*追加資料です。



田中 宇



2009年2月1日、米国カリフォルニア州政府が、財政破綻(支払い不能)を宣言した。加州政府の会計責任者(controllerJohn Chiang)はこの日、州政府の手持ち資金が底をつき、同日に支払われるはずだった州民に対する福祉手当、奨学金、税の還付金など総額37億ドルが支払えないと発表した。支払いを受けるべき人々に対して借用書(IOU)を発行し、いずれ支払い可能になったら払うことになり、州職員の人件費を浮かすため、平日に2日間、役所を閉めることにした。(California controller to suspend tax refunds, welfare checks, student grants)

カリフォルニアを国家に見立てると、世界第8位の経済規模を持つ国になる。それほどに大きい州であるが、加州政府は以前から金遣いが荒く、92年にも支払不能に陥った。その後、長い金融バブルの拡大に支えられた米経済の活況によって、州の税収は伸び続け、財政難から脱した。だが、加州の金遣いの荒さは変わらず、過去4年間で税収が40%増えたため、シュワルツネッガー知事は緊縮財政をやめてしまい、その結果、支出は4年で44%の増加となり、黒字体質に転換しなかった。(The Red Ink State: California is broke again)

シリコンバレーが米経済を牽引した90年代、加州には高所得の人々が多かったが、加州は高所得者に対する所得税率が高い(NY市と並ぶ10%)ので、IT関係の人々は流出傾向となった。代わりに加州で増えたのは、米国滞在年数の浅い移民など低所得の人々で、州民の所得構造は、少しの金持ちと多くの貧乏人に二極分化を強めた。加州の税収の半分は、最も裕福な1%の人々への課税によって賄われていた。そして07年以後、金融危機によって、金持ちは投資に大損して州は所得税収が減り、住宅市況の悪化(40%の下落)による固定資産税の減少もあって、税収は激減した。(California Home Prices Drop Record 41% Amid Defaults)(California Eyes IOUs for Second Time Since Depression)

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現在の金融資本市場の動き:シティ・グループ解体への動きが始まったことに現れているように、ドル危機へ向かうシナリオは確実に水面下で進行していると考えて間違いない。


昨年(2008年)の9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻(*リーマンを救済しなかったことには、日本の金融市場に関係した思惑があるとの指摘もある!)


して米国で金融危機が再燃する以前から、信用収縮が進む過程で米国に資金が還流していたことでユーロ、資源国通貨、新興国通貨に対して一時的にドル高が進んでいたが、ここにきてドル安傾向が強まる要因が増えている。


ユーロ・ドル相場はそれまで1ユーロ=1.3ドル超の水準が上値抵抗になっていたが、12月11日にこれを突破してから急激なユーロ高・ドル安になったものだ。それに伴い、金相場も急伸し、700ドル台前半から17日には880ドル前後にまで一気に急伸した。


(1月30日現在の相場は、1ドル=89円、1ユーロ=1.29ドル)


ただ、2008年末にはバラク・オバマ政権の成立を間近に控えて危機脱出期待が高まり、株価が底堅く推移するとともにドル安も一服した。実際、新政権の政策が軌道に乗れば大型の公共事業が実施されることで財政面から有効需要が創出され、GDP(国民総生産)が押し上げられることで一時的に景気がわずかに持ち直す可能性は否定できない。


しかし、政策効果が切れてしまえば景気下支え要因が失われてしまい、また財政赤字(州政府と連邦政府の財政赤字合計が日本円にして6、000兆円以上)もさらに飛躍的に膨張することで、ドル危機が顕在化していく。

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「国家あげての巨大詐欺

ビル・トッテン



~いつの時代にも、反論をすれば何を言っているのか、といわんばかりに一蹴されてしまうものがある~



先の戦争で、日本が米国に勝てるはずがないなどと言おうものなら非国民扱いされたように、現在においては、メディアの喧伝がさらに激しくなっているがゆえに、人々の検討や精査の猶予も与えないほど、それ以外は論外とでもいわんばかりのものに「規制緩和」と「民営化」がある。

1990年以降、日本政府がとってきたさまざまな政策が国民にとって改革なのか改悪なのか、それは政府の債務残高、企業倒産件数、民間負債額、または自殺率、犯罪、政府の汚職、といったデータをあわせて見ればよい。日本という国が健全な方向に向かっているのか、それとも、より多くの借金をかかえ、国民が希望を持ちにくくなっているのか、それが明確にわかるはずだ。しかしそれでも、まだ日本政府もそのおかかえエコノミストたちも、民営化、規制緩和の筋書きを改めようとはしない。



これもすべて、日本が手本として仰ぐ米国からの言われるがままの行動なのだ。つい先日も新テロ特措法が強行採決され、中断していたインド洋給油を再開させることになった。これで日本政府はブッシュ政権から頭をなでてもらうのかもしれないが、冷静に米国という国をみれば、このまま隷属していくにはさまざまな意味で危険な国だ。

米国の金融システムはいま、危機的状況にある。明確にいうと、サブプライム住宅ローンの借り手の巨額のデフォルト(債務不履行)と、それが組み込まれて証券化されたさまざまなローンがもたらす損失において、その派生的な性質のために実際の金額が計り知れないほどの巨額の損失が出ている。2008年が大きな変化の年になるとしたら、この危機が表面化し、損失の大きさが人々の知るところ、それどころか日本という国にも影響を及ぼすようになることかもしれない。

米国でエンロンやワールドコム事件などの不正会計問題が頻発したのは、1990年代末から2000年代初頭だった。それに対処するため、2002年にはSOX法なるものが制定され、それは企業会計や財務報告の透明性・正確性を高め、またコーポレートガバナンスの在り方と監査制度を改革し、投資家に対する企業経営者の責任と義務・罰則を定めるという法律だった。しかしその米国で、世界の金融業界をも握る米国最大の金融機関が、あまりにも軽率な行為により巨額の損失を生み出すことを行って世界に金融危機をもたらしたのである。

エンロンと今回のサブプライムローンに共通する点は、米国企業経営者の報酬の仕組みが、彼らの貪欲さを煽っているということだ。その仕組みと大きなインセンティブによって、経営者は企業所得を大きくみせるための行動をとる。それがサブプライムローンのように、企業リスクを大幅に増やすようなやり方をとらせる。そしてそれによって企業経営者自身は巨額の報酬を手にすることができる。こうして、シティーコープ、メリルリンチといった企業の経営者は責任をとって辞任したが、しかしすでに彼らは巨額のボーナスを手にしているはずだし、退職に際してもおそらく痛くない条件がついていたことは想像に難くない。

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「いよいよ世界経済は21世紀型恐慌の時代を迎えることになる」

~日本のマスコミが流す茶番劇を見ていると思考停止に陥り、すべてを見失うであろう、我々は100年に一度の大きな経済変動が起きるのを目撃することになる~

<米金融不安・危機の裏側で暗躍するゴールドマンサックス>

米国の金融危機は、2008年3月14日に大手証券会社ベアー・スターンズが実質破綻したのを機に小康状態になっていたが、7月にはいって米政府系の住宅公社(GSE、ジー・エス・イー)のファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)とフレディマック(米連邦貸付抵当公社)の経営不安問題が急に高まっている。

こともあろうに一番、危ないリーマン・ブラザーズのアナリストが、7月はじめに、「GSEは会計基準が厳格化されれば750億ドル(8兆円)もの増資が必要」と記したリポートを発表し、さらに7月10日にはウィリアム・プール前セントルイス連銀総裁が、「両公社は、実質債務超過で政府による救済が必要かもしれない」と発言したからである。

このために、両公社の株価が一気に一時10ドルを下回る水準にまで急落してしまい、破綻が危惧される状況に陥ったことでもたらされた。この二大住宅公社は、かつては株価が100ドルを越していたアメリカ政府系の超優良の金融機関だった。

両社の財務内容が非常に悪化しているのは以前から知られていた。それにしては政策当局の対応は後手に回った。3月半ばのベアー・スターンズに続いてリーマンやメリルリンチも間もなく破綻するといったことがささやかれていた。この渦中で、ベン・バーナンキFRB議長は投資銀行(大手証券会社)の破綻処理をするための受け皿の設立に取り組む意向を示した。しかし、これまで両住宅公社への対処に言及したことは一度もなかった。

両公社の経営危機が表面化すると、後述するようにドル危機が表面化することになりかねない。またジョージ・ブッシュ政権が、公的資金の注入を頑なに拒否していた。ところが、上記のようなことが次々に表沙汰になってしまうと公的資金投入を余儀なくされる。このために、財務省が極端に及び腰になっていて、極力この現実を“見て見ぬ振り”をしようとしてきた。

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現在の経済状況を本質的に理解するのに良い本を紹介します。

*元外交官 天木直人のプログより

「なぜ、日本はここまで対米従属なのか?」

私はよく質問される事がある。なぜ日本外交はここまで対米従属なのかと。

はっきりと「こうだ」と断言できる答えを、もとより私は持ち合わせていない。

外務官僚の出世頭はすべて対米従属者であり、日米同盟至上主義者である。逆に、外務省では米国を批判する者は中枢を歩めない。それは事実だ。

しかし、それはあくまでも偉くなりたいための保身のなせる業であり、対米従属の理由に対する答えにはならない。

米国に逆らうと失脚させられる、脅かされる、あるいは命まで狙われる、という話が陰謀論のごとくささやかれるが、それを確認出来ない以上、これまた「答え」として公言する事は出来ない。

昭和天皇とマッカーサーの歴史的会談の中で、国体護持と日米安保体制(日米同盟)が、昭和天皇の強い意向により表裏一体の形で作られた、という史実を知れば、なるほど対米従属はそこから始まったのか、と思ったりするが、戦後世代にまでそれが影響を与えているとは思えない。もはや過去の歴史の一こまだ。

日本人は米国が好きなのだ、という理由は頷けるが、しかし米国への憧憬を抱く国民はなにも日本人だけではない。そのような国民は世界中に広く存在する。

しかし、同時にまた、それらの国民は、米国の不当な政策に対しては激しくデモや抗議をする。米国が何をやっても「仕方がない」とあきらめる従順な国民は、世界ひろしといえど日本人くらいだ。

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