現在の金融資本市場の動き:シティ・グループ解体への動きが始まったことに現れているように、ドル危機へ向かうシナリオは確実に水面下で進行していると考えて間違いない。


昨年(2008年)の9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻(*リーマンを救済しなかったことには、日本の金融市場に関係した思惑があるとの指摘もある!)


して米国で金融危機が再燃する以前から、信用収縮が進む過程で米国に資金が還流していたことでユーロ、資源国通貨、新興国通貨に対して一時的にドル高が進んでいたが、ここにきてドル安傾向が強まる要因が増えている。


ユーロ・ドル相場はそれまで1ユーロ=1.3ドル超の水準が上値抵抗になっていたが、12月11日にこれを突破してから急激なユーロ高・ドル安になったものだ。それに伴い、金相場も急伸し、700ドル台前半から17日には880ドル前後にまで一気に急伸した。


(1月30日現在の相場は、1ドル=89円、1ユーロ=1.29ドル)


ただ、2008年末にはバラク・オバマ政権の成立を間近に控えて危機脱出期待が高まり、株価が底堅く推移するとともにドル安も一服した。実際、新政権の政策が軌道に乗れば大型の公共事業が実施されることで財政面から有効需要が創出され、GDP(国民総生産)が押し上げられることで一時的に景気がわずかに持ち直す可能性は否定できない。


しかし、政策効果が切れてしまえば景気下支え要因が失われてしまい、また財政赤字(州政府と連邦政府の財政赤字合計が日本円にして6、000兆円以上)もさらに飛躍的に膨張することで、ドル危機が顕在化していく。

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