地域力が問われる、東京一極集中時代の終わり

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1月 292018

いまだに東京への人口増加が止まらないために勘違いされている人がほとんどだが、東京の国内産業センターとしての機能と成長力に陰りが見え始めている。一般に東京は経済発展の中心地というイメージだが、もはや幻想になっていると言っても過言ではない。また、日本経済も一人当たりで見ると全く違う風景になる。「日本は<GDP世界第3位>の経済大国である→1人あたりGDPは先進国最下位(世界第27位)日本は<輸出額世界第4位>の輸出大国である→1人あたり輸出額は世界第44位、日本は<研究開発費世界第3位>の科学技術大国である→1人あたり研究開発費は世界第10位」というように。

東京についても、都民所得はデータ入手可能な直近の10年間(20052014年間)で、名目マイナス4.5%、一方全国平均はマイナス2.2%。実質値で見てもプラス0.01%でほとんど成長していない。一方、全国平均はプラス3.8%である。一人当たり都民所得ではマイナス13.1%。全国平均がマイナス2.5%だからその衰退ぶりがよくわかる。この間、東京で成長しているのは、人口だけであり、プラス6.5%となっている。また現在、日経平均が公的資金に支えられてバブル後の最高値(24,000円)を更新しているが、外国企業の上場数は1990年の125社をピークに減少し続け、現在はわずか6社に。このことからもわかるように東京証券市場は世界的な国際金融市場としては機能していない。世界の東京といわれて久しいが、国際化しているのは、東京に本社を置く日本の大企業だけであって、その都市機能は全く国際化されていないと言うことである。その証拠に少々古いが、2011年の東京都産業連関表を見ると、都内生産額のうちの輸出額(海外への売り上げ)は33千億円でわずか2.0%に過ぎない。移出額(国内他地域への売り上げ)564300億円で34.2%を占めている。つまり、東京は海外から仕事を獲得して成長しているのではなく、日本国内の地方から人や資金を集め、国内分業で稼ぐ構造になっているということである。しかしながら、グローバル化による競争激化によって、国内分業のリストラが進むなかで地方にはその経済波及効果が及ばなくなっている。つまり、高度成長時代には効率的であった東京一極集中による経済統治システムがグローバリゼーションの進展により全く機能しなくなっているのである。また、元総務大臣増田寛也氏は「東京消滅~介護破綻と地方移住~」(201512月)という本のなかで、このままでは十年後には東京圏の後期高齢者は175万人増え、首都圏は介護破綻すると鋭い分析で警鐘を鳴らしている。

その意味でも以前にも紹介した1978年の大平内閣の「田園都市国家構想」のような新しい構想がグローバル時代にあった形で登場することが待ち望まれている。「モノより心を大切にすべきではないか、成長率より成長の質が大切ではないか」、「都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力を」という理念に新しく「イノチとグローバル社会にあった」という文言を加えれば、本当に現在の日本にピッタリである。これからは江戸時代の基礎行政単位であった藩の数に匹敵する全国に点在する「田園都市圏」が経済、文化的に相互に連携し合い、ゆるやかに日本という国を構成し、その地域力をグローバリゼーションの進展により、開放系になった世界に向かって発信していくことが一番、求められているのではないだろうか。幸い、三河地域は教育、文化、産業、観光、健康等、生かせる多くの潜在的資源に溢れている。その意味で地域の自冶力を学習と協働によってどう高めていくかが今、問われている。

*東愛知新聞に投稿したものです。

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