鳩山総務大臣は管轄大臣であって,旧郵政省の立場を引き継いでいる。対して財務省は日本郵政の株主という立場で,株主としての責任を果たすべき位置にある。こういう立場から,鳩山総務大臣は日本郵政現社長・西川善文を更迭することを主張し,与謝野財務大臣は株主として西川氏の続投を支援している。

鳩山総務大臣は「簡保の宿」巡る払い下げ問題で当然の正論を吐いていて,西川社長の国民に対する罪深き裏切りを告発しているのである。発表されている事実が本当なら、背任罪の適用すら考えられるケースである。本来、西川善文氏は更迭するにふさわしいどころか,犯罪者となるかどうかの際どい立場にいるはずなのである。続投なんてとんでもない話なのである。

一方の与謝野財務大臣の主張は、続投支持の根拠が実に薄弱である。郵政改革を後退させるなということは、過去に通用した呪文に過ぎない。なぜ西川氏でなくてはいけないのか,と言うことに対して,まったく彼の話には必然性も説得力もない。

ここまでは構図としては実にわかりやすい。しかし,鳩山大臣はなぜあれほど更迭にこだわり,与謝野大臣はなぜあれほど続投支援を曲げないのか,それから鳩山氏と盟友の麻生首相はなぜ第三者的な顔をしているのか,不可思議である。 もちろん、鳩山大臣が旧郵政官僚の代弁者であり【注1】,与謝野大臣が財務大臣の代弁者であることは明白なのであるが,ではなぜ旧郵政省=総務省と財務省がこれほどこだわるのかということがどうにもわかりにくいところである。

つまり,これは官僚同士の争いなのであるが,一体何を争っているのか,ということがポイントである。『改革か後退か』の争いではこんなことにはならない。 現在の愛国心を失いつつある(国益のことを考えなくなっている)官僚にとっては本来はどちらでも良いことなのである。

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