JAL(日本航空)を見事に再生させた稲盛和夫氏は、次のように語っています。
<「思い」は必ず実現します。物事を成功に導こうとするなら、強い「思い」を持たなければなりません。ただ思うだけでも、「思い」は私たちの人生を作っていきますが、それが潜在意識にまで入っていくような思い方をすれば、その「思い」はもっと実現に近づいていきます。さらにその「思い」をより美しく、純粋なものにしていけば、最も大きなパワーをもって実現していくのです。>
ところで、太平洋戦争後の1946年、焼け野原の東京で都の都市計画課が、「二十年後の東京」というプロモーション映画を製作していたのをご存じでしょうか。この映画を見て吃驚するのは、焼け野原の東京で私たちの先輩たちは、二十年後の東京の姿をはっきりと思い描いていた事実です。1946年にこのような映画を製作できた背景には、官庁プランナーの枠に収まりきらない都市計画家であった石川栄耀(ひであき)の戦前の一連のプランがあったことが指摘されています。そして、二十年後の東京は、首都高速道路、新幹線が開通し、プロモーション映画で語られた以上の街に変貌しています。
時代の転換点に見事に対応できた事例だと言えましょう。
さて現在、戦後70年を経て、日本社会も既存のシステムが機能不全に陥る一歩手前の大きな節目を迎えています。たとえば、高齢化と人口減少が世界史上、例のない早さで進む日本においては、現在の年金制度が破綻することは、論理的に考えれば、誰の目にも明らかでしょう。緩やかに高齢化する他の先進国では、年金制度の改定は15~20年に一度行えばよいのですが、日本では少なくとも、国勢調査によって人口が確定する5年ごとに大幅な改定を行っています。また、年金の負担側と給付側の関係で考えてみても、米国、英国、フランスなどは将来的に年金を負担する人が7割、もらう人が3割の水準で安定するのに対し、日本は負担する人が5割を切ってしまう計算になります。これは明らかに現役世代の許容範囲を超えるものです。また、ご存じのように2015年の国勢調査では、5年間で日本の人口は約94万7000人、0.7%、豊橋市でも約2000人、0.5%の人口が減っています。一方、平成23年度の一般会計予算は、国が約92兆4千億円、豊橋市が1178億円、平成28年度が、国が96兆7千億円、豊橋市が1241億円、デフレ下で人口が減少しているにかかわらず、増えています。豊橋市においては平成23年3月に作成され、平成27年12月に改訂された都市計画マスタープランというものがあります。それによれば、2040年の豊橋市の人口は349、000人、65歳以上、人口比率は31.6%と予想されています。残念なことですが、このそつが無いマスタープランを読んでも20年後の豊橋市の姿は、全く浮かび上がってきません。なぜでしょうか。それは、東三河、豊橋に対する熱き思いと危機感の無さに起因するように思われます。
いよいよ豊橋市長選です。そこで候補者予定者の方々に問いかけたいと思います。
「二十年後の豊橋の姿が見えていますか?」
*東愛知新聞に投稿したものです。