2009年10月9日、ノルウェーのノーベル賞委員会は、米国大統領バラク・オバマに2009年のノーベル平和賞を授与すると発表した。その理由は「核兵器のない社会」の実現を掲げたことが「人々に未来への希望を与えた」ためと説明されている。現職の国家指導者の受賞は2000年の韓国・金大中以来のことである。



しかし2000年の金大中は、韓国現職大統領として初めて北朝鮮を訪問し、歴史的南北会談を実現させた“実績”を持つ。同じように現職国家指導者として1994年にノーベル平和賞を受賞したイツハク・ラビン(イスラエル首相)は、受賞前年の1993年にアラブ側との和平を進めるオスロ合意に調印し、翌1994年にはヨルダンとの平和条約にも調印した“実績”を持つ。今回受賞のオバマは、平和に向けての“意思表示”はしているものの、実績は全く残していない。この論法でいけば、国連で1990年比で2020年までに二酸化炭素25%削減を宣言した我が国の鳩山首相にも何らかの賞が与えられてもおかしくはないことになってしまうではないか。

オバマのノーベル平和賞受賞が発表されても、米国内ではそれを祝う雰囲気は少なく、市民は戸惑いとも驚きともとれる表情に溢れ、さらには批判の声すら聞こえてくるほどだった。オバマ大統領の受賞直後に行われたホワイトハウスでの定例記者会見は、記者たちからの「おめでとう」の言葉もなく始まり、平和賞受賞に対する厳しい質問が相次いだ。大統領報道官のギブスも困惑し、「私はノーベル賞委員会のメンバーではない」と答えるしかなかった。

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