1955年の保守合同でできた自由民主党という政党が、一つの役割を終え、今まさに崩壊しようとしている。考えてみれば、1991年にソビエト連邦が崩壊したときにその役割は、本当は終わっていたのかも知れない。

日本と言う国では、中央も、地方も、また、マスコミも「100年に一度の経済危機」などと言いながら、世の中が激変していることを本当は認めたくないようである。


しかし、今回の総選挙がそのことをはっきりさせるだろう。そろそろ1980年代から流行した新自由主義の経済思想から始まったグローバリズム、そこから派生した金融自由主義(証券化、レバレッジ、金融工学、タックスヘブン)、また、その実現のための政策としての規制緩和、民営化、そう言った時代が終わりつつあることを認識すべきであろう。


小生が小泉・竹中郵政選挙の時4年前に予感していたこたが、現実のものになろうとしている。もともと、一頃さかんに言われた「構造改革」というものは、米国に押しつけられた米国のための対日政策であり、日本の国益(国民全体の利益)を無視したものであった。いろいろな言葉で修飾をされ、そのことがすぐには、わからないように細工されていたために、多くの方が勘違いをさせられてしまっただけのことだった。どんな嘘でもいつかは、ばれるものである。


2005年、4年前のある自民党候補の衆議院議員選挙事務所で、深夜、事務所に掲示されているいろいろな企業・団体の推薦状を見ながら、東京から来た政策秘書と話をしたことを昨日のことのように今でも鮮明に覚えている。


それは、これらの推薦状をくれた方々は、「『構造改革』というものが、彼らの属する団体の利益を破壊する政策だと言うことを本当に理解しているのだろうか。」ということであった。小泉氏が言った「自民党をこわす!」という言葉は、レトリックでも何でもなく字面の通りだったことを我々はまず、理解すべきであった。


もともと、大騒ぎした郵政選挙自体が旧来の自民党の支持基盤を破壊する選挙であった。従来の堅い支持基盤を捨てるかわりに米国金融資本による日本のマスコミを使った世論誘導によりその場限りの得票=浮動票を増やすことで生じたバブルのような選挙が2005年の郵政選挙であった。自民党は儚いバブルを手にしたかわりに今までの堅い支持基盤を失ったのである。19世紀の英国においても、同じ政党で刺客選挙をして大勝した政党が次の総選挙で壊滅した歴史もある。おそらく、今回の総選挙で自民党は議席を三分の一以下に減らす歴史的な敗北を味わうことになるのだろう。


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<日本郵政の不祥事とは>



現在、世間の注目を浴びているのが日本郵政の社長人事である。

西川善文社長の再任を巡り、鳩山総務大臣が日本郵政の一連の不祥事を理由に強く反対していた。ところが意外なことに、更迭されたのは鳩山総務大臣の方であった。



まず不祥事の一つである郵便事業会社の障害者団体向け割引制度の悪用事件を考えてみよう。今のところこの事件には郵便事業会社に加え、厚労省、広告代理店、割引制度の悪用企業などが関わっている。しかし根本は郵便事業会社の割引制度である。この図式は、10年前のDMの大量発送に伴う別後納郵便の割引制度の悪用と全く同じである。

この時に問題になったのは「エンデバー」「郵和」というDM取扱い業者であった。郵便局がこのような不正に手を染めた原因は、収益を上げるためのノルマであった。予算達成のノルマは、地方の郵政局、郵便局、担当課毎に設定された。つまり郵便局同士が競争関係に置かれたのである。

今日、郵政事業が民営化され、さらに収益を上げるよう大きなプレッシャーがかかっている。しかし国民が期待しているのは非効率的な経営の是正による収益アップである。郵政社員への過酷なノルマ課すことまで期待しているのではない。

ましてや割引制度の悪用など考えられない。また利用者への負担増加による収益増加なんてもってのほかである。もしこれらが郵政事業民営化の実態なら、民営化路線を止めさっさと元の形に戻すべきである。障害者団体向け割引制度の悪用事件はおそらく氷山の一角だと思われる。

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