1月 222016

正月明けから日経平均がなかなか下げ止まらない。そして安倍政権のスキャンダルが続出しそうな空気が漂い始めている。以下。

衝撃告発「私は甘利大臣に賄賂を渡した!」週刊文春1月20日(水)

 

甘利大臣甘利大臣2

<50万円を甘利氏に渡し終えた後のツーショット。撮影は清島所長が>

甘利明TPP担当大臣(66)と公設秘書に、政治資金規正法とあっせん利得処罰法違反の疑いがあることが週刊文春の取材でわかった。千葉県内の建設会社の総務担当者が週刊文春の取材に応じ、メモや録音を基に金銭の授受を証言した。 この男性によれば、独立行政法人都市再生機構(UR)が行っている道路建設の補償を巡り、甘利事務所に口利きを依頼。過去3年にわたり、甘利大臣や地元の大和事務所所長・清島健一氏(公設第一秘書)や鈴木陵允政策秘書に資金提供や接待を続け、総額は証拠が残るものだけで1200万円に上るという。

20131114日には、大臣室で甘利大臣に面会。桐の箱に入ったとらやの羊羹と一緒に、封筒に入れた現金50万円を「これはお礼です」と渡したという。 面会をセットした清島所長は、週刊文春の取材に「献金という形で持ってきたのではないですか」と回答した。ただ、甘利氏の政治資金収支報告書に記載はない。
元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏は、一連の金銭授受は政治資金規正法違反、あっせん利得処罰法違反の疑いがあると指摘した。TPPが国会承認を控える中、甘利大臣の適格性を問う声が上がりそうだ。

<週刊文春2016128日号『スクープ速報』より>

また、日本の大手マスコミは無視をしているが、「ジャパンタイムズ」に元外交官孫崎 亨氏も紹介しているが、下記の記事が掲載されたようである。IOC probes 2020 Games bribery allegations 

http://www.japantimes.co.jp/news/2016/01/16/national/ioc-probes-2020-games-bribery-allegations/#.VqBosnlf2Un

IOCは2020年オリンピック賄賂疑惑を証明IOC probes 2020 Games bribery allegations)」

 

「国際オリンピック委員会(IOC)は2020年オリンピックへの誘致において賄賂があったのではないかと言う点について調査を行う用意が出来ている。スポーツ団体は金曜日、世界反ドーピング機関(WADA)世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会に、東京オリンピックを確保するために500億ドルの協賛金を支払われた可能性を示した資料の提出を求めた。

世界反ドーピング機関報告書の脚注は国際陸連前会長は国際陸連ラミン・ディアク前会長らが国際陸連(IAAF)行事への協賛との引き換えに、2020年オリンピック投票に彼の投票を売る用意があったことを示唆した。報告書は当時IOCメンバーであったディアクがトルコ側が支払いを拒否し、日本側が支払いした後、イスタンブール支持を取り下げ、東京を支持したことを示唆している。 

IOCは我々が事情を理解するため、既に独立機関に報告書を求めたことを明らかにした。東京主催者たちは疑惑は我々の理解を超えているといい、トルコのオリンピック委員会はディアクの要求はイスタンブールが負けた理由ではないと述べた。 

IOCの声明は、IOCメンバーで世界反ドーピング機関の審査委員会の議長をしたディック・パウンド(Dick Pound)は現在のオリンピック招致過程が組織的腐敗に陥っていないことには十分自信を持っていると述べた。ソルトレイク市招致スキャンダル後の体制に言及し、我々は1999年以降多大な努力をしたと指摘した。

彼は腐敗の個別的ケースがあっても、組織的にはオリンピックには関係しない問題と思っていると述べた。

世界反ドーピング機関報告書の脚注は、ディアクの息子の一人Khalilとトルコ陸連関係者の会話が記載されている。“トルコはダイヤモンドリーグないし国際陸連に4-5百万ドルの協賛金を支払わなかったので国際陸連の支持を失った”“会話記録によれば日本側はそのような金額を支払った”

 “2020年オリンピックは東京に与えられた”“IOCは本件を自分達の管轄外として調査を行わなかった”と記載している。

東京はイスタンブールを2013年ブエノスアイレスでの最終投票で60対36で破った。 小野日子・東京五輪広報官は声明の中で、“東京が最高の提言を行ったので東京に決定した”と言及した。

トルコ・オリンピック委員会委員長Ugur Erdenerはディアクの要請関連で敗れたのではない。彼は個人的な投票を彼の期待にそう別の市のために利用したかもしれない“との声明を出した。セネガル人であるディアクは1999年から2013年までIOCメンバーであった。パウンドは木曜日、2020年オリンピック誘致に関する贈収賄に真摯に調査することを提言した。(終わり)

昨秋11月、「アベマジックの終焉が近づいている」というレポートを書いたことがあったが、いよいよ舞台転換の時が迫ってきたようである。いまだに勘違いしている日本人が多いが、そもそもアベノミクスの主目的は、宗主国であるアメリカを助ける為の政策で日本の為のものではない。すべては、20089月のリーマンショックから始まるものである。

 

ご存じのようにリーマンショックは、米国の巨大金融機関の債務超過問題だった。 

1990年代半ばからの米国ITバブル崩壊の後、2000年代に、2倍の価格に上がった米国の住宅価格は、2007年から下がり始めていた。それが、20089月には、住宅証券(AAA格)の40%の下落が明白になり、この下落のため、住宅証券をもつ金融機関の連鎖的な破産になったのである。米国の住宅ローンは、日本(200兆円)の約5倍(1000兆円)の巨大な証券市場を形成している。このためちょっと前まで米国の債券では、国債市場より、住宅証券市場のほうがはるかに大きかったのである。住宅ローンの回収率で決まる価値(MBS等の市場価格)が40%下がると、金融機関が受ける損害は、400兆円になる。ちなみに、米国の金融機関の総自己資本は200兆円レベルである。

 

そのため、20089月には、米国大手のほぼ全部の金融機関が実質で、債務超過になっていたのである。金融機関の債務超過は、経済の取引に必要な信用量(流通するマネー量)を急減させる。当然、株価も下がり、ドルも下落した。20088月は、1929年に始まり1933年まで続いて、第二次世界大戦にまで至った米国経済の大収縮、つまり信用恐慌になるスケールのものであった。放置しておけば、信用恐慌を招くことが必至の状況であった。米政府は金融機関の連鎖的な倒産を避けるため、銀行に出資し、FRBは銀行が保有する不良化した債券を買い取ってドルを供給した。

その総額は、リーマン・ブラザースの倒産直後に$1兆、その後も$1兆を追加し、129月からのQE3の量的緩和(MBSの買い)も加わって、FRBのバランスシートは、$3.3兆と20089月以前の4倍以上に膨らんでいった。

金額で言えば、FRBは$2.5兆(250兆円)の米ドルを、金融機関に対し、増加供給したままになっている。買ったのは、米国債($1.8兆:180兆円)と、値下がりして不良化した住宅証券(MBS1.1兆:110兆円)である。

 

FRBによる米国債の巨額購入は、米国の金利を下げ、国債の価格は高騰させた。この目的は、国債をもつ金融機関に利益を与え、住宅証券の下落で失った自己資本を回復させることであった。同じ目的で、もっと直接に米国FRBは、40%は下落していたMBS(住宅ローンの回収を担保にした証券)を$1.1兆も、額面で買っている。

FRBが下がっているMBSを、マーケットの時価で買えば、金融機関には$0.550兆円)くらいもの損失が確定してしまう。このため時価ではなく額面でFRBが買って、金融機関に利益を与えることにしたのである。MBSの下落損である50兆円はMBSを買ったFRBに移転していることになる。

恐るべき事だが、資本が$660億(6.7兆円)しかないFRB自体も、これらの保有資産を時価評価すれば、債務超過に陥ってしまう。要するに米国経済は、FRBのマネー増発である$2.5兆(250兆円)の上に成り立つ砂上の楼閣だということだ。

一方、FRBの増発マネー$2.5兆(250兆円)は、米国の金融機関の預かり資産になって、それがファンドに貸されて、国際的な投機資金になっている。201211月から日本円を売り(その結果が円安)、株を買ったのも(その結果が株価上昇)この資金である。

もちろん、この5年間、米ドルを増発し続けてきた米国FRBには、そろそろ「出口政策」を模索している。出口政策とは、FRBが量的緩和のために買ってきた米国債と住宅証券のMBSを市場に売って、金融市場から米ドルを吸収することである。これを行えば、米国の金利は上がって、米ドルは不足するようになる。

出口政策が必要とされる理由は、FRBのバランスシートを$3.3兆(330兆円)に膨らませたままでは、いずれ、金融機関に代わってFRB自体が陥った巨大な穴、つまり債務超過に気がつく人が増えるからある。それがドル価値の減価、つまり、ドルとドル債売りに繋がっていく。ドルの暴落、米国債の暴落である。 

将来のドル価値が下がると見て、海外勢がドル債を売り浴びせれば、対外債務が$22.7兆(2270兆円:GDP1.5倍)と巨大な米国経済は、奈落の底に沈むことは間違いないだろう。海外から毎年$5000億の国債を買ってもらい、その分を増加保有してもらう必要がある対外純債務国である米国にとって、ドル価値の減価を見越したドルとドル債売りが、もっとも怖れていることである。

これが起こると、ドルの暴落、米国の金利の高騰になる。これを防ぐためFRBは、出口政策に転じる必要があると考えているわけだ。出口政策は、FRBが買ってきた米国債やMBSを逆に売って、市場のドルを吸収して減らすことである。これをFRBが行うには、米国債を増やして買ってくれる強力なパートナーがいないと、米国はドル安になって金利が上がり、経済は不況のどん底に沈むことになる。 

要するにFRBが売りたい米国債を買ってくれる、海外の国がなければどうにもならないわけだ。もう、おわかりのようにそんな奇特な国は世界には、日本しかいない。第二次安倍政権とは、そのために作られた政権なのである。

2012年の12月以降のアベノミクスによる円安政策は、実は、米ドルとドル債買いであり、円と円債の売りであることは言うまでもない。つまり、日本が米国債を大量に買って米国の財政を支援しているからこそ、見せかけの危うい安定が取りあえず維持されているのである。いい悪いは別にしてこれが世界経済の現実である。 

そして当然のことだが、異次元金融緩和を進めている日銀の財務内容もFRBのように資産ばかり膨らみ、急速に悪化している。そのために昨年末、中国の人民元が、SDR(特別引き出し権)をもつ国際通貨になることが認められたわけだ。すべてはドルの延命のためである。つまり、今起きている相場の乱高下は、中国人民元が国際通貨になっていくプロセスの中で必然的に起きていることで、逆に言えばただそれだけのことであるということである。上記に書いたようにFRBの増発マネー$2.5兆(250兆円)は、米国の金融機関の預かり資産になって、それがファンドに貸されて、国際的な投機資金になっている。当然、FRBが出口政策に向かえば、これらの資金は縮小し、日本市場、中国市場から引き上げていくことになる。それが現在の世界株安である。日本人が頭にいれておくべきことは、本当は、マスコミに騒がれている中国よりアメリカの方がはるかに経済的には大変な状況にあるということである。昨年末にアメリカが原油を輸出すると言い出したのはその現れである。現在でも日本の経済ニュースでは、中国経済のネガティブな面ばかりが報道されているが、一方、世相のニュースでは、今も中国観光客の爆買いのニュースが報道されている。先日も中部国際空港で仏壇まで買っていくという中国人の驚くべき購買行動が紹介されていた。前回のレポートでも指摘したが、表の経済統計がどうであろうと、中国人は金を持っているということである。 

ここで、今までのレポートで何回も断片的に説明させていただいたが、日本という歴史上、今まで存在したことのない、あまりに不思議な<世界の貢ぐ君>になっている債権大国の現実をしっかり頭にいれていただきたい。 

ちょっと、古い数字で恐縮だが、本質は全く変わっていないので問題ないと考えていただきたい。世界的に見ると、富裕層が最も多いのは米国の522万世帯であり、これに次ぐのが153万世帯の日本である。ちなみに中国は85万世帯、英国は57万世帯、ドイツが40万世帯となっている。日本の富裕層の世帯数は前年比6%増。全世帯に占める富裕層の割合は3.2%であり、全資産の24%を保有しているという。

わが国では家計全体の貯蓄額のパイが小さくなっても、このパイに占める富裕層の貯蓄額の割合はむしろ増えている。なお、世界の家計が保有する金融資産は、2010年末に前年比8.0%増加して121.8兆ドルにも達する。この金融資産には預金や株式、債券などは含まれるが、土地は含まれていない。

さらに、大半の家計が苦しくなり貯蓄をする余裕がなくなる半面、民間企業の貯蓄が増加しており、勤労者の貯蓄が企業の貯蓄にシフトしている現象が起きている。日銀の資金循環統計によると、金融部門を除く民間企業の現金・預金の残高は2011年3月末で211兆円となり、統計開始の1980年以来過去最高を記録した。もっとも、民間企業が手元流動性を厚くするために現預金を増やしている側面もあり、貯蓄増加のすべてが民間企業からのシフトというわけではない。だが、リストラによる人件費削減や内部留保の積み上げ、一部の大企業や優良企業に有利な税制などによる要因も少なからず作用していると思われる。

また、2010年末のわが国の対外純資産残高、つまり国内の民間企業や個人、政府が海外に保有する資産から、海外から国内への投資(負債)を控除した残高は、対前年末比▲5.5%減の251兆4,950億円となったものの、世界一の債権国の地位を20年連続で維持した。(現在はアベノミクにより350兆円を優に超えている)

 

日本は世界一の金持ちの国といわれて久しいが、実生活の中で豊かさを実感することはほとんどない。所得は多くても物価は高く支出は多い。住環境や食生活、教育、社会インフラに至るまで、お世辞にも世界一の債権国の名に相応しい暮らしぶりとは言い難い。確かに日本は対外的に多額の資産を有している。だが、それはあくまでも帳簿上に記されたお金の数字が大きいということに過ぎない。お金はモノを購入したり、サービスを享受するために使って初めて、その豊かさを実感できる。数字という記号に変換されたままでは、将来的にモノを購入したり、サービスを享受することができるという状態を維持しているに過ぎない。 

日本の資産は、外国の債券や株式の購入、ODA(政府開発援助)を通じて外国人の生活水準向上のために使われている。(国連やWHOの活動も日本のお金がなければ、回っていかないのが現実である。)実際にそのお金を帳簿上の記号から実物に換えて使用し、欲しい物やサービスの購入に充てているのは、外国人の方々なのである。 

人のいい私たち日本人は、やがては自分の好きなときに実物のお金に換えて利用できるものと安心しきっているが、それは絶対的に保証されているわけではない。

帳簿上の記号に変換したお金を再び実物の形に戻す請求権を持っていることが、いついかなる場合でも100%実現できることを意味しているのではない。権利は行使したときに自分の目で確かめたり、実感する形で実現する。ところが、それを確実なものと思い込んで安住しているうちに、デフォルト(債務不履行)やインフレ進行の形で権利が消えてしまうリスクがあることには思い至らない。ここに大きな落とし穴がある。 

家計所得額そのものの減少、家計と民間企業双方における経済格差と二極化の拡大は、小泉政権が誕生した約十年前から急速に進行してきた。また、日本全体では債権超過でカネ余りでも、その債権という帳簿上の権利をモノやサービスといった実体のある形に変えて行使するのはわれわれ日本人ではなく、最終的には外国人というのが不思議の国日本の実態だ。(以前、キリギリスとアリのイソップ童話でこのことを説明したレポートを書いたことがある。)要するに私たち日本人は、もっと自分たちのためにお金を使うべきなのだが、今までそういう仕組みを創ることを宗主国であるアメリカに許されていなかったのである。 

ところで、外国人は債務者としてわれわれに対して債務履行の義務を負っているが、その約束を必ず果たすという保証はどこにもない。恐らく、宗主国であるアメリカは日本に元本を返す気などさらさらないだろう。彼らの気持ちを代弁すれば、「金利を払ってやるだけでも十分ありがたいと思え」、だろう。 

このような構造で、国民生活の改善と向上を願って国政を託す国民の期待は常に裏切られてきた。これは歴代政権が無能だからというだけではない。政治家や官僚、財界人やマスコミ人士らが自らを特権階級と位置づけ、その下に位置する国民全般の幸福や安寧などは彼らの眼中にないから当たり前なのである。また、彼らは1945年以降、日本の「真の支配者」である米国をはじめとする外国勢力によってその存在価値と地位を保障されているため、外国勢力の利益を実現して歓心を買うためにはどうしても、これと相反する国民の利益を犠牲にしなければならない立場にいる。(最もこの立場から逸脱すると、東京地検特捜部や税務署、マスコミによるネガティブキャンペーン、不正選挙で木っ端微塵にされてしまうから身動きがとれないのが現実である。) 

要するに人のいい私たち国民は、政治家の空虚な公約やマニフェスト、官僚の言葉巧みな方便、無責任で事実を歪曲するマスコミの偏向報道に騙され続けてきたのである。もういい加減、この辺で目を覚まして、自らの人生を他人に委ねる依存心を捨て、自分の人生は自分で歩むという独立自尊の精神を持たなければならないということだろう。

そして一番重要なことは「アメリカあっての日本」の時代がもうすぐ、終わりそうだということである。ただその段階に進むには、「円安誘導による資産バブル」を唱道していた人間は、表舞台から退場して、「円高による資産バブル」政策を実行する人間に入れ替わる必要がある。おそらく、それを推進するためのスキャンダル等がこれから、目白押しに表に出て来るのではないか。現在、表に出ているのは氷山の一角である。 

そしてその後、数年以内に戦後の既得権者総退場の時を迎えることになれば、その時、1945年以降、初めて日本は独立国になることができるのだろう。

 

 ところで、以下の記事からもスキャンダルの匂いがするのだが、

http://www.newstandard.jp.net/news/world/japan-may-import-oil-from-is/1151

 

「イスラム国の原油を日本が輸入している可能性」  2015/12/21     白石和幸

 

1124日に起きたトルコ空軍によるロシア戦闘機Su-24を撃墜したことが発端になって、1115-16日のトルコで開かれたG20首脳会議終了後プーチン大統領は記者会見の席で「イスラム国(IS)に資金的支援をしている国がG20に参加している国を含めて40ヶ国ある」と述べたのである。これはプーチン大統領のトルコを含めISを背後から支援している国への報復である。この資金的支援とはISが採油する原油を購入している国が相当数あるということである。そして以下に披露する情報から、日本もISの原油を輸入しているということなのだ。 

この事件を切っ掛けに、エルドアン大統領とその家族がISと関係していることと、そしてその原油売買に関与しているという情報がロシアのメディアに広く伝わるようになったという。そのひとつが、「ISが過去8か月間に闇市場で原油をバレル20ドルでトルコに販売し、その総額は8億ドル(960億円)になる」とイラクの国家安全保障の元アドバイザーで現在イラク議会議員のリーダーのひとりアル•ルバイエ氏が『スプートニク』紙に語ったことだ。 

さらに同紙は、シリアのムアレム外相が以前、「エルドアン大統領の息子のビラル•エルドアンがISの原油販売に不法に関与しているようだ」と指摘し、そして「トルコがSu-24を撃墜したのはビラル•エルドアンが所有する石油会社との関心ごとからだ」と述べたことを伝えた。彼が所有するタンクローリがロシア戦闘機によって被害を受けたということで、その報復としてSu-24を撃墜したのではないかということなのである。 

しかし、それが全て真実であると認め難いかのように、在スペインロシア大使のコルチャギン氏がスペイン国営放送TVEの番組の中で〈「(撃墜は)事前に(トルコ側で)熟考された上での行動であると思える多くの徴候がある」〉と述べて、トルコにとって、ロシアは非常に重要な貿易相手国である。しかも現在中断しているとはいえ、ロシアからトルコ経由でヨーロッパに天然ガスを供給するパイプラインの建設構想もある。それを何故犠牲にするほどの行動に出たのか不可解であるという考えなのだ。 

一方、ロシア紙『Rossiyskaya Gazeta』でもエルドアン大統領の息子がISの原油販売に関与していることが報じられたことを英国電子紙『Scott』も他社同様に伝えた。しかし同ロシア紙では、共和人民党のグセル・テキン副党首が「エルドアン大統領の息子のビジネスに違法性はなく、日本の企業と取引しているだけだ」と述べて、ビラル・エルドアンを擁護したという。

しかし、それを否定する情報を流したのが米国で金融関係を主体にその他の情報にも言及するブログ『Zero Hedge』だ。それによると、トルコ政府はイラクでISが不法に所有する油井から採油された原油を購入し、ビラル•エルドアンが所有する複数の石油タンカーを使ってベイルートとセイハンにある彼の船会社専用の特別埠頭から、ISの密輸入された原油を日本に出荷していると言及したのだ。もちろん、その中で、ヨーロッパの船会社と契約して異なったアジア諸国にも原油を送っていることにも触れた。 

更に上述ブログではエルドアン大統領の娘がISの負傷した戦闘員を匿って治療する病院をトルコ国内にもっていることも報じている。 

Su-24の撃墜に伴うロシアからトルコに課したトルコ製品の輸入禁止やロシア人の観光禁止などによりトルコが被る被害は90億ドル(1800億円)にのぼるという。

 

<白石和幸プロフィール>スペイン在住の貿易コンサルタント。1951年生まれ。広島県出身。スペイン・バレンシア大学への留学後、商社勤務を経て、スペイン・バレンシアで家具、食品などを幅広く手がける貿易事業を展開。2008年に貿易コンサルタントに転身した。在バルセロナ日本総領事館のアシストも務めている。日本やスペインで、講演やメディア出演も数多くこなす。

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