~米国のペンタゴンレポート2003年の衝撃の中身~
(2)
もう一方の南半球シナリオ南半球の気候力学については少なからず不確実性がある。それは主として北半球に比べて利用できる古気候学のデータがあまりないためだ。
南半球の主要な地域の気候様式は北半球のそれに従えば寒冷化乾燥化するだろう。
即ち気候システムが熱力学の法則により釣り合いを取るように働き、暑さは回帰線から北半球へ流れ反対に南半球は寒冷化乾燥化する。
(それとも)二者択一的に、気候システムのバランスから北半球の寒冷化が南半球の温暖化、降水量暴風雨の増進に至るかもしれない。つまり、温室効果ガスによる温暖化が海流(の変化)により閉じ込められることによりますます増進しそれが赤道地域からはなれて南半球を温暖化するということだ。
どちらにしても、突発的気候変動における気候変化は世界中の主要な人口密集地帯、増進地帯をほぼ同時に極端な気象状況にするであろう事は疑う余地がない。
2010年から2020年の地域状況
上記のグラフィックは、シナリオで描写した気候様式の解釈を簡単に示している。
ヨーロッパ
気候変動の影響を最も激しく受ける。
つまり、10年間で年平均気温は華氏6度(摂氏3.4度)低下し、特に北西海岸に沿った地域では極めて劇的な変化となる。北西ヨーロッパの気候はまさにシベリアのように寒冷化、乾燥化、暴風化します。南ヨーロッパの変化はより僅かだが、それでも鮮明な断続する寒冷化、急激な温度変化にさらされる。
ヨーロッパの至る所で降水量が減少しそれが原因で土地が枯れ食料の供給が不足しだすだろう。ヨーロッパはスカンジナビアや北ヨーロッパの国民が暖かさを求めて移住してくることや同様にアフリカやその他の地域でひどい打撃を受けて移住してくる人たちとの間で問題が多発しだすだろう。
アメリカ合衆国
寒冷化、暴風化、乾燥化はアメリカ合衆国の至る所で食物生産期間の短縮と食物生産量の減少を起こすだろう。特に合衆国の西南地域は乾燥化が長引く。砂漠地帯はますます増大する暴風に直面する。その一方で農業地帯は強風及び大地の乾燥化がおこり耕地の損失に悩まされる。
気候の乾燥化は特に南部の州で顕著だろう。沿岸地帯は温暖化時代と同様に海岸線に沿って海水準が上昇する危険性を継続して受ける。アメリカ合衆国は内政中心へとその政策を変換することになる。即ち、合衆国自身の人口を食べさせる為の資源を確保しその境界を支えて尚且つ世界の緊張の増進を管理するようになるだろう。
中国
巨大な人口が食料供給に対して高い必要性を持っている中国は季節風による降雨が規則性(信頼性)を無くすため激しく打撃を受けることになる。夏場の季節風による時折の降雨は歓迎されるものでした、しかし一般に土地が裸にされた為氾濫を招き破壊的な影響を出すようになったのである。より長くより寒い冬およびより暑く降水量が減少して乾燥化した夏は既に厳しいエネルギー供給、水供給に対して緊張を強いるものとなる。広範囲にわたる凶作は無秩序と本質的な苦闘の原因となり、冷淡で空腹な中国の民はロシアを横切って西方の境界のエネルギー資源を嫉妬深く見つめるようになる。
バングラデッシュ
不断の台風襲来と海水面上昇はかなりの沿岸を侵食する原因となる強襲する大波を引き起こす。そしてそれはバングラデッシュのほとんどを居住に適さないようになる。さらに進んで、上昇してくる海水面は内陸奥地の飲料水の供給源を塩水化汚染し人道的危機状態となる。大規模な移民が起こり、それが中国とインドの緊張状態の原因となり、そして彼ら自身が抱える国内的危機を処理する為奮闘し始めるだろう。
東アフリカ
ケニア、タンザニア、およびモザンビークは、わずかに暖かい天候となる。しかし、不断の旱魃にも直面することになる。乾いた状況に慣れているこれらの国々は気候が変化する状況にそれほど影響を及ぼされないだろう。しかし、彼らの食料供給は主要な穀物を製造する地域が困窮するにつれて食料供給の困難に直面するようになる。
オーストラリア
主要な食料供給者であるオーストラリアは世界中の食料を供給しようと努力することになる。その農業は気候の変化がそれほどでなく厳しい衝撃をあたえられないだろう。
天然資源への衝撃
気候様式の変更と海洋温度の変化は農産物、水産物、野生動物、水、およびエネルギーに影響を及ぼす。作物の産出量は気温と水のストレスと同じようにその作物が生長している期間が10-20%減少することに影響される。
そしてまた、そのことはどの地域が温暖化から寒冷化する傾向にあるかを予測し得ない。いく種類かの農業病害虫は気温変化のために死にますが、他の種類は乾燥化強風化のために簡単に拡大するだろう。つまり、代わりの殺虫剤をもちい取扱を厳しく統制することが必要になる。一般的に特定地域に漁業権を持っている商業漁民達は彼らの獲物が大規模な移動をする為漁業装備を整えなおす災難に見舞われる。
世界において(アメリカ合衆国、オーストラリア、アルゼンチン、ロシア、中国、インド)この地域はたった5ないし6種類の穀物を栽培している状態であり、一部の地域での気象条件が悪化した場合世界的な食料の差引勘定からの余剰は不十分となる。世界の経済上の相互互助制度は、局所的な気候の変化によって引き起こされた主要な農産物の経済上の混乱および世界の人口数が多すぎる事により、ますますアメリカ合衆国を窮地に陥れる。悲劇的な水とエネルギーの不足は-それは今日現在でも世界中で言われていることだが-迅速に克服されるはずはない。
国家安全保障への衝撃
人類文明は地球の気候が安定化温暖化することにより始まった。気候の不安定な寒冷化は人類が農業を発展させずに頻繁な移住をする必要性を促した。ヤンガードリアスの終了時点で気候が温暖化安定化し、その後、人類は農業のリズムと気候が生産力を維持するような場所に定住することを学んだのである。
現代文明はこのシナリオで概略述べたような絶え間ない混乱した気候状態を経験したことがない。結果として、この報告書で概略述べた国家安全保障との密接な関係は単に仮説にとどまる。
実際の衝撃は気候状態への認識の仕方、人間の適応性、政策立案者の方策によっては非常に異なることだろう。
突然の気候変化によって引き起こされるで、あろう緊張した暴力的混乱状況は今日我々が慣れている国家安全保障への脅威とは異なるタイプだ。
軍事的な対決は、イデオロギー、宗教、国家的栄誉の争いではなく、エネルギーや食料や水といった天然資源に対する絶望的な必要性から引き起こされるかも知れない。立ち向かう為の動機付けを誘発する為には国家は安全保障の脅威を現存する警告としてもっと社会が敏感になるようにする事だろう。
各国が争う事の調査として資源強制と自然環境挑戦への長く続く学研的範囲をこえた討論がある。ところで、何人かの人は、国家は単独で2国間がお互いに攻撃するようにできると信じている一方で、他のものはそれらの主要な影響が先に存在している国家のグループに対してその国家間での争いを誘発すると主張している。
とにかく、厳しい環境問題が世界的な争いへとエスカレートするであろう事を、否定できない。共同観察者と大統領によって設立された太平洋の環境と安全保障に関する研究開発組織のピーターグリックは突発的気候変動(気候ジャンプ)により当惑される国家安全保障に関して3つの基本的な挑戦しなければならない難問を提起する。
1. 農業生産の減少の結果における食糧不足
2. 洪水や干ばつの結果の真水の利用可能性と質の劣化
3. 海氷や暴風の結果の戦略上重要な鉱物資源への入手の分断
突発的気候変動の場合には、食料、水、エネルギーの強制が第一に経済問題を通り越して政治的に行われるかもしれない。そして外交上は条約破棄及び通商禁止といった方法を採るかもしれない。時間がたつにつれて土地と水をめぐる争いはより厳しく乱暴になるだろう。そしてますます絶望的な状態になるので、交戦の為の圧力は増大するだろう。
生存収容力の減少
このグラフは突発的気候変動(気候ジャンプ)が、生態系の変化によって(人類の生存する為の)資源の不足から戦争を誘発して生存収容力を減少させることを示唆している。今日、地球そしてその自然生態系が人類社会の経済文化システムをサポートしておりこの惑星が養いうる生存収容力には限りがあるという現実に(我々人類は)世界中で挑戦されようとしているのだ。国際エネルギー機関によると、全世界の石油の需要はこれからの30年間に66%増大するとしている。しかし、どこがそれを供給するのか明確になっていない。きれいな水は、世界中の多くの地域で同様に強奪されるだろう。
(今現在でも)世界では8億1500万人の人々が生存するのに不十分な状態に置かれており、このような状態の地球は(既に)我々を生存させる生存収容力を失っている。(すなわち地球には)我々の生存を支える充分な天然資源が(既に)ない事を意味している。全地球の生態系を管理する手段としての可能性のある多くの技術開発、 如何にも技術進歩が時とともに生存収容力を増進しているように見える。世紀を超えて、我々はより多くの食料を生産する方法や、エネルギー、水の供給を確保する方法を学習した。
しかし、この筋書きで概略を述べられたような危機に直面するとき、新しい科学技術の潜在力は充分効力があるのだろうか?
突発的気候変動は、(科学技術による対応策による)生存収容力増進の試みを打ち砕き、まさしく地球の生存収容力は限界を超える危機的状態を招くかもしれない。そして、生存収容力が再編成されるような大自然の傾向や要求がある。突発的気候変動が全世界の生存収容力を低くする結果、食料や水、エネルギーをめぐって攻撃的な戦争が起こりそうだ。戦争による死者と同様に餓死、病死が人口減をもたらし、最終的には地球の生存収容力と再び釣りあるようになるだろう。生存収容力を地域や国家のレベルで見る場合、一部の国家は高い生存収容力を明白に持っていそうだ。
たとえば、アメリカ合衆国や西ヨーロッパは現在の彼らの人口サイズから考えると突発的気候変動に対してもっとも的確に対応できそうである。
この事が持つ者と持たない者との心理をより厳しい状況に押し上げるかもしれない。即ち、高い生存収容力を持つこれらの国家へ怒りが向けられるという事だ。
その事は、金持国家はより多くのエネルギーを消費する傾向があり、より多くのCO2といった温室効果ガスを大気中に排出してきた事に対して、指差し非難するに至るかもしれない。CO2排出と気候変化との因果関係が科学的に証明されているかどうかが重要なのではなく、国家が遭遇している知覚された現実が重要なのだ。
生存収容力と戦争状態との関連
Steven LeBlanc と言うハーバード大学の考古学者が生存収容力「Carrying Capacity」と名付けた新刊書で生存収容力と戦争との関係を描写している。
豊富な考古学のまた民俗学のデータを基にして、LeBlancは、歴史的に人類は多種多様な理由により組織的な戦争状態を起こしてきたが、その中に資源や環境の争奪が原因の戦争状態があった事はたしかであると主張している。
人類は彼らの持っている自然環境の生存収容力を勝ち取る為に戦う。
狩猟民族/農耕民族の略奪者、権力者、から初期の複合社会が成立する過程で、戦争は起こり、人口の25%の成人男性は死んだ。生存収容力が上がったときに平和はやって来た。
即ち、農業技術が発明された時がそうであり、効率的な官僚政治が新たに起こったときがそうであり、遠方との貿易が可能となったときがそうであり、科学技術が発展した時がそうだ。また、大きな時間目盛りで捉えてみた場合、例えば疫病は長時間の後、死または再生を作り出す。ヨーロッパは主要な疫病によってそうだった。また北米の原住民はヨーロッパから持ち込まれた疫病によって抹殺された。(ジェームズダウン植民地の失敗とプリマスロック植民地の成功との違いもそうだ)
しかし、このような穏やかな期間は短命だ。なぜならば生存収容力が押し上げる為人口はもう一度急激に増加するからである。
まあ、1000年間単位では、ほとんどの社会は、彼らの戦争を行う能力に従って彼ら自身明確にします。そして戦士文化は深く染み込んでいるようになる。最も闘争的な社会は、残存するものなのである。
しかし、過去3世紀について、LeBlancは指摘する。たとえ個々の軍事および大虐殺が一定規模においてより大きくなったとしても、高度な国は、着実に死者数を低くした。伝統的な彼らの敵国をすべて虐殺する方法ではなく、国家は勝利を得るのに充分なだけ殺し、そして、それから彼らの新たに拡張された経済圏における仕事をさせる生存者を残したのである。国家はまた、彼ら自身の官僚組織を使って、生存収容力を高める先端技術や国家間がより念入りな国際協調を結ぶような国際的取り決めを作ろうとしている。
すべてのこれら進歩している行いが崩壊してしまったとしたら、至る所で生存収容力は突発的気候変動によって突発的に徹底的に低められるだろう。
人間性は減少する資源のために人間性本来の標準的な恒常的戦争状態に戻ってしまうだろう。そして長期的には戦争自身が気候の影響をはるかに超えて資源の減少をもたらす事だろう。もう一度、戦争状態は人類の生存を限定することになるだろう。
<気候変動からの帰結としての衝突シナリオ>
~2010-2020~
2012: 厳しい旱魃と寒冷化は北欧人たちを南方へ押し出し、EUから押し返される。
2015: 食料及び水供給に端を発した小衝突と国家間の緊張がEU域内で起こる。
2018: ロシアはエネルギー供給者としてEUに加わる。
2020: スペインおよびイタリアへオランダおよびドイツのような北国から移住する。
2010: バングラデッシュ、インド、中国との間で国境を巡って小競り合いと衝突が起こり、大量の住民がビルマへ向けて移動する。
2012: 地域の不安定性に対処する為、日本はその企画能力を軍事展開指揮する。
2015: シベリアとサハリンのエネルギー資源に関して日本とロシアとの間に戦略上重要な協定が結ばれる。
2018: 中国は反逆者犯罪人により定期的に分断されたパイプラインを守る為、カザフスタンに侵攻する。
2010: 水に関する合衆国とカナダ、メキシコとの間の意見の相違は緊張を増す。
2012: カリブ海の島々からアメリカ合衆国南東部及びメキシコへ避難民の洪水が押し寄せる。
2015:(大部分は金持の)ヨーロッパ人達がアメリカ合衆国へ移住する。
2016: 西欧諸国が漁業権をめぐって衝突する。
2018: 北アメリカの安定のためにアメリカ合衆国とカナダ、メキシコは安全保障同盟関係を結ぶ。
2020: 国防総省はカリブ人およびヨーロッパ人の避難民の為、国境を管理する。
~2020-2030~
2020: 海を越えて渡ってくる移住者との小競り合いが頻発。
2022: フランスとドイツとの間にライン川の商業利用権をめぐって小競り合いが起こる。
2025: EUは崩壊に近づく。
2027: アルジェリア、モロッコ、エジプト、イスラエルと言った地中海諸国への移住がますます増大。
2030: 10%近くのヨーロッパ人の人口は異なる国々へ移住。
2020: 南東アジアは絶え間ない衝突状態となる:ビルマ、ラオス、ベトナム、中国
2025: 中国の国内の状態は、内戦、および境界戦争に至り、劇的に悪化。
2030: ロシアのエネルギーを巡って中国と日本との間に緊張が高まる。
2020: ペルシャ湾、カスピ海での衝突が石油供給を脅かす為、石油価格が高騰。
2025: サウジアラビアの国内問題を発端として中国及びアメリカ合衆国の海軍は港(ペルシャ湾)を巡り直接対決。
この図表は気候変動と軍事との密接な関係についての幾つかの可能性の概要だけを記したものである。気候変動の結果として起こる突然の生存収容力の減退による最もありそうな反応は大きく2分類される。
それは即ち防御するか攻撃するかだ。
アメリカ合衆国とオーストラリアの方策は彼らの国の周りをあたかも防御要塞とする。
何故ならばこれらの国々は自給自足できる資源と資産を持っているからだ。さまざまな気候に変化していく中でも、富や科学技術、豊富な資源はアメリカ合衆国を悲劇的な損失なしで厳しい気候状態により周期的に成長を減じられたとしても生き延びる事が可能である。カリブ海から(特に厳しい問題を持った)、メキシコや南アメリカからの必要とされない飢えた移住者を押しとどめる為に国の周り全体の国境は厳重にされることになる。エネルギー供給は(経済上、政治上、道徳上)高価な代償を通して支えられることになる。エネルギー供給の選択肢とは原子力、水素エネルギー、そして中東との契約の継続だ。
漁業権の面倒な小競り合いを超えて、農業援助、災害援助は普通に行われるだろう。
アメリカ合衆国とメキシコとの間の緊張が増し、アメリカ合衆国はコロラド川からの水の流れを保障する1944年の条約を取り消す。交替労働者は東海岸の南部に沿っての洪水と内陸部の激しい乾燥状態に対応するために動員されるだろう。
しかし、この続けざまの非常事態でさえ、他の国々に比較するとアメリカ合衆国は充分幸せな立場だといえる。国家が直面する手に負えない問題は世界中で起こる軍事的緊張を静める事につながる。突発的気候変動によりもたらされる凶作、疫病、気象災害の襲来のため、多くの国々はその本来の生存収容力を失い、生存需要を満たす事が出来なくなる。この事は自暴自棄の意思を作り出す事になるだろう。
それは優位を取り戻す為の攻撃的な侵略行為をもたらすだろう。
東ヨーロッパ諸国は食料、水、エネルギーの供給が落ち、彼らの国民を生存させる事に奮闘していると想像される。そして彼ら東欧諸国はすでに人口が衰退しているロシアに注意深く目を向け、穀物、鉱物、及びエネルギー供給を受けようとする。
あるいは、日本の状況は沿岸都市が洪水により被害を受け、真水供給設備が汚染され、海水脱塩工場及び農業生産強化の為のエネルギー源としてサハリンの石油及び天然ガスに注意深く目を向けているかもしれない。すべて核武装しているパキスタン、インド、中国の国境での避難民が川の水や耕地を巡って起こす小競り合いを想像してください。
スペインとポルトガルの漁民は、漁業権をめぐって実際に海上で武力衝突するだろう。
そして、アメリカ合衆国を含む国々は彼らの国境をより完全なものにする。
200以上の川の流域は多数の国家に面しているので、飲料水を引き込み輸送する為に衝突が起こるであろう事を我々は予想する事ができる。
ドナウ川は12の国家に属している。ナイル川は9つの国家を流れ、アマゾン川は7つの国家を流れている。
このシナリオで、我々は、都合よい同盟国を予想することができる。アメリカ合衆国とカナダは国境管理を簡単にして1国になるかもしれない。あるいは、カナダは、アメリカの引き起こすエネルギー問題に対する為、その水力発電能力を自国に保っておくようにする可能性もある。
北朝鮮と韓国は、1つの専門的博識、即ち核武装させた実体を作るために、提携するかもしれない。ヨーロッパは攻撃者からの保護を考慮に入れて、ヨーロッパ人の国家間で移住問題を抑制する統一されたブロックとしての役目をはたすかもあいえない。
その豊富な鉱物、石油、天然ガスをもつロシアは、ヨーロッパに加わる可能性もある。
この世界の闘争する国々では原子力兵器の拡散は不可避。
寒冷化が需要を押し上げるので、現存する炭化水素の供給は薄く張り詰められる。エネルギー供給の不足により、入手する必要性が増大し、核エネルギーは決定的な力の源となる可能性がある。そしてこれは各々の国家の国家安全保障を隔日にする為、核濃縮技術及び核再処理能力開発を促し核兵器は拡散することになる。
中国、インド、パキスタン、日本、韓国、グレート・ブリテン、フランス、およびドイツはすべて核兵器能力を持つだろう。それに、イスラエル、イラン、エジプト、および北朝鮮もすべて同様になる。軍事的政治的緊張、即ち時折の小競り合いから戦争の脅威、これらを管理する事は一種の挑戦となるだろう。
日本といった国、即ちたくさんの社会的選択肢をもっており政府がその行政手法を変えるときにその人口を有効に活用出来る意味において、このような国は多分もっとも幸運だと言えるだろう。その多様性が故に既に衝突を生じている、インド、南アフリカ、インドネシアのような国々は、規律を維持する問題が生じることになる。
資源入手可能性と適応性が鍵となるだろう。
おそらくもっとも挫折感を引き起こす事とは、我々人類にとってどのくらいの期間それが続くのかを予測できないことだ。即ち、突発的気候変動への挑戦が、気候変化シナリオへの突入からいつまで続くのか、何年続くのか、つまり、10年間か、100年間か、1000年間かということであり、熱塩循環が新たにスタートを始め、温暖化した元の気候状態になるまで生き残っていられるのかと言う不安である。生存収容力が突発的に低下したとき、文明は今日では想像できない新しい挑戦に直面することになる。
これは本当に起こるのだろうか?
世界的にもっとも格式がある組織の海洋、大地、大気に関する何人かの科学者達は、過去10年間に渡った新しい証拠を暴露した。そしてその証拠は、ほとんどの科学組織が主張していた事より、またおそらくすべての政治的組織が準備していたよりも、厳しく急激な気候変動が起こる可能性が非常に高い事を示唆している。もしその事が起これば、この驚くべき現象は一般的に知られた漸次の地球温暖化傾向を中断させるだろう。
そして古気象学の証拠はこのような突発的気候変動が近い将来始まる事を示唆している。
Woods Hole海洋学研究所は、北大西洋を囲む海が過去40年間を通じて塩分濃度が減少した事を、そして北大西洋の深海の塩分濃度が次々と減少しつつある事を報告している。この傾向は大洋循環が崩壊または減速し突発的気候変動が始まる事を意味している。
その証拠とは熱塩循環崩壊が差し迫ったかもしれないという事である。つまり、北大西洋は周囲の海がこの40年間を通じてあまり塩を含まなくなり、その為ますます淡水化していると言う事だ。1950年以来フェロー諸島岸の水路が運ぶ北欧海から大西洋に至る水流が減少している。北部大西洋深海の急激な淡水化が過去40年間に渡って起こっていた。
2 Adapted from I Yashayaev, Bedford Institute of Oceanography as seen in Abrupt Climate Change, Inevitable Surprises, National Research Council.
上記の2つのヘッドラインは、2001および2002に別々に自然マガジンに載りました。これらは、北大西洋の塩分水準が低下し、熱塩循環が崩壊する見込みを増やしている事を示唆している。地質学の記録の中に少なくとも8回の突発的気候変動があった。
それは以下のような質問事項を提起する。
:それは何時起こるのですか?
:そのことにより何に影響が出るのですか?
:そして、我々はその事にどのような方策で対処すれば良いのですか?
:もっともそれより、そのことは本当に起こるのですか?
我々は歴史がまた同じ事を繰り返すためそれへの準備をすべきなのだろうか?
気候変化による人間活動への影響について世界中の新聞で討論がある。経済的繁栄がエネルギー使用と温室効果ガスの排気と関連させられている為、それはしばしば経済進歩が気候変動を誘発したのだと主張されている。色々な証拠は、人間活動が気候変動を生じさせるであろう事を確かに示唆している。それにもかかわらず、気候変動は現実に目に見える形で現代社会に起ころうとしている。
地球環境の人間への影響を理解する事は重要である。それとともに、何が加速したか減速したか、(あるいはおそらく逆回転したか)を気候変動の傾向として理解する事もまた重要なのである。燃料や温室効果ガスの排出抑制及び省エネ努力はどちらか一方やってみる価値はある。さらに我々は突発的気候変動による不可避の影響の為の準備をすべきなのである。すなわち、人間活動の努力にもかかわらず突発的気候変動は、おそらく、やって来る。
ここに突発的気候変動(気候ジャンプ)に対応する為のアメリカ合衆国が準備すべき幾つかの勧告がある。 :
1) 予測する為の気候モデルの改良
さらに進んだ調査は行なわれるべきだ。その事により、より多くの信頼性が気候変動予測に対して生じる。海洋パターンと気候変動との間の関係についてより深い理解を得る必要性がある。この調査は歴史上の、現在の、将来の軍事力にも焦点を当てるべきだ。
そしてまたその目標は突発的気候変動への理解を進める事だ。即ち、どのようにそれは起こり、どのように我々はそれが起こっている事を知るのかという事だ。
2) 気候変化モデルが予測する包括的な影響についての情報を収集してください。
実質的な調査は、突発的気候変動(気候ジャンプ)が自然生態に対して、経済に対して、社会に対して、政治に対してどのような影響を及ぼすかを調べる必要がある。
洗練されたモデルおよびシナリオは、可能なかぎり局所的な状態を予期するために、開発されるべきだ。システムは、気候変動が社会上の、経済上の、そして政治上の全体的な状態にどのように衝撃を与えるかを明らかにするために、作り出されるべきである。
これらの分析結果は実際に衝突が起こる前にそれを軽減する潜在的情報源として利用する事ができる。
3) もろさの測定基準
測定基準は国家がもつ気候変動より受ける衝撃へのもろさを理解するために作られるべきだ。測定基準は、生存する為の農業、水、鉱物資源:技術力:社会の団結力、社会の適応性、これらを含むかもしれない。
4) 後悔のない戦略
後悔のない戦略とは、食料供給、水の供給について信頼できる入手手段を確実にするよう識別して実施することだ。そしてそれが国家安全保障を確実にする事なのである。
5) 適応反応のリハーサル
適応反応の為の組織は設立されるべきだ。それは不可避の気候変動が迫っている事を演説し用意させる為である。すなわち、大規模な移住や病気、感染症の発生、食料及び水の不足に対応する為なのだ。
6) 局所的な連座(密接な関係)の調査
気候変動の最初の影響は局所的です。一方、我々は変化に対してあらかじめ手を打つ事が可能である。それは害毒が優勢で、厳しく、かつ農業生産性が変化してもだ。
(観察者の)一人はとても明確に位置を特定するように観察する必要があり、害毒がもたらす懸念を熟知していて、作物や地域が傷つきやすく、またどのくらい厳しく影響を受けるであろうかを見つけ出すべきである。このような分析は特に戦略上重要な食糧生産に関わる地域で引き受けられるべきである。
7) 気候を制御する地球科学の選択肢の調査
今日、それは気候を寒冷化させるよりも温暖化させるほうがより簡単である。そして、それは寒冷化した大気に(hydrofluorocarbonsのような)様々なガスを加えることにより可能だろう。このような行為はもちろん注意深く研究されるべきだ。
<結論>
10年間以内に差し迫った突然の気候変化の証拠がはっきりして、信頼できるようになることが事実上明確である。我々のモデルがもっと我々が成り行きを予測できるようにすることが、同様に可能だ。この出来事において、アメリカ合衆国が必要とするで、あろう緊急措置を実施する事により、かなりの衝撃を軽減できる。外交上の取り組みにより、特にカリブ海諸国、アジア諸国に対して、これら地域に潜伏している地域衝突の危険性を最小限にする必要性がある。
しかしながら、このシナリオから大規模な人口移動は不可避。
これらの人口がどのように処理されるかを知れば、これら避難民が起因して起こす国境の緊張は決定的だろう。新しい形式の安全保障条約はエネルギー、食料、水、の必要性を明確に取り扱うものとなる。
要するに、合衆国がそれ自身で比較的暮らしが楽であり、より多くの適応できる収容力をもつだろうとしても、世界全体としてその事を見た場合、ヨーロッパの内部では苦悩があり莫大な数の避難民がその海岸線を埋め尽くし、同じようにアジアにおいては食料と水を巡る決定的な危機が存在する。混乱および争いは、生存する上での風土的特徴となるだろう。
海洋熱塩循環
この研究によれば、気温がある閾値を越えると、突然10年間に3~6℃の速度で気温が下がり始め、それが長期間続くことがあると言う。例えば、8,200年前に海洋熱塩循環が崩壊した時には寒冷な気候が約1世紀続いた。極端なのは12,700年前のヤンガードライアス期でこの時は1000年続いた。
8,200年前の気候変化
・毎年平均気温がアジア・北アメリカで2.8℃、北ヨーロッパで3.6℃下がった。
・毎年平均気温がオーストラリア、南アメリカ、南アフリカで2.2℃上がった。
・ヨーロッパ、アメリカ東北部では旱魃が10年間続いた。
・冬の嵐が起った。
・西ヨーロッパと北太平洋では風が強く吹いた。
このように気候が突然変わると、争いが起き易く戦争になることもある。
1.農業生産が減ることによる食糧不足。
2.洪水と旱魃が頻発することによる上水の不足。
3.海の凍結と嵐によるエネルギー不足。
資源のある国はその資源を守るために守りを固める。ない国は近くの仲の悪かった国の資源を強奪しようとする。宗教、イデオロギー、国の名誉よりも生存するための資源が重要になる。米国は次のような対策を取るべきだ。
・天気予報の改善。
・突然気候が変わった時に食料、水、エネルギーにどのような影響が出るかを予測する。
・気候変動に最も弱い国を予想する。その国は暴力的になるかもしれない。
・今何をしておけば後悔しないで済むかを明らかにする(水管理など)。
・柔軟な対処ができるように演習する。
・近隣諸国との友好。
・気候をコントロールする方法の開発。
近年北大西洋では過去40年間に、氷河の解凍、雨量の増大、水の流出により海水の塩分が減っている。これは海洋熱塩循環を遅らせる可能性がある。