に食べさせる必要がありますか?」と尋ねた。
「私の持論としては、まだ食文化の確立していない子供には、必ずしも山菜や(野生の)きのこ、イノシシを食べさせる必要はないと思う」と越智氏。あのシンポジウムの発言はなんだったのか。

シンポジウムの終盤。再び半谷氏が聴衆に質問した。

「放射性物質の摂取制限なんてものは取り下げて、自由に食べさせて。心配な人はホールボディカウンターで測って管理すればいい、こう思う人は青!」

医師らの安全神話を聞いた参加者たちは、全員一致で賛成の青のカードを上げた。
「おっ、これ、できるとは思わなかった」と半谷氏は笑う。会として「きのこなどの摂取制限を取り下げてほしい」という要望書を、内閣府の食品安全委員会に提出するそうだ。

国は福島県の「放射線被ばくによる健康不安対策事業費」として、平成27年度に7億8千100万円を計上した。前年度の4千400万円から比べると、15倍以上の増額だ。その中には、住民に対して放射線の安全性を説明する“リスクコミュニケーション”の費用も含まれている。

このシンポジウムのホームページには、「参加する専門家の渡航費・交通費は、東京電力が福島復興およびリスクコミュニケーションの一環として負担しています」と書かれている。かつて国や自治体、東電が一体となって原発安全論をふりまいていたように、今度は放射能安全神話を刷り込もうとしているのか。

原子力賠償の弁護をしている井戸謙一弁護士は言う。

「内部被ばくや低線量被ばくに危険がないという社会的認識を広めることは東電だけでなく原発を推進する勢力にとって好都合。シンポジウムにお金を出しているのは東電でも、背後には原発でお金もうけしたい勢力の意向が働いている可能性もあります」

東電にも真意を聞いたが、「東電の原子力安全改革を監視する原子力改革監視委員会の副委員長バーバラ・ジャッジ氏の意向によるものだ」と、答えるにとどまった。今後も、安全神話をふりまく会が開催されるのだろうか。そんなお金があったら、除染や避難せざるをえない人の補償に回すべきではないのか。

21時を過ぎてようやくシンポジウムが終わり、司会の半谷氏がこう呼びかける。
「みなさん、イノハナご飯を別室に用意しているんで、食べて帰ってくださいね!」
本誌取材班は闇に包まれた山道を、急いで帰路についた。(終わり)

 

 官僚の一部は確信犯としてこういった「愚民化政策」を進めていることを頭に入れておく必要があります。国土の汚染を放置し、国民の命を危険に晒すことは、公僕のするべきことではないことは言うまでもないでしょう。


「イスラム国」騒ぎの本質を考える

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1月 282015

中東情勢を不安定にするための工作の一貫だろうと、何の驚きもなく、今回の日本人人質事件の報道を聞いていたが、どうも本質を突いた報道を意図的に日本のマスコミは報道しないので、一言だけ解説をさせていただきたい。

 

今回の事件のポイントは 


・アルカイダや今回の「イスラム国」は、グローバル・マクロを動かし、世界史を廻し、非公然活動(covert action)(=戦争を創り出す)をするために欧米のエリートが創った組織(=仕掛け)である。具体的には、今回の「イスラム国」は、イスラエルのモサド(イスラエル諜報特務庁)と米国のCIA(:Central Intelligence Agency)、英国のMI6(イギリスの情報機関。国外での情報活動をおもな任務とする。冷戦終焉の状況下で,開かれた政府を目指すイギリスのメージャー首相は,19935月,MI6の実在を初めて公式に認めた。)が戦争経済への布石としてつくった組織である。このことは、欧米のエリートの間では常識のようだが、公に口にするのは大人気ないということだろう。


 *参照、短いので英文そのまま。

 

ISIS Leader Abu Bakr Al Baghdadi Trained by Israeli Mossad, NSA Documents Reveal

 

The former employee at US National Security Agency (NSA), Edward Snowden, has revealed that the British and American intelligence and the Mossad worked together to create the Islamic State of Iraq and Syria (ISIS). Snowden said intelligence services of three countries created a terrorist organisation that is able to attract all extremists of the world to one place, using a strategy called “the hornet’s nest”. NSA documents refer to recent implementation of the hornet’s nest to protect the Zionist entity by creating religious and Islamic slogans. According to documents released by Snowden, “The only solution for the protection of the Jewish state “is to create an enemy near its borders”. Leaks revealed that ISIS leader and cleric Abu Bakr Al Baghdadi took intensive military training for a whole year in the hands of Mossad, besides courses in theology and the art of speech.

http://www.globalresearch.ca/isis-leader-abu-bakr-al-baghdadi-trained-by-israeli-mossad-nsa-documents-reveal/5391593

 

・安倍首相は今回、三菱グループを中心に26社の日本企業を引き連れてイスラエルへ乗り込み、「3000億円!」もの拠出を確約している。これらの企業人たちは、イスラエルで、人脈づくりと商談で超多忙だったと、中東のメディアは報道している。要するに戦争ビジネスで一儲けしようという安易な気持ちで行ったイスラエル訪問である。

 

・おそらく、得体の知れない民間軍事会社?社長、湯川遥菜氏やフリージャーナリスト?後藤健二氏は、戦争気分を盛り上げるための、自衛隊を海外に派遣しやすい雰囲気作りの捨て駒に官房機密費を使って仕立てられた可能性が極めて高い。あの田母神氏がこのことに関わっているのではないか。

 

・一番、重要なポイントは、安倍首相が現在のような深刻な状況(=「安倍首相は大丈夫か。要らぬお節介をして、日本が中東の紛争に、わざわざ巻き込まれに行ったのではないか。安倍首相の行動は軽率だ」になるとは、考えていなかったように思われることである。イスラエル右派とつながっている米国のタカ派議員(ジョン・マケイン上院議員等)から圧力をかけられ、<対米従属を貫き、政権を維持するため>にと考え、イスラエルを軽い気持ちで訪問したように思われる。その結果、米国ネオコン派の思惑通りの展開に引きずり込まれることになった。

Japanese Prime Minister Shinzo Abe visit to Jersualem, Israel - 19 Jan 2015

 

・石油輸入国である日本は1970年代の石油危機以来、基本的に「親アラブ」を貫いてきた。今回の安倍首相の中東歴訪は、日本が親アラブから親イスラエルに転じる転換点になるかもしれない。注視が必要である。

それでは、久しぶりに田中宇氏の解説記事を紹介させていただく。以下。

 

「安倍イスラエル訪問とISIS人質事件」    田中 宇

 

1月20日、日本の安倍首相がちょうど中東のイスラエルを訪問している最中に、同じ中東のイスラム過激派組織ISIS(イスラム国、ISIL)が、昨秋から人質にしている日本人2人の動画を公開し、2億ドルの身代金を日本政府に要求してきた。2億ドルという身代金の額は、安倍首相が今回の中東歴訪のみやげとして、ISISと戦う資金として中東諸国に出すと表明した支援金と同じ額だ。日本が出す2億ドルは軍事支援でなく、国境警備強化や(貧困がイスラム過激派を生んでいるという理屈に基づく)貧困対策など、行政施策に使う資金の支出だと日本政府は釈明している。しかし、日本が出す2億ドルがISISを弱体化するための支援金であることに違いはなく、ISISはこの点を突いて「そのカネをこっちによこせ。さもなくば2人を殺す」と脅してきた。

 イスラエルのハアレツ紙は、安倍がイスラエルにくるたびに人質事件と戦争が起きると皮肉った。安倍が前回首相だった06年にイスラエルを訪問した際には、2人のイスラエル軍兵士がヒズボラに誘拐され、それを機にイスラエルとレバノンの戦争が勃発した。今回は日本人人質事件だけでなく、安倍がイスラエルに到着した日、イスラエル軍機がシリア領内に侵入してヒズボラとイランの要員を空爆し殺害する戦闘も起きた。(For Shinzo Abe in Israel, it’s strictly business)(ヒズボラやイラン要員は、アサド政権を支援してISISと戦うためにシリアにいた。イスラエルの空爆はISISを支援する効果をあげている)(Israel attacks Syria in support of ISIS

 

安倍のイスラエル訪問は、経済関係の強化が主眼だった。「平和憲法」を持つ「経済大国」として、軍事や敵対に首を突っ込まず経済だけに注力する姿勢だ。しかし今のイスラエルは、ガザ戦争や西岸でのパレスチナ人弾圧を国際的に人権侵害(人道の罪、戦争犯罪)と非難され、最大の貿易相手だったEUは経済制裁を強めている。イスラエルは、EUに代わる貿易相手を探すのに必死だ。そこに日本の安倍首相が、おそらく米国のタカ派政治家から頼まれ、経済関係を強化すると言ってイスラエルを訪問した。日本は、戦争犯罪を犯して国際制裁されて罰せられそうなイスラエルに抜け道を用意してやった。

すばらしい平和主義だ。(Netanyahu forced to look for new markets in Asia as the EU rejects Israeli goods in face of Illegal Settlement Policy

 今回の安倍首相の中東歴訪は、エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ(自治政府、PA)を回った。イスラエルだけに行ったのでない。しかしヨルダンもエジプトもPAも比較的親イスラエルで、これらの国の政権が、日本から資金をもらって守られる(反イスラエルの政権に転じない)ことは、イスラエルの国家安全を守るために不可欠だ。

 安倍のイスラエル訪問は、3月に予定されているイスラエルの総選挙で、負けそうなネタニヤフを応援する効果ももたらした。3月17日に予定されている総選挙では、国際制裁を無視して違法入植地を広げたり和平交渉を潰したりイスラエル国内のアラブ系住民の市民権を剥奪したがる右派を率いるネタニヤフ首相が、和平交渉の必要性を訴える中道派に破れそうになっている。(New polls put center-left bloc ahead of Netanyahu’s Likud

 イスラエル右派の米政治団体(AIPACなど)に牛耳られる傾向が強い米議会は、ネタニヤフの挽回を助けようと、2月11日にネタニヤフを米議会に招待して反イランの演説をしてもらうことに決めた。イランはイスラエルの仇敵だが、オバマ大統領はイランと和解しようとしている。ネタニヤフを呼んで演説させ、オバマを非難するのが米議会の狙いだ。オバマは「3月の選挙に近すぎる日程での訪米であり、選挙に影響を与えたくないので会わない」という口実でネタニヤフとの会談を断った。(Netanyahu’s Iran speech in Congress is a recipe for an explosive U.S.-Israel clash

 オバマとイスラエルの不仲は昨秋から露呈している。米政界は、イスラエル右派に牛耳られ続ける米議会と、イスラエル支配を脱却しようとするオバマとの政争が激化し、一枚岩でなくなっている。日本(権力を握る官僚機構)の国是は対米従属であり、官僚を無力化しようとした民主党政権の反動で官僚の傀儡として成立した安倍政権は特にその傾向が強い。米国の上層部が分裂する中で安倍は、オバマでなく議会を牛耳る軍産イスラエル複合体を従属の対象とみなしているようだ。EUやオバマがネタニヤフを嫌う中で、安倍がイスラエルを訪問したことから、それがうかがえる。

 偶然だろうが、安倍と同時期にマケイン上院議員ら米議会のタカ派議員たちがイスラエルを訪問しており、安倍はイスラエルでマケインらと会って懇談した。マケインは以前、シリアを訪問して反アサド武装勢力と面談して鼓舞し、その中にのちにISISの幹部になる人々が含まれていたことで知られる「隠れISIS支援派」だ。(Angry McCain Admits Meeting With ISIS, Scolds Rand Paul For Not Knowing Terrorists)(John McCain’s Whoops Moment: Photographed Chilling With ISIS

 イスラエルの選挙で中道派が勝つと、パレスチナ和平を再開し、欧州と再和解して国際制裁を避ける策を採りそうだ(右派が全力で妨害するだろうが)。ネタニヤフが勝つと、和平推進を拒否し、国際法廷(ICC)で有罪になったり経済制裁されるのも無視して、西岸やガザを併合した上でゲットー化する「アパルトヘイト方式の解決」を突き進みそうだ。他国の指導者が選挙でネタニヤフを勝たせようとすることは、中東和平を妨害し、戦争や弾圧を広げる動きだ。安倍首相は中東歴訪で中東和平の推進を呼びかけ続けたが、実際の効果としては和平を潰したいネタニヤフを応援してしまっている。(A settler himself, FM Avigdor Liberman drops the A-bomb

 

安倍がその点を自覚してこの時期にイスラエルを訪問したのかどうかわからない。たぶん、イスラエル右派とつながっている米国のタカ派議員から圧力をかけられ、対米従属の観点から言いなりになってイスラエルを訪問したのだろう。

 石油輸入国である日本は1970年代の石油危機以来、親アラブを貫いてきた。今回の安倍の中東歴訪は、日本が親アラブから親イスラエルに転じる転換点になるかもしれない。サウジアラビアなど湾岸産油国は、米国シェール産業を潰す原油安を加速するため、アジア諸国などに原油をどんどん売りたい。日本が親イスラエルに転じても、サウジは日本に原油を売ってくれる。

 日本が米タカ派から圧力を受けて親イスラエルの傾向を強め、その反動としてISISが誘拐した日本人を殺すぞと脅しても、米タカ派やイスラエルが本当にISISやアルカイダの敵であるなら、米イスラエルと協力してISISと戦う安定した構図が存在しうる。しかし実際は、米タカ派やイスラエルが本当にISISやアルカイダの敵であるか、どうか大きな疑問がある。アルカイダや、それがバージョンアップしたISISは、米タカ派やイスラエルが中東支配に好都合な「敵を演じてくれる勢力」として育て、こっそり支援し続けている疑いが濃い。

 正月早々、米軍機がシリアで反ISISの武装勢力に支援する武器を空中から投下したところ「間違って」ISISの駐屯地に武器を投下してしまう事件が起きた。イラクやイランの軍幹部は、米軍が意図してISISに武器を支援したと考えている。(Middle East Officials Question ”Convenient Mistakes” Of US Airdrops To Al-Qaeda

 

ISISと最も効果的に戦っているのは米国でなく、イランと、イランに支援されているシリアやイラクの軍隊だ。米国では、オバマがISISと真剣に戦う気があるようだが、国防総省はISISと戦う気がなく、それに気づいたオバマが現場の司令官に直接攻撃を指揮する傾向を強め、国防総省がオバマを煙たがっている。この対立の余波で昨年、ヘーゲル前国防長官が辞任した。(Iran eclipses US as Iraq’s ally in fight against militants

 NYタイムスの07年の記事によると、国防総省はISISの指導者バグダディが存在しない架空の人物であると知っており、アルカイダがイラクに入り込むために架空の指導者をでっち上げて過激組織(のちのISIS)を作っていると報じている。米当局は、架空の人物とわかっているのに今もバグダディをISISの最高指導者として発表し続けている。(The US Military’s Stunning Conspiracy Theory Emerges From The Archives: “ISIS Leader Does Not Exist”

 

ゴラン高原の国連監視団によると、イスラエルはシリアで負傷したISISの兵士をゴラン高原経由で自国の病院に受け入れて治療している。米軍がヨルダンで訓練したシリアの「穏健派反政府兵士」たちが、イスラエル領のゴラン高原を経由してシリアに入り、ISISに合流している。The ISIS comedy continues…)(UN Details Israeli Military Ties With Syrian Rebels)(Mossad training ISIL terrorists: Putin aide

 ISISやアルカイダが、米・イスラエルによって敵として作られた勢力であっても、ISISやアルカイダの行動のすべてが米かイスラエルの命令によるものということではない。しかし、たとえばISISが米欧や日本人を人質にして身代金を要求したり、処刑する動画を世界に公開したりするのは、欧州諸国や日本をISISとの戦いに参加せざるを得ない状況にして、それを米国が指導する構造を作り、国際軍が中東にずっと駐留してイスラエルを守ってくれる状況を生み出すことにつながる。

(これまでに発表されている、米欧の人質が処刑されている映像の中には、ISISが合成したニセモノが含まれているとの指摘がある。ISISを支持して支配地域に入った米欧人が、ISISの存在を誇示するため、自分が殺される光景を撮して世界に発表する画策に賛成し、ニセモノの動画が作られた可能性がある)Author Naomi Wolf iscondemned for suggesting ISIS hostages are ACTORS and be-headings aren’t real

*そう言った意味では、湯川氏が殺されたと言う報道自体を疑ってみる必要がある。

 フランスでは、仏政府が年末に国連でパレスチナ国家の創設決議案に賛成したり、パレスチナ和平を進めないイスラエルを制裁する態度を強めたところ、年初にパリで反イスラム的な雑誌社やユダヤ教徒向け(コーシェル)のスーパーマーケットが襲撃されるテロが起きた。国際政治の舞台に立って選挙に勝ちたいネタニヤフは、仏大統領に断られたのにパリのデモに参加し、アフリカの大統領を押しのけて最前列に立った(仏政府は彼が最前列に来ることを事前に認めていたが)。パリのテロ事件をめぐる話は改めて書きたい。(Netanyahu’s Paris appearance was a PR disaster

 ISISに捕まった日本人を救出するため、日本政府はISISに関する情報を多く持つ(ISISの生みの親である)イスラエルや米国防総省、米タカ派議員など「軍産イスラエル複合体」に頼る傾向を強めざるを得ない。


日本政府が、米・イスラエルとISISとの裏のつながりを察知した上で、米タカ派やイスラエルと協調するならまだしも、そうでなく米・イスラエルとISISとのつながりを陰謀論扱いして無視して動いているように見えるだけに懸念がつのる。(終わり)

*参考資料YouTube“ジョン・マケイン イスラム国といつも連絡を取っている?”20141124https://www.youtube.com/watch?v=_nwfBQFzlpo


2015年を考える

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1月 082015

2015年がいよいよ始まった。新しい年を考える上でのポイントをまず、はじめに列記しておきたい。

 

・2013年から始まった「アベノミクス」は、日本の為の政策ではない。ロシアや中国が米国債を売却しているので、それを補完するためにやらされている政策である。

 

・日本には、1945年の敗戦以降、国際政治における国家主権:国家の意思というものはない。あったとしても表に出すことはできない。

 

・これから地球には、「太陽活動の大きな変化」によって、大規模な気候変動がもたらされる。その結果、マクロな視点で見れば、<世界経済は、デフレ縮小化>する。1800年~2000年の世界経済の爆発的な経済成長が終焉する時代を迎える。

 

・日本は、「原発再稼働」や「海外への原発売り込み」など、アナクロニズムなことをやらされているが、間違いなく、「エネルギー革命」が水面下で進行している。その結果、長期的な視点で見れば、エネルギーコストが信じられない程、安価になる時代が来ようとしている。

 

・パックスアメリカーナの時代が、もうすぐ終わろうとしている。そのことを冷徹に見通している政治家がロシアのプーチンである。

 

・日本という国は、いい悪いは別にして、天皇を中心とする立憲君主制の国である。天皇家が、日本国内にある米軍基地のように治外法権であることに、気が付かないと日本国の本質を知ることはできない。

 

・天皇家とユダヤ国際金融資本(ロスチャイルド財閥)との結びつきは、明治維新以降、非常に強いものがある。

 

・その結果、「最後の投資先」に日本が選ばれる可能性が極めて高いが、新しい時代に対応するためには、現在、表舞台に出ている人間が一掃されるような事件が起こることが必要になる。

 

・日本人として一番悲しむべきは、フクシマ原発事故による放射線による人体への影響が首都圏を中心に誰の目にも明らかになる時が迫っていることである。

 

・現在、原油価格が安くなっているのは、サウジアラビアを中心とするOPECがアメリカの「シェルガス革命」を潰すためと、米国を中心とする欧米勢力がロシアのプーチンを封じ込めるためにやっていることが重なって起きていることだが、その結果、彼らは自分で自分の首を絞めている。

原油価格の推移

今回は、意味深なことを言っているお二方の言葉を紹介したい。今上天皇陛下と投資家のジム・ロジャースだ。以下。

 

「天皇陛下の新年の感想(2015年)」

 

「昨年は大雪や大雨、さらに御嶽山の噴火による災害で多くの人命が失われ、家族や住む家をなくした人々の気持ちを察しています。

また、東日本大震災からは四度目の冬になり、放射能汚染により、かつて住んだ土地に戻れずにいる人々や仮設住宅で厳しい冬を過ごす人々もいまだ多いことも案じられます。

昨今の状況を思う時、それぞれの地域で人々が防災に関心を寄せ、地域を守っていくことが、いかに重要かということを感じています。本年は終戦から七十年という節目の年に当たります。

多くの人々が亡くなった戦争でした。

各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。

この一年が、我が国の人々、そして世界の人々にとり、幸せな年となることを心より祈ります。」(終わり)

 日本の指導者のなかで、今、一番適確な言葉を発信しているのが今上天皇陛下であることは間違いない。お時間の余裕のある方には、「満州と自民党」「「日本株式会社」を創った男~宮崎正義の生涯~」いずれも小林英夫著、をご一読いただきたい。A級戦犯だった里見 甫の伝記を併せて読めば、戦前、戦後史が切れ目なく続いていることが、明瞭に浮かび上がってくる。

 

「2014年11月17日、東京テレビ「モーニングサテライト」のジム・ロジャースのインタビューの概要」

 

安倍首相は投資家に対しては、良い仕事をしてくれている。しかし、長期的な視点から見ると、日本の債務は多く、人口も減っており、彼のやっていることは、日本を破滅させる方向に導いている。子供たちへは、他の国に移住するように勧めたい。こんな経済状況で消費税増税はするべきではない。逆に減税して、消費を増やした方が良い。カットしなければ、いけないのは、政府の支出の方だ。人口が減るなか、無駄な公共投資は、やめて債務を減らすべきだろう。 

 投資に関しては、敬遠されて割安、かつ変化の兆しがある市場を見つけることが成功の秘訣だ。他の人が手を出さないところに投資する。他の人にとっては、リスクがあるように見えるだろう。しかし、私にとっては割安に見える。最高値更新が続くアメリカの方が、よほどリスクがある。行く末を考えると恐ろしいし、みんなそのように考えておくべきで、最悪の結末が待っているからだ。2017年か2016年か、状況が変化したとき、リーマン・ショック以上の悲劇が起こりうる。生き抜くためには、その時にそなえておくべきである。 

資産は、いくつかの国に振り分けて保有している。資産は自分の国だけでなく、海外にも持っておくべきだ。それだけでなく、海外の保険に入るのも良い。また、実物資産も持っておくべきだ。今、買い増しているわけではないが、万が一に備え、金と銀を持っている。また、自分で食料を確保することは、これから生き残るためには重要だ。余裕のある人は、自分のための農業をすべきだ。」

 

私たちもアベノミクスという経済政策を彼のように冷徹に見ておくべきなのだろう。

終わりにこの機会にプーチンという政治家の怜悧な戦略を知っていただきたい。日本のマスメディアが全く報道しない視点を是非、読んでいただきたい。以下。

 

「達人プーチンのワナ」20141225ドミトリー・カリニチェンコ(ロシア)

欧米の対プーチン非難は、伝統的に、彼がKGBで働いていたという事実に基づいている。そして、それゆえ、彼は残酷で不道徳な人物なのだ。プーチンはあらゆることで非難される。だが、プーチンは知性が欠如していると非難するものは皆無だ。

この人物に対するあらゆる非難は、素早い分析的思考と、明快で、バランスのとれた政治・経済的判断をする彼の能力を強調するだけだ。

欧米マスコミは、この能力を、公開でチェスの多面打ちをする達人の能力にたとえることが多い。アメリカ経済と欧米全般における最近の進展で、アメリカは、プーチンの人物評価と言う点で、欧米マスコミは全く正しいと結論できそうだ。

フォックス・ニューズやCNN風の無数の成功報道にもかかわらず、現在アメリカ合州国が率いる欧米経済は、欧米の誰一人として脱出方法が分からない、プーチンの罠にはまっている。欧米がこのワナから脱出しようとすればする程、益々深くはまりこんでしまうのだ。

欧米とアメリカ合州国が陥った本当の悲劇的な苦境の実情とは何だろう?そして一体なぜ全ての欧米マスコミと主要欧米エコノミストは、しっかりと護られた軍事秘密の如く、これについて沈黙しているのだろう?現在の経済的出来事の本質を、道徳規範や、倫理や地政学等の側面はさておき、経済という文脈で、理解を試みよう。

 

ウクライナでの失敗を自覚した後、アメリカが率いる欧米は、ロシア経済を破壊する為、石油価格、更には、主要輸出収入源で、ロシア金準備の主要補充源であるガス価格をも押し下げ始めた。ウクライナにおける欧米の主な失敗は、軍事的でも政治的でもないことに留意が必要だ。だが、プーチンは、ロシア連邦予算を出費して、ウクライナでの欧米の計画を支援することを、実質的に拒否したのだ。おかげで、この欧米プロジェクトは、近未来でも、更なる未来でも、実行可能ではなくなってしまった。

前回、レーガン大統領の下で、同様な欧米による石油価格下落活動が、‘成功し’ソ連は崩壊した。だが歴史は常に繰り返すというわけではない。今回、欧米にとって、状況は違っている。欧米に対するプーチンの反撃は、チェスと柔道の両方に似ていて、敵が用いる力は、敵自身に対して使われるが、防御側が使う力と資源とコストは最小だ。プーチンの本当の政策は公開されているわけではない。それゆえ、プーチンの政策は、常に概して、効果ではなく、効率が狙いだ。

 

プーチンが現在行っていることは、ごくわずかの人々しか理解していない。そして、彼が将来何をするかについては、ほぼ誰も知らない。

どれだけ奇妙に見えようと、現在、プーチンは、ロシア石油とガスを金の現物でしか売っていないのだ。

プーチンは、それを声高に世界中に叫んでいるわけではない。そして、もちろん、彼は中間的支払い手段として、アメリカ・ドルを、依然受け取る。だが彼は、石油とガスの販売で得たこうしたドルの全てを、すぐさま金の現物に変えるのだ!

これを理解するには、ロシア金準備高増加の動態を見て、このデータを、ロシアが石油とガスの販売で、同時期に得ている外貨収入と比較するだけで十分だ。

しかも、第三四半期にロシアが購入した金の現物は、史上最高記録水準だ。今年の第三四半期、ロシアは、55トンという信じがたい量の金を購入した。これは全世界の全中央銀行を合計したよりも多い(公式データによれば)!

2014年の第三四半期に、世界中全ての国の中央銀行は、合計93トンの貴金属を購入した。中央銀行による金純仕入れは、連続15期目の四半期だった。この期間に、世界中の中央銀行が購入した金93トンのうち、驚くべき購入量の55トンを、ロシアが保有している。

さほど遠くない過去、イギリス人科学者が、見事に、数年前、公表されたアメリカ地質調査の結果と同じ結論を出した。つまり、ロシアからのエネルギー供給無しでは、ヨーロッパは存続できないというものだ。英語から世界中の他のあらゆる言語にされており、これはこういう意味だ。“もしロシアからの石油とガスが、世界のエネルギー供給バランスから、無くなってしまえば、世界は存続できなくなる”

そこで、オイルダラー覇権の上で成り立っている欧米世界は、破局的な状況にある。彼らはロシアからの石油とガスの供給無しでは生きられないのだ。しかもロシアは今、欧米に、石油とガスを、金現物と引き換えでしか売らないようにする用意ができている!

プーチンのゲームの巧みさは、ロシア・エネルギーを、金でしか、欧米へ輸出しないという仕組みが、欧米が、ロシア石油とガスに、人為的に安くしている金で支払うことに同意しようがしまいが機能することだ。

ロシアは、石油とガス輸出により、ドルを定期的に得るので、いずれにせよ、欧米により、あらゆる手段で押し下げられた現在の金価格で、金に転換することができるのだ。    

つまり、市場操作によって、人為的に押し上げられているドルの購買力で、連邦準備制度とESFによって、人為的かつ、細心の注意を払って、何倍も押し下げられている金価格で。

 

興味深い事実: アメリカ政府の専門部門、ESF(為替安定基金)による、ドルを安定化させる狙いでの金価格押し下げは、アメリカ合州国で法制化されている。

金融業界では、金が反ドルなのは、当然のこととして受け入れられている。


  • 1971年、1944年、ブレトンウッズで、アメリカが保証した、ドルと金の自由交換をやめ、アメリカのリチャード・ニクソン大統領が‘金の窓’を閉じた。
  • 2014年、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ワシントンの許可を得ずに‘金の窓’再度開けたのだ。 

現在欧米は、金と石油の価格を押し下げるのに、努力と資源の大半を費やしている。それにより、一方では、アメリカ・ドルに有利なように、実際の経済的現実を歪曲しながら、その一方で、ロシア経済を破壊し、欧米の忠実な属国役を演じることを拒否している。

現在、金や石油等の資産は、比例的に弱体化されたように見え、アメリカ・ドルに対して、極端に過小評価されている。これは欧米による膨大な経済的努力による結果なのだ。

今やプーチンは、欧米の努力で人為的に押し上げられているアメリカ・ドルと引き換えにロシアのエネルギー資源を売っている。彼はそれで、欧米自身の努力によって、アメリカ・ドルに対し、人為的に低めにされている金を即座に購入するのだ!

プーチンのゲームには面白い要素がもう一つある。ロシアのウランだ。アメリカ電球の6個のうち1個は、ロシアからの供給に依存している。ロシアがアメリカにドルで販売しているのだ。

米国はウランを何処から買っているのか

 そこで、ロシアの石油、ガスとウランと引き換えに、欧米はロシアに、石油と金に対し、その購買力が、欧米の努力で人為的に押し上げられているドルを支払う。しかし、プーチンは、アメリカ・ドルを、まさに同じ欧米によって、人為的に押し下げられているアメリカ・ドル建て価格で、金の現物を欧米から回収する為にだけ使っているのだ。
 プーチンによるこの実に見事な経済政策の組み合わせは、アメリカ合州国が率いる欧米を、自分のしっぽを積極的かつ熱心にむさぼり食う蛇の様な立場に追い込んだのだ。

 欧米に対する、この経済的な金のワナという考えは、恐らく、プーチン自身が発案したものではない。プーチンの経済顧問、セルゲイ・グラジエフ博士の考えである可能性が高い。そうでなくて、一体なぜ、一見事業に関与していない様に見える官僚グラジエフが、多くのロシア人実業家達と共に、ワシントンによって、個人的に制裁リストに含まれているのだろう?経済学者グラジエフ博士の発想が、中国の仲間、習近平から全面的支持を得て、プーチンによって見事に実施されたのだ。

 特にこの文脈で興味深いのは、必要であれば、ロシア中央銀行は、準備金の金を、輸入への支払いに使用することが可能であることを強調した、11月のロシア中央銀行第一副総裁クセニア・ユダエワの声明だ。欧米世界による経済制裁という文脈の中で、この声明は、BRICS諸国、そしてそもそも中国に向けられたものであることは明白だ。中国にとって、ロシアが、商品に対して、進んで欧米の金で支払うというのは、実に好都合だ。理由は下記の通りだ。

 中国は最近、金とアメリカ・ドル建て外貨準備を増やすのをやめる予定だと発表した。アメリカと中国との間の貿易赤字の増大を配慮して(現状では、違いは、中国が五倍優位だ)、この金融語による声明を翻訳すると、“中国は商品をドルで売るのは停止する”ということなのだ。世界中のマスコミは、この最近の通貨制度史上最大の出来事に気がつかないふりをしている。問題は、中国が文字通り、商品を、アメリカ・ドルで売るのを拒否しているということではない。中国は、もちろん、中国商品に対する支払いの中間手段として、アメリカ・ドルの受け取りは継続するだろう。だがドルを得ると、中国は即座に、ドルを処分し、中国の金と外貨準備高構造中で、何か他のものに置き換えるのだ。

 

そうでなければ、中国の通貨当局の声明には意味がない。“我々は、金とアメリカ・ドル建て外貨準備を増やすのをやめる。”つまり中国は、他のあらゆる国との貿易で稼いだドルで、これまでそうしていた様に、アメリカ合州国長期国債を購入することは、もはやしないのだ。

 かくして、中国は、アメリカからのみならず、世界中から、その商品に対して得る全てのドルを、中国の金・アメリカ・ドル建て外貨準備高を増やさない他の何かに置き換えるつもりだ。そこで、興味深い疑問がおきる。中国は、貿易で得た全てのドルを、一体何に置き換えるつもりなのだろう?どの通貨、あるいは資産で?現在の中国通貨政策を分析すると、貿易で得るドル、あるいは、そのかなりの部分を、中国は静かに、置き換える可能性が一番高いが、事実上、既に、金に置き換えつつあることを示している。

我々はドル時代の終焉を目にしているのだろうか?
 

この点で、ロシア-中国関係の二人遊びゲームは、モスクワと北京にとって大成功だ。ロシアは、中国から商品を購入し、時価で直接、金で支払う。一方、中国は、ロシアのエネルギー資源を、金で時価で購入する。このロシア-中国間の命の祭典では、あらゆるものが取引される。中国商品、ロシアのエネルギー資源と金が、相互の支払い手段だ。アメリカ・ドルだけは、この命の祭典に居場所がない。そして、これは驚くべきことではない。アメリカ・ドルは、中国製品でもなければ、ロシアのエネルギー資源でもないからだ。ドルは、中間的な金融決済手段に過ぎず、しかも不必要な仲介者だ。そして、二つの独立したビジネス・パートナー間の取引から、不要な仲介者は排除されるのが普通だ。

 金現物の世界市場は、石油現物供給の世界市場と比較して、極端に小さいことに留意が必要だ。そして、特に金現物の世界市場は、石油、ガス、ウランという商品現物の全世界市場と比べれば、顕微鏡でしか見えないほど小さい。

“金の現物”という言葉を強調したのは、‘紙の’エネルギー資源ではなく、現物のエネルギーと引き換えに、ロシアは現在、欧米から金を回収しているが、紙の上の金ではなく、金の現物だけだからだ。中国も同様に、製品現物の、欧米輸出に対する支払いとして、欧米が人為的に引き下げた金の現物を得ている。

 ロシアと中国が、両国のエネルギー資源や商品への支払いとして“シット・コイン”つまり、様々な種類のいわゆる“紙の上での金”を受け入れるという欧米の願いも実現しなかった。ロシアと中国は最終支払い手段として、金と現物の金属にしか興味はない。

参考: 金先物市場における紙の上の金取引高は、月3600億ドルと推定される。ところが、金現物の引き渡しは、月にわずか、28000万ドルだ。そこで、紙の上の金、対、金現物取引の比率は、10001というわけだ。

 欧米に人為的に押し上げられている別の金融資産(米ドル)と引き換えに、欧米によって人為的に押し下げられている金融資産()を、市場から積極的に回収する仕組みを利用して、プーチンは、オイルダラーの世界覇権を終わらせる秒読みを始めたのだ。 

かくして、プーチンは、欧米を、いかなる前向きな経済見込みも不在の、手詰まり状態に追い込んだのだ。欧米は、人為的にドルの購買力を高め、石油価格を下落させ、金の購買力を人為的に引き下げる為、努力と資源はいくらでも費やせる。欧米にとっての問題は、欧米が所有している金現物の在庫が無限ではないことだ。それゆえ、欧米がアメリカ・ドルに対して、石油と金を押し下げれば押し下げる程、価値を低くしている金を、無限でない準備高から、より急速に失うことになる。プーチンの経済的組み合わせという、この素晴らしい手によって、金の現物は、欧米の準備高から、ロシア、中国、ブラジル、カザフスタンとインド、BRICS諸国へと、急速に移動しつつある。金現物備蓄減少の現在の勢いでは、欧米は、欧米オイルダラー世界全体の崩壊まで、プーチンのロシアに対して何をする時間も、もはやない。チェスでは、プーチンが、アメリカが率いる欧米を追い込んだ状況は、“タイム・トラブル”と呼ばれるものだ。
 欧米世界は、いままさに起きている様な、経済的事態や現象には決して直面したことはない。ソ連は、石油価格下落の際に、金を素早く売却した。ロシアは、石油価格下落に際して、素早く金を購入している。かくしてロシアは、オイルダラーによる世界支配というアメリカ・モデルに対して、本当の脅威を与えているのだ。
 

世界オイルダラー・モデルの基本原理は、世界通貨制度(GMS)で支配的なアメリカ通貨の役割に基づいて、他の国々や人々の労働力と資源を犠牲にして、アメリカ合州国が率いる欧米諸国が暮らせるようにするものだ。GMSにおける、アメリカ・ドルの役割は、それが究極の支払い手段であることだ。これはつまり、GMS構造において、アメリカ合州国の自国通貨は、それを他のあらゆる資産と交換する為の究極的な資産蓄積手段というのが、意味をなさなくなってしまうのだ。ロシアと中国が率いるBRICS諸国が現在行っていることは、実際、世界通貨制度における、アメリカ・ドルの役割と立場を変えつつある。究極的な支払い手段と、資産蓄積から、アメリカの自国通貨は、モスクワと北京の共同行動によって、単なる中間的支払い手段へと変えられてしまうのだ。別の究極の金融資産、つまり金と交換する為に意図された、単なる中間的支払い手段にされてしまうのだ。そこで、アメリカ・ドルは実際、究極的な支払い手段、兼資産蓄積という役割を失い、両方の役割を、別の広く認められて、特定国家のものでなく、政治的要素が取り除かれた金融資産である、金に譲り渡すことになる。

 

伝統的に、欧米には、世界における、オイルダラー・モデル覇権と、結果としての、欧米の極端な特権に対する脅威を抹殺する二つの方法がある。

こうした手法の一つは、カラー革命だ。第二の方法は、通常万一、前者が失敗した際に、欧米によって行われるもので、軍事攻撃と爆撃だ。

だがロシアの場合、この方法のいずれも、欧米にとって、不可能だったり、受け入れ不能だったりする。 

なぜなら、そもそもロシア国民は、他の多くの国々の国民と違い、自らの自由や、孫子の将来を、欧米のソーセージと交換しようと望んではいないからだ。これは主要な欧米格付け機関によって定期的に公表されるプーチンの記録的支持率から明らかだ。ワシントンのお気にいりナヴァルニーと、マケイン上院議員の個人的友情は、彼にとっても、ワシントンにとっても極めて否定的な効果しかなかった。この事実をマスコミで知った98%のロシア国民は、今やナヴァルニーを、単なるワシントンの傀儡で、ロシア国益の裏切り者としか見ていない。従って、まだ正気を失っていない欧米の専門家連中は、ロシアでは、いかなるカラー革命をも夢想することはできない。 

直接軍事攻撃という欧米の二つ目の伝統について言えば、ロシアは確実に、ユーゴスラビアでも、イラクでも、リビアでもないのだ。アメリカが率いる欧米による、ロシア領へのあらゆる対ロシア非核軍事作戦は、失敗する運命にある。またNATO軍指導部を本当に掌握しているペンタゴンの将軍達もこれを理解している。同様に、いわゆる“予防的武装解除核攻撃”という概念も含め、対ロシア核戦争にも見込みはない。NATOは、厳密に言えば、ロシアの様々な形の核能力を完全に武装解除する一撃を加えることはできない。敵に対する大規模核報復攻撃や、敵の遺体の山が不可避だ。しかも、ロシアの総合能力は、生き残った人々が死者をうらやむほど十分ある。つまり、ロシアの様な国との核攻撃の応酬は、迫り来るオイルダラー世界崩壊の問題に対する解決策ではない。最善の場合は、歴史上、核戦争の最後の和音、最終点となるだろう。最悪の場合は、核の冬と、放射能で突然変異したバクテリア以外の地球上のあらゆる生命の絶滅だ。

 

欧米の経済支配層は、状況の本質が見えており、理解している。主要欧米エコノミスト達は、プーチンの金という経済的ワナによって、欧米世界がおかれた状況の、苦境の酷さと絶望感を確実に把握している。結局、ブレトンウッズ合意以来、我々全員が黄金律を知っている。“より金を多く持っている者が、ルールを決める。”だが欧米でこれについて全員が沈黙している。沈黙しているのは、この状況からの脱出法を誰も知らないせいだ。

 

もし欧米大衆に、迫り来る経済的大惨事の詳細全てを説明すれば、大衆は、オイルダラー世界の支持者達に、最も恐ろしい質問をするだろうが、それはこういうものだろう。

ロシアから、金の現物と引き換えに、石油とガスを、欧米は一体どれだけ長期間買い続けられるのか?
そして、ロシアの石油、ガスやウランや、中国商品に対する支払いとして払う金の現物が欧米で尽きた後、アメリカ・オイルダラーに一体何が起きるのか?

現在、欧米では誰一人として、この一見して素朴な質問に答えられる人はいない。

これは“チェックメイト”と呼ばれており、紳士淑女の皆様、勝負はついたのだ。(終わり)

 

*記事原文:http://orientalreview.org/2014/12/25/grandmaster-putins-trap/

 この記事の補足としては、次の事実を紹介しておきたい。

ソ連共産党機関誌だった「プラウダ」に掲載されたわが国に関する不思議な記事が存在する。2005930日付のものだ。

 

「日本は代替エネルギー開発では世界で最も先陣を切っている国の一つである。日本の科学者たちが石油を購入したり、それを使ったりすることから日本を解放することがあり得ないわけではない。軍隊についていうと、日本の国会議員たちは最新鋭の兵器を持った強力な軍隊へと自衛隊を転換することについて既に了承している。現段階で日本が世界最大の金準備を持っていると自慢出来ることは知るに値することである。

 

この記事は、世界のエリートに静かな反響を呼んだようである。

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