*興味深い内容です。是非、ご一読下さい。 

2009年1月号 [麻生はいつ辞めるのか」より

小沢が煽る「救国選管内閣」

進退窮まった麻生に唯一残された「話し合い解散」。

全政党合意の「持ち株会社」方式の新党構想が浮上。

「首相は指示していないし、これからもしない。何か言っていたとしても、『答えが見つかりませんでした』というのも答えのうちだろ」

道路特定財源問題に続いて2009年度税制改正でも、たばこ増税や消費税率引き上げ時期の明示といった麻生太郎首相の指示は、与党側からことごとく無視された。自民党税調幹部の身もフタもないセリフに、「麻生離れ」の実情が端的に表れている。

自民党ベテラン議員たちは口では「首相を支える」と言いながら、政策決定の根幹において首相の意向を公然と蔑ろにしている。「官邸主導」どころか「官邸無視」「首相抜き」の現状であり、もはや政権の体をなしていない。自民党挙げての深刻な政治空洞化に比べれば、渡辺喜美・元行革担当相ら中堅・若手議員が集まって「反麻生」を叫ぶのなど、かわいい悲鳴のようなものである。

これほど深刻な首相の権威失墜は、森喜朗元首相のケースを通り越し、愛人スキャンダルで外を出歩けなかった宇野宗佑元首相以来かもしれない。「能力不適格」の烙印を押された首相がいつまでも居座る姿は、見ているほうが居たたまれない。

麻生太郎首相はいつ辞めるのか。政界の関心は、もっぱらそこに注がれている。

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漂流する時限爆弾の「農林中金」

「評価損失ウン兆円」に震える金融システム。それでも民主党は「ノー」か。

FACTA2008年12月号



政府が打ち出した緊急金融安定化策。金融機関に対する公的資金の注入を可能にする金融機能強化法改正案の国会審議が紛糾している。

「経営に心配はなく、現時点で資本注入の要請を行うことは想定していないが、(信金中央金庫など)他の業態と異なる取り扱いをされると、顧客や市場からの信認に影響が生じる恐れがある。そこをご理解いただきたい……」

10月31日の衆院財務金融委員会に参考人として呼ばれた農林中央金庫の上野博史理事長は、こんな微妙な言い回しで、資本注入の対象から辞退するよう「勧告」した民主党議員に反論した。麻生政権に早期解散・総選挙を迫る民主党は、世界的な金融危機もものかは、自民党の「集票マシン」である農協に連なる農林中金を「金融政局」の格好の標的に定めた。「中小企業向け融資の円滑化が目的と言いながら、事実上、ファンド化している農林中金に公的資金を注入するのはおかしい」と攻め立てている。



~自信過剰が裏目~



農協系統金融機関(JAバンク)の頂点に立つ農林中金は、上野理事長が明らかにしたところによれば、全国のJAなどを通じて集めた運用資金約60兆円のうち、融資に回しているのは10兆円弱にすぎず、その3倍以上の36兆円は海外での投資運用に振り向けている。規模にものを言わせた積極的な運用姿勢は欧米でも「ノーチューマネー」と呼ばれ、2007年3月期には3656億円もの経常利益をあげ、日本の金融界から「和製ヘッジファンド」(大手行幹部)と畏敬の念を抱かれていた。

みずほフィナンシャルグループ(FG)や三菱UFJFG、野村証券が農林中金との業務提携を望み、日本郵政グループや日本政策投資銀行が「農中モデルが理想」と果敢なリスク投資で高収益をあげる姿を羨望の眼差しで見つめていた。

農林中金は90年代後半から海外投資に大きくシフトした。バブル崩壊後の超低金利のもとで、従来の国債中心の安全運用ではJAバンク・農協への利益還元が十分にできなくなったためだ。生え抜きながらファンドマネージャーとして国際的に名を馳せた異才、能見公一氏の指揮のもと、米住宅金融公社などが発行するエージェンシー債や、住宅ローンなどを担保とする証券化商品への運用を拡大させた。かつて1千億円前後だった経常利益は3千億円を超す水準に急増。今日では米国留学でのMBA取得者300人を抱える投資部門を擁し、幹部が「うちの主食は証券投資。融資は付け足しです」と豪語するほどだ。

しかし、こうした自信過剰が、米国の住宅バブル崩壊に伴い表面化した信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で完全に裏目に出た。90年代に不良債権問題で煮え湯を飲まされたみずほFGや野村証券はすぐさま損切りに動いたが、農林中金は何を思ったか、昨年10月に値下がりしたサブプライムモーゲージを裏づけとする資産担保証券(ABS)や債務合成証券(CDO)を約260億ドル(約2兆6千億円)も買い増しし、国際金融マーケットで話題となった。農林中金の当時の債券投資部長は、海外メディアのインタビューに「最近の値下がりで証券化商品の市場は魅力的になった」「この機会にどれだけ証券化商品を中心としたアセットを積み増せるかが戦略投資のカギ」と答え、「万が一、証券化商品の価格が一段と下落しても、農林中金には2兆円の含み益のクッションがあり、十分吸収できる」と余裕綽々だった。

さらに、年明け以降も米シティグループからクレジットカードや自動車ローン債権を基に組成した証券化商品を5千億円分も買い取り、「欧米投資家の投資意欲後退は日本勢にとってチャンスと、能天気に突っ込んでいった」(農林中金OB)。

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「ビッグスリー救済法案、合意不成立で何が起きるのか?」

元外交官 原田武夫



11日(米東部時間)、米連邦議会上院は本会議を開催、下院を通過済の最大140億ドルにのぼる“つなぎ融資”を供与するビッグスリー(3大自動車企業)救済法案を審議したが、結果として賃下げをめぐる対立が解けず、可決に必要な超党派合意は成立しなかった(廃案)。これにより、振り返れば秋口より本格的な騒ぎとなってきたビッグスリーをめぐる救済策は再び暗礁に乗り上げたことになる。このまま行くと早ければ年明け早々にもビッグスリーの一部企業は資金ショートする可能性が高まったことになる。米国だけではなく、日本を含む世界各国のマーケットに対する甚大な影響を懸念すべき展開である。



金融マーケットの観点から見た時、最大の影響を被るのは米国を代表する商業銀行たちである。ビッグスリーは米国を代表する企業であり、いわば「米国そのもの」といってもよい存在だ。そのため、資金調達にあたってこれまで発行してきた大量の社債を、同様に「米国そのもの」を体現してきた最大手商業銀行たちが保有してきた経緯があるといわれる。ところが、このまま資金ショートへと向かっていく危険性が高くなる以上、ビッグスリーは最悪の場合、速やかに連邦破産法第11条に基づく「破産申請」を行う可能性が出てくる。そうなれば、当然のことであるが、これら米系最大手商業銀行たちが持っている大量の社債がいわば“紙屑”となってしまうことになる。2008年第4四半期が佳境に入ろうとする中、さらにクレジットカード関連の証券化された金融商品に基づく巨額損失に怯えるこれら米系最大手商業銀行こそ、次なる金融メルトダウンのターゲットとなる可能性が高まっている。ヘッジファンド、あるいは投資銀行といった“越境する投資主体”たちを巡り繰り広げられてきた金融メルトダウンに対し、いわば「金融メルトダウン2.0」とでもいうべき展開だ。

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*原田武夫氏のブログより                     2008/12/10

「1ドル=50円時代の到来と保険業界の激震」



米国における自動車大手3社(ビッグ・スリー)に対し、来年(2009年)1月末くらいまでは“延命”するためのブリッジ(橋渡し)法案が今週中にも米連邦議会で採決に回されるかどうかに焦点があてられている。これを受けて、現状の1ドル=92円台から95円台程度までの円安ドル高へ復帰するのではないかとの観測も一部には流れ始めている。

しかし、こうした見通しが有効なのはあくまでも“極超短期”であることを忘れてはならない。去る6日から7日にかけて、オバマ米次期大統領は大手メディアに出演するなどして、自らの景気対策につき具体像を示し始めた。だが、そのために一体いくらの費用がかかるのかについて一切明らかにしていない。そのため市場関係者の間では「結局は絵に描いた餅に過ぎない」との見方が広まりつつある。



もっと現実的な見方をする向きが注目しているのは、昨年夏より露呈し始めた現下の金融危機が始まる前の段階ですでに邦貨換算で6000兆円余りにも上っていた米政府の財政赤字について、オバマ次期大統領が就任するや否や「デフォルト(国家債務不履行)宣言」を行わざるを得なくなるか否かである。正確にいえば、「デフォルト宣言をするか否か」というレベルの議論ではなく、これが行われることを前提としつつ、「一体いつ行われることになるのか」にむしろ焦点が当てられつつある。



オバマ次期大統領にとって“傷”が最も浅くて済むパターンが選択されるならば、来年(2009年)1月20日の大統領就任直後に「デフォルト宣言」ということになる可能性が高い。なぜならば、そうすることでオバマ新政権はそれまでの財政赤字の累積に対してはいわば免罪符を得る中、「CHANGE(変革)」の標語にふさわしい刷新策を続々と打ち出すことが可能になるからである。これに対し、最悪のパターンとなるのが、財政赤字の問題にはいったん目をつむり、とりあえずは景気浮揚策を打ち出すものの、結果的には財政負担の重圧に耐えられず、遅くとも6月までに「デフォルト宣言」を行うというもの。この場合、オバマ新政権に対する期待が一気に失望へと変わるため、マーケットでは米国債、そして米ドルが投げ売りになるとの観測がある。「その場合、1ドル=50円台も目指す可能性がある」(国内投資家筋)との現実主義的な見方も聞かれるようになっている。

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*本を紹介します。大変興味深い指摘です。米国を本当に支配しているブルーブラッドと言われる人たちは、オバマという男を使ってこの金融恐慌の後始末をやらせようとしております。どういう結末が待っているのか我々も注視していく必要があります。

以下は中田安彦氏の解説。                      正 樹


「オバマ:危険な正体」(成甲書房・刊)


ウェブスター・タープレイ著


この本の著者は、ウェブスター・タープレイというアメリカの左翼知識人。


この本は、大きくは二部構成になっており、一つはオバマの非公式の外交顧問である、ブレジンスキー(ジミー・カーター政権の国家安全保障担当補佐官)を中心にしたオバマ政権の外交・経済アドバイザー人脈の解説だが、もう一つはオバマという政治家、現象の性格について詳しく分析を行っている。


タープレイの主張を一言でまとめると、「いよいよアメリカにもファシズムの時代が到来した」というものである。しかも、タープレイのいう現代アメリカのファシズムとは、「ポスト・モダン・ファシズム」であるという。ただ、オバマは最初のポスト・モダン大統領となるだろうという発言は、アメリカのニュースキャスター、トム・ブロコーもインタビュー番組でしていた。(もっとも、この場合、「ベビー・ブーマー後(ポスト・ブーマー)」という世代の違いを示す程度の意味らしい。)


まだ上院に当選すらしていないオバマが有名になるきっかけを作った、2004年の民主党・党大会での「基調演説」を聞いてみると、「アメリカには、民主党支持のアメリカ(ブルー・アメリカ)も、共和党支持のアメリカ(レッド・アメリカ)もない、あるのはアメリカ合衆国(ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ)だけだ。」という有名な演説が与えた高揚感はただならぬものがあった。あの演説を行うことで、オバマは一介の上院議員候補から、次期大統領候補にステップアップしたと言われる。 しかし、同じ内容の主張は、ノース・カロライナ州選出の上院議員だった、ジョン・エドワーズも行っていた。しかし、オバマが演説すると、一気に聴衆を巻き込むのだ。このような演説を行うアメリカの政治家は、ジョン・F・ケネディ以来だろう。

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