サミット前に北海道の小樽市、苫小牧市、札幌、函館を見てきたが、地方自治体間格差が言われるなかで、どこの自治体も大変厳しい経済状況である。



ところで、全国の警察から大動員を掛けて洞爺湖でサミットが開催された理由は、火山が作った景色がいいからなどということでは、断じてないはずである。

世界経済の流れから推理するとどうなのだろうか。



「洞爺湖サミット」G8、はご存じのように7月7日から9日に、北海道・洞爺湖で開催された。「構造改革」という標語とともに経済の上昇気流から取り残され、かえって「格差社会」が選挙のキーワードになっているとも言われる北海道。そこに突然、世界中から注目が集まるというのだから、地元の発展にとっては願ってもないチャンスが訪れることになった。

そもそもサミット開催地の決定は当たり前だが、政治的に決まる。世界経済に関するあらゆる問題について、首脳同士が話し合う機会をつくるべく第一次オイルショック後に始まったサミットではあるが、最近ではその開催地に多額の公共投資が行われることも一部では注目されている。

ところで、日本で前回サミットが行われたのは沖縄である。その時も多くの施設や道路がサミットのためにできたことは言うまでもない。

Continue reading »

<地球温暖化問題は「新たなるステージ」に入っている>

(低炭素社会という言葉の出現)

2008年の元日、日本経済新聞は「低炭素社会への道 国益と地球益を満たす制度設計を」と題する洞爺湖サミットを意識した社説を掲げた。

この社説では、「京都議定書の・・・・意義は、温暖化ガスの排出抑制と経済成長が無理なく同調できる『低炭素社会』への道を切り開く起点となることである」と述べ、1995年に京都で開催された、気候変動枠組み条約第三回締約国会議(COP3)の意義をたたえ、日本が、排出権取引と省エネ投資の分野で世界をリードするべきと力説している。

わが国の「低炭素社会を推進する政府懇談会」(座長:奥田碩トヨタ名誉会長)のメンバーの一人である、末吉竹二郎(国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問)は、21世紀の世界は、炭素の排出割り当てを基準に、全ての経済・金融活動が決まっていく、「CO2本位制」(炭素本位制)を迎える可能性があると指摘している。

このように、私たちが生活していて、地球温暖化、気候変動、低炭素社会、エコという言葉を見聞きしない日はないといっていい。この「地球温暖化問題」を最初に世界に向けて大きく取り上げたのは、元米副大統領のアルバート・ゴアである。

ゴア元副大統領は、2004年に公開されたドキュメンタリー映画『不都合な真実』の中で、人類の経済活動によって排出された大量の二酸化炭素が、前世紀中から今世紀に掛けての急激な地球の平均気温の原因である、とグラフや映像を使って説明し、その功績によって、2007年秋にノーベル平和賞を受賞している。

ゴアと一緒に平和賞を受賞したのが、現在、インドのタタ・エネルギー研究所の所長をしている、ラジェンドラ・パチャウリ博士である。地球温暖化の原因が二酸化炭素の排出であるという研究結果は、パチャウリ博士が議長を務めるIPCC(国連・気候変動政府間パネル)という機関によって科学的に証明されたと言われている。

Continue reading »

© 2011 山本正樹 オフィシャルブログ Suffusion theme by Sayontan Sinha