今日は今年一番の冷え込み、めっきり、秋らしくなってきた。秋の夜長に少し真面目に今国会のテーマの一つである。「テロ特措法」について考えてみる。

そもそも、国際社会が知らない日本の自衛隊の給油活動を国際社会から孤立するからその活動をすべきだという主張には相当無理がある。このことを10月23日の毎日新聞が「知られざる給油活動」という記事ではっきり書いている。どうも日本が給油活動をしていることなど世界は何も知らないらしい。大騒ぎをしているのは日本と米国だけである。その米国もついにイラクの平和回復をあきらめ、長期的な米軍駐留を言い始めている。米国は給油よりも日本がイラクから手を引く事を許したくないのではないか。終わりのない米軍のイラク占領に日本を引きとどめたい。それだけだと思われる。

振り返ってみれば、テロとの戦いが世界中に声高に言われ始めたのは2001年の9月11日のニューヨークのワールドトレードセンターの旅客機突入、崩壊:いわゆる911テロ事件からである。

当時、支持率の低迷していたブッシュ政権がこの事件によって息を吹き返し、米国世論は「アルカイダ;ビン・ランディンをやっつけろ!」という方向に誘導されていった。

小生はこのようなテロ事件予想する論説をまた、高層ビルに飛行機が突っ込むカ不思議なカードも事件の前にネット上で見たことがある。兎に角、当時のブッシュ政権を牛耳るネオコン派の人々にとっては911があまりにも都合の良い事件だったことだけは間違いない。

こうしてテロとの戦争が始まり、アフガン攻撃:タリバン政権の崩壊;カルザイ政権の成立、その後のフセイン政権を崩壊させるための大量破壊兵器を理由にしたイラク攻撃、そして、現在続くイラク内戦状態というのが一連の流れである。イラク攻撃については「もし、イラクが本当に大量破壊兵器を持っていたら、米国はイラクを攻撃しなかっただろう。」とある評論家が言っていたが、全くその通りである。

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*元外交官 原田武夫のコラムより                      2007 12/5

GE事件」について(2)



<ざわめき立つ大手メディアと政界激震の予兆>



11月28日、守屋武昌前防衛次官が東京地検特捜部によって逮捕された。これによって、日本の防衛政策を司る事務方のトップが、実は国際的な贈収賄疑獄の真っただ中にいたという驚くべき事件が、次なるフェーズに入ったわけである。

大手メディアたちはというと、連日連夜のように守屋容疑者、そして同時に逮捕されたその妻、さらには家族に至るまで、「タカリ」の実態を、これでもかというほど報じ続けている。お決まりのメディア・スクラムであるわけなのだが、その一方でさらにここに来て、この事件が次なるフェーズ(第3フェーズ)に入りつつあるとの情報が流布され、大手メディアたちが密かに色めき立っているとも聞く。―――ついに、強制捜査が政界に及ぶというのだ。

この「情報」の中心人物は、久間章生・元防衛庁長官である。疑惑が発覚して以来、まずは入院という政治家お決まりの「雲隠れ」を果たした同元長官であるが、現在は退院し、都内某所に潜伏しているのだという。「X-DAY」を控え、鬼の東京地検特捜部検事たちの形相を思っては、眠れない日々を過ごしていることだろう。

12月中旬には、守屋容疑者の公訴時効がまずやってくるというのが、物事をかけ足に進めさせている原動力だとも聞く。久間章生・元長官といえば、疑惑の巣窟と目されている防衛商社・山田洋行と密接な関係にあると言われてきた人物である。かつては同社の専務という要職にありながらも、守屋武昌容疑者とペアとなってきた宮崎元伸容疑者(日本ミライズ)とは一線を画してきたともいわれている。そのため、久間章生・元長官が逮捕ということになれば、喧嘩両成敗ではないが、防衛利権を欲しいままにしてきた両陣営を、検察当局という「超権力」が共に抑え込んだ形になるのだろう。ある意味、大変分かりやすい構図だ。

しかし、果たしてこれでストーリーは終わるのだろうか。いや、もっと言えば、「終わりにすべき」なのだろうか?

私は、外務省にキャリア職員として在職していた際、いわゆる「外務省不祥事」に遭遇した。その際、事態の収拾のため、省内に設置された特命チームの一員として、約2年間にわたり、一連の不祥事(いわゆる「鈴木宗男・佐藤優事件」を含む)の実態をつぶさに見てきた経験を持つ。

その中で得た教訓の一つが、「捜査当局は真実の追及ではなく、落とし所のある分かりやすいストーリーで得点を挙げることに躍起になっている」ということであった。 これを「国策捜査」などと分かりやすいキャッチフレーズで言い切るべきかどうかは別としても、捜査当局が歩留りのある捜査を心掛け、世論による後押しを常に気にしていることは事実だ。その意味で、「分かりやすい構図」へと落とし込もうとする彼らの意図は、いずれの大事件についてもうかがえるような気がしてならないのである。もちろん、今回の事件も例外ではない。

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