原発建設の主要な動機は核兵器製造に必要なプルトニウムの確保
国際ニュースを見ていれば、大量破壊兵器としての原子爆弾の設計・製造という事業と公共消費向けの発電のために核燃料を使用する事業との一体性は、北朝鮮、インド、パキスタン、イスラエルにおける核開発の国際論争がそれらの国々がまず、原子炉の導入に動くことによって始まることを思い浮かべれば、すぐにわかることである。事実、日本の外務省が1969年に作成した「我が国の外交政策大綱」http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku_hokoku/pdfs/kaku_hokoku02.pdf
には、「核兵器は当面保有しないが、核兵器を作るだけの技術力と経済力は保持する」との方針が明記されている。おそらく、それは不動の方針としてずっと現在まで続いている。考えてみれば、原子力発電所の立地する自治体には、さまざまな名目で補助金や交付金が出ていて、その分を含めれば、原子力発電のコストはかなり高いものになるが、潜在的核保有国であるためのコスト:防衛コストと考えれば、仕方がないということになる。問題は原発をエネルギー問題としてしか、政府が国民に語らないので民主主義国家日本で、多くの国民がそのことを知らないことである。しかしながら、311以降、大手メディアでもこの本質の部分が出てきた。2011年9月7日の読売新聞は「日本はプルトニウムを利用することが許されていて、日本の原子力発電は潜在的な核抑止力となっている。だから、脱原発してはいけない」と書くまでに到っている。
原子力エネルギー産業の日本への輸入
今日では、日本への原子力の導入が、米国公文書館の公開された外交機密文書を綿密に研究した有馬哲夫早稲田大学教授の「日本テレビとCIA 発掘された正力ファイル」「原発・正力・CIA 機密文書で読む昭和裏面史」等の一連の著作によってテレビと反共主義を伴う冷戦下における心理戦そのものだったことまで明らかになってきた。ご存じのように米ソ冷戦が始まることによって、米国は日本の占領政策を非軍事化、民主化政策から、日本を共産主義の防波堤にする、いわゆる逆コース政策に転換。その結果、廃止した特別高等警察に代わり公安警察を設置(秘密警察復活)、日本の限定的再軍備を容認するロイヤル答申(再軍備準備)等の政策が次々と採られていった。このことは同時に戦前の日本の財閥を基盤とする生産と権力の基盤を復活させることも意味していた。上記の有馬哲夫氏は、「日本テレビは、娯楽やコマーシャルの道具として計画されたわけではなかった。プロパガンダと軍用通信手段として計画されたのだ。日本テレビの設立は反共産主義の軍事プロパガンダ・ネットワークを作るCIAの作戦の隠れ蓑だった。計画を立てたのは正力ではなく、アメリカだった。アメリカは正力がネットワークを作るのを助けたのではない。アメリカはそれを作るために正力を利用したのだ」と明記している。その結果、1960年代末までCIAとUSIA(アメリカ合衆国情報庁)が提供したTV番組に日本のゴールデンタイムは占拠されることになった。
*東愛知新聞に投稿したものです。