*今回は本の紹介です。
「アメリカについて本当のことを知るべき時代」
~「最もリアルなアメリカ入門」原田武夫著を紹介します~
ところで、私たちは、学校において、社会において、意図的に戦後史を勉強しないように仕向けられている?ことを改めて、知っていただく必要がある。そのような状態に日本人を放置したままに、しておきたい国が、私たちに一番影響を与えているアメリカというある意味、金儲けだけしか考えていない「ファンド国家」なのである。
とにかく勉強になる本である。たとえば、この本のコラムで彼はこんなことを書いている。
・「アメリカを支配する「奥の院」とは誰なのか」
・「アメリカ教育使節団が日本に残したもの」
・「オバマがCIAのスパイだったというのは本当か」
如何だろうか。興味深いタイトルではないか。
北朝鮮外交の舞台を、最後に外務省を退職した原田氏があの六カ国協議の現場で見た米国の外交官は、ほとんどがウオールストリート出身の人たちだったということだ。その意味するところは、米国にとって北朝鮮も金儲けの手段の一つに過ぎないということだろう。日本人である私たちは、米国の強い影響下にある日本のマスコミが「北朝鮮脅威論」を声高に唱える背景をもっと冷静に考える必要があるのではないかとも思われる。
それでは、まず目次から紹介する。
序章 対立軸で探ると見えてくる 現代アメリカの実状とは
第1章 神の国を標榜するアメリカを作ったのは誰なのか
第2章 アメリカはいつから戦争国家になったのか
第3章 金融資本主義を推し進めるアメリカの目論みとは
第4章 アメリカの顔・オバマ大統領の真実とは
第5章 ソーシャル・メディアによるアメリカの情報統制とは
第6章 脱アメリカ時代の日本はどこに進むべきなのか
最終章 日本はこれから先 どうなっていくのか
この本は、原田氏の本の中でも読みやすい方に分類されるが、内容は相当踏み込んで書いているので、背景知識のない人は読み落としてしまう部分もあるかもしれない。
そう言った意味では何度も読むことのできる本に仕上がっている。
前半ではアメリカの歴史が語られているが、原田氏は「アメリカという国はそもそも建国の時から戦争に次ぐ戦争によって営まれて」きており、「しかも『勝ち続けていること』によって止まれなくなり、経済的な理由や宗教的な理由も加わって戦争をし続けている」とはっきりと指摘している。
第3章以降は、現在の話になってくるが、インターネットにおけるアメリカの考えが解説されている部分も、題名通り、とてもリアルな言葉で表現されている。
「インターネットとは、アメリカにとってそもそも「軍」であり、「インテリジェンス機関」であり、「政治」のための道具なのです。
アメリカはとってブログは戦略上、どうしても押さえておきたい相手国の世論操作を行うためのツールに他ならないのです。
日本では一般にまったく問題とはされていませんが、実はスマホの普及にともなってアメリカによる「文化帝国主義」とでもいうべき事態が、人知れず進展しはじめています。」
では、これから世界は、日本はどうなるのか。そして、日本はどうすればいいと原田氏は言っているのか。以下。
まず、今の世界の金融メルトダウンは、もはや金融的な手法では解決できない。その解決方策は結論的には2つであり、一つは戦争経済への移行。つまり中東での戦争だ。そして、もう一つが日本や中国に流出した富を奪還することだ。
まさに今、ホルムズ海峡で大きな問題が起こっているが、その一つ目の流れの動きだ。ただ、今年は米国を初め世界各国で大きな選挙の年であり、色々な情勢を総合的に見ると、実際に戦争にまで至る可能性は低いと予想される。
そうなると、残された選択肢は一つになってしまう。収穫の前には太らせるのが、効率が良い。つまり、日本は今後、一時的に金融バブル化するが、その後、一気にバブル崩壊を迎えるというのが予想されるシナリオだという。
さらに、今の状況は1930年代初めの状況に非常に似ているとも言う。その後、日本がどのような道を進んでいったのかは周知のところだ。今度は同じ轍を踏まないよう、準備と覚悟が必要である。
①アメリカがヨーロッパとともに企てているのは、「(東)アジアからの富みの奪還」である。それ以上でもそれ以下でもない。
②「円高ドル安」は少なくとも来年(2013年)春までは続く。そしてそれは時に急激な局面を交えたものとなる。
③急激な円高に見舞われ続ける日本は金融緩和を強力に推し進める。
その結果、日本は歴史的な金融バブルに突入し、短くとも2013年春まではその状態が続く(あるいはそれ以上長引く可能性(2014年後半まで)もある。
④「持つ者」と「持たざる者」との間の差が極端に広がる結果、ついに「持たざる者の叛乱」が世界中で起っていく。先進国でそれがはじまるのはまずヨーロッパ、そして次がアメリカである。
その中でいよいよ日本においても不満が爆発し、新しい政治体制がつくり出される。
(*その意味でも「大阪維新の会」の橋下 徹氏は日本の政治のキャスチングボードを握る可能性を秘めている。)
最後に、著者の言葉をそのまま紹介したい。
「アメリカはいったい、日本をどうしようとしているのだろうか。何がしたいのだろうか。アメリカは毎年、莫大な予算を使って対日プロパガンダ戦略を実施し、札束を使って、アメリカにとって「好ましい日本人」を取り上げるように陰に陽に日本のメディアに対して働きかけ、従わせてきたのです。
それが今、アメリカは「弱体化」しているかのように振る舞い始め、「しばらくしたら自己破産する」と言わんばかりに、騒ぎはじめています。
近未来に向けたアメリカの真意と、日本がどのように立ち向かうべきなのか語る時がやってきたようです。
結論は先に言っておきましょう。
アメリカが今、日本に抱いているのは「畏怖心」であり、日本に今必要なのは、「世界史を担う気概」です。
なぜならば、これから起るのは、驚くべきことに私達の国、日本における「歴史的な金融バブル」であり、動き方によっては、日本だけが勝ち組となり、(「ジャパン・アズ・ナンバーワン・アゲイン」)、世界を制してしまうかもしれないからです。
アメリカ、そしてヨーロッパはそのことを知っています。
だからこそ彼等はよって、たかって日本を叩き、二度と立ち上がれないようにしようと必死なのです。
そして彼等に飼い慣らされた日本人たちが悲しいかな、これに協力してきた歴史、それが戦後の日本史なのです。
しかし、それでもなお世界史を逆転される「金融バブル」というカードは、私達日本人の手にまもなく降ってきます。
したがって今こそ、私達日本人がそのことに「気づく」こと、そして「動く」ことが求められているのです。」
原田氏が言うように日本で金融バブルになるためには、以前のレポートでも指摘させていただいたように、日本銀行の金融政策の動きが一番重要である。確かに日銀もその方向で動き始めていることは確かである。その意味で日銀の金融政策に注目すべきである。
とにかくテレビや新聞では報道されることのない内容が書かれている。お時間のある方には、是非、ご一読をすすめたい。